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SCP-2534-JP

登録日:2026/03/26 Thu 23:16:10
更新日:2026/04/22 Wed 18:44:12
所要時間:約 13 分で読めます




SCP-2534-JPとは、怪異創作コミュニティサイト『SCP Foundation』に登場するオブジェクトの一つである。
項目名は「二束三文のアノマリー」。
オブジェクトクラスSafe

財団が極端に貧しい世界線という前提の元で書かれる『まずしいざいだん』カノンに属する作品の一つである。
+ 『まずしいざいだん』とは
「まずしいざいだん」とはSCP財団日本支部にて生まれたカノンである。その最大の特徴は『財団が財政破綻を起こしている』ということ。いつもの財団は出所不明の潤沢な資金で収容活動に勤しんでいるがこの世界の財団懐事情はカッツカツのようだ。

どれくらい貧乏かと言うと
  • カラーコピーは金が掛かるという理由から「まずしいざいだん」の報告書は全てモノクロ
  • ページ上部の本来『確保(Secure)収容(Contain)保護(Protect)』と書いてあるロゴ部分は『Su()Can(かん)Pin(ぴん)』の言葉と共に切れかけの電球のように点滅言うまでもなく本来の報告書ページはどこも点滅しない。なので手間がかかっているぶんある意味リッチである
  • 目鼻の利く有能な職員の多くは既に財団外へ再就職している
という共通設定に加え、一部作品では
  • オブジェクト達は収容房を脱走し、一部のオブジェクトに関しては財団自らがオークションに掛け販売している
  • 職員への給料どころか光熱費もマトモに払えない
といった有様でいっそギャグ漫画の様な体たらくである。

複雑な前提条件も無いためそれぞれで独立した記事が多くrate評価が三桁を越えるものも多い日本支部屈指の人気カノンと言えよう。

詳しい設定や用語、詳細情報は 本家サイトのハブページ を読んでいただきたい。


概要

SCP-2534-JPとは共通のマークが付与されているAnomalousアイテム群である。財団はマークの方をSCP-2534-JP-aに指定している。

Anomalousアイテムって?となっている人に向けて軽めの説明を挟むとAnomalousアイテムとは財団が『特別収容プロトコルを組むまでも無いが異常ではあるから収容しておこう』と判断したオブジェクトたちのことであり我らがアニヲタにも解説記事が存在する。

話を戻すとSCP-2534-JP-aはそういったAnomalousアイテム達の一部に浮かび上がったマークであり、円の中に『甘』『侃』『苛』といった漢字が品字様でデザインされた姿をしている。(品字様とは漢字の中でも「森」や「品」のように同型の字がトライフォース型に並んだ種類を指す言葉である)

現時点で財団下に収容されているSCP-2534-JPは四種類。それ以外は既に売却されてしまっている。
いずれも破壊耐性を有していないため破損防止の観点から実験や異常性の確認は禁止され、もちろんマークを消す実験も禁止されている。またSCP-2534-JP-aが非異常のアイテムに浮かび上がったことはなく、同じ模様を描いて非異常の物をオブジェクト化させることもできなかったとのこと。

報告書によるとこのマークの付いているAnomalousアイテム達は全て東北地方で発見されている。つまり東北の何者かが異常物品を量産している可能性が考えられるが、如何せん調査費が用意できないため調査は無期限延期となっているそうだ。

オブジェクトの売却だの調査費不足で無期限延期だのなんとも頼りないというか『まずしいざいだん』クオリティな話である。

特別収容プロトコルは
  • サイト-81E5の夏宮博士の研究室に段ボール箱に入れた状態で収容するよ
  • 新しくSCP-2534-JPが見つかったら出来る限り新しい段ボールは使わず使用中の段ボールに併せて入れておいてね
の2点。いつもなら「低危険物収容ロッカーにウンタラカンタラ…」と続くところがバッサリ「段ボールに入れておけ」と簡略化されてしまっている。ちなみに突然出てきた夏宮博士だが彼は当オブジェクトの収容経緯にて関わってくる人物である。詳しくは後述の収容経緯にてお伝えしよう。

それぞれのSCP-2534-JP

元AnomalousアイテムということもあってSCP-2534-JP達はそれぞれ別の異常性を持っている。報告書では「アイテム番号、説明、マークの箇所」を纏めた簡易版とAnomalousアイテムとして記録されていた頃の表記2種類が記載されているが、今回は後者のみを引用しマークの箇所は補足的に説明するという方式で進めていく。

誰かが見ていると涙を流す日本人形

山形県山形市██の民家にて回収された日本人形で涙として分泌される液体は非粘性の未知の液体らしい。SCP-2534-JP-aのマークは後頭部に存在するとのこと。なお追記では
普通、誰も見ていない時に髪が伸びるんですけどね。-██研究員
普通は何も起きませんよ。-██博士
というやり取りが繰り広げられている。

