利根川幸雄

登録日:2019/11/24 Sun 18:26:34
更新日:2025/08/12 Tue 22:21:42
所要時間:約 7 分…!


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エリート カイジ カイジ 人生逆転ゲーム カイジ2 人生奪回ゲーム サラリーマン スピンオフ主役 トネガワ パワハラ被害者 上司に恵まれなかった人 中間管理職 中間管理録トネガワ 優秀 先生 利根川先生 利根川幸雄 勝利至上主義 原作で土下座する方の香川照之 名言の宝庫 名言製造機 名高達男 土下座 実写で土下座しない方の香川照之 小林清志 帝愛グループ 幹部 意外と厚い部下の信頼 憎めない悪役 憎めない悪役←スピンオフ 所詮は詭弁 森山栄治 森川智之 演説 焼き土下座 理想の上司 白竜 竹内良太 苦労人 言ってる事は正論 賭博黙示録カイジ 重役 金は命より重い 銀河万丈 香川照之 馬主



Fuck you… ぶち殺すぞ……… ゴミめら……!


利根(とね)(がわ) (ゆき)()とは『賭博黙示録カイジ』の登場人物。
CV:白竜(アニメ版)/小林清志(パチスロ版)/森川智之(中間管理録トネガワ)/竹内良太(三国志大戦コラボ)
演:香川照之

概要

帝愛グループの最高幹部の一人。
非常に優秀な人物であり、帝愛グループ会長の兵藤和尊から信用を置かれている。が…(詳しくは後述)
一時期は帝愛グループのNo.2候補と言われていた*1
『賭博黙示録』のほぼ全編にわたりカイジの大敵となった。

後述する演説シーンや印象に残る台詞の多さから、ファンからの愛称は『利根川先生』
……だが、実はこれ『賭博黙示録』作中でも部下の黒服からそう呼ばれているシーンがある
スピンオフ作品『中間管理録トネガワ』では直属部下の黒服だけに限らず、地方の支社長など自分より下の幹部からも同じように呼ばれていることが判明。
つまり利根川への敬称に「先生」を使うのは公式設定で、何もおかしいことではないのである。

人物

白髪交じりの角刈りで眼光が鋭い男。推定50代。輪郭はカクカクしている。
限定ジャンケンの時と鉄骨渡りの時とで顔つきが明らかに違っているのはツッコんではいけない。

プライドの高い厳格な人物で、人生の勝負事から逃げ続けてきた債務者のことを見下している。
命がけのゲームを強いられて怒る債務者に対し真意を突いた言葉で叱咤してゲームに参加させていた。
債務者を人間とは思っておらず、たとえゲームで債務者が命を落としたとしても心を痛める様子を全く見せようとしない冷酷さを持つ。むしろ楽しんでいる節すら見られる。
徹底的な合理主義者でもあり、ゲーム参加者から「ゲームに負けたらいったいどうなるのか」と質問されても「勝ったらいいなじゃない 勝たなきゃダメなんだ」とだけ答えていた。
これは自分に対してでも同じで、一度大見得を切ってしまった場合は無謀な挑戦でも、絶対に勝とうとするという根性やどんなに辛い現実に対しても己を貫く心の強さも見せている。

一方で利根川の一部の描写などから察するに、ゲーム参加者に語った主張は己の主義を完全にぶつけているというよりは、強い言葉を使って扇動しているだけという側面も大きいと見られる。
現にカイジは債務者に対する利根川の演説を聞いても、一定の理論は認めながらも暴論として冷めた目で見ており、「利根川に感化される者は当の利根川が語る大人の都合にのせられているバカ(意訳)」とまで評していた。
鉄骨渡りの「金は命より重い」は「世の中の真実」として現実にも取り上げられることもあるが、よく聞けば「金のために命をかけるのが当たり前、人生は金を貯めるためだけのもの」という暴論であり、なおかつ金を一方的に搾取する立場の人間が平然と言っているため説得力はないに等しい*2

本人の内心では『他人にも自分にも厳しすぎる性格』らしい。
他人にも非常に理不尽な事を押し付けるが、自分にも同じように押し付け、上の命令なら絶対服従。
プライベートを潰そうが、私情を押し殺そうが必ず通すタイプ。ただし一度だけ過労で限界を超えてしまい、会社を無断欠勤してしまった事がある。
また、冷酷冷徹ではあるが、遠藤曰く「合理的なので不毛な制裁はしない」らしい。
利根川を冷徹人間のように評していた遠藤だが、利根川の失脚後も「さん」付けで呼び、度々若き日に利根川と過ごした時期のことを回想として思い出しているので、スピンオフの存在を考慮せずに本編の描写だけを見ても慕う人間はいたようだ。
推測にはなるが、制裁と言う名目の拷問や嫌がらせが社風として根付いている帝愛において、冷酷と言っても不毛な制裁はしないだけ部下的には比較的マシな部類の上司だった可能性はある。

