狂い咲きサンダーロード

登録日:2025/04/17 Thu 20:41:14
更新日:2025/04/22 Tue 23:47:51
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地獄まで咲け、鋼鉄の夢



狂い咲きサンダーロード』とは、1980年に公開された日本映画。監督は後に「逆噴射家族」や「爆裂都市 BURST CITY」などを監督することになる石井聰亙。



【概要】

当時日本大学藝術学部映画学科に在籍していた石井が製作したで自主制作映画*1で、低予算映画ながら完成度が高く、高い評価を得る事となった。

ジャンルは全体的にバイオレンス寄りだが、後年のヤンキー映画などとも違う独特なもので、キャッチコピーの言葉を借りるなら「ロックンロール・ウルトラバイオレンス・ダイナマイト・ヘビーメタル・スーパームービー」と言ったところである。

ストーリーの世紀末感や暴走族が題材で公開時期も近かったことから日本版マッドマックス(1979年公開)とも評されるが、カーバイクアクション映画の面もあるマッド・マックスと比較すると本作は未成年による非行、暴力、薬物、極右と更に過激で強烈な内容であり、故に公の場で取り上げられることは少ない。

しかし、本作の演出や音楽の数々に魅了される人々を大勢生み出したことから現在でも伝説のカルト映画として人気がある。


【ストーリー】

近未来、日本のどこかにあるとされる幻の町サンダーロードで日々活動していた暴走族グループらは新しい道路交通法が施行されることをきっかけに「これからは愛される暴走族になろう」と休戦協定へと参加する。しかし、グループの一つ魔墓呂死(まぼろし)特攻隊長である仁はこれに反抗し、特攻隊を率いて各グループの幹部らが集い、魔墓呂死のリーダーである健もいる集会を襲撃、幹部らに重傷を負わせたが、それでも幹部らと健が協定を結び、新道交法を守る姿に業を煮やして仁は魔墓呂死の新リーダーに就任する。
健は再会した魔墓呂死の初代リーダー剛に特攻隊のことを相談し、彼に仁のことを任せることにする。
一方集会を襲撃したのが魔墓呂死の特攻隊であったことを特定し、報復を行おうとしていた暴走族は特攻隊の一人である幸男を誘拐する。幸男を助けに行こうとしていた特攻隊一同だったが、相手が協定で結成されたエルボー連合であると知り離反するものが続出。残った4人の内、仁、英二、忠の3人は待ち合わせ場所へと向かうが多勢に無勢、間一髪の所で助けを求めに行っていた茂が呼んだ健と剛に助けられたが、幸男は死亡してしまった。
魔墓呂死の4人は剛がリーダーを務める政治団体スーパー右翼に引き取られることになるが…


【登場人物】


演:山田辰夫
本作の主人公の革ジャン、武闘派鉄人暴走族“魔墓呂死”の特攻隊長、声が高い。
凶暴で容赦がなく明らかに多勢に無勢で皆殺しにされる状況でも向かって行く。
新道交法、リーダーだった健、エルボー連合、スーパー右翼あらゆるものに反抗するがどんどん荒れていき、遂には右手足を切断されてバイクに乗れなくなり、残った仲間だった英二、忠、茂も失う。
ヤクに溺れるも復讐心は失わず、終盤には黒の戦闘スーツ、ショットガン、ロケットランチャー、リボルバーで武装してポスターの戦闘マシーンの姿になり、エルボー連合とスーパー右翼を皆殺しにするも自分も何度か被弾して負傷し、剛に止めを刺されそうになった所で小太郎に助けられ、負傷で満身創痍ながら右腕をバイクのスロットルに固定して回すことで町を駆け抜け、どこかへ走り去って行った。
その後彼がどうなったのかは語られないが、ラストにオープニングで映っていた活火山の崖下で倒れていたのと同じアルミホイルに覆われたバイク(カワサキ KH400)に乗って、活火山近くにたどり着く場面で映画は終了する。
「俺たち“魔墓呂死”は最後まで“ツッパリ”通せばいいじゃねぇかよ」の言葉通り最後までツッパリ通したのであった。

  • 英二
演:中島陽典
特攻隊員で仁の取り巻き。
彼も仁と並んで声がかなり高い。
幸男を助けに行く際に相手がエルボー連合の特攻隊全員と聞いた時は逃げることを提案したが忠に止められ、剛を呼ぶことを提案し結局向かった。
スーパー右翼を抜けた後、バイク(カワサキ Z250FT)を運転し忠と一緒に仁について行ったが、暗殺部隊とエルボー連合にリンチされたことによる全身の怪我に加えて、脳死による植物状態になるという最後を迎えた。

演:戒谷広
特攻隊員で仁の取り巻き。
幸男を助けに行く際は逃げないことを選択し忠を止め、茂に健を助っ人として呼ぶよう言った。
暗殺部隊とエルボー連合に襲撃された際は軽傷で済んだが、仁を病院から連れ出した後は彼に町を出ることを勧め、自身も命を狙われ続ける恐怖から仁のバイク(ホンダ CB400T)に乗ってサンダーロードを出た。

  • 幸男
演:大池雅光
顎部分に鉄板の矯正器みたいなのを付けている特攻隊のメンバー。
町中を3人で歩いていたところを髑髏 *2に攫われてしまい、他のメンバーをおびき寄せるための人質になった後も拷問を受けて衰弱し、特攻隊の到着が遅れたことに加えてリンチされたことで助けられた頃には死亡していた。

