ダース・コグナス

登録日:2025/04/21 Mon 16:00:00
更新日:2025/04/24 Thu 14:16:56NEW!
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「我が弟子になるのならば、これまでのお前は存在しなくなる。ダークサイドの使徒として生まれ変わることになるのだぞ」
「覚悟はできております、閣下」
「ならば、より偉大なる存在に生まれ変わる象徴として、新たな名前を選ぶがよい」
「……コグナス、と」
「よろしい。今日からお前はシスのダース・コグナスだ」


ダース・コグナス(Darth Cognus)とは、『スターウォーズ・シリーズ』の登場人物。
シスの暗黒卿であり、ダース・ザナーの弟子となった。



【人物】

◆風貌

種族はイクトッチイ。著名な人物にはジェダイマスター・サシー・ティンがいる。
(種族の詳細はサシー・ティンの項目を参照)
赤い肌に鋭い目つき、鋭い歯に、種族に共通の顔の左右から下に伸びる大きな角を持つ。
下唇から下顎に向けて刺青を彫っていたが、詳細不明。

総じて、見た目や身体的な特徴は一般的なイクトッチイと変わらない。
ただかなりの美人らしく、暗黒街の人間でありながら挙措動作には気品と優雅さがあって、その残虐な性格さえなければもっと美しかっただろうとさえ言われている。

◆性格

「財産も名誉も、わたしにはなんの意味もありません。わたしが求めるものは、力と目的だけです。力があれば、必要なもの、求めるものはすぐに手に入ります。目的があれば、この人生にも意味が生まれるでしょう」

気品と優雅さを備えた美女でありながら、彼女の精神は極めて嗜虐的だった。
相手の感情の揺らぎをフォースで感じ取れるようで、特に苦しみや悲しみなどの感情を「味わう」事を好んだ。
シスに出会う前は、三頭犬(ケルベロス)「タービースト」と肉食性の巨大猪「ボアウルフ」がアリーナに放り込まれ、血みどろの殺し合いをしているショーを食い入るように見つめていた。

しかしそうした残虐さは、彼女の表層の一面に過ぎなかった。

内心では自分という存在や人生、命について、大きな虚無感を抱えており、生きる意味、人生の価値というものを欲していた
彼女自身は善悪の区別に関心はなかったが、人々が他者にそのようなレッテルを貼る理由には興味を抱いており、そうした哲学性は確かに、シス向きだったと言える。

その他、シスに出会う前だが、自分の「殺し屋」という職業にはプライドを持っていて、「賞金稼ぎ」と呼ばれることをひどく嫌っていた。
カネがほしくてやっていたのではなく、純粋に自分の腕を磨き、実力を披露することにこだわっていたという。

彼女はシスの暗黒卿ダース・ベインに弟子入りした際、自ら法名を選べと言われて「コグナス」と名乗った。
これを選んだとき、ベインは喜んだという。なぜならコグナスとは「認識」(Cognizance)に由来し、彼女が単純な戦闘能力よりも、知性や理性、哲学性を指向しているということの象徴だったからだという。

高い能力と表向きの嗜虐性に相反する、内心の虚無感と冷静さが、ダース・コグナスという人物の特徴と言える。


◆能力

「意識を集中すると、人や場所といったイメージが浮かび上がってきます。時には未来を垣間見ることもあります。ただ、こちらは必ずしも現実になるとは限りません」

もともとイクトッチイはフォース感応者を出しやすく、特に予知能力とテレパシー能力に恵まれていた。
しかしダース・コグナスの能力は同族の平均値をはるかに凌駕し、極めて正確に過去・現在・未来を視ることができた
そのレベルは時間を超えた千里眼と言えるほどで、もちろん目標を探し出すにも有益だし、相手と戦う前に、どうすれば効率的に戦えるのかも予測できる。
また未来予知をした場合、不都合な未来を視ても、さまざまな対処をすることである程度は結果を変えることができた。

