黒崎義裕

登録日:2019/12/16 Mon 00:25:45
更新日:2024/02/21 Wed 23:12:08
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積み重ねてきた論理(ロジック)……『理』は……………私が見る限りカイジくんにある………!


黒崎義裕とは漫画『賭博破戒録カイジ』の登場人物。
CV:堀内賢雄(アニメ版)/宮内敦士(中間管理録トネガワ)
演:嶋田久作(2)→吉田鋼太郎(ファイナルゲーム)

●目次

概要

『賭博破戒録』から登場した帝愛グループの最高幹部の一人。
帝愛グループのNo.2候補の一人であり、同格の利根川幸雄の失脚によってその地位を確固たる物にした。後に帝愛のGMに。
会長の兵藤和尊からも信頼を得ており、帝愛グループ出身者初の『地下王国』入りを決めた人物でもある。
そのためか利根川とは違った異様さや存在感を見せつけている。

人物

黒髪で大きな鼻が特徴的な男。推定年齢50代。輪郭は丸め。

口調は大らかで強い言葉は用いず(遠藤や黒服相手には一人称を「俺」に変えて、砕けた口調に変わった)、兵藤や利根川よりは接しやすい雰囲気。
しかしカイジを「野良犬」呼ばわりするなど、他の帝愛関係者同様に底辺を見下している傲慢な一面がある。

一方で他者を立場に関係なく評価する性格であり、警戒心も強い。
カイジの力量を高く評価しただけでなく、同様に底辺者である大槻の能力自体も高く評価しながら冷静に分析をしていた。
一見弱点にしか見えないカイジの甘さですら、賭け事においての長所としても見ている。
同じ幹部だった利根川はカイジに「クズやゴミを相手に負けると思わない」「優秀故に奢る」と評されていたが、そのような人物とは対極にいるタイプ。

立場の強い人間に贔屓をせずに場の判断を行い、特例としてカイジにチャンスを与えるなど人間的な器も大きい。カイジからは「大将」と呼ばれた。
また利根川派閥かつ帝愛と遺恨のある遠藤を24億奪取班のリーダーとしてスカウトするなど、過去も気にしない。

そもそもあらゆる媒体で利根川に対して黒崎が特に悪感情を有している描写などは無く、
むしろ同格の立場としてそれなりに好印象を持っている節がある。当の利根川からはスピンオフではその妙に落ち着いた言動をたびたび不気味がられていたり苦手意識を持たれているのだが。
後々の心情を見るに実のところ地位より苦楽を共にする会長の相手役が減った負担の方が大きいため、利根川の失脚そのものが彼にとっても相当な損でしかなかったりする。

カイジとの勝負に出る一条の様子を確認するなど、部下に対して気を使っている部分もある。
24億奪還の末に精神を病んだ遠藤に対し、黒服と共にバーベキューを開催してリフレッシュを試みた。
黒服ともアットホームな雰囲気で接し、彼らからは「上司の鏡」とまで評されている。黒服にとっては兵藤や利根川の傍にいるよりも遥かに「やりやすい」「安心できる」人物であるのは間違いない。

遠藤が言うには「人たらし」としての才能を持ち、人心操縦術や懐柔力に優れている。
皆が恐れる会長にすら平然と暴漢一歩手前の勢いで後ろから抱き着くなど、肝も相当据わっている。
その天真爛漫な雰囲気は兵藤の心を掴み、黒崎は彼から寵愛を受けているようだ(多少の制裁は受けているようだが)。

このようにサディストで屁理屈屋な兵藤や利根川と比べると、温厚で対話しやすい人物として描かれている。
一方で温厚な人物が極悪非道の帝愛でNo.2にいるという不自然さに加え、誤解を招く言いまわしを態々行う性格から、遠藤には「サディスト」と評された。
出番の少なさも原因ではあるが、「何を考えているのか分からない怖さ」を備えた人物と言える。

