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いちご #5

 
図書室の本棚の一角、そこで水鳥は本を漁っていた。
本棚の本を片っ端から開いて中身を検め、流し読みで自分に必要な情報かどうか見極める。
そして不要と分かり次第、本を戻し次の本に手をかける、その繰り返しだった。
自分が読んだ魔導書は、状況を理解する情報こそあれど、平行世界から脱出する方法や、自分に特殊な能力をもたらすものはなかった。
兎にも角にも、今は情報が欲しかったのだ。
もっとも、ここで情報が手に入る保証はない。
とはいえ、何もしないよりかはずっとマシな方であろう。

どれほど経っただろうか、携帯もなく時間を確認することはできないが、辺りが暗くなってきており、ここで中断しないと明るいうちに家に帰ることができなさそうだ。
まだ全ての本を確認できていないが、流石に日を改めた方がいいだろう。
そう思い、多少心残りもありつつ、作業をやめて校舎を後にする。
だが、校門から出ようとしたとき、不可解な現象が発生した。
学校の敷地の境目だろうか、そこから一切外に出ることができなかった。
透明な壁があるわけではなかったが、ある地点からどんなに力を入れても先へと進むことができない。
感覚としては、強烈な水圧におし戻されてしまうような感じだろうか、そんな経験なんてないので、ただの例えなのだが。
これは、所謂クローズドサークルというやつだろう。
一応、校門以外の場所でも試してみたが、案の定出ることができなかった。
そして、学校から出られない以上、緊急で確保しなければいけない案件ができてしまった。
先に校内から出られるかどうか試しておくべきだったと後悔する。
大きく溜め息をつき、水鳥は学校へ舞い戻った。

今確保しなければならないもの、それは衣食住だ。
つまりは、替えの服、食糧、寝る場所、この3つである。
特に今の状況を鑑みると、寝る場所は最優先で見つけなければならない。
現在、ほぼ全ての場所で明かりが点いていないため、僅かに残っている西日が頼りとなっている。
スイッチを探せば明かりを点けることができるだろうが、ほぼ暗闇になりかけている今だと見つけにくく、時間の無駄となり得るだろう。
懐中電灯でもあればいいのだが、同じく今探すのは愚策、ライト代りにできる携帯もない。
とにかく、寝床の確保が最優先なのだが、水鳥には心当たりがあった。
すぐにその場所にたどり着き、扉を開ける。
鍵はかかっておらず、すんなりと扉が開いた。
そこは、保健室だ。
今までここに来る用事はなかったが、常識的に考えればここにはベッドがある。
多少、病院関連特有のにおいは気になるが、さして問題はないだろう。
とりあえず、真っ暗になる前に部屋の中を探索する。
少し気が咎めたが、今は緊急事態、クトゥルフの探索者並みに豪胆に行かなくては。
ぱっと見ではベッドは2つだったが探索の結果、奥にもうひとつベッドがあるのを見つけた。
やや隠されているように配置されており、少し疑問に思ったが、現状ではむしろ好都合かもしれない。
それ以外にも懐中電灯も見つけることができた。
これで、夜でも探索を続行できる条件ができた。
しかし、何が起こるかわからない状況下では、流石にリスクに見合わない。
大人しく朝を待つ方が賢明だろう。
そうこうしているうちに、完全に日が沈み真っ暗となってしまった。
今日は、これ以上の行動は控えた方がいいだろう。
仕方なくベッドに横たわり、目を瞑る。
願わくば、今日の出来事が全て夢であらんことを。







 

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最終更新:2019年01月30日 20:59
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