かなり緩い雰囲気で追記が添えられているがコレは『まずしいざいだん』ゆえのものではなく、実際に投稿されている多くのAnomalousアイテムがこのような雰囲気で書かれているというだけである。

注がれた高級ワインを消失させるワイングラス

宮城県大崎市のレストラン█████・███
にて回収されたワイングラス。なお30,000円未満のボトルワインは高級ワインと判断せず、その場合勢い良く倒れることで中身をぶち撒けるとのこと。SCP-2534-JP-aのマークは底面中央部に存在する。

中々小生意気なワイングラスであるが倒れた拍子に割れる危険性を考えると本人(本グラス?)にとっては決死の行動なのかもしれない。

追記では
30,000円未満のボトルワインも吐き出されました。舌が肥えているようです。-██博士
というコメントが添えられている。ワイングラスなのに『舌』とはこれ如何に

電流を流すと磁場が通常の逆向きに発生する銅線のコイル

青森県立██中学校の理科実験室にて回収されたコイル。本来であれば『右ネジの法則』に従うところだが、このコイルは言わば『左ネジの法則』に従って挙動するようだ。SCP-2534-JP-aは銅線同士をまたぐ形で側面中央にあるとのこと。

なお追記にて『このネジを所持していると右折できなくなる』という異常性も存在することが語られている。どちらかと言えば磁界の向きなんかよりソッチを説明として語るべきではないか…?この異常性に対応するため収容活動は右折も右カーブも無い経路を選んで運搬する羽目になったらしい。

背中を向けると視線を感じる万引き対策用ポスター

秋田県能代市の書店████にて回収されたポスター。『視覚外に存在する当ポスターの位置特定させその精度を測る』という実験では97%の的中率を見せたというのだからかなり強力な視線を発しているのだろう。実際にこのポスターが掲示されて回収されるまでの間、店舗での万引き発生件数が3割減少している。

追記では「回収しない方が店のためになるのでは」と危惧する研究員に対し「それでもそれが我々の使命だから」と説く博士が描かれている。

収容経緯

実のところSCP-2534-JPにつくマークの存在自体はSCP-2534-JP達がまだAnomalousアイテムとしてサイト-81E5にて収容されていた時期から既に把握されていた。重要性が低いとして本格的な研究が行われていなかったのである。
まあAnomalous自体『特別収容プロトコルを組むまでも無い異常物品』なのだから「謎の共通マーク」が現れたくらいではわざわざ研究し直すことも無いだろう。なんなら『まずしいざいだん』にそんな余裕ないし。

そんな事態が動いたのは2032年6月。以前から特別収容プロトコル付きのアイテム達を切り売りしていた財団だったが、Anomalousアイテム達を収容していたサイト-81E5の土地がとうとう売却対象となってしまったのだ。
土地を売るわけだから当然中に収容していた物たちも財団が処分する必要があるわけで、結局収容されていたAnomalousアイテムを全てアノマリーオークションに掛けることが決定した。

そんな折に夏宮博士によって書かれたのがこの『SCP-2534-JP』の報告書である。夏宮博士は出品されるAnomalousアイテム群の中から4つをピックアップしてSCP-2534-JPに認定し、自室への収容という形で保持したのだ。
報告書のあるオブジェクト、つまり特別収容プロトコル付きのオブジェクト達は先述の通り既に売却済のはずだが、何故夏宮博士は今さら研究価値のないAnomalousアイテム群を報告書に書き起こしたのだろうか。その真意は提出された「SCP-2534-JP収容申請書」の備考にて綴られている。


かつてはその場しのぎだったはずのSCiPオブジェクトの売却は、今や常套手段となっています。いや、そうせざるを得ないのでしょう。怪物を閉じ込める箱は壊れ、超常を見張る人員は枯渇し、怪奇を検知するプロトコルすら機能を停止しているのが現状なのですから。

しかし、そうして異常を売り払っていった財団に、果たして何が残るのでしょうか。

現時点で、財団の稼働中のサイト数は最盛期の10分の1以下に縮小しています。数々の人命と引き換えに確保した異常も、人類を守るために闇の中で生きる覚悟を決めたはずの職員たちも、今となってはその多くが財団の元を離れています。このまま異常の切り売りを当然のように続けていては、やがて財団はがらんどうの空き箱に成り果てるでしょう。おそらくは、皆さんも想像している通りに。

これまで財団は、人類が健全で正常な世界で生きていくために異常を収容し、保護し続けてきました。財団の未来が危ぶまれている今、何より保護しなくてはならないのは、その理念そのものしかありません。

