宇宙怪獣ガメラ

登録日:2015/11/23 (月) 12:33:17
更新日:2025/04/06 Sun 13:40:49
所要時間:約 7 分で読めます




『宇宙怪獣ガメラ』とは、1980年に公開された大映の特撮怪獣映画ガメラシリーズの8作目である。



【概要】

徳間グループの子会社となった大映が9年ぶりに製作したガメラ映画。
これまでの昭和ガメラ映画の特撮シーンに、新規シーンを組み合わせた総集編のような内容。
SEや怪獣の光線などは新たに合成されているが、予算の都合上特撮の新規シーンはわずかとなっている。
これまでの昭和作品を見た人には退屈な内容だが、昭和ガメラ作品の怪獣を一通り知っておきたい人にはオススメ。
また、当時子供達に人気のあったマンガやアニメを無理やり詰め込んだカオスなシーンが所々に見られるおバカ映画でもある。

ちなみに、映画『ガメラ 大怪獣空中決戦』の公開に併せて発表された漫画『大怪獣ガメラ』(著:破李拳竜)は、
平成版ではなくこの『宇宙怪獣ガメラ』から直接繋がる物語となっている。


【あらすじ】

宇宙中で略奪と殺戮を繰り返す「宇宙海賊船ザノン号」の魔の手が地球に迫っていた。
平和星の使者キララ、マーシャ、ミータンはこれを察知するものの、三人は平和星の決まりで他者を傷つける武器を持っておらず、ザノンに対抗する手段が無い。
その後、ザノンはかつて地球を襲った怪獣ギャオスを復活させ、侵略の駒として都市を破壊させる。
一方キララは、経営しているペットショップで知り合った少年・圭一から、幾度となく人類の危機を救った怪獣ガメラのことを聞かされる。


【登場人物】

◆キララ 演:マッハ文珠
平和星の使者のリーダー。普段はペットショップ「モントウトウ」を経営している。
ザノンに操られたガメラを元に戻すため自爆しようとするなど勇敢な性格。
前述のとおり武器は持っていないが、戦うこと自体は禁止されてないようで素手でギルゲと戦った。
なお演者は後に映画『ドラえもん のび太の南海大冒険』にゲスト出演した。

◆マーシャ 演:小島八重子
平和星の使者。普段の職業はマツダ自動車のカーディーラー。

◆ミータン 演:小松蓉子
平和星の使者。普段の職業は幼稚園の先生。決してネットアイドルではない。

普段三人は人間社会に溶け込んでいるが、有事の際は複雑な変身ポーズを取り元の(スーパーマン風のピチピチタイツ。マントもついている。)姿に戻り地球の平和を護っている。
タイツの色は某巨大ヒーローを思わせるライトグレーと赤が基調になっている。
彼女達の母星はすでに宇宙海賊船によって滅ぼされている。その星の名は「平和星M88星」。あ、これ確信犯だ

◆木下圭一 演:前田晃一
ガメラと音楽が大好きな少年。普通の亀も好きで、本人曰く亀やガメラと心が通じているとのこと。
エレクトーンを使ってガメラの歌を作詞作曲、その歌を聞いたキララ達に地球を救うヒントを与える。

◆ギルゲ 演:工藤啓子
ザノン号から送り込まれた宇宙海賊の女尖兵。地球人に変装しガメラのことを調べるために圭一に近づくが、表情からあっさり悪い宇宙人だと気付かれてしまう。腕時計型の通信機でザノン号と連絡を取る。
全く関与していない怪獣の戦いの勝敗や、ザノン号の誤射の責任まで負わされかなり不憫。
レーザー銃を携帯しており、自身も触れた相手を痺れさせる能力を持つ。またアクロバティックな肉弾戦も得意としていて、終盤キララと女同士の決闘をすることになる。(この映画唯一の見所かもしれない)

地球人に化けている時は、皮スーツに皮ロングスカートとOL風な姿だが、キララとの戦闘中にはロングスカートを脱ぎ捨て、レザーショートパンツ+生足パンプスという刺激的な衣装をお茶の間に晒した。(この時一部の少年のガメラが咆哮を上げたとかなんとか)

◆キャプテン 声:小林修
宇宙海賊船ザノン号の船長。ギルゲや怪獣を送り込み、地球侵略を目論む黒幕。
ギルゲに指示を出す際姿は見えず、威厳のある声のみが聞こえる。きっと見た目も威厳に溢れているんだろうなぁ(棒)

