ドップ(ガンダムシリーズ)

登録日:2022/12/02 Fri 14:26:13
更新日:2023/01/14 Sat 20:10:54
所要時間:約 8 分で読めます




ドップとは、『機動戦士ガンダム』及びその関連作品に登場する架空の戦闘機である。







【性能諸元】

型式番号:不明/DFA-03?(後述)
  所属:ジオン公国軍
  開発:ジオン公国軍
  全高: 4.6m
  全長: 9.2m
  全幅:12.1m
全備重量:5.2t
最高速度:マッハ5
推進機関:化学燃料ジェットエンジン
  装備:6連装ミサイルランチャー ×2基
     30mm機関砲 ×2門
     フレア
  乗員:1名
 搭乗員:ガルマ・ザビ大佐
     ノリス・パッカード大佐
     ジオン公国軍一般兵




【ドップ誕生秘話】

宇宙世紀0079年1月末。
一年戦争の緒戦を制したジオン公国軍は南極で連邦政府との講和会議に臨むも、「レビル将軍の脱出」という予想外の出来事によって早期終戦という最大の勝ち筋が潰えた挙句、大量破壊兵器及びABC兵器の禁止を盛り込んだ「南極条約」の締結によってルウム戦役で猛威を振るった核バズーカやコロニー落としといった切り札の大半が事実上使用不可能となってしまった。
そこでジオン軍は戦況を打開するべく地球降下作戦を発動、戦闘は地球上に拡大した。

だが、宇宙では万能兵器だったモビルスーツも地上ではただの陸戦兵器に過ぎない。ミノフスキー粒子による電子妨害を込みにしても、豊富な戦力を持つ連邦軍の航空部隊の前では無力。
可及的速やかな制空権の確保が急務とされた。

しかしスペースコロニー国家のジオン公国にとって空は未知の世界。
航空力学の技術蓄積に乏しく、地球侵攻作戦自体が当初の予定には無かったということで地球環境のデータが不十分。大至急で航空戦力を投入せねばならないという事情もあって開発時間すらまともに取れないままコンピューターシミュレーション頼りに急造せざるを得なかった。
限られた空間しかないスペースコロニー内での高速飛行というある種の自殺行為*1とも言える飛行試験では試作1~4号機が尽く墜落するなど開発には相当な苦難が伴った。
そして地球降下作戦開始から一ヶ月が過ぎようかというU.C.0079年3月3日に試作5号機が飛行試験に成功。


かくして完成したドップは無事地球の各戦線に投入され、ジオン軍の快進撃を支えていくのであった。




【機体解説】

大気圏内用の主力戦闘機として多数が重力戦線に投入。
ちなみに一般機はグリーンで、ガルマ機(後述)は専用色で塗装されている。

上記の開発経緯から、航空機らしからぬ極めて特異なフォルムをしている。
胴体上部に武装ポッド二基を乗せた上で、その更に斜め上方に大きなキャノピーを持つコクピットが突き出ている。
小説版曰く「エンジン部とコクピットが二階状に積み上げられた型」であり、「視界が抜群に良いためパイロットには好まれた」模様。
搭乗はコックピット下部から行い、シート自体が上下にスライドする仕組み。
この様な独特な形状になったのは、ミノフスキー粒子影響下での有視界戦闘を重視した為である。
一方、小ぶりな中折れ主翼はほとんど揚力を生まず*2、ほぼロケットエンジンの推進力のみで無理矢理飛行するという、航空力学に真っ向から喧嘩を売るような特徴を持つ。

それ故に燃費は極めて悪いので航続距離は短く*3、運用は基地の近辺や、飛行空母ガウの艦載機としての運用に限られる。
その割にはアプサラスの護衛をしていたり、ジオンの勢力圏から結構離れているはずのジャブロー攻撃には普通に参加していた。
特に後者は完全に自軍拠点から遠く離れた敵勢力圏な上に、護衛しているガウはカタパルトを潰してミサイルランチャーを増設しているはずだが……