幸いにも、私の研究室にはインテリアと本棚を売り払ったおかげで十分な空きスペースがあります。怪物を閉じ込める事は出来なくとも、些細な異常性しか持たない小さなアイテムを保管しておく事くらいなら可能です。

故に今こそ、我々にはSCP-2534-JPの収容が必要なのです。たとえそれが、この世界にとって取るに足らない異常であったとしても。

この項目では冒頭で「『まずしいざいだん』世界では有能な職員は既に財団を離れてしまっている」と述べた。しかしそんな掃き溜めのような場所でも確かに財団の信念はまだ消えていなかった。例え力が及ばなくともそれは財団の理念を捨てる理由にはならない。どれどけ落ちぶれようとも光熱費が払えなくなろうとも足掻き続ける財団職員の根性が垣間見える瞬間であった。

結局この報告書申請は『夏宮博士の指定したAnomalousアイテム群は全部合わせてもそこまで高額でないため』という情けない理由で受理されており晴れて夏宮博士はSCP-2534-JPの担当となったのだった。










補遺

若干の情けなさはあるものの概ね胸熱的な方向で決着のついたこの報告書にはまだもう一つ補遺が残されている。原作報告書ではこのパートが折り畳みとなっており見出しは『補遺-2032/8/7』。2032/8/7に起こった事案ということなのであろう。
その内容は夏宮博士がSCP-2534-JPを私的利用していることが発覚したというものである。

……………まずは状況確認といこう。報告書によると夏宮博士は人形、ワイングラス、左向きコイル、ポスターそれぞれのSCP-2534-JPを
  • 金属棒の先にワイングラスの持ち手を固定し棒の両端を紐で吊るす
  • 先述の金属棒に左向きコイルを固定する
  • 先ほどのワイングラスの上に頭が出るように人形を配置する
  • 人形の背面にポスターを設置
といった形に置いていた。ゴチャゴチャして分かりづらいため何が起きるかをピタゴラスイッチ的にまとめると
ポスターの「背中を向けたものに視線を投じる」という異常性と人形の「誰かに見られていると涙のようなモノを流す」という異常性を併せ常に人形から涙を流させる。

人形から溢れた涙は下にあるワイングラスの中に溜まる。

相手は30,000円のワインすら嫌がるワイングラスである。異常存在の垂れ流した涙などなぜ認めようか。というわけでワイングラスが涙を捨てようとする。

持ち手が金属棒と固定されているためワイングラスは金属棒を軸にした回転運動を行う。この時、倒れる方向は左向きコイルの右回転阻害効果により固定される。

涙を捨てて起き上がろうとしたワイングラスは左向きコイルに阻まれ、最終的に倒れてきた方向と逆側から起き上がり一回転することとなる。

人形による涙が途切れない限りワイングラスと付属の金属棒は回転し続ける

夏宮「永久機関が完成しちまったなアア~~!!これで無限電源は俺んモンだぜ~!!
というわけである。夏宮博士は金属棒の回転を動力として発電機を動かし、それによって得られた電力で冷房機を動かしていたのだ。

報告書曰く私的利用の動機は財団全体で冷暖房の使用が禁止された事。サイト-81E5のAnomalousアイテム群が売却されるという話を聞いた夏宮博士はそれらを組み合わせることで発電機を作ることができると考え、手元に置くために大層な言葉を並べてSCP-2534-JPをでっち上げていたのである。しかも左向きコイルに付いていたマークに関しては発電を安定させるために夏宮博士が捏造したものであるということも判明した。
結果として夏宮博士は即刻懲戒処分となっている。ついでに未払い分の給料と退職金も不支給となったとのこと。

その後SCP-2534-JPで作られた自動発電機は財団の所有物となりサイト-81E5の冷房設備電源としての適正を見込まれた。しかし部屋一つならともかくサイト全体の冷房を賄うなどただの回転発電機には重すぎる任務であり、加えて破壊耐性を有していないことからも安定性に欠けるとして結局この計画は廃案となった。


夏宮博士の言葉はどこまでが本心だったのだろうか。やはり財団にはもう高い志を持つ職員などいないのだろうか。
その答えはもう報告書には残されていない。

補遺2

2032/8/19、第58回定期インシデントという大層な名のついた「光熱費の引き落とし」が発生し財団は残されたSCP-2534-JP達もオークションに掛けることを決めた。4体のSCP-2534-JPの総額売り上げは1386円でありその中で最も高かったのは560円で落札された人形だったそうだ。
これをもってSCP-2534-JPのオブジェクトクラスは「Sold」、「売却済」の意を持つものへと差し替えられている。


追記・修整は財団の理念と明日の光熱費を憂いながらお願いします。


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最終更新:2026年04月22日 18:44