もう一つの特殊能力として、他のフォース使いに対して謎の圧力を掛けて、フォースを手繰りにくくすると言う、「フォース抑制力」とでも言うべき珍しい技を使える。
コグナス自身が生まれつきダークサイドの素質に長けているからか、ジェダイのようなダークサイドのフォースに長けていない相手ほどよく利く。
シスのようなダークサイダー相手にしてもある程度は効果を発揮する。
この技はシス卿たちにも類例のない技で、実際食らったベインはかなり驚いたが、やはりダークサイダーには効きが悪いようで、ベインはすぐにコグナスの仕業と気付き、フォースライトニングを放てるほどに克服した。

殺し屋としての経験が長かったため、爆弾や手榴弾、槍、ブラスター銃、各種ライフル、ナイフなど、あらゆる武器を使う。
また彼女の場合、標的に家に潜入して罠を大量に仕掛けたり、ナイフを囮に閃光手榴弾を投げて目くらましを狙ったりと、単なる戦闘能力以上に、装備を使いこなすスキルが高い

一方でジェダイやシスとしての訓練はダース・ザナーに弟子入りするまでは積んでこなかったため、ダークジェダイと遭遇した際には、手許にはライトセーバーを持っていたがあえて使わなかった。
自信のない武器はどれだけ珍しくとも使わないというのは、彼女の冷静さの発露だろう。

シスとして大成してからのエピソードは描かれなかったため、彼女が制作したライトセーバーの形状や、得意としたライトセーバーの剣術フォームなどは一切不明である。


【生涯】

◆前歴

「わたしは狩りが好きなの。だから女ハンターと呼ばれるのよ」

イクトッチイ種族に相応しい、予知能力とテレパシー能力に長けたフォース感応者として産まれる。
本名は不明。「ハンター」の女性形である「ハントレス」という渾名で呼ばれていた。
正確な生年などは不明だが、家族も友人もいない、天涯孤独の身の上だったという。
985BBYごろから本格的なハンター、そして殺し屋として活動を開始したので、どうやら「ルーサンの戦い」時点では幼女だったか産まれていなかったかで、シス帝国にも加わらなかったようだ。
その実力は同業者のなかでも群を抜き、短期間でその評判は不動のものとなっていた。


◆ジェダイ殺し

「これで鉱夫たちは全滅ね」
メッド・タンダー「殺し屋か……暴徒たちのリーダーを殺すために、王室から送り込まれたのだな。降伏すれば、公正な裁判を約束するぞ」
「いいえ、裁判は開かれないわね」

980BBY、ハントレスは惑星ドアンの女王セラに雇われた。
セラ女王はもともと、王家の人間でもなんでもなく、ケイレブという名の腕利き医療師の娘で、辺境の惑星アンブリアに生まれ育った、貧乏な庶民だった。
しかし、ある時ケイレブとセラの父娘は、大柄で禿頭のシス卿に襲われた。そのシス卿は毒で死にかけていたのであり、自分を治療するか、それともセラを殺すかを突き付けた。
ケイレブはやむなく、そのシス卿を治療。
幸い、その禿頭のシス卿はケイレブ父娘にそれ以上危害を加えずに去ったが、また似たような事態が起きる前にと、ケイレブは娘に医療技術を教えると、数年後、旅行者に頼み込んで、彼女をどこか遠くの星へと旅立たせた。
そしてセラは、この惑星ドアンで、王子の病を癒やしたことで妻として迎えられた。やがて王子が王になり、彼女も王女となった。

ところが、惑星ドアンでは鉱山夫たちが反乱を起こしており、彼女の夫も暗殺されてしまった。
セラ女王は怒りに燃え、腹心の侍女ルシア*1を通じて、この女ハンターを雇い、夫を暗殺した鉱夫たちの暗殺を依頼した。

ハントレスは任務を受諾し、早速目標のいる坑道に侵入。
折しも、事態を察知した銀河共和国から、鉱夫たちの反乱を調停するためジェダイナイトが派遣されていた。
ハントレスは、暴発寸前の鉱夫たちとジェダイナイトをまとめて攻撃、反乱者のリーダーを含めていきなり鉱夫たちを射殺していく。
ジェダイに対しては、独自に習得していた「相手のフォースを弱める技」を使った。
突然フォースを手繰れなくなって狼狽えるジェダイを尻目に、ハントレスは残りの鉱夫たちを殲滅させる。
最後にひとり残ったジェダイは、なんとか渾身のフォースを使ってハントレスのブラスター銃を引き寄せて奪い、降伏を勧告したが、ハントレスはブラスターの内部システムをフォースで操り、暴発状態に設定した
彼女が身を翻して逃げた直後、ブラスターが爆発し、そのメッド・タンダーという名のジェダイは即死した。


