ギレン・ザビ

登録日:2009/08/01(土) 16:56:22
更新日:2020/02/12 Wed 19:12:24
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ジーク・ジオン!!


ギレン・ザビ
(CV:銀河万丈)


◆概要

機動戦士ガンダム』のジオン公国側の登場人物。
ジオン公国を支配するザビ家の長男にしてIQ240の頭脳で公国の全権を掌握する総帥。
絶大なカリスマで国民から圧倒的な支持を得ている。
また、軍部からの支持も高く、親衛隊長のエギーユ・デラーズ大佐(当時)を始め、多くの将校、士官から支持されていた。
しかしシャアなど冷ややかな目で見る者も多かった。

総帥という立場から主に政治に関わり直接軍を率いることは少ないが、
一年戦争緒戦の電撃戦・地球侵攻作戦・コロニー落としなどは彼の指示によるものだとされており*1
ア・バオア・クーでは攻防の計画を練っているほか自ら陣頭指揮も行っている。


家族構成や私生活はよくわかっていない。妻は居るが子供はおらず、また秘書とは愛人関係にある。
THE ORIGINではオーバーオールを着て庭の植木の剪定をしていたり、浴衣を着て詰将棋をする描写があった。趣味なのだろうか。


◆人物

本心までは不明だが、大まかな主義主張としては極まった選民思想。
表向きはジオン・ズム・ダイクンの思想を利用(拡大解釈)することで、地球連邦の腐敗を主張しつつスペースノイドによる世界を作ろうと主張している。

しかし、裏の関心事に「人口問題」があり、このまま無秩序に人口が増え続けると人類は環境や資源を食い潰して破滅する、
それを防ぐためには戦争のような大量破壊によって人減らしをし、自身のようなエリートによる管理社会を築くことが必須である、と考えており、
彼にとって選民思想や独立戦争はそのための方便に過ぎなかったという見方もある。

様々な媒体を見るからに、彼の裏の思想についてはジオンの将兵も知らない者が多かったと思われるが、後年にもマイッツァー・ロナの貴族主義のように似たような思想に行き着く者や支持者が多かった。
ニュータイプにはそれほど関心を示さず、これも政治的な方便として利用していた傾向が強い。
ただしテレビ版では面会したシャリア・ブルに思考を読まれた際も全くうろたえておらず、逆に釘を刺して彼を窘めるなど、頭ごなしに否定していただけでは難しい対応をしているため、通俗的な意味でのニュータイプとジオン・ダイクンが提唱していたニュータイプ、どちらの意味もしっかり理解していた事が伺える。


また急進的な政治方針を父デギンから「ヒトラーの尻尾」と揶揄されたことで有名だが、ヒトラーとは異なりイエスマンを嫌っているらしく、小説版において連邦艦隊の動向に対する自身の読みを称賛する参謀本部の幹部たちに対し「嫌な連中だ」と腹の底で毒づいていた。
ギレン暗殺計画においても自分を非難する者や自身の謀略を看破した者をあえて排斥せず手元に置いている描写があり、ステレオタイプの独裁者イメージとはやや異なる一面も持っている。

家族仲はあまり良いものとは言えず、ガルマが戦死したのを受けると「ひそやかに冥福を祈ってやりたい」というデギンの意向を無視して全地球規模の国葬演説を行い、プロパガンダに利用している。
妹のキシリアとは政治的にも対立しており、最終的には殺意を向けられるに至っている。

また弟ドズルがソロモン防衛戦に臨む際にはビグ・ザムを受け渡したものの「戦いは数だよ兄貴!」と毒づかれ(ドズルの希望は大量のリック・ドムであったとされる)、さらには戦局が不利に傾いた際には、ア・バオア・クーからの増援を渋るという非情な判断をした。
これの真意は不明で、冷徹だが合理的判断に過ぎないという説*2もあれば単に謀殺したかったという説もある。
劇場版ではソロモン戦前の通信会議直後に「ソーラ・レイは他にも転用できる、無駄にはなるまい」と一人ごちを漏らしているため、投入が間に合いさえすればソーラ・レイをソロモン戦に使用する腹積もりだった可能性もあり、一概に見捨てたとは言えない。
(なおドズルはこれに際して「ドムの十機でも送れというんだ!」と毒づいているが、そもそも連邦の動きに備えなければならない段階で私怨やキシリアへの当てつけでコンスコン艦隊をホワイトベース隊に差し向け、十機以上のリック・ドムをいたずらにすり潰したり連邦軍ソロモン襲撃の際に副官が援軍要請を進言したのに「国中の笑いものになる」と一蹴してソロモンの陥落と自身の死を招いたのは当のドズル自身である。)