◆両津巡査
亀有公園前派出所に勤務しているお巡りさん。圭一達は『こち亀』の両さんに似ていると言うがあんまり似ていない。眉毛もつながっておらず勤務態度もまじめ。
漫画の人気のせいで現実の亀有公園前派出所に子供達が集まってくるのを少々困った様子で対応していた。
演じているのは時代的に当たり前だがラサール石井でも香取慎吾でもなく桂小益(現:桂文楽)。

◆ナレーター 中村正

【登場怪獣】

◆ガメラ
亀の怪獣で地球の守護者。子供向けの本も出版されている。
本作のガメラはキララ達の念力で呼び出された説と、圭一が逃がした亀が宇宙パワーで進化した別個体説がある。
地球を救うため、ザノンが送り込む怪獣達に立ち向かう。

途中で洗脳装置を取り付けられ、ギルゲに操られてしまう。そして、「地球を破壊せよ!」という具体性の無い命令でガメラが向かったのは
ガメラホイホイこと黒部ダム。第2作からの使い回しでこれで三度目の襲撃である。なんの恨みがあるのだろうか・・・。
シリーズ第1作『大怪獣ガメラ』のガメラ登場シーンは、劇中ではテレビの報道映像として使用されているため、そのシーンだけ白黒である。

その後都市を襲うガメラだが、振動で「さらばドジラ」と書かれた映画の看板が倒れる。そこにはアイツにしか見えない青い炎を吐く怪獣が描かれていた。
全ての怪獣を倒したのち、ザノン号に特攻しその後の消息は不明。

◆超音波怪獣ギャオス
名古屋を中心に襲撃。一度目の戦いは自らの足を切断してガメラの攻撃を退ける。
しかし、二度目の戦いで首筋に噛みつかれ、そのまま火山口に引きずり込まれ死亡。

◆深海怪獣ジグラ
鴨川シーワールドと周辺の海を襲撃。水中戦でガメラを圧倒していたが、地上に運ばれてしまう。
さらにガメラが投げた岩が鼻先に刺さり、倒れたところを火炎放射で焼かれ死亡。

◆水中怪獣バイラス
ジグラと戦った近くの海岸に出現。本来の異名をガメラに奪われ「水中怪獣」に変更させられている。
ガメラの腹甲に頭部を突き刺しダメージを与えるが、ガメラはそのままジェット噴射で上昇。遥か上空から落とされ死亡。

◆大魔獣ジャイガー
大阪を襲撃。自衛隊の戦闘機や戦車隊をマグネチューム光線と固形唾液ミサイルで撃墜していく。
時間の都合と「悪魔の笛」がないため、上空からの突き落としで死亡。

◆大悪獣ギロン
ザノンが怪獣を飼育している星の番獣として登場。ガメラの顔面に手裏剣を突き刺しダメージを与える。
頭が地面に刺さり身動きが取れなくなる。さらに手裏剣の射出口に防衛用のミサイルを投げ込まれ、火炎放射による爆発で死亡。

◆冷凍怪獣バルゴン
神戸と大阪を襲撃。自衛隊が頑張ったのか、運悪く雨に降られたのかガメラが到着した時には冷凍液を噴射できなくなっていた。
肉弾戦でガメラに挑むものの、水中に引きずり込まれあえなく死亡。


【宇宙海賊船ザノン号】

これまでの侵略者の円盤とは世界観が違いすぎるデザインをしている。中に黒い鎧兜を身につけた人が乗ってそう。
キララ達が変身したり、宇宙パワーを使うと反応するレーダートレーサーと、宇宙からキララ達を狙い撃つことができるレーザー砲を装備している。

【余談】

タグ一覧に記載のある宇宙戦艦ヤマト及び銀河鉄道999だが、本作にカメオ出演している。まさかこの時デスラー総統の声の人が両津の上司役になる『こち亀』ドラマが出来るとは思わなかっただろう
そして時は流れて2022年2月。宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち及び大怪獣のあとしまつが同日に封切られ、ヤマトや怪獣特撮に注目が集まった。その最中にガメラシリーズ公式は本作を皮切りにガメラシリーズの各作品を期間限定で公開して行くと発表した。
…ヤマトが登場する怪獣映画なんてものは他になく、はた目には話題作に便乗してシリーズの認知度を向上させることをもくろんでいるように思われてしまった。

なお、後年に発売されたとある漫画は事実上この作品の続編であり、ガメラが転生した事になっている。

追記・修正は昭和ガメラを公開順に見た後にお願いします。


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最終更新:2025年04月06日 13:40