◆女王の依頼

「あなたが雇った暗殺者に、もう一度連絡してちょうだい。別の仕事を頼みたいの」
セラ女王、ルシアに

そのころセラ女王は、別件でコルサントを訪れていた。
しかし、そこでジェダイ聖堂を訪れた彼女は、父ケイレブが十年前に殺害されていたことを知る*2
セラ女王は、父を殺したのは、二十年以上前に自分たちの前に現れたあの大柄で禿頭のシス卿、ダース・ベインに違いないと確信。
惑星ドアンに戻り、ルシアから報告を受けた彼女は、もう一度ハントレスを雇って、前回の三倍の料金を支払うから、今度はシスの暗黒卿、ダース・ベインを捕縛してほしい、と頼んだ。

惑星アンブリアで女王と面談したハントレスは、事態を探るべく、得意の予知を開始した。
彼女の予知能力はぼんやりとした未来のビジョンを垣間見るだけではなく、過去や現在の確認さえできる。
セラのこれまでの記憶や、父との思い出、対面した多くの人々、そしてダース・ベインの顔までも確認。
さらに、ダース・ベインが今度は金髪の美女を連れて惑星アンブリアに戻り、ケイレブが殺され、謎の青年(ダロヴィット)が発狂し、そしてシスとおぼしき男女が床下に隠れたところまでを視た。
ところが、その床下の様子を見ようとしたところで、ハントレスの意識は弾き飛ばされた
シスが十年も前に掛けた「隠匿の秘術」が、未だに強い力を残してハントレスの干渉を弾いたのである。

ハントレスの反応から、シス卿の実在と共に、その凄まじい力量を察したセラだったが、父の仇への憎しみは消えず、ハントレスに「シス卿の捕縛」を依頼。
ハントレスは「わたしは殺し屋で、賞金稼ぎではありません。生け捕りは専門外です」と断るが、セラは通常の十倍の賞金と、必要なら支援チームとして兵士も付けると頼み込む。

また、セラは父ケイレブの小屋にハントレスを案内すると、遺品のなかから特殊な薬瓶を発見。
父は薄めて麻酔薬や鎮静剤として使っていたが、原液のまま使えば強力な神経毒となる。小屋の作りもすべて説明した。
地の利と、武器があれば、勝機はなくもない。またハントレスは、賞金はともかく、本物の暗黒卿には興味があった。

ハントレスは、念入りに腕利きの特殊部隊員二十人(いずれも実戦経験者)をセラ女王から提供してもらい、ダース・ベイン捕縛任務を受諾した。


◆シス卿との戦い

ベイン「逃がさんぞ……」
ハントレス「逃げはしないわ」

その後の数日間、ハントレスはダース・ベインと戦う夢を見た。
イクトッチイは予知能力に長ける。特に彼女はこの才能が飛び抜けていた。
これは確実な予知夢と判断したハントレスは、夢のなかで視た景色から、風景や太陽、星の動きまで正確に思い出し、銀河系のあらゆる星系を調査。
その果てに、予知夢で視た場所が、惑星シウトリックIVだと突き止めた。

さらに彼女は、慎重に現地調査を開始。
ダース・ベインの邸宅を発見すると、彼が出かけるのを待って潜入し、その間取りを詳しく調べ上げた。
そして安全を確認すると、玄関口に爆弾を配置したり、周辺に兵士を埋伏させたりして、地の利を我が物とした上で「迎撃」体勢を整える。
兵士たちが使う武器に関しては、通常のブラスターではなく、相手を麻痺させるスタン銃にさせた。
まともなブラスターでは弾丸を跳ね返されるのが落ちだし、一瞬でもベインの動きを止めてくれれば、なんとか神経毒を打ち込めるチャンスが見えるはずだったからだ。
シスならば、こっちの殺気に気付くか、未来予知で逆襲してくる。ハントレスはそれも計算した。

