携帯のアラームが鳴る。
アラームに反応して水鳥は目を覚ます。
眠りが浅い水鳥にとっては、携帯の小さな音量でも目を覚ますには十分だった。
もっとも、非常に朝に弱いため、覚醒までにしばらく時間はかかるのだが。
ともかく、やや寝不足気味だが、学校へ行かなければならない。
身支度を済ませ、眠い瞼を擦りながら、いつも通りの学校生活へと歩みを進める。
水鳥にはここ最近悩みがあった。
シナリオ作りができない、本人にとって唯一の趣味が頓挫していた。
原因は至極単純、ネタ切れだ。
友人のいない水鳥は、自分自身が生きてきた環境の中でしか知識を得られない。
そうなれば必然的に話の種は枯渇するもので、今まさにその事態に直面していた。
何かいい案はないか、そんなことを考えつつ、自分のクラスの教室へと向かう。
考え事をしていれば、当然ながら周りへの注意力は散漫になってしまう。
それ故に、廊下で水鳥は誰かとぶつかってしまった。
ぶつかってしまった相手は女性で、背格好から上級生だろうか…ともかく…
水鳥は自分の不注意でぶつかってしまったことを謝り、すぐにその場を後にした。
ああ、またやってしまった…
考え事をしていて、周りが見えなくなるのは自分の悪い癖だ。
教室に着き、自分の席に座りながら朝の出来事を後悔していた。
なんとなく逃げるようにここにきてしまったが、
今思えばそれこそ相手に失礼なことをしてしまったと思った。
とりあえず、今度会うことがあったらしっかりと謝ることにしよう。
一旦考えごとをやめて周りに目を向けると、クラスの仲間内が所々集まって
色々な話をしていた。
中でも、一部の生徒達は今日見た夢の話で盛り上がっていた。
「夢」か…
そういえば、今までに作ってきたシナリオの中で、夢にまつわるものは無かった。
これは、思わぬところからシナリオアイデアを入手できた。
家に帰ったら、これを基軸に考えてみよう。
そんなことを考えているうちに、朝のホームルームの時間になるのだった。
最終更新:2019年01月30日 20:29