Linux

登録日:2012/04/22 Sun 21:05:44
更新日:2024/01/09 Tue 22:42:29
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「Linux」とはOSの1つである。

読み方は『リナックス』が一般的だけど、『リヌックス』『ライナックス』でも間違いではない。というか公式な発音は決まっていないらしい。
名前はカーネル開発者Linus Torvalds(リーナス トーバルズ)に由来する。

■そもそもOSって何だよ?

今、この記事を見てる人たちは殆どがWindows、macOS、Android、iOSと呼ばれる奴を使ってるだろう。まさにそれがOSである。
ちゃんと書くとOS(オペレーティングシステム)とは、「キーボードやタッチパネルからの入力やディスプレイ、プリンタへの出力といった入出力機能、ディスクやメモリの管理などパソコン全体を管理するソフトウェア」の事を指す。
まあ細かい理屈を抜きにすると、「OSっていう奴をインストールしないとPCを使うことは出来ない」となる。
厳密には昔はOSなんて代物はなかったり、特定分野のPCではあえてOSを入れていなかったりするが、気になるなら学んでみるのも一興だろう。

一般ユーザーに広く使われるOSは
  • Windows
  • UNIX
の2ついずれかの系譜に属する。
Windowsに関してはもう説明不要だろう。
昔のMacintosh用のOSは独自系だったが、Mac OS Xになってからは現macOSに至るまでUNIX系。iOSも同様。
UNIXについては本が一冊は書けるレベルの歴史があるので割愛。

■では本編、Linuxについて

LinuxとはPC-UNIXの仲間の1つというか、UNIXを参考にして当時学生だったトーバルズが真似て作ったもので、元々はマニアックなOSである。
ちなみに開発の動機は「PCが(当時としては)安価になってきていて割と容易に入手出来た → しかし、OSとして商用UNIXを使いたかったのだが高価だったので独自に似たOSを作ってしまった」という流れらしい。

Windowsに対する大きな強みの一つは、多くの場合「使うだけなら無料」ということ。
著名ディストリビューション(後述)のインストーラーもただでダウンロードできるし、手元でコピーしてもいい。
それでいて、(IT的に)長きにわたって改修や機能追加が重ねられてきたため、用途によるが機能も市販OSにひけをとらない。

ちなみに最初は違ったのだが途中でGNU GPLというライセンスにしたため、流行りだす前はUNIX互換OSの中では低品質だったのだが、権利問題がクリアとなっていたこと、Linux自身でLinuxを開発することが出来る事などから加速的に普及していった。
ただし、GPLは長所もかなり大きいが『GPL汚染』という問題*1も抱えているため、製作物にGPLを適用したくない場合はソフト開発時にlinuxの一部でも含めたりしない様、細心の注意が必要となる。
Linuxより他のモノでひっかかりやすいとは思うが。

長年、MicrosoftからはMacに並ぶWindowsの対抗馬として扱われていたが、近年では無理やり領分を広げようとせずに共存する動きが強まっている。
WindowsからLinuxを使うWindows Subsystem for Linux(WSL)の登場はその代表例だろう。


■Linuxの主な用途

サーバーとして使う

これが一番多い理由である。
企業のサーバーから個人のサーバーまでこのLinuxが使われており、実績も信頼性も十分ある。
atwiki等のWebサービスも大半はLinuxサーバー上で稼働しているはず。

Windowsにもサーバー用途のOSがあり、そっちはそっちでかなり便利なのだが、何せお高い。色々と。
小規模ならケチケチすんなよと言えるかもしれないが、サーバーの数や規模が大きくなると費用がやばいことになる。
ちなみに個人用Pro系のエディションで代用する場合、制限の関係でかなり小規模なオフィスのファイルサーバーを上回る仕事は難しい。

学術計算器やプログラムの勉強として使う

一応WindowsとmacOSでも使うこともできるが、科学計算としてプログラムを使う場合はLinuxの方が使いやすい。
元々はUNIXがよく使われていた分野であり、UNIXライクなOSを使いたいというある意味Linux本命の用途と言える。