長年に渡り成功し続けてきた人物で、ギャンブルなど勝負事に関しても百戦錬磨の腕前を持つ。
話術に長けており、ギャンブル船エスポワール号で行なわれた「限定ジャンケン」の際には社会の本質を突きつつ主催者側の都合を通す見事な演説を披露している。
カイジとの直接対決でも得意の話術で相手を翻弄し極限まで追い詰めていた。
またスピンオフではボーリングやピアノ演奏も得意であると判明しており、かなりの多才である。
利根川を激しく憎んでいるカイジにすらも「俺が出会った大人たちの中じゃ文句なくナンバー1の切れる男」とまで評価されている。

一方で自身が優秀で勝ち続けてきたことによる底辺を見下す傲慢さが勝負においては弱点となっており、カイジにはそこを突かれる形で敗北した。
Eカードにおけるカイジの捨て身の作戦に関しても「驕る利根川のミスにも支えられた」とまでナレーションで明言されてしまっている。

原作では一人称が「俺」であることもあったが、アニメ版カイジや「トネガワ」ではほぼ「ワシ」で統一されている。

作中での活躍

第一章「希望の船」では、ギャンブル船エスポワール号のホールマスターとして登場。
限定ジャンケン」のルールを説明した後、騒ぎ立てる負債者たちを本項目冒頭の一言で一喝。
その後は巧みな話術で負債者たちを叱咤し命懸けのギャンブルへの参加を誘った。

第二章「絶望の城」では、人間競馬の元締めとして登場。
「電流鉄骨渡り」をクリアしたカイジと直接対決することとなり、「Eカード」というカードゲーム勝負を行うことになる。
この際にも得意の話術でカイジを翻弄。しかもカイジの耳に取り付けられたリモコン操作で針が進む装置には脈を図る機能が搭載されており*3、それを使って心を読みカイジの出すカードを予測するというイカサマを仕掛けていた。
圧倒的に優位な立場でカイジを追いつめていくが、勝負の途中でカイジにイカサマを見破られ、「自分の耳を装置ごと切り落とす」という荒業で回避され敗北。
次の勝負では利根川の優秀さを逆手に取ったカイジの作戦により、カードをすり替えたと勘違いしてしまった結果再び敗北してしまう。

勝ち星の数こそカイジを上回っていたものの、失態によりカイジに2000万円を持っていかれたので兵藤の怒りを買い、「平常時の仕事は無難にこなしても緊急時にはクソの役にも立たぬ」「とても人の上に立つ器ではない」「しょせんお前は指示待ち人間」と酷評されて信用を完全に失う事となる。

だが実は、カイジがイカサマを見破るきっかけとなったのは「たった1度だけ読み間違えて負けた利根川に対し、兵藤がちょっと異常なぐらいに叱責したこと」だった。その後利根川がカイジの策に嵌まったのも激怒する兵藤に気をとられてたからであり、ある意味では兵藤の態度と言葉こそが利根川を破滅に導いてしまった、という見方もできる。まあ、兵藤はそんなことを気にも留めていないだろうが…。
またこの際、確かにイカサマをしておきながら敗北をしたという失態を犯したとはいえ、かなり手ひどい罵倒を長々と、ネチネチと浴びせていることから、
兵藤は利根川のことを本心からは気に入っていなかったことが伺える*4
兵藤からしてみれば、「どこか賢い態度を貫いている、しかしミスをせず、何を考えているかわからぬいけ好かない部下」と思い込んでいた部分が少なからずあるのだろう。


その後は当初のカイジとの約束通り謝罪をするために、焼けた鉄板の上で10秒間土下座をするという「焼き土下座」に掛けられる。
土下座中は10秒間焼けた鉄板にをしっかりと付けていなければならず、土下座している時間が10秒に満たない場合は身体が焦げようが何度もやり直しをしなければならない。
しかし利根川はこれを人の力を借りずに初めから終わりまで自力で12秒もやり遂げる。
だがダメージはかなり大きく、重度のやけどによってしばらくは動けない状態となってしまったため、黒服たちの肩を借りながらやっと立ち上がり部屋から退出していった。
ちなみにこの「焼き土下座」を自力でやり遂げた人物は現時点では利根川のみとなっている。

これ以降は作中には直接的には登場していないが、写真や回想で何度か登場している。
カイジの脳裏には兵藤と共に悪魔的な猛者、または地獄の中で意地を貫き通した気高き人間として焼き付けられている。

『賭博破戒録』の第1巻の『カイジの軌跡』において、焼き土下座後に廃人化したと記述されている。
火傷の後遺症が大きいであろうことは間違いなく、格下のカイジへの敗北や権力からの失脚などで精神的にもおかしくなったのかもしれない。


実写映画版

俺に触れるな!!自分で行く…!

