登録日:2025/04/13 Sun 00:50:20
更新日:2025/05/01 Thu 22:35:16
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…だってそうだろ!? 皆互いに利用し合ってるだけだ!
少しでも都合が悪くなれば切る! 他人なんて、利用するかされるかだ!!
地下で希望を託してくれたE班の皆… 地上で俺助けてくれたコイツら…
どんな財産よりも価値がある…! どんな大金よりもだ!
『カイジ2 人生奪回ゲーム』とは、2011年11月5日に上映された福本伸行氏原作の漫画『カイジ』シリーズを実写化した映画作品である。
監督は前作同様佐藤東弥氏、脚本は原作者である福本伸行氏、山崎淳也氏、大口幸子氏が担当。
【概要】
カイジシリーズ第2弾『
賭博破戒録カイジ』の『地下チンチロ』と『
人喰いパチンコ 沼』のストーリーをベースにした作品となっているが、前作同様ストーリーや登場人物の設定は大幅改変が施されている。この他にも福本氏考案のオリジナルギャンブル『
姫と奴隷』も登場している。
興行収入は16.1億円と前作よりかは若干落ちているものの映画館観客動員数は初登場第2位と本作も非常に好評となった。
なお、原作をベースにした実写版カイジシリーズは本作が最後で次作『カイジ ファイナルゲーム』は完全オリジナルストーリーとなった。
【あらすじ】
帝愛グループとの命がけの戦いを制し、借金を完済し自由の身となった『伊藤カイジ』。
あれから1年もたたず再び借金を抱えて地下帝国に送られてしまった。だが、カイジは班長『大槻太郎』のイカサマを見破り、彼から巻き上げられた多額のペリカを取り戻すことに成功。
カイジは自分と他の班員たちの自由を取り戻すために地上に戻ってきたカイジは、109万5000円を自分と班員の借金2億円にするべく奔走する。
その間にカイジは前作で倒した帝愛最高幹部だった『利根川幸雄』と再会する。彼の紹介でカイジは『人喰いパチンコ 沼』に挑むことに、そこでカイジに待ち構えていたのは……
果たして、カイジは自分と班員の自由を取り戻すことができるのか!?
今、カイジの命をかけた戦いが再び始まる…!!!
【主な登場人物】
◇主要人物
「さぁ吐き出せ!お前が喰ってきた破産者の金、命、魂、希望、絶望、涙!その全て全部吐き出せ!!」
前作に引き続き本作も主人公。
大槻から多額のペリカを取り戻し、それを『2週間分の一日外出券と現金109万5000円』に換金し、自分と班員たちの借金分2億円を手に入れるべく前回対峙した利根川や坂崎と共に『人喰いパチンコ 沼』へと挑む。
あれだけ死ぬ気の思いをしてまたしても借金を背負うなど相変わらずなところもあるが、その一方で自分だけでなく仲間である班員や、嘘によって自身を恨んでいる裕美を何とかして救おうとするなど前作と比べてクズさは薄れ、ヒロイックな一面が強くなっている。
演:香川照之
「いやいやこれが実に大切、人生のあらゆる決断で役に立つ。いいか、1に勇気、2に度胸、3に覚悟だ」
元帝愛最高幹部にして本作のカイジの相棒。
前作にてカイジに敗れて地下送りになったが、優秀さを買われて一条の下で働くことに。だが、当然帝愛に借金を背負った身のため一条やほかの黒服たちからも奴隷扱いされ、ホームレスがたむろする集合住宅で暮らすなど、彼も今となっては人生の負け組と言わざるを得ない。
そこで偶然カイジと再会し、彼に沼のあるカジノを紹介する。その後、自身の4000万円の借金を完済するべくカイジに協力することに。
感情的な一面の強かった前作と比べると、本作は比較的落ち着いた性格となっている。
演:生瀬勝久
「やりおったぁぁ!アハハハハハハハ……えっ、何で3…?」
元ゼネコン現場監督にして本作におけるカイジのもう一人の相棒。
リストラと元々のパチンコ中毒が祟って家族に愛想を尽かされてしまい、現在は廃倉庫を隠れ家として暮らしている。
原作とは違いカジノの紹介は利根川がしているためカイジとはカジノ内で出会った。
家族とよりを戻すためにカイジと協力することに。原作以上に妙なハイテンションで本作における狂言回しとなっており、殺伐とした物語の中の清涼剤のような役割となっている。
なお坂崎の家族も写真ではあるが登場しており、美心は原作ほどではないにせよ迫力のある顔つきとなっている。
三作目『ファイナルゲーム』にも少しだけ登場する。
演:吉高由里子
「いいえ、あの人の指示…私を必ず疑うからって……」
遠藤に代わる本作のヒロインで、前作カイジと共闘した
石田光司の実娘。
前作のラストでカイジからもらった金額では借金は返せず一条の下で働いている。だが、一条の嘘で『父はカイジが見殺しにした』と思い込み、カイジをあの手この手で潰そうと目論む。