性能面での特徴は推力で無理矢理飛ばしてる割には運動性が高いという点で、見た目に寄らず小回りが利くことからドッグファイトでは意外に手強く、連邦空軍のTINコッドとは度々激しい空中戦を繰り広げた。
しかし戦争が進むにつれて質・量ともに低下する一方のジオン軍は、逆に人材も資源も豊富で次々と新戦力を開発・投入していく連邦軍にどんどん水を開けられていき、終戦間際には最早飛び立つことさえままならなくなってしまった。




【武装】

  • 30mm機関砲
左右の武装ポッドの先端に搭載された機関砲。
連邦軍製航空機に多い25mm機関砲よりも大口径で威力も高く、地上掃射にも有効。

  • 6連装ミサイルランチャー
機銃と同じく武装ポッドに搭載。
小型ミサイルを一度に6発まで発射が可能で、連射も効く。
基本的に空中戦用とされるが、対地攻撃も可能。

  • フレア
赤外線センサーを欺瞞するデコイをばら撒いて赤外線誘導ミサイルの追尾を躱すための防護手段。
ミノフスキー粒子はかなり高濃度で散布しない限り可視光線や赤外線を欺瞞することはできないので、現実のものとそれ程変わらない物のようだ。



【主な活躍】

ホワイトベースが地球に降りた第5話から早速登場。
序盤は地球方面司令官ガルマ・ザビ大佐率いる大部隊の波状攻撃によってホワイトベース一行を苦しめたが、第9話ではガンダムの尋常ならざる機動性の前に次々と撃墜されていった。
中盤以降はホワイトベース隊も手馴れてきたことあって単なるやられ役と化し、ジャブロー戦を最後に戦場が宇宙へと移行したので物語からフェードアウトしていった。


この他にも一年戦争中が舞台の作品には端役として登場するが、特筆すべきは『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』。
本作では一般兵士以外にノリス・パッカード大佐も搭乗。
ジェット・コア・ブースターを撃墜する等の卓越した操縦技術を見せた。




【バリエーション】

ガルマ専用ドップ

ガルマ・ザビ大佐の専用機。
彼のパーソナルカラーである黄土色で塗装されている以外は普通のドップと変わらない。

ガンダムに果敢に挑むも片翼を斬り裂かれて退却するが、これこそガルマの罠。
追撃してくるガンダムをガウの射程内に引きずり込んで撃滅する算段なのだ。
だが、ガルマ謀殺を目論むシャアの通信妨害とマチルダのミデアの乱入でガウの存在がバレてしまい、作戦は失敗。
以後ガルマがドップに乗ることはなかった。


ドップ(小説版)

小説版では地球が舞台にならない事もあって、宇宙戦闘機としての登場。
航空力学にケンカを売るがごときデザインも、空気も重力もない宇宙では問題にならず、軽快な運動性を発揮できた。原作のドップももとは宇宙戦闘機として設計されたのかもしれない。
しかし、出番は上巻のみで、中巻以降はガトル突撃艇が主力となっている。


ドップRE

漫画『PILLOW TALK GUNDAM"NIGHT=HAWKS!"』に登場したドップの改良型。
多少飛行機っぽくなったが、まだまだドップである。
今までありそうで無かった下方のキャノピーが導入され、視界は良さそうだ。*4


ドップ(0079版)

近藤和久氏によるリメイク版FGのドップ。
TV版をブラッシュアップした通常機のほか、ジャブロー攻略時には翼を大幅に拡張した長距離爆撃モデルが登場。
気化爆弾を投下してジャブローの森を焼き払い、宇宙船ドッグを露呈させた。
しかし翼面積を広げたぶん小回りは利かなくなったようで、連邦の戦闘機はおろかティルトローター機にも撃墜される。


ドップ改

ドップの強化改良型……ではなく、出渕裕氏のラフ画稿「ドップアドバンスド」を基にリファインされたもの。
大分シャープな形状となり、コックピットが前に突き出す形になったことで普通の航空機に近い姿になった。

