総統閣下の塔

登録日:2011/11/06(日) 14:24:54
更新日:2023/01/15 Sun 17:57:02
所要時間:約 3 分で読めます




「ヘロー ヘロー 少年達、少女達、今日も悪いおじさんが抵抗の曲を聴かせよう。
あの馬鹿をもう一度おこすために」


終わりのクロニクル」や「境界線上のホライゾン」の作者である川上稔が、自身のTwitter上で公開した短編小説。現在はTwitterのまとめサイト及びpixivにて閲覧可能。
カクヨムの『川上稔がフリースタイルで何かやってます』でも一時最新バージョンが公開されており(現在はなぜか削除)、その縁から2021年1月発売の電子書籍『川上稔 短編集 パワーワードの尊い話が、ハッピーエンドで五本入り(2)』に収録された。
同作者の長編ライトノベルにおける一連の同一世界観、いわゆる“都市世界”とは関係無い話となっている。
…と長年思われていたが、後に2022年冬コミケ時発売された公式同人誌「25th」では、『パワーワードの尊い話が~』全編が世界観の一つ「OBSTACLE」*1に組み込まれている。

終始ノスタルジックな雰囲気が漂い、短編というよりもむしろ掌編と言えるような短さではあるが、青春時代に馬鹿をやっていた人は読めばきっと心に残るものがあると思うので気になったら読んでみるといいのではないだろうか?

作者の別作品同様、ギャグは存在するものの、ぶっちゃけ雰囲気が雰囲気なため、物語全体としてはとってもシリアス。
解る人に言えば同作者の短編小説である「」や長編ライトノベル「都市シリーズ」に近い雰囲気と言えば解り易いと思う。



□ストーリー

“それは戦争が始まる前のことだった”

物語は主人公“僕”が中等部時代を回想する前編と戦争後、故郷に帰ってきた“僕”が“総統閣下の塔”を上ろうとせる後編に分かれる。


○前編
当時、戦争を控えていた“僕”の住む国の元首である“総統閣下”は、国の各地に巨大な通信塔を自身の像として建設した。
“僕”は同じクラスのボーイッシュで人気者な女の子、“彼女”に片思いしたり、レジスタンスのリーダー“英雄”のレジスタンス放送を聞いたり、クラスの男子と協同して“英雄”の声真似でレジスタンスの真似事をしたりしていた。
レジスタンスの真似事は男の子だけの遊びだったが、“彼女”に頼まれて通信機を作り上げ“彼女”に渡す。
そして次の日、“総統閣下”が「セーケンホーソー」を流すため“僕”の国の“総統閣下の塔”を訪れる。
“僕”達は“総統閣下”の「セーケンホーソー」を潰そうとするが、“僕”達よりも先に誰かが放送を流し「セーケンホーソー」を潰す。“僕”はこれが“彼女”の仕業だと考える。

そこで戦争が始まり中等部時代を書く前編は終了する。


○後編
戦争から帰った“僕”は“総統閣下の塔”が壊されると聞き、“総統閣下の塔”に登ろうと画策するが、“総統閣下の塔”で、とある人物に出会い……。



□登場するキャラクター

○“僕”
本編の主人公。本編は彼の一人称で進行する。
片思いしたり悪いことに憧れたり巨乳に感動したりと、わりかし等身大の主人公。


○“彼女”
“僕”が想いを寄せる女の子。ボーイッシュでクラスの人気者。戦争中に何をしていたかは不明。“僕”に似てアグレッシブかつ結構バカ(褒め言葉)。


○“総統閣下”
“総統閣下の塔”を建てた人物。黒い大きな車に乗っている。戦後の消息は不明。
人情家でいい人疑惑アリ。


○“英雄”
レジスタンスのリーダー。厳密には登場しないが、“僕”含め多くの子供に影響を与える。




追記、修正頼みます

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最終更新:2023年01月15日 17:57

*1 様々な世界が誕生から崩壊までを無数に重ねた時代。