ギャンブルの力量については描かれていないが、大槻の地下チンチロリンのシステムの欠点と大槻の詰めの甘さを詳細に説明していた。
No.2候補という立場を考えても、利根川と同格かそれ以上のレベルで勝負師としての能力は持っていると考えられる。
カイジの24億入手後の逃亡に関しても、帝愛全体で無謀にも取り返そうと必死になる最中、雲隠れした人物を捕まえる事がかなり困難な話だと冷静に分析していた。


作中での活躍

賭博破戒録1話目(第三章「欲望の沼」)から早速登場。「帝愛グループ創立40周年記念パーティ」にて姿を見せる。
帝愛地下王国の特A居住権の二人目の授与者として選ばれ、兵藤から「我が右腕」と紹介される。
パーティに参加していた遠藤の内心描写によって、利根川の失脚によってナンバー2の立場を完全に物にした事が語られる。

地下チンチロ編の終盤にて、カイジと大槻の勝負中のチンチロの現場に地下の視察に現れる。
カイジのピンゾロサイコロ使用を肯定し、大槻に対して地下チンチロのシステムの批評を行った。
最終的には大槻の迂闊さを指摘し、普通の賽なら216分の1の確率で引き分けに持ち込めるという地獄のようなアドバイスをする。
チンチロ終了後は地下の士気も考慮してカイジの外出を特例として認めるが、カイジに嫌味を吐いて地下から去っていった。

沼編では一条を見込んでいる上司としての立場が描かれている。
一条に対しては電話で忠告と叱咤激励(半分脅しが入っているが)の言葉を送った。

ここからしばらく登場していなかったが、『24億脱出編』で帝愛のGMとして久々に再登場。
24億円を持ち歩いているカイジの発見に向けて、かつて帝愛に痛手を負わせた遠藤勇次と和解して抜擢する。
しかし、逃亡したカイジの捜索に苦戦して精神的に追い詰められた遠藤の噂を聞き、彼をリフレッシュを兼ねたキャンプに誘った。
黒崎本人としては「カイジ達の発見は難しい」と思っていたので遠藤を気遣い、気負いすぎないように諌めた。
ところが、遠藤の思い込みや意外すぎる黒崎の内心がすれ違い、遠藤からは自身を狙う同性愛者として認識される事になる。
その後は寸前でカイジを取り逃す大失態を犯した遠藤を兵藤の命で直々に対面させるために連れていくことになり、遠藤にアドバイスや兵藤の人間性の分析などを語った。

スピンオフでの活躍

中間管理録トネガワ

利根川が主人公の本作では、ライバルポジションとして描かれている。だが、本作での黒崎には多分、というか絶対その自覚はない。
利根川曰く「会長が怒るか怒らないかのギリギリのラインを見極められる」という能力を持っており、利根川と違って兵藤の地雷を踏むミスをしない。
まさやんなどには穏やかな態度ながらも強い口調で迫って恐怖心を抱かせるなど、微妙にサイコな普段の彼からは考えられない雰囲気を出しているものの、
これは帝愛の重役として舐められたら商売あがったりなので通常営業といったところだろう。

黒服達や利根川のSNSの裏アカウントやブログを特定してその人の本音や私生活状況を見てにやつくという、ネットストーカー染みた趣味も持っている(本作はギャグ番外編らしく、カイジ本編の年代を無視してSNSや高性能ロボットなどが登場している)。
(加えて幹部会議ではそれを堂々とひけらかしており、利根川にはドン引きされた)


詳細はリンク先を参照。

1日外出録ハンチョウ

第37話に登場。沼川が地下で作った糠漬けを不用心に口にした挙句、味を評価して無断で持って帰った。
本作での黒崎はトネガワのキャラ描写がベースとなっていると見られるが、原作やトネガワよりも傍若無人かつ自由な人物。
なお、本作では大槻とは対面しておらず、原作と矛盾が起きないように配慮されている。