原作よりも10歳ほど若返っているが、主な活躍は原作とはさほど変わっていない。
「Eカード」でカイジに敗北し5億円の損害を出したことで地下帝国に送られる。まぁ焼き土下座を実写で再現するのはあらゆる意味で不可能なので仕方ない

覚悟だ…覚悟を決めてさっさとボタンを押してしまえ

前作での敗北によって全てを失い、それでもなお4000万円の負債が残っていたことが判明。その頭脳を買われ地上労働に配置転換され、一条の下で働くようになっていた。
ホームレス同然の生活を送っており、たまたま再会したカイジに人食いパチンコ「沼」のあるカジノの事を教える。
姫と奴隷でカイジにヒントを与えて助けた後は原作の遠藤に代わってカイジと手を組んで「沼」の攻略に挑む。大金を手にした後はカイジにEカードの再勝負を挑むふりをして騙し、カイジの取り分を全て奪うことに成功。カイジにその事を最後まで悟らせぬまま、仲間達との祝勝金5万を渡し、のうのうと逃げ延びる。
だが、カイジが金はなくても仲間と楽しくいたのに大金はあっても一人の利根川のその姿はどこか寂しげに見え、最後は利根川自身も彼をどこか羨む様子を見せた。

三作目『ファイナルゲーム』には登場せず。


中間管理録トネガワ

主人公。カイジと出会う以前の利根川を描いている。(パラレルワールド説もある。)

本編の裏社会の大物然とした雰囲気は残しつつ、中間管理職としての苦悩がコミカルに描かれており、日々兵藤と部下の間に挟まれながら苦労している利根川の様子を見ることができる。
癖の強い部下の扱いに悩むこともあるが基本部下のことは大切に思っており、失態でクビになった元部下の事も気にかけるなど面倒見の良い一面を見せてくれる。*5
また、南波照間支社へ異動となった部下に厳しい言葉を浴びせる一方まるで知っているかのようにそこでの過ごし方を気遣い、更に見せた胸元の傷痕から、自身も同支社へ異動後戻ってきた経歴があると思われる。
保養施設「億兆荘」でたまたま見つけた後に自分が焼かれる事になる焼き土下座装置をバーベキュー用の鉄板、十字架のような形をした付属品の土下座強制機をトング掛けだと勘違いして使う天然なところも。
本当の用途を知った時はどんな反応をしたのだろう?

上記の通り上司としてはまさに理想の存在ではあるが何かと不運や不遇な扱いを受ける事が多く、会長に振り回されるだけならまだしも、果てには部下の黒服に追い込まれて便所飯をさせられる等、仮にも初期のボスキャラだったとは思えない様な酷い目に遭い続けてる。
原作での会長からの評価通り、重大な局面では決断出来なかったり選択ミスを犯してしまう事も…。

大企業の役員であるがゆえ相当な収入*6があると思われるが、本作では兵藤と異なって食事の好みは意外と庶民的と描写されている。
コンビニ弁当やパックのたこ焼きを食べたり、昼食では蕎麦や定食で済ませる事もある。PRマンガとはいえカップ焼きそばで済まそうとしたことも*7
トンカツ・生姜焼き・焼肉などの肉類全般が大好物。そのせいか健康診断の結果はあまり良くないとの事。
お気に入りのお店はかつ丼屋の『かつ澤』。最初は勘違いからひどい目にあったが、その後も常連を名乗るほど通っているらしい。なお、かつ澤は高級店ではなく一般のサラリーマンや大学生も利用する普通の店である。

詳細は『中間管理録トネガワ』の項目を参照。


三国志大戦

セガのアーケードゲーム「三国志大戦」にて、カイジシリーズとの理外のコラボを果たし、利根川も武将として参戦した。
ちなみにCVは竹内良太氏。


このゲームとのコラボは大体ネタ元が何らかの武将として落とし込まれて参戦するのだが、利根川の演じた役はなんと「荀彧」。
会長である兵藤が曹操として参戦しているため、その軍師として戦った経歴から荀彧役にされたものと思われる。その活躍ぶりは「王佐の才」と呼ばれ、曹操に大いに重用されたという。
ちなみに荀彧の最期については諸説あるものの、曹操が帝位につくことを反対していたために病床の折、曹操から見舞品として中身が空の箱を送られて自分が用済みになったことを悟り、失意のうちに病死したとも自害したともいわれる。
ある意味本編では兵藤に使い捨てられたと言っても過言ではない利根川と妙にマッチしているための配役だろう。