果たして、帰還したダース・ベインは、家に入る前から敵襲を察知した
そして玄関口が爆弾で吹き飛ばされるのと同時に、彼女は「フォースを弱めるオーラ」を投射
同時に傭兵たちがベインに殺到し、スタンボルトを撃ちまくった。
ハントレスのフォース抑制力は、ダース・ベインでさえ知らない技だった。それでも完全にシスを抑制はできなかったが、確かに能力低下を引き起こし、スタンボルト数発を浴びてしまう。
さすがにダース・ベインはすぐには倒れず、フォースライトニングを乱射しながら撤収を図るが、そこにハントレスが突撃。
しかも、短刀で斬りかかると見せかけて足元に閃光手榴弾を投げつけ、ベインの視力を一瞬くらませた。
スタンボルトの痺れと閃光手榴弾による目くらまし、そしてハントレスのフォース抑制の三重苦で、さすがのダース・ベインにも隙が生まれた。
その隙を彼女は見逃さず、神経毒をたっぷり塗った短刀で、ベインの腕に傷を負わせた
巨体のシス卿はそれでも気力を振り絞り、フォースの力で大暴れしたが、やがて毒が全身に回り、ついにダース・ベインは気絶、倒れてしまった。

そしてこの時点で、ハントレスは「金髪の美女がもうすぐ戻ってくる」ことも察知。
生き残った兵士たちに、シス卿の搬送と死体の回収、および依頼主の痕跡をすべて消し去ることを命じながら、急いで撤収した。
なお、傭兵二十名のうち、死者は六名とのこと。


◆動き出した運命

「わたしは今まで、自分に価値というものを見出せなかった。あなたはわたしに、生きる目標を与えてくれるとわかったのです。あなたはわたしの運命を導いてくれるお方だ、と」
「その対価としてお前は何を差し出せる?」
「忠誠と献身を。そしてこの監獄から脱出するための船と、ケイレブの娘を」
「よかろう」

ダース・ベインの身柄を引き受けたセラ女王は、「父の仇」を投獄の上で拷問に掛けたが、ベインは苦しみながらも「ケイレブを殺したのは私ではない*3」「ケイレブが死んだのは彼が弱かったからで、もちろん今このベインが囚われているのも私が弱いからだ」と、シスの哲学を見せつつ抵抗。
もともと精神面では一般人の女性で、荒事に慣れていないセラは、自分の拷問にさえ恐ろしさを感じてしまい、却って気弱になってしまった。

拷問に憔悴したセラはしばらく中座したが、この隙に、セラの侍女でボディガードのルシアが、ベインを逃がした
セラはもう三十年近く前、まだダース・ベインがシスの暗黒卿でさえない「デッセル軍曹」だったころの部下だった。
そして、そんな昔の上官が今になって目の前で拷問を受けていたことに、ここ二十年の平和で丸くなっていたルシアは耐えられず、逃がそうとしたのだ。

そしてハントレスは、ルシアの行動をあえて見逃した上で、セラにこの「裏切り」を暴露
しばらく呆然としたセラは、事態を確かめるべく牢獄に走る。
そんなセラの驚愕や絶望をひとしきり楽しんだハントレスは、今度はルシアも発見。ルシアにも「女王様には伝えちゃったわよ」と、愉快犯丸出しで暴露した。
ルシアもまた女王の下に走った。彼女がベインを解放したのは、どうかセラ女王への復讐はしないでください、と頼むためだった。しかし、セラ女王がベインを追ったら、また大変なことになる、とルシアは見たのだ。
もちろん、ハントレスは知ったことではない。彼女の契約はもう終わっていたからだ。