上京生活録イチジョウ

まだジョイクルーでのバイト生活をしていた一条と村上が訪れた帝愛グループの説明会で司会を担当していた。
しかし説明会が終わると人気の無い場所で、事業内容が違法なギャンブルではないのかと一条が追及してきたが黒崎は意に介さず、彼のプライドと承認欲求を刺激するなどして帝愛への入社を強く促した。
一見柔和なようでどこか冷酷さを感じさせる黒崎の雰囲気、黒服を馬扱いする兵藤会長など帝愛の異様さは一条も理解していた。
しかし、黒崎の話術により「成功するためには自分の優秀さを理解してくれる組織=帝愛に属するしかない」と思い込まされ、ジョイクルーの正社員登用を蹴ってまで帝愛入りを決めてしまう。
言うなれば一条の運命を狂わせた張本人であった。

実写映画版

二作目から登場。実写版利根川と同様に原作よりも多少若返っており、口髭が追加された。
原作では地下でカイジと対面したが、実写版ではカイジの地下脱出後に対面している。
実写映画版では利根川も沼攻略に参加しているため、その影響で黒崎が沼に勝った人物の一人となっている。

三作目でも登場するが演者が変更されており、原作以上に底辺を見下した性格となっている。(更に小説版では後述する最後の審判と勝ち逃げによって増えた資産で兵藤亡き後の帝愛の支配を目論んだりと野心も強くなっている)
東京オリンピック終了後の氷河期と言ってもいい不景気の中、兵藤に直訴して派遣会社「良善興業」を設立し、そこの社長となっている。
不景気に金のない人に職を提供すると綺麗ごとを語っているが、実質は給料を7割もピンハネするという悪質極まりない行為をしている。
また今作に出てくるギャンブルの1つ「ドリームジャンプ」を考案し、それを帝愛ランドで開催している。

不景気で莫大に大きくなった国の借金を返済すべく今作のもう1人の敵・高倉浩介が仕掛けようとしている「預金封鎖」に勝ち逃げしようとしており、それを阻止しようとしている不動産王の東郷滋と、彼に協力する事になった桐野加奈子とカイジを破滅させるべく、帝愛ランドでもっとも過酷なギャンブル「最後の審判」で対決することとなる。

最初の『Friend』の支援の場面では自分の会社の派遣社員にクビを脅しに借金をさせる形で金を持ってこさせ、東郷側の支援者の持って来た品を鑑定システムで鑑定できないようにさせた上に、最大の支援者を粉飾決算を脅しに自分側の陣営に付かせるなどしてに有利に立つ。

2番目の『Fixer』も帝愛の権限を利用し、東郷側の銀行の支援金を少なくさせるなどの妨害を行った。

3番目の『Family』では勝負の3日前に結婚した妻に110億円の小切手を持ってこさせ、東郷側の支援者である東郷の弟が持って来た土地の権利書も、高倉を利用し土地の値段を大暴落させた。
またここで自分に協力していた人物が東郷の秘書であり、かつて愛人との間に出来た息子である廣瀬湊である事を明かし、彼が持って来た幻の名画を自分に支援させる。
この時は完全に自分が勝ったと思い込み、東郷に対し自分の悪行を棚に上げ「自分の息子に足元を掬われた自業自得者」ととことん煽った。
しかしカイジからその絵が東郷自身が書いたまったく1円の価値もない絵だと明かされ、絵を飾っていた額縁の値である金貨1枚だけが出てくると、廣瀬も「役立たずの用済み」と言い切り捨てる。

そして最後ステージの『Fan』の場面では圧倒的に自分が有利だったのを見て、観客達に1枚30万もする金貨を入れさせ、自分の取り分が少なくなりそうになったら止めさせた。
またカイジがギャンブルで資金を増やそうとする事も計算に入れており、帝愛ランド内のギャンブルをほとんど終了させ、自身の考えた「ドリームジャンプ」でカイジを殺そうと考え、予定通りに「ドリームジャンプ」へカイジが向かったと聞き、完全に勝利を確信した。