だが、どんな状況下でも諦めないカイジの姿を見て、本当に父を殺したのか疑問に思うようになっていき……
「これで負けたら私も地下行き!」
最終盤にて、遂にカイジを信じ一条から離反。あと一歩のところで軍資金が底をつき窮地に陥ったカイジに、裏ATMで作った1000万円のパッキーカードを託した。そして、彼女の協力のおかげでカイジは沼を制覇することに成功したのだった……
◇帝愛グループ
演:伊勢谷友介
「夢じゃない!現実、これがリアル!」
帝愛が経営するカジノ『La Mare Au Diable』の支配人にして本作におけるカイジの宿敵。カイジ同様原作と比べて年上となっている。
自身が制作した巨大モンスターマシーン『沼』を用い、これまで多くの人間を喰ってきた。本作では他にも前作の鉄骨渡りに代わる新ブレイブ・メン・ロード『姫と奴隷』の司会も担当しており、原作以上にマルチな才能を施している。
仲間を救うために戦うカイジのことを偽善者として異常なまでに敵視している。カイジのことをそこまで敵視するのにはある理由があるようだが……
「生き残るために押すのは当たり前!皆そうして他人を押しのけ、席を確保してる。受験、就職、会社に入ってからのポスト争い、なんだってそうじゃないか…! だから勝つために俺も押した!正しいのは俺だ!俺のはず!」
実は一条も過去にカイジ同様親友に騙され借金を背負わされて地下帝国に落ちた身だった。勿論地下に落ちた当初はカイジ同様仲間はいたのだが、彼らと共にブレイブ・メン・ロードで落とし合いや裏切りを目の当たりにしたことで極度の人間不信に陥ってしまったのだった。
様々なイカサマを駆使し、カイジを敗北寸前まで追い込むも裕美の裏切りによって窮地に立たされる。
後がなくなった一条はカイジに「お前だけ救うから他の奴らは切れ」と交渉する(本項目冒頭のやり取りはその時のもの)も当然カイジからは突っぱねられ敗北。最終的に13億と利根川を超える大損害を与えたことで兵藤と黒崎の厳命で地下労働1035年の刑に処された。
その後原作同様カイジから激励を受け、一条もそれに返答し自らの意思で地下へと落ちていった……
演:柿澤勇人
「沈みますかね…?」
帝愛が経営するカジノ『La Mare Au Diable』の副支配人にして一条の側近。
原作同様一条に付き添い、風のバリアの作動など様々なサポートを行っていた。原作では一条の失脚後の動向は不明だったが、本作では一条の連帯責任として彼も地下送りの刑に処され、最後は黒崎の部下に取り押さえられ泣き喚きながら連行されていった。
演:山本太郎
「今回だけは、お前の味方したるわ……」
かつて、希望の船『エスポワール』にてカイジと対峙した男。
地下送りにされるも利根川同様彼も優秀さを買われ、一条の下で働いている。『姫と奴隷』での進行役を担当し、エスポワールの時の罪滅ぼしとしてカイジに正解の番号を教えるも……
大方の予想通り、この手の人間がそう簡単に改心するはずもなく、実際はカイジを嵌めるつもりでいた。だが、利根川の助言を受けたカイジが本当の正解の番号を押したため失敗。彼に対し悪態をつきまくるも、黒服によって連行されていった。
その後、この男がカイジの前に現れることは二度となかった……
演:嶋田久作
「地下から這い出て2週間、心置きなく鳴いてきたまえ…季節外れのセミみたいにな…!」
失脚した利根川に代わり、帝愛の最高幹部になった男。利根川同様原作と比べて若干若く設定されている。
カイジのことを『典型的な野良犬顔』と称し、彼に対しマウントをとるような発言をするなど、帝愛の人間らしい傲慢な一面を見せるが、その一方で内心ではカイジの実力を認めており、一条に対し沼への挑戦をやめるよう説得するなど、意外と慧眼かつ部下思いな一面も見せていた。
だが、三作目『ファイナルゲーム』では……
声:依田英助
「伊藤カイジ…面白い男だったのう」
帝愛グループのトップに君臨する会長。
前作で彼を演じた佐藤慶氏は既に鬼籍に入られているため、本作では後ろ姿のみ登場している。
◇地下帝国の人間
演:松尾スズキ
「悪い癖だ すぐ熱くなって自分を見失う…」
カイジが所属しているE班の班長。
原作同様部下の石和謙介(演:菊田大輔)ともう一人の部下(演:スズキジュンペイ)と共に四五六賽を使ったイカサマで班員からペリカを巻き上げていたが、カイジと三好によってイカサマがバレてしまう。
その際見苦しい言い訳をするもカイジからは「前は見苦しさの天才」と吐き捨てられた。
演:白石隼也
「カイジさんがいなかったら、一生班長の奴隷でした…何もかも、カイジさんのおかげですぜ!」
E班に所属する班員の1人。
原作同様大槻の振った賽の目を半年間メモし続け、大槻のイカサマを見破ることに成功。
出番は冒頭とラストシーンのみだが、前作と比べて出番や活躍は遥かに増えている。
【原作との相違点】
地下チンチロ