むしろ彼女は、フォースを通じて、あのシス卿と自分の運命とが、何か大きな縁で繋がっていること予知していた。

彼女は宇宙船のハンガーに戻ったが、すぐには出港せず「運命」を待ち続けた。
途中、訪問者のひとりセット・ハースとの小競り合いこそ起きたものの(この戦闘中、彼女は角の片方を切り落とされた)、セラ女王が監獄の自爆スイッチを入れたこともあり、彼を見逃した。

そしてセット・ハースと入れ違いに、ダース・ベインがハンガーに到着
(この時点で、ルシアはダース・ザナーの攻撃に巻き込まれて死亡した)
ベインは、目の前の女イクトッチイが自分を捕えた相手であり、もちろん敵だと認識していたが、ハントレスは彼の敵意を感じた飢えで、その場にひざまずいて彼のライトセーバーと、彼の邸宅から盗んだホロクロンを返却した。
さすがに驚くベインに、ハントレスは「どうかあなたに仕えたい。許していただけるなら、セラ女王も引き渡します」と願った。
ベインは彼女の願いを受け容れ、共に宇宙船で脱出した。

◆入門

「ならば、より偉大なる存在に生まれ変わる象徴として、新たな名前を選ぶがよい」
「……コグナス、と」
「よろしい。今日からお前はシスのダース・コグナスだ」

ハントレスはイクトッチイとしても特に強力な予知能力を説明し、早速披露。監獄から逃亡したセラ女王が、惑星アンブリアの亡父の小屋にいることを視た。
果たして現地に到着すると、セラ女王は父の小屋にいて、改めてダース・ベインの前に現れた。
一連の事件で憔悴しきったセラは、もはや復讐する気力も萎えて、ただベインに邪道を歩むことをやめるよう説得したが、ハントレスはベインの許可を得てかつての雇い主を殺害した

ダース・ベインは、彼女が見せた能力の高さや、シスに相応しい冷徹さ、そして世俗的な名誉にも財産にも興味がなく、ただより偉大な存在へと成長したいという渇望だけがあることを気に入った。
ここに、ハントレスはダース・ベインからシスの暗黒卿としての洗礼を受けた。

「訓練を始める覚悟はできています」
「まだだ。優先するべき重要な事項が一つある」

ただし、ベインはすぐさま彼女の修行をつけることは拒否した。
ダース・ベインは、シスの歴史を説明しつつ、自らが立てた「二人の掟」について説明した
一時代に存在できるシス卿は常に二人のみ。弟子がシスマスターとなるには、自分自身の師匠を実力で打倒し、先代よりもさらに強くならなければならない。そうして、シスは相克と相生を繰り返しながら、強くなっていく。
現時点でダース・ベインには、弟子として「金髪の美女」ことダース・ザナーがいる。そしてダース・ザナーは、ダース・ベインに挑む覚悟を決めたようなのだ。
ダース・コグナスはベインから「お前の予知はこの勝負をどう視るか」と問われて、幾度か瞑想した。
しかし結果は、ある時はベインが勝ち、ある時はザナーが勝ち、まるで一定しない。
コグナスは困惑したが、ベインは「それは、彼女が私と同等の実力を備えたと言うことだ」と見抜いた。
またコグナスは「ザナーと大勢の味方を連れてくるのでは」と懸念したが、ベインは「『二人の掟』ではそのような真似はしない」と否定。
コグナスはすべて得心し、ダース・ザナーが決闘を挑む段になれば、ベインにもザナーにも加勢しないことを誓った。
ベインは、コグナスがシスの哲学をすぐに呑み込んだことに、頼もしげに頷いた。


◆惑星アンブリアの決闘

やがて、ダース・ベインからメッセージを受けたダース・ザナーが到着
ザナーは、ベインの後ろにいる女イクトッチイに困惑したものの、ベインは「これからの決闘に、このダース・コグナスは中立を保ち、一切介入しないこと」を確約。
コグナスも「ベイン卿かザナー卿か、どちらか勝ったお方に弟子としてお仕えします」と宣言。
ダース・ザナーも納得し、シスの師弟の決闘が始まった。