しかしカイジがVIPフロアで遠藤と再会した事により、状況が一変する。

遠藤の助言により「ドリームジャンプ」の攻略法を知ったカイジが桐野・廣瀬と協力し、「ドリームジャンプ」を攻略してしまい100億という資金を作られてしまう。
ゲーム終了と同時に帰って来たカイジを殺し損ねた事を悔しがりながらも「勝った」と余裕の発言をするが、カイジに「最後の審判」の会場にある大時計が5分早く進められており、まだゲーム終了まで5分ある事を明かされる。
それでも今は浮動票の時間なので、手に入れた100億はカイジには投票権はないので自分の勝ちだと言い張るが、「バベルの塔」の参加者で手を組んだ菅原達が金塊を秤に入れる為に改良をしたドローンを持ち込まれた事で逆転され始める。さらに観客の方もカイジの応援に来た坂崎の応援により、ほとんどが東郷側に持っている金貨を全て投げ込んだ。

そして最後の開示の場面。東郷が倒れてしまい病院に運ばれたので、代わりに秤に乗るのがカイジになり勝負。
最初の結果では少し差を出しカイジに勝利する・・・・・が、時計の針が17時16分になった瞬間、針の上に乗っていた数十枚の金貨がカイジ側の秤に乗り、勝負続行となる。


黒崎語録


「ククク……なるほど野良犬だ…!典型的な野良犬……しかし……・この地下に墜ちても……どうやらまだ抜けてない…牙は……・!」

「積み重ねてきた論理(ロジック)……『理』は……………私が見る限りカイジくんにある………!」

「他人にはするが…自分がされた時は御免被る…通らないだろう、いくらなんでもそれは…!」

「まず…この四五六賽の発想が素晴らしい…!そして親がどんな目でも子が振れるという…このエセ平等 博愛的ごまかしが秀逸…!」

「人間というものはついもう一度もう一度…と欲をかくもの まして…振れば大方勝つそんな賽を手にしたら尚更だ…!しかし…同時にそれは疑惑を生む…!」

「欲をかくのも程々にしなくてはならない…!この親2回制はその欲…言うなら勝つ権利のようなものに自ら枷をつけた点が素晴らしい…!人間…なかなかこれができなくてな…!」

「考えねばならない…システムを作る者は自らのシステムの隙…アキレス腱について…!そして…備えねばならない…!不測の事態に…!」

「おまえは迂闊にもそれを怠ったんだ……!となれば当然その報いは受けねばなるまい……!」

「いやいやそうとは限らんぞ大槻くん 確かにこの勝負…シゴロ賽を使えば100%負ける勝負だが…普通の賽を使えば引き分けの目は出てくる…!216分の1ほど……!」

「それができなかったからお前らは今ここにいるんじゃないのか……?」

「まあ…確かに彼はある部分甘い……というか……非情になりきれないところがあって………一見手ぬるく感じるんだが…どっこいそれだけじゃない……!ある意味じゃ……カイジくんは君をはるかに凌駕する……!」


「いや塩っ辛いでしょ…!」

「このステーキ…ちょっと…固過ぎ…!嚙み切れない…!」

「逆じゃないですか…?ユキオーとカズタカイザー……?」

「山崎くん…だったかな?言うことを聞かなくなったら…ワシに1回預けるといい…!叩きこんであげるから…!影武者としてのマナーを…!待ってるよ!」

「クク…やっぱり深いこと言うなぁ~!利根川さんは!」

「あ…でも…チーズケーキだけ少し残しといてください。私も食べたいので…」




おまえは迂闊にもそれ(追記・修正)を怠ったんだ……!となれば当然その報い(規制)は受けねばなるまい……!

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最終更新:2024年02月21日 23:12

*1 中間管理録トネガワアニメ版24話でそれらしき描写が描かれている

*2 『中間管理録トネガワ』で語られた帝愛幹部のスケジュールを本編に反映して考えてみると、家庭を保てているだけでも相当な凄腕なのだが…。生活自体は金銭的に恵まれている雰囲気なのでその影響も大きいのか。

*3 尤も、普通に考えて兵藤には有望な長男・和貴がいるので、黒崎が単純に兵藤死後の帝愛のトップに順調になれるとは考えにくい。そう考えると、一条には黒崎の実際の人物像に気が付かずにピエロとなっていた以前に別の意味で色々と問題があるだろう。和貴自体が賭博破戒録時点では存在しなかった人物なので、一条も後付けの被害者と言えばそれまでなのだが…。

*4 実質黒崎は自身の腕時計を勝負開始前の換金に出していた