演:小島正資
最初はモブ同然の扱いなのだが、皆とスーパー右翼に加入したとたんに物語の重要人物となる。
3人がスーパー右翼を抜けた後も留まり、再開した時は幹部にまで昇進していた。復讐に燃える仁の襲撃を受けた後の集会では彼のことを「話し合って分かる相手じゃない」と評し戦力を総動員して反撃へと向かった。仁はそんな茂を見て「カッコいいじゃねえかよ」と評した。
ラストの戦闘ではマシンガンを手に仁を殺害しようとするが、彼のマシンガンも仁の武器も弾が切れていたことから殴り合いになり、最後は剛の銃撃に巻き込まれて死亡した。
「俺は負けんぞーッ!負けんぞーッ!」

演:南条弘二
魔墓呂死のリーダーだったが、彼女である典子(演:北原美智子)と平穏に過ごしたくなったため、暴走族一同の休戦協定に参加したが特攻隊の仁達から猛反発を受け、集会を襲撃される。特攻隊はその場に居た健に手を出さなかったことに加えて、次の集会で特攻隊が不参加だったことからすぐ魔墓呂死の特攻隊が襲撃の犯人と特定されてしまった。
その後、暴走族を完全に引退し魔墓呂死のことは剛にまかせるが、茂に助けを求められた際は助けに行ったり、病院へお見舞いに来たりしていた。
作中で典子と平穏な日々を過ごす彼と、荒れていく仁の姿は大きな対比となっている。最後振られるけど

演:小林稔侍
魔墓呂死の初代リーダーで現在は名前がダサい政治団体『スーパー右翼』のリーダー。
つなぎに君が代を歌いながら登場する姿はインパクト抜群、仁に「おかま野郎!」「ホモ野郎!」と罵倒されるが本当に同性愛者であり、茂の昇進が早かったのは彼が剛の愛人になったためでもあった。尚、剛の方がウケであり、よりガチなのが解る。アッー
非行少年達にお前たちが好きだ、君たちが欲しいと言っているが、実際は利用しているだけに過ぎないのかあっさり切り捨てる非情な性格。
ラストの戦闘では殴り合いをする仁と茂をまとめて銃撃し、仁に近づいて止めを刺そうとしたが小太郎に背後から撃たれて死亡した。
色々とかなり強烈なキャラクターであるが、演じた小林稔侍はこれを台本も読まずに引き受けたようである。
撮影当時は未だ39歳であったが本作の撮影現場は前述の通りで出演者もスタッフも皆彼より遥かに年下であった。
そんな、意欲だけはあるが経験が圧倒的に足りないスタッフとキャストを、小林は自身の経験を活かして快く可能な限りのアドバイスとサポートをしてくれたそうで、石井らからも感謝が述べられている。
尚、当時の小林は漸く中堅どころといったキャリアで、プロの俳優がこんなトンでもな映画に出たらキャリアが心配になりそうなものだが、寧ろ本作以降こそ売れっ子俳優となっていったのは周知の事実。

  • スーパー右翼
サンダーロードを拠点に活動している某政治団体、リーダーは魔墓呂死の初代リーダーだった剛。
非行少年達を保護という名目で自分たちの国防挺身隊や暗殺部隊に加入させ、政治教育や戦闘訓練を受けさせて立派な兵士へと育て上げている。
しかもマシンガンや火炎放射器などの銃火器を当たり前のように多数所持していて発砲する色んな意味でヤバい団体
国防挺身隊の服装は緑のつなぎで、暗殺部隊はつなぎに加えてヘルメットを被っている。
エルボー連合と共に戦うも皆殺しにされた。

  • エルボー連合
新しい道路交通法が施行されることをきっかけに「これからは愛される暴走族になろう」愛される暴走族とはいったい*3とできた休戦協定を元に結成された暴走族連合。
髑髏・ドッグファイト・ガヤ・ホンキートンク・魔墓呂死の元構成員達で構成されている。仁について来なかった魔墓呂死の構成員もここへ編入されている。
なぜか暴走族を続けながら警察官になっている構成員がいる
武器を持ってスーパー右翼達と共に戦うも仁に皆殺しにされた。こんな奴らに武器を渡すな

  • マッドボンバー
演:吉原正皓
連続爆破事件の指名手配犯、小太郎の紹介で出会った仁の持つ復讐心を見抜き面白そうなので協力する。
ラストの戦闘ではロケットランチャーをぶっ放してアシストし、「頑張れよーっ!」と去って行った。

  • 小太郎
演:大森直人
ヤクの売人である小学生ぐらいの少年、自身にも注射を行うほどのジャンキー。ヤク以外にもいろいろなものを手配できる様子、作中ではマッドボンバーを紹介したり、バイクを用意したりした。
ラストの戦闘ではダイナマイトを投げて応戦し、仁に止めを刺そうとしていた剛を後ろから銃撃して彼を救い、バイクで走り去る彼を見守っていた。


【余談】

日本のどこかにあると言う幻の町「サンダーロード」が舞台となっているが、劇中では「サンダーロード」という単語は出てこない。登場するパトカーには「県警」としか書かれておらず、乗り物のナンバープレートは地名の部分がなるべく映らないよう工夫されている。

低予算であるが故に撮影に難儀し、病院から医療器具を盗んで使用するなど「殺人以外のことは全てやった」と助監督が語っている。デスマッチ工場跡のシーンなどでは本物の暴走族たちも起用されている。

非常に印象的なメインビジュアルとなっている仁のバトルスーツ姿のイラストを描いたのは泉谷しげる……という説が根強いのだが実際には違うとのこと。

追記修正は最後までツッパリ通してからお願いします。
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最終更新:2025年04月22日 23:47

*1 一部では卒業制作映画と紹介されるが、現像などを外部のプロダクションに委託しており卒業制作ではないという。

*2 厳密には元髑髏の構成員で既にエルボー連合の構成員になっている

*3 暴走族という言葉にはバイクに乗っている非行少年グループだけでなく、いわゆる走り屋も含まれるがこちらも愛されるとは言い難い