一番明確に不仲だったのは父デギンで、特にガルマ国葬のあたりから明確に相容れない関係が描写されていっている。
後には全く悪びれることなくソーラ・レイで連邦諸共殺害するのも、彼をとことん疎ましく思っていたが故という印象が強い。
しかしこの父デギンをレビル将軍や多数の艦隊もろともソーラ・レイで殺害したことは、ア・バオア・クー戦の戦況をジオン側に大きく傾かせたが、
元々不仲だったキシリアの敵愾心を最大まで高めるきっかけにもなり、ア・バオア・クー戦中に殺害される。
ギレンの急死によるジオン軍の守備隊への悪影響は大きく*3、主戦場とは反対側のフィールドにいたブライトとミライですらジオン軍の防御力の低下を如実に感じ取っている。
元々連邦側もソーラレイの被害によって(要塞攻略としては)戦力が不足気味だったため、この暗殺による指揮系統の混乱がジオン側の最も致命的な敗因だという見方が強い。
結果的にこの事件がザビ家消滅の最大の要因に繋がった。

反面で、作中では実際にギレンから弟妹達に危害を加えた場面はほとんどなく、特にドズルに対してはギレンも意外と気に入っていた様子も描かれている。
ソロモン陥落・ドズル戦死の報告を受けた際には歯を食いしばりながら顔面を震わせ、それを聞いても冷淡な態度をとった父デギンに対して睨み付けるという、兄弟の情とも取れる反応を見せている。
「ギレンの野望 ジオン独立戦争記」では豪語するドズルに対して険しかったまなじりを緩めて微笑みを浮かべるという描写があり、小説版でもルウム戦役でドズルがザクに乗って飛び出したという報告を受けて苦笑した逸話がある。
父デギン殺害に関してもあくまで自身の戦略を積極的に妨害されたがゆえの巻き込み行為であり(実際、和平交渉に赴かない小説版ではデギンは最後まで生存している)
あくまで肉親的な情が希薄というだけだと思われる。
というよりは総帥としての責務を最優先に考えて、肉親相手に対してもあえて公人として振舞っていたとも言える。


富野由悠季氏の小説版1stや『密会』によれば、ザビ家によって排除されたジオン・ズム・ダイクンの名を
国家が冠している事に不満を抱いており、連邦打倒後にはいずれ「ギレン公国」に改称する考えを持っていたとされる。
尤も、キシリアからはジオンの名を排せば人民統一の実現はありえないと内心毒づかれていたが。

敵の総帥ではあるが内輪揉めであっけなく散ったため、自身を仇と狙うシャアや主人公のアムロとはこれといって接触することはなかった。



◆演説家としてのギレン・ザビ

機動戦士ガンダム本作や、その関連したメディアなどで多くの名演説を残しているギレン。
ガルマ国葬の「国民よ、立てよ国民よ!」や、ア・バオア・クーにおける「あえて言おう、カスであると!」などはその最たるものである。
その知名度や人気からパロディされることも多い。


主な演説

オリジン10巻

『今ここに諸君等有望なる新入生を迎えて、大いなる期待を禁じえない。
時代は現在、新たな局面へと向かいつつある!いかなる局面へか!?人類史の偉大な発展への局面である!!
宇宙に進出することによって、我々は無限の可能性を手にした。誰の可能性か!?人類全体のか!?
否!!
我等スペースノイドにのみ許された可能性であるっ!!
スペースノイドの新しい能力こそが停滞した人類史を打破するのである!
移民一世以来の困難な時代を経て、かつて棄民とさえ呼ばれていたスペースコロニーの住民達は選ばれた民となった!期せずして、人類史の最前列に立ったのだ!!
諸君は更にその前衛である!!エリートを自負することに躊躇するな諸君!諸君はエリートだ!選ばれた民の中から更に厳しく選抜されてここにいる諸君等こそ、コロニー社会の守護者であると共に新人類のリーダーである!
奮起せよ!
未来の将星をめざして邁進せよ!
我と我が戦線に加われ!!』


