授業の時間。
今日の一時限目は日本史だ、それに合わせて教科書とノート、それからメモ帳も出す。
普通なら不必要なメモ帳、しかし水鳥にとっては大事なものだった。
このメモ帳、中には授業中に気になった単語がびっしりと書き込まれている。
これらは全て、TRPGのシナリオのネタとして書き込まれているものである。
内容は多岐にわたり、社会、国語といった文系は勿論、理科や数学すらもネタの範疇に含まれている。
水鳥にとって学校での授業は、ある意味でネタの宝庫なのだ。
もっとも、実際にシナリオとして活用できるものは1割に満たないのだが。
ただ、基本的に全ての教科でしっかりと授業を受けているからか、成績はそこそこ優秀な方である。
そして、数ある教科の中でも、日本史は割と好きな科目だ。
特に、歴史関連はシナリオ作成のネタにしやすい。
更に、今授業をしている日本史の先生は、授業内容以外の雑談が多く、ネタをたくさん提供してくれる人物だ。
今日も今日とて、授業内容は織田信長関連だが、全く関係ないゲルマン民族の大移動の話を繰り出している。
信長の話だと、桶狭間、金ヶ崎、本能寺辺りだろうか、これらは全てシナリオギミックとして使った経験がある。
しかし、ゲルマン民族の大移動か…聞き覚えのない言葉だ…単語がメモ帳に書き込まれる。
そんなこんなで、授業は進んでいくのだった。
放課後、水鳥は図書室に来ていた。
本を借りに来ていた、勿論シナリオのネタ探しのために。
習慣とまではいかないものの、たまに来ることはあった。
本を借りに来たのは今回で4回目だろうか、せいぜいその程度である。
ただ、書籍には自分では発想できないような話の展開を見つけることもあり、非常に参考になるときもある。
それ故に、特にシナリオ作りが停滞した場合に訪れていた。
図書室内は閑散としており、いるのはここで宿題を終わらせようとしているのが3人だけである。
今はスマホを使えば本や漫画が読める時代、この場所はあまり必要とされていないのだ。
ただし、スマホを持っていればの話であって、水鳥はガラケーなのだが。
閑散としているが、そんな状況を気にも留めず、水鳥は本を探しにいく。
本の選び方はずばり直感、タイトルを見てなんとなく気になった本を手にとる事にしている。
変に選り好みするよりも、この方が見識を広めることができるからだ。
そのため、極稀に大外れを引いてしまうこともあるのだが。
本の羅列を眺めて、気になったものを見つける。
クトゥルフの探索者もこんな感じで図書館ロールで本を探していたのだろうか。
リアルで図書館ロールがあったら、きっとあの時ファンブルしていたのだろう。
それはともかく、今回借りる本が決まる。
今回は3冊、
「Capacity 」
「夜天月下譚」
「誰かの為の物語」
今回選んだ本が当たりか外れか、内容は家に帰ってからのお楽しみということで。
選んだ本と図書カードを図書委員に渡し、手続きを済ませる。
返却期限は1週間だが、シナリオ作りが滞っている今ならすぐに読みきれてしまうだろう。
借りた本を鞄の中にしまい、図書室を後にする。
図書室から出たときに、不意に地面が揺れる感覚、小さな地震でも起きたのだろうか?
少し揺れたが、特に問題は無さそうだ。
そして、水鳥は家に帰るため、廊下を歩いていくのだった。
最終更新:2019年01月30日 20:35