書籍『MS ERA 0001〜0080 ガンダム戦場写真集』に記載された写真に多数が映りこんでいる。


ドップⅡ

漫画『機動戦士ガンダムΖΖ外伝 ジオンの幻陽』に登場。
見た目はドップ改とほぼ同一だが、キャノピー下部の窓が無くなっている。
武装は機銃とミサイルランチャーに加えて翼下・胴体下部に多数装備されたミサイル。

劇中ではネオ・ジオンのエンドラ級巡洋艦インドラの艦載機としてニューヨーク攻撃に参加した。

なお、巻末に載っている設定画では劇中の機体ではなくオリジナルのドップが「ドップⅡ」として記載されている。


リトル・ドップ

グフ複合試験型のコックピットとなる一回り小型のドップ。
簡易変形したリトルドップが背部から合体(イメージはGP-01のコア・ファイターに近い)してグフのコックピット兼脱出装置兼バックパックとなる、言わば「ジオン版コア・ファイター」と呼ぶべき機体であった。


ドップ(サンダーボルトVer.)

機動戦士ガンダム サンダーボルト』の世界のドップ。
ややシェイプアップしているが殆ど従来通りのデザイン。
主翼下に増槽やパイロンを設けていて、より重武装なイメージに仕上がっている。




【ガンプラ】

ガンダムと戦ったメカでは唯一、放映当時にキット化されていない。
初の立体化は食玩「森永キャラメルミルクコーヒー 機動戦士ガンダムMSA」で、正式なガンプラとなったのはそれから数十年の月日が流れたEXモデルであった。

EXモデルでは第1弾として「ドップファイター」名義で発売。内容は1/100スケールと1/144スケールを1機ずつのセットという変わったもの。
EXモデルということで成型色はグリーンのみ、キャノピーのみクリアパーツであるが、元々カラーリングが単純なので塗装は容易い。
後にガルマのドップも発売されたが、こちらは1/144単品。

プラモデル以外ではMIAのドズル専用ザクⅡ及びジオン軍地球侵攻作戦セット、超合金「可動戦士ザク」、ロボット魂第08MS小隊オプションパーツセット等に完成品が付属している。

劇中でよく登場した割りには、現状だとどれも入手困難なのが惜しい。


【ゲームでの活躍】

ギレンの野望シリーズ

初代はともかくシリーズを経るにつてフライマンタキラーとして連邦プレイヤーに立ち塞がる。TINコッドやセイバーフィッシュともそこそこやり合えるが、コア・ブースターやホワイトベースが相手となるとまるで歯が立たず次々撃ち落とされてしまう。股、Gジェネと違い対地攻撃はできないためMS、特に対空が得意なキャノン系やスナイパー系は大の苦手。
さらに新・ギレンの野望ではそれまではカモにしていたデプロッグが高耐久力で群れで運用できる上に対空機銃まで手に入れたため生産する意義がまるでなくなってしまった。

また、系譜までだと生産で&驚異以降だと量産型にガルマを乗せて改造することでガルマ専用機仕様を作れるが、元が元だけにMS相手だとあっという間に堕とされてしまう。

Gジェネレーションシリーズ

空は飛べるものの当然宇宙MAPでは使えない。
シリーズ全般を通してこの機体に限らず機関砲は使いづらいので、ダメージ源は多少射程があり数発当たればそれなりに脅威となるミサイルとなる。


【余談】

  • 型式番号は「ガンダム」放送時やOVAなどでは設定されておらず、上で掲載した個人サイトで創作された非公式設定が転載されて広まったものである。この形式番号を小説版『U.C.HARD GRAPH』も採用しているため、便宜的に掲載している。
    なお似たような経緯を辿ったマゼラ・アタックはIgloo2にて形式番号が再付与されたので、ドップに関しても設定が整理される可能性もある。





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最終更新:2023年01月14日 20:10

*1 コロニー内部で戦闘機を飛ばすことについて、小説版FGでも「正気じゃない」「自殺行為」と散々に言われている。

*2 その代わりに片翼を失っても飛び続けていられた。

*3 一説によればわずか10分という説もあるが、劇中描写を見る限りそこまで極端ではなさそうである。

*4 下方の覗き窓そのものは通常のドップにもあるが、操縦装置で塞がれていて意味を成していない。