・ガルマ国葬

『我々は地球を追われ宇宙移民にさせられた。
そして一握りのエリートが宇宙にまで膨れ上がった地球連邦を支配して五十余年。
宇宙に住む我々が自由を要求して何度連邦に踏みにじられたことか。
ジオン公国の掲げる人類一人ひとりの自由の為の戦いを神が見捨てる訳は無い!
私の弟。貴公等の愛してくれたガルマ・ザビは死んだ。なぜだ!

(シャア『坊やだからさ。』)

地球連邦は聖なる唯一の地球を汚して生き残ろうとしている。
我々はその愚かさを地球連邦のエリート共に教えねばならんのだ。
ガルマは、諸君らの甘い考えを目覚めさせる為に、死んだ。
戦いはこれからである、我々の軍備はますます復興しつつある。地球連邦もこのままではあるまい。
諸君の父も兄も、連邦の無思慮な抵抗の前に死んでいったのだ。
この悲しみも怒りも忘れてはならない!それをガルマは死を以って我々に示してくれた!
我々は今、この怒りを結集し連邦軍に叩きつけて初めて真の勝利を得ることが出来る!この勝利こそ全ての戦死者への最大の慰めとなる!
国民よ立て!悲しみを怒りに変えて!
立てよ、国民よ!
ジオンは諸君等の力を欲しているのだ!
ジーク・ジオン


・最終決戦

『我が忠勇なるジオン軍兵士達よ、今や地球連邦軍艦隊の半数が我がソーラ・レイによって宇宙に消えた。この輝きこそ我等ジオンの正義の証しである。決定的打撃を受けた地球連邦軍に如何ほどの戦力が残っていようとも、それは既に形骸である。
敢えて言おう、カスであると!
それら軟弱の集団が、このア・バオア・クーを抜くことは出来ないと私は断言する。
人類は我等選ばれた優良種たるジオン国々民に管理運営されて、初めて永久に生き延びることが出来る。これ以上戦い続けては、人類そのものの存亡に関わるのだ。地球連邦の無能なる者どもに思い知らせ、明日の未来の為に、我がジオン国々民は立たねばならんのである!』


・番外『トニーたけざきのガンダム漫画

『記録によれば自動販売機というものは前々世紀において数学者ヘロンによって発明された聖水を売る機械が始まりであるとされている・・・・・・だが!!
それらが発展し何を生み出したというのか!?街中の販売機は未成年者の喫煙や飲酒を容易に可能せしめし・・・・・・人手を介さぬ売買は人身を乖離させ団結と友愛を阻む事この上なし!!そして金銭=物品という考えを植え付け物質文明に浸りきりの愚鈍な大衆を増やしたに過ぎないのである!
あえていおう!自販機などいらぬと!
そもそもが高度な機械技術であったものが大衆に浸透し拡散し・・・やがては店主の楽して儲けよう主義を支えるに至ったものである!!それこそが科学への冒涜であり軟弱たる連邦の根幹を成しているのではないか!?
即刻!撤去せよ!!』




◆関連メディア


〇機動戦士ガンダムシリーズ(含劇場版)


〇機動戦士ガンダム・漫画「ギレン暗殺計画

〇機動戦士ガンダム・「ギレンの野望」シリーズ

彼の名前を冠した「ギレンの野望」シリーズというガンダムのシミュレーションゲームがあり、
そこではMS、MAに搭乗させられる他、シナリオを進めることで、
  • ジオンvsエゥーゴ
  • ジオンvsティターンズ
  • ジオンvsアクシズ
  • ギレン・ジオンvsキシリア・ジオン
  • ギレン・ジオンvsガルマ・ジオン
といった、原作ではなかった戦いを起こすことも可能である。

