「しかし、『エルニア帝国皇帝』が只の銀行の頭取と話すとは。随分面白い時代になりましたね?」
美しい銀髪に宝石のような赤い目、どちらかといえばドールのように可愛らしい顔立ちの女性――ガスペリ銀行頭取、リリアーナは開口一番、ビジネス用であろう笑みを浮かべながらシルフィーヌを品定めしてくる。
まるで、彼女の存在に幾らの値打ちがあるか、或いは彼女の国にどれだけの価値があるか。それを見定める鑑定人のように。
まるで、彼女の存在に幾らの値打ちがあるか、或いは彼女の国にどれだけの価値があるか。それを見定める鑑定人のように。
「時代は変わるものでしょう。エルニア帝国も変わりました。そしてイルニクス帝国も、貴方達共和国同盟の独立により変わりました」
「確かに、そうかもしれませんね。ですが――魔王の脅威は何時の時代も変わらないでしょう?」
「確かに、そうかもしれませんね。ですが――魔王の脅威は何時の時代も変わらないでしょう?」
多少はシルフィーヌに価値を見出だしたのか、リリアーナは姿勢を正し、茶に口をつける。
他国から輸入された白磁のティーカップは、今や『エルニア帝国』のエルフ達にとっては到底手が届かない貴重品だ。それこそ、貴族や皇帝でさえも。
それをさも当然のように扱えるリリアーナ。
これでは、只経済力を誇示されているだけではないか――そう思ったが口を噤み、なんとか取り繕いながら茶を飲む。
しかしどうしても手が震え、茶が波打つ。それを見逃さないリリアーナは、こう冗談っぽく話した。
他国から輸入された白磁のティーカップは、今や『エルニア帝国』のエルフ達にとっては到底手が届かない貴重品だ。それこそ、貴族や皇帝でさえも。
それをさも当然のように扱えるリリアーナ。
これでは、只経済力を誇示されているだけではないか――そう思ったが口を噤み、なんとか取り繕いながら茶を飲む。
しかしどうしても手が震え、茶が波打つ。それを見逃さないリリアーナは、こう冗談っぽく話した。
「よろしければ、土産の中にティーカップと茶葉を用意しましょう。勿論『ガスペリ銀行頭取として』ですが」
ああ、父様母様、そして姉様。目の前の女は、なんと残酷なのでしょう。