- カイジが45組に落とされるシーンや大槻による嫌がらせといったシーンは全てカット
- 賭け金上限無しの青天井の大張りでは、45組だけではなくその場にいる地下債務者が金を出している
- シゴロ賽と判明するシーンは原作だと回っている途中だったが、映画では目が出た後に変更。故にノーカンコールもなし
- ピンゾロ賽の下りも丸々カット。故に支払ったペリカも少なかったのか原作と比べて大槻は取り乱さずに飄々としている
パチンコ『沼』
- 沼のデザインがスチームパンクなデザインに変更
- 原作に存在していた遠隔操作が可能なチューリップは存在しない。そのため坂崎が沼を破壊するシーンや血のマニキュアのシーンは全てカット
- 坂崎が警備会社の金庫から3000万円を抜き取る場面はカット
- ビールのすり替えでは裕美も作戦に参加したが、一条と通じていた事で失敗に終わる
- 原作では遠藤から金を借りる事で沼攻略の軍資金を得ていたが、映画では遠藤が登場しないことから帝愛主催のギャンブル『姫と奴隷』で軍資金を得ている
- 坂崎が追加の資金を用意する場面は、利根川と裕美が裏ATMから1000万ずつ拵えるように変更
- 原作には登場しない本作オリジナルのギャンブル
- 一条が『新ブレイブ・メン・ロード』と発言していたことから、鉄骨渡りに代わる新たな地下からの脱出方法となっていると思われる
詳細は個別項目にて。
利根川や坂崎、そして裕美の協力もあってカイジは見事沼を攻略し、13億6429万円を手に入れることに成功。
そしてその賞金を4人で分け合い、各々の借金を返済した。その金額は以下の通り…
カイジ…1億3957万円(E班25人の借金返済に使用した2億円を差し引いた後の金額)
利根川…2億9014万円(4000万円の負債を差し引いた後の金額)
坂崎…3億4074万円
裕美…3億297万円(父が残した負債を差し引いた後の金額と思われる)
こうして4人の負け組たちは人生をやり直せることになったのだった……
カイジは裕美に礼を述べるも彼女は最後までカイジに対し冷たい態度を取る。
だがカイジと別れた後、裕美はポケットから1枚の紙を取り出した。
それは、彼女の父がカイジに託したあの1000万円のチケットだった。
「お父さんの気持ち、やっと届いたよ… ありがとう…カイジ。」
そう彼女は笑顔でカイジに礼を述べ、去っていった……
その頃坂崎の隠れ家では……
利根川が突如カイジに『Eカード』の再戦を申し込んできた。そして彼に言われるがまま、彼の車に乗り人気のない夜の野原に連れてこられたカイジ。
だが、利根川がイカサマしようとした際のアクシデントで車が大爆発!
2人は間一髪脱出するも、トランクの中にあった2人の分の金はすべて燃えてしまった……
E班の借金分の2億は事前に帝愛に渡していたため何とか事なきを得たが、祝杯するための金がなくなり愕然とするカイジ。
その様子を見かねた利根川は、序盤でカイジから騙し取った5万円を返してあげた。
カイジは利根川に感謝しながら三好達のもとへ向かい、彼らと共に焼き肉屋で祝杯を挙げた。
祝杯を終え、店を出てきたカイジ達。
すると店の近くに一台の黒い高級車が。中に乗っていたのはなんときれいなスーツを身に着けた利根川!そして助手席には燃えたはずの自分とカイジの取り分が!
実はあの時トランクに積んだ金は偽札で、本物は別のところに隠していたのだった。
やはりこの男は最後まで抜け目のない男であった……
だが、それでも利根川はどこか虚しそうな表情で呟く。
「いいよな……お前には、仲間がいるんだから…」
大金は手にしても孤独で寂しい利根川、金はなくなっても仲間たちから称えられて嬉しいカイジ。今のこの2人はまさに対極の存在であった。
「なっ……クァイジ!」
そう言い利根川は憎たらしい顔でカイジを睨みつけるのだった…
その頃、E班の仲間たちと別れたカイジ。結局カイジの手元に残ったのは祝杯でのお釣りの数百円程度…
だがそれでも、今度こそ自由を取り戻した喜びをかみしめながら、彼はいずこかへと立ち去ってゆくのだった……
追記・修正は、沼で大当たりを出した人にお願いします。
- 建て主です、項目名を間違えて作成いたしました。変更致します。 -- 名無しさん (2025-04-13 00:58:16)
- 『 カイジ』から『 カイジ2 人生奪回ゲーム』に変更いたしました。 -- 名無しさん (2025-04-13 01:00:36)
- 「見苦しさの天才」ってことは、原作における社長(村岡)の役割も班長が担ってるってことかな?実写カイジは第一作しか見てなかったけどこれを機に見てみるか -- 名無しさん (2025-04-13 08:27:22)
- 石田の娘の最後のセリフの白々しさが凄い。 -- 名無しさん (2025-04-13 15:17:46)
最終更新:2025年05月01日 22:35