さすがに現役のシス卿同士の、しかも本気の戦闘は凄まじく、入門したばかりのコグナスでは目で追うことさえ難しいレベルの激戦となった。
序盤はフォースと肉体のパワー差でベインが圧しまくっていたが、ザナーは突如地面から暗黒の植物を繰り出し、ベインに想定外のダメージを与えていく。
ついにベインが全身を縛られ、勝負がついたかと思われたとき、ベインの肉体から赤い閃光が走った。
コグナスは目も眩むほどの赤光のなか、凄まじいエネルギーの放出と、さらにダース・ベインの魂が肉体から分離し、ダース・ザナーに憑依しようとしていることを感じ取った。
しかしダース・ザナーの精神も激しく抵抗。
そして数秒後、ダース・ベインの肉体が灰燼に帰し、金髪の美女はふらつきながらも立ち上がっていた。
コグナスの眼には、その「金髪の美女」の中身が誰なのか分からなかった。

「……マスター・ベイン……?」

恐る恐る尋ねたコグナスに、女性は「わたしはシスの暗黒卿ダース・ザナー」「ベインはもういない。わたしがマスターよ」と答えた。
そしてザナーは、コグナスの修行はわたしが付ける、と約束し、ダース・ベインのライトセーバーを差し出して、いずれあなたが自分の剣を作るまでは、これを使いなさい、と最初の命令を出した。

「あなたも最後はわたしに挑戦することになるわ。そのときに、生き残るのは二人のうちの一人だけよ」


◆その後の動向

ダース・コグナスの以後の動向はほとんど分かっていない。
ただ、いずれかの時点で彼女もまたダース・ザナーを殺害して「師匠超え」を果たしたとみられる。

ダース・コグナスの弟子はダース・ミレニアルだった。
種族は人間だが、突然変異で、額には第三の眼が開いていたという。
しかしダース・ミレニアルは、ベインの「二人の掟」に対してあまりにも制限が強すぎると言って、猛烈に反発していた。
最終的にダース・コグナスはダース・ミレニアルの破門を決意
それは当然ダース・ミレニアルの処刑という形で進むはずであったが、なんとダース・ミレニアルは脱走し、ダース・コグナスの視界から完全に消えてしまった。
彼は惑星ドロマンド・カスへと逃亡し、そこで独自に暗黒面のフォースを扱う教団を作って、銀河帝国の時代まで組織を存続させた。

一方、ダース・コグナスはダース・ミレニアルの討伐を諦め、別の新しい弟子を見出し、ベインの教えを後世に引き継いでいったという。
ダース・ミレニアルを排除した後のダース・コグナスの系譜は、ダース・ヴェクティヴァス、ダース・グラヴィッド、ダース・ギーンと続き、ダース・テネブラスに繋がる。


【余談】

実は設定が決められたのはダース・ミレニアルのほうが先で、2005年ごろに「知られざるシス卿」の一人として軽く触れられた。
その後、2006年に「ダース・ミレニアルの師匠、ダース・コグナス」の名前が初めて設定されたという。
実は案としては「ダース・ミレニアルの師匠」は、ダース・アンデッデュの名前も候補に挙がっていたが、その時点ですでに「ダース・ミレニアルの師匠は女性」と定義されていたため、名前からして男性風なダース・アンデッデュは断念されたとのこと。

最終的に、2009年に発表された、ダース・ベイン小説三部作の完結編にて、ダース・コグナスが本格登場。
これまで曖昧だった彼女が肉付けされて、完成を迎えた。





「彼らは追記・修正が好きなの。だからアニヲタと呼ばれたのよ」


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最終更新:2025年04月24日 14:16

*1 二十年以上前に滅んだシス帝国で、兵士として働いていた女性。フォース使いではなく、当然シス卿にもならなかったが、雑兵として彼女のような人たちも大勢参加していた。現在は往年の戦闘経験を活かして、ボディガードとして雇われている。

*2 「最後のシス」と誤認されたダロヴィットがジェダイ部隊に殺された際、ケイレブの惨殺死体も発見された。ジェダイ部隊はケイレブの死体も回収し、墓地に埋葬したのである。

*3 実際、ケイレブを殺害したのはダース・ザナーで、しかもその事件当時、ベインは毒により意識が朦朧としていて、協力どころか指示も出せない状況だった。