登録日:2011/06/13(月) 16:15:24
更新日:2024/10/12 Sat 15:58:52
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「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」は1966年7月31日に公開された東宝の怪獣映画である。
【あらすじ】
ある嵐の晩、船が転覆し船員5名のうち1名のみが助かる。
その船員は、船が大ダコとフランケンシュタインに襲われ転覆、自分以外の船員はフランケンシュタインに襲われたと語る。
そして海のフランケンシュタインの目撃が相次ぎ遂に羽田空港に上陸、犠牲者が出てしまう。
その後再度再度出現したフランケンシュタインに対して、
自衛隊がメーサー車を使ったL作戦を実行、追い詰める。
しかしその時、山からもう一体のフランケンシュタインが現れるのであった。
【概要】
フランケンシュタインの怪物を利用した日米合作作品の第2弾である。
前作『
フランケンシュタイン対地底怪獣』とは設定や出演者等が一部共通している。
(初期の脚本では前作の続編になる予定だったらしい)
本作では前作から引き続きシリアスでアダルトな内容になっている。
本作では怪獣同士のドラマが展開され、兄弟ともクローンとも言える同種の怪獣同士による対決は、哀愁を感じさせるものとなっている。
また、
東宝特撮でおなじみのメーサー車が初めて登場した作品である。
メーサー車での攻撃場面で流れるL作戦のマーチもあって印象深い。
【登場人物】
◆スチュアート博士(演:ラス・タンブリン)
フランケンシュタイン研究で有名な科学者。
当初は海の怪物はフランケンシュタインと考えていなかったが、細胞の研究でフランケンシュタインと同族と認めた。
ラストではサンダとガイラの戦いに巻き込まれたアケミの看病をしていた。
◆戸川アケミ(演:水野久美)
スチュアート博士と共に研究していた科学者。研究所でフランケンシュタインの世話をしていた。
研究所のフランケンシュタイン=サンダに助けられる。
◆間宮雄三(演:佐原健二)
スチュアート研究所の科学者。スチュアート博士に代わって海の怪物の調査に向かったり、
自衛隊に合流したりしている。
【登場怪獣】
◆ガイラ
怪獣図鑑などでは「サンダの弟」と記述されていることが多いが、本編内での誕生の経緯(登場人物の推測)は以下のようなもの。
研究所を脱走して琵琶湖に潜んでいた時に脚を擦りむいて流出したサンダの細胞が海まで流されプランクトンを食べて成長した姿。
海の過酷な環境の元で育ったためか凶暴で人間も食料とし、光を嫌う習性を持つ。
海で育ったためかウロコがあり、全体的に緑がかっている。
最初に船を襲って以来各所に出現、羽田空港へ上陸した。
その後上陸した際は習性を利用され山奥に誘導され、
自衛隊のL作戦により危機に陥るがサンダに助けられる。
その後サンダに介抱されるが、人間を襲ったことでサンダと対立、東京を舞台に戦う。
人に近い体型の怪獣で、前作同様25mと小柄なサイズである。このサイズの人を食べる怪獣が軽快に走って襲ってくるのは結構怖い。
空港で逃げ遅れた女性を捕まえてムシャムシャ食べるシーンは多大な
トラウマを植えつけた。
◆サンダ
本作が『フランケンシュタイン対地底怪獣』のパラレルとされるのがこのサンダの存在。
研究所にいた回想シーンから全身に体毛があるなど、前作のフランケンシュタインとかなり容姿が異なるが、
登場人物はこれを「フランケンシュタイン」と呼んでいたのだ。
山岳ガイドに発見され研究所で保護されていたが1年後に脱走し、山で成長した。
山育ちなためか全体的に毛で覆われており茶色い。
研究所で育てられたためか人は襲わず、またアケミには特に懐いている。
また凶暴なガイラに対して温厚で知性があるような描写もある。
ガイラに関しても仲間と思い、人間に攻撃された危機の際に山を下りて助け、介抱した。
しかし、ガイラが人を食べると知り、アケミも襲ったためガイラと対立し戦う。
先に生まれていたためか体格は30mと一回り大きい。
◆
大ダコ
作品冒頭で船を襲った。今回はきっちり海に生息する。ガイラと戦い敗れる。
前回作られたミニチュアを使用している。ちなみに海で大ダコが戦った東宝作品は本作のみ。
東宝特撮界のタコは水陸両用らしい。
【自衛隊】
本作の
自衛隊は
東宝特撮屈指の活躍をしており、またメーサー車が初登場したのもあって印象深い。
当初はメーサー車の登場予定は無いが、映画としての見せ場を作るために
本多監督が脚本に加筆、登場することとなった。
◆
メーサー殺獣光線車
詳しくは項目参照。