一方外伝である「蒼き星の覇者」では主人公の地位はマ・クベとガルマ取られた上にイベント等でも殆ど関わらず
挙句の果てにはキシリアに「父殺しの罪で」一方的に暗殺され第一部で退場……とタイトル詐欺とも言える冷遇ぶりである。
*4

〇SDガンダムGジェネレーションDS

今作の序盤は一年戦争終盤をジオン視点で再現したシナリオ。
原作とは若干違ってキシリア本人の銃撃ではなく戦艦の射撃によって歴史から退場する…
+はずだった(ネタバレ)
彼は黒歴史の到来を防ぐべく遥か未来からやって来たムーンレイスから自らの辿る運命を知り、
ア・バオア・クーで戦死したように見せかけて生き残っていたのであった。
なんと今作は生き残っていた彼がラスボス…正確には黒幕なのである。
(彼自身が戦艦やMAで戦うわけではないが、
「世界を統治すべき者の手を血に汚させる訳には行かない」と、
後述のマシンチャイルド達が操るセンチュリオ軍団が実際のラスボスである。)
そうして歴史の裏に潜んだ彼は黒歴史を解析して得られたデータを基に、
肉体をDG細胞製ナノマシンで強化され、NT・コーディネーター・SEED等の要素をフィードバックした
人造生命体「マシンチャイルド」を作り出すのみならず、∀ガンダムやターンXのデータを基に
「量産型ターンタイプ」とも呼べるMSセンチュリオを造り出し、
世界を優良人種の物とすべくマシンチャイルドとセンチュリオの軍団を率いて、
その目的の障害となるエゥーゴへ戦いを挑むのであった。

生み出したマシンチャイルド達には「父」と呼ばれて慕われており、
彼も「それでエゥーゴを打倒出来るならば」と父と呼ぶことを許可している。
但し小説版1stの展開をなぞるライバルルートでは原作通りに一年戦争で死亡してしまう。
この時既にマシンチャイルドは完成していたのか、マシンチャイルド達は失った父のために本編とまた違った運命を辿ることになる。

スーパーロボット大戦シリーズ

スパロボでは最初期の作品においてこそガンダム系ラスボスとして出てくる場合が多かったものの、
α』以降の作品ではファーストガンダム(一年戦争)自体が扱われる機会が少ないためか、意外な程出番が少ない。
一年戦争が再現されている『GC(XO)』や『OE』でも、前者ではキシリアに代わりハマーンの手で暗殺され、後者では戦闘ユニットにならず、とやはり影が薄い。

機動戦士ガンダム Extreme vs.

プレイヤーナビとして登場。
8/1~8/10に先行リリースをかけてラクスと勢力戦を行った。
当初こそラクス有利(26:74)で圧倒的じゃないか(;ω;)などと言われていたが、その後にミスなのかと思える程の高オッズ(2.7倍)に、徐々に追い上げ、最終的に勢力戦を制した。
若干汚い勝利に見えるがむしろギレンらしい勝ち方である。


◆余談

  • 当初の構想
主人公アムロと一切顔を合わせることなく退場するという、この時代のロボットアニメとしてはきわめて珍しいラスボスであった。
打ち切りがなされなかった場合の構想が書かれている「トミノメモ」によると、最終回でアムロと直接対峙の後射殺される予定だったという。

  • モデル
モデルはアドルフ・ヒトラーで、監督の富野氏は銀河万丈氏に「ヒトラーの様に喋ってほしい」と指示したらしい。

さらに余談だが監督の富野由悠季はガンダムキャラの中で自分に一番似ているのはギレン・ザビだと言っている。
因みにジオン公国軍のモチーフは当初旧日本帝国軍だったがギレンの演技が余りにも堂に入っていたため徐々にナチスになっていったとされる。

  • 身長
ギレンの身長は190cmで、現実世界では非常に高いと言える体格である。
しかし、兄弟のドズルは220cm以上あるとされ、0083ガトーも195cmあり、
同作に登場するシーマも女性でありながらガトーとほぼ同じ高さがあった事から、
ガンダムキャラクターの中では中の上か上の下くらいの体格になってしまっている。


「諸君、アニヲタの子らよ、このWikiにあって安穏を貪り食っていてはならない!
聞け!項目の追記・修正を運命づけられた子らよ!」

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