壊れたPCの起動

無料であることとLinuxの種類によってはCDやUSBからブート出来ることを利用して、OSのブート部分などが壊れてセーフモードすら立ち上がらなくなったPCの起動に使い、HDDのバックアップを取ったりする。
他のOSでも同じことが可能だったりするが、代表的なのはLinuxだろう。
ちなみに壊れたPCと言ってもブート部分の復旧を試みるなど、症状によって出来ることが色々とあるので策の一つである。

自己満足

下記の通り個人用途ではぶっちゃけ使いづらいところも目立つLinux。
これを「仕事でLinux使っていて、PCごとに操作感覚変えたくない」「自分のPCは隅から隅まで支配したい」「マイクロソフトが気に食わない」等の理由から、頑なにLinuxを使う人もいる。

スマートフォン用OS

ご存じAndroidもLinux……ではない。
確かにLinuxの流れを汲んでいるが他のUNIX系や独自要素も組み込んだ新種のキメラである。

■Linuxって使いにくいの?

とりあえず、WindowsでPCを使い始めた一般ユーザーの目線で言うと使いにくい。

近年はかなりの操作をコマンド無しで出来る様になってきたが、それでもWindowsやMacの様に殆どマウスだけでOK、ということはまずない。
その為ズブの初心者がLinuxを使うと絶対に後悔する。

昨今ではパッケージなどが用意されていて、ずいぶん初心者にも優しい仕様になっているが、それに関しても必要な物を必要なだけインストールしてねという趣である。
どのパッケージがどういう物なのかは一つ一つ調べるべきである。当然手間がかなりかかる。
そしてやはりコマンドを自分で入力する必要があることもよくある。
コマンドについては同じUNIX系のmacOSと共通なのでMac利用者の場合は新たに覚え直す必要はない。

個人ならそこらは自己責任なので良いとして、企業だとセキュリティ対策で必要なパッケージを手軽に入れられないということも多く(そこらの規定がなければやりやすいが企業態度には不安を感じる)、その場合はPC熟練者であっても途端に難儀な状態に陥る。
ITエンジニアがmacOSを好むのはUNIX系商用OSで最も普及している部分も大きい(いざLinuxを使う際にも経験をそのまま活かせるため)。

他にもDRMやゲーム絡みはかなりハードルが高い。
最近ではLinux対応のゲームもちらほら出てきてはいるが、Linuxでハードを十分に生かせているか?という問題もある(これらの理由についてはすごく長くなるので割愛)。
ValveがLinuxベースのSteam動作環境を用意していたりもするが、ゲーム開発者、特に企業の多くは「Windowsでやってくれ」というスタンスなのが実情。

他OS向けのアプリを動かすことも出来なくは無いが、手間がかかったりパフォーマンスに影響が出やすかったりするため、個人用途では『OSを動かすこと自体が趣味』という具合になりやすい。

デバイスドライバーについてはもっと事情が厳しいので、マイナーな周辺機器を使ったりボタンカスタマイズ等の便利機能をフル活用したい場合も選択肢から外れる。研究用では逆にLinux用ドライバーしかないよ、というパターンもあるが。


IT以外の業務用途で見ても、人が触ることの少ないサーバー用途ならばともかく、個人PCでLinuxが使われることは稀。
バグや足りない機能は自己責任!というわけにもいかないので有償サポートを受けることになるし、導入やメンテナンス・マニュアルの整備・レクチャーなどが必要になるし、Office等の主要アプリケーションは動かないものが多いし……と難題が多く、下手するとWindowsやmacOSより高くつく。

ちなみにWindowsサーバーから切り替えたいという場合も結構な手間がかかったりする。
やれることは概ね同じなのだが、Windowsサーバーを使っていたということはWindowsと連携していることが多いため(Active Directoryなど)、些細なことでひっかかりやすい。
完全に熟知していれば問題にならないが、そこまでの知識と経験を積んでいる人はそんなに居ないだろう。