性能は2コスト馬で伏兵持ちの武力6知力8征圧2騎馬と、カイジのいう「優秀」ではないが号令持ちとしては及第点レベルに落ち着いている。
計略は「中間管理の号令」という味方全体バフを持たされ、上も下も立てるために奔走する中間管理職らしいカードとして仕上がった。
もっとも、上役の兵藤とはお互いの武力が低すぎて同居することは滅多にないが…

利根川語録


「勝ちもせず生きようとすることがそもそも論外なのだ!」

「泣き言で人生が開けるか…! 語ってどうする…? いくら語っても状況は何も変わらない…!」

「大人は質問に答えたりしない それが基本だ」

「野茂はウスノロ 羽生は根暗 イチローはいけすかないマイペース野郎」*8

「よく戦ったからじゃない…彼らは勝った、ゆえに今、そのすべて…人格まで肯定されている…!」

「おまえは100%成功しないタイプ…!」

「金は命より重い…! そこの認識をごまかす輩は生涯地を這う…!」

「居丈高になるのは決定してから…過程においては徹頭徹尾、頭を垂れ、服従を装った方が利口…こんなことは…世渡りの基本も基本…大原則だっ…」

「一生迷ってろ…! そして失い続けるんだ…貴重な機会(チャンス)をっ!」

「やつらの精神はまるで病人…どんな事態にいたろうと…真剣になれぬという病だ…」

「ギブアップ…? 真剣勝負にそんなものあるか…プロレスじゃあるまいし…バカどもがっ…」

「世間はお前らの母親ではないっ…! おまえらクズの決心をいつまでも待ったりはせん」

「しょせんおまえは羊なのだ……狼のふりをするな…!」

「なめてなどいない…熟知しているだけだ…人間の無力について…!」

「ギャンブルこそ…国籍・年齢・貧富の差・性別…そういうあらゆる垣根をあっさり乗り越え語り合える…共通の言語なのだっ…」

「退くべきところは退くが(つわもの)だ…!」

「その定石という地点が最も浅はかなのだ…ギャンブルではっ…」

「週末のゴルフが…パァ…!」

「つくかっ……! 区別っ…!」

「いい加減にしろ…!!お前ら…!!」「どいつもこいつも紛らわしい………!!」「改名しろ…!!ワシの覚えやすい名前にっ………!!」「名前だけじゃない……!!趣味もっ……!!」「口を揃えてボウリングボウリングって………お前ら…高校生か…!!」「言っとくが…ガーター…!!お前らの名前は全て………ガーター…!!スコア0…!!」「一人もいないのか………!?ストライク………!!ワシの記憶………!脳みそに…ストライクゥゥ~!!」

「判別不可っ……! マトリックス……!」「観とけっ…! マトリックスぐらいっ…!」「修学旅行の飲酒がばれた野球部か…!」

「舐めるなっ! 持ってこい!大盛り……!」

「あまり舐めるな……! 世間(かつ澤)を……!」 「つべこべ言わず…食い切ってみろ…! 男なら一人で……大盛りぐらい……!」














追記・修正しなきゃゴミだ!!

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最終更新:2025年08月12日 22:21

*1 アニメ版『中間管理録トネガワ』ではナレーションで「利根川が帝愛グループNo.2」だと強調されていたが、実際は『賭博破戒録カイジ』で黒崎が王国入りするまでは明確なNo.2は決まっていなかった。

*2 そもそも、利根川は鉄骨渡りを「集団自殺ショー」「安心という愉悦は金にも変えられない」とせせら笑っており、約束を平気で反故にするなどハナから賞金を渡す気はなかった

*3 利根川の腕時計にはカイジの脈拍を表示するメーターが付いていた。

*4 もっとも兵藤は「自分と家族以外の人間など愛することはあり得ない」ほどの極端な性格であるが。

*5 同窓会での同級生たちの利根川に対する接し方を見るに、少なくとも帝愛に入る前の学生時代から面倒見の良い苦労人気質だったことが分かる

*6 馬主らしき描写があるので、何年か続けて年収が1700万円以上になっているハズ

*7 忙しすぎて食事の時間もまともに取れないという理由もあるかもしれないが。

*8 本人達に失礼過ぎるので、アニメ版では当然カットされた。『中間管理録トネガワ』のアニメ版では原作通りの演説を行うが、注釈が追加され、第二回限定ジャンケンでイチローファンの参加者を怒らせてしまい、おまけに羽生ファンも居たので代役を務めた部下の山崎が八方塞がりの状況に陥った。こうなる事を想定しろよ……

*9 明示されたわけではなく「アレから数年後」と原作を見ていない人間には何かしらの失態を犯したと分かる形で。原作を見ている人間にはカイジに負けた後と分かる形で仄めかされている。

*10 どうやら数年の間に、帝愛は劇中と比べてもかなり健全化したようである。