単純な破壊兵器ではなく「細胞の切れはしから再生する」というガイラを安全に倒すため、通常の砲弾などと違って生きた細胞が飛び散らないように、
「メーサー」で焼くという発想のもとで作られている。
本作が初登場なだけあり、そのデザインとミニチュア、秀逸な演出と活躍で作品を盛り上げた。
◆L作戦
対ガイラ用作戦でメーサー車と足元の殺人レーザーでダメージを与え、川に逃げ込んだところに川に流した高圧電流で攻撃した。
サンダが助けに来なければガイラは間違いなく倒されていた。
【余談】
もはやフランケンシュタイン要素がどこにもないためか、海外版のタイトルは『The War of the Gargantuas』となった。- 「ガルガンチュワ」とはルネサンス期の物語に登場する巨人種族の名。
- 『ゴジラ×メカゴジラ』及び『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』は世界観的に続編にあたる。
- 『東京SOS』では特生自衛隊にDNAが保管されている怪獣としてサンダとガイラが名前のみ登場している他、『ゴジラ FINAL WARS』の冒頭では過去に出現した怪獣としてガイラがちょっとだけ登場している。
漁の最中に海底からガイラに見つめられていたり、海岸で網を引いたらガイラがかかった人は追記・修正をお願いします。
- ちなみに今防衛省が、実際にレーザー砲搭載車の開発に着手しているとか!? メーサー車が実際に登場する日も間近いかも!!? -- 通りすがりの者 (2013-07-15 21:31:05)
- ガイラの人間捕食は、進撃の巨人の元ネタにもなってるんだといううわさも。 -- 名無し (2013-07-15 21:38:38)
- ブラピやタランティーノにデルトロ監督などハリウッドで妙に人気 -- 名無しさん (2014-07-27 22:27:10)
- ゴジラの解説本のIFで、行方不明になっていた二体が無人島で生き延びていて上陸してきたゴジラと戦うというのがあった。頭がいいし俊敏だからタッグを組めばゴジラでも手こずるだろうな -- 名無しさん (2014-12-07 21:30:54)
- フランケンシュタインでさえバラゴンボッコボコにしてるからな -- 名無しさん (2014-12-07 21:38:22)
- ↑体格差って知ってる? -- (2014-12-07 22:14:41)
- ブラッド・ピットはアカデミー賞授賞式で本作を絶賛した -- 名無しさん (2014-12-07 22:20:52)
- 実写版・進撃の巨人を観終えて、この作品の現代版なんだろうなぁーと感じた -- 名無しさん (2015-08-03 11:49:02)
- アメコミだと戦ってるよ、作者がちゃんと2人の性格とかも熟知してるなら読んでて見応えある -- 名無しさん (2015-11-22 00:47:50)
- 正直言ってガイラは一番ゴジラと対決して欲しい怪獣の一匹だ。双方凶暴さを剥き出しにして戦って欲しいと夢の対決を妄想してたな。 -- 名無しさん (2017-02-16 12:59:38)
- 結末の海底火山があまりに唐突…(まあこうでもしないと滅ぼせないか。破片から復元しちゃうような生命体だから)せめて序盤であの海底に火山脈があるといった伏線を張るべきだったと思う… -- 昼太郎 (2019-04-09 12:42:31)
- フランケンシュタインだからか、なんとなく不気味で人間っぽいデザイン。 -- 名無しさん (2021-12-12 20:27:01)
- 爆撃を肉片が飛散してフランケンシュタインパンデミックとか…近代兵器対策がなされた設定だな -- 名無しさん (2022-07-31 22:01:59)
- ガイラのほうは円谷英二の指示で腐った昆布にワカメもついた感じで汚く醜いデザインになり、初期では魚の鱗の他、甲殻類の外殻も持っている設定だった。捕食した生物の細胞をコピーするというのが初期構想なら蟹のハサミや大ダコの触手も使えた事になり、まさにツギハギのフランケンシュタイン。 -- 名無しさん (2024-01-03 15:24:59)
- ゴジラvsコング2ではガルガンチュア保険なる単語が出てきたが、ガルガンチュアは海外版のサンダとガイラの別名。 -- 名無しさん (2024-05-03 11:22:07)
- 山と海とで2つに分かれた2体のフランケンシュタインが、「海の山」に飲まれて1つに還るという詩的な -- 名無しさん (2024-10-12 12:26:48)
- 初代フランケンシュタインは好きだな -- 名無しさん (2024-10-12 15:58:52)
最終更新:2024年10月12日 15:58