また、サーバーOSだけ見てもサーバー用途のWindowsOSはGUIなどは概ねWindowsと同じなので、お金はかかるがサーバー管理初心者でも操作やシステムの把握がしやすいという違いがある。

■その他特徴

初心者にこそ扱い辛いが、命令文を打てばほぼなんでも出来るという長所があるので、かなり自分好みに改造できる事が出来る。
それこそ「これで無料かぁ?!」という感じにも出来る。というか、慣れた人からすると「むしろWindowsの方が高くて余計なことするOS」と考えることも。

Linuxはコンピューターウイルスにかかりづらい、なんて言われることもある。
確かにサーバーはガンガン狙われている一方で個人利用は比較的マイナーであるため、Windowsと比べると少ないとの見方が主流。とはいえ、当然Linux PCを標的にしたマルウェアも存在する。
セキュリティ対策を徹底してなお安全だと言い切れないことは、Windows・macOS・Android・iOSも含めた全てのOSにも言えるし、どのLinuxのディストリビューションでも変わらない。
オープンソースなので、発見されたマルウェアや脆弱性への対処が比較的早くなるという特徴は一応ある。
ちなみに更新停止していたり更新の遅いディストリビューションにおいても自力での対策が可能だが、当然とても苦労するので現実的とは言い難い。

■有名なディストリビューション

ディストリビューションってなんぞや?という話や詳細な解説はLinuxディストリビューションの項を参照。

Redhat系

  • Redhat Linux
Redhat社が販売するLinux。
主にサーバ用に使われている。このLinuxの中の多くがオープンソースで公開されており、そこから多くのRedhatクローンが誕生した。
サーバであるため超安定思考であり、パッケージのバージョンの更新が遅い。
パッケージはRPM。

  • Oracle Linux
Oracle社の販売するLinux。
Redhatクローンで、さらに独自の機能を加えている。
あとRedhatよりも安い。

  • Fedora
Redhatクローンの一種。
最新技術を実験的に組み込んでいるが、それゆえやや不安定。
無料なので多くのユーザーがデスクトップ用途に使っている。

  • CentOS
Redhatクローンの一種。
無料で使える安定したサーバ用途のLinux。
無料サーバは格安レンタルサーバでもよく使われている。
Redhatと同じく安定思考であり、クローンでもあるため更新が非常に遅い。

debian系

  • debian

  • Ubuntu
「Ubuntu」とは、南アフリカの言葉で「他者への思いやり」を意味する。
その名前は見掛け倒しではなく、使い勝手が悪いと言われるLinuxの中では普段使いとしても比較的使いやすい部類。
ただ、デスクトップのインターフェイスであるUnityは評価が割れているようだ。
派生として、デスクトップインターフェイスをKDEに置き換えた「Kubuntu」などがある。

  • Linux mint

  • backtrack5

  • Ecolinux
現在東京大学に通う学生が高校の時に開発したLinux。
ubuntuをベースとしており、デスクトップ用途としては徹底した軽量化をしており低スペックでもある程度使える。

slackwave系

  • slackwave

SUSE系

  • SUSELinux

  • OpenSUSE

その他

  • Gentoo Linux
非常にシンプルなLinux。シンプル故、最初はほとんど何も入ってない。
また、プログラムは自分でコンパイルすることが前提。
教育や軽量な構成のマシンによく使われている。
ただプロジェクトがgdgdになったため今後はどうなるか不明。

  • Arch linux
主に開発用に使われているLinux。
gentooと同じく最初はシンプルだが、コミュニティで作成されたパッケージにより最初技術に割りと楽にありつける。
他のディストリビューションと違ってバージョン名、リリース日を持たないローリング・リリースを行っている。

現在ではGCC依存を解消する為LLVM/ClangでLinuxをコンパイルできるようにするLLVMLinuxというプロジェクトも立ち上げられているようである。


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最終更新:2024年01月09日 22:42

*1 大雑把に言うと、GPLのコードを使ってソフトを作ったら、そのソフトもソースコード公開が必要になる