ヴィクトル
概要
赤色のサングラスに、紫色のノースリーブのシャツに白い襟のようなものが付いた服を着用している。
ケニアというアフリカ圏の
メダロッターが、体力のみならず知力も重要視される
ロボトルの世界チャンピオンという地位に収まったことは、現在もなおアフリカ圏出身もしくは、アフリカにルーツを持つアスリートが、遺伝子的面や歴史的面が理由でスポーツに強いという差別的な評価をされてしまっている点で、画期的だったといえよう。
なお、ヴィクトルに限らずアニメオリジナルキャラクター全員に言えることだが、彼らは版権の都合により、ゲーム作品に登場することは叶わなかった。
だが後年、
メダロットSにおいてアニメ版とのコラボイベント、「
メダロットアニメコラボ 開幕!ロボトル世界大会」開催と同時に
スーパーレアのメダロッターとして実装。
彼の登場するシナリオこそゲーム版とは世界観が異なるため存在しなかった。
だがメダロットS、ひいてはシリーズ初の、アニメからの登場キャラクターとなった。
性格
その過去もあってか、ストイックなアスリート気質。
自己管理も徹底しており、
ルミから中華料理店で酒を勧められた時にも、
余計なものは口にしないと断ったほど。
だが一方、メダロットと対戦相手に対しては非情。
多くのメダロッターがメダロットを友達と見なす中で、
彼はメダロットを道具扱いしている。
相手の
メダルも眉ひとつ動かさずに奪い去る態度は冷酷そのもの。
さらにベルモットの体調不良を理由に試合を延期してほしい、という
アリカの懇願すらも一蹴していた。
道具扱いしていたのは仲間に対してもまた同じで、眉ひとつ動かさずにブラウダにサクリファイスミッションを命じ、ゴリオンゴー諸共ベルゼルガを破壊。
さらに、イズベスチャのライノラッシュも平然と盾にして、スミロドナッドのメダフォースを防いだほど。
また、境遇の違いこそあれどイッキに対して辛辣な態度をとったこともあり、劇中描写は本質的には悪人ではないが、完全に悪役ーーヒールそのものであった。
ヴィクトルの過去
八年前の
魔の十日間事件の折に、ヴィクトルの両親と妹は行方不明となった。
さらにヴィクトルも、その場に居た
ウォーバニットに銃を向けられてしまう。
ヴィクトルは辛くも生き延びるも、家族は死亡したと踏んでいる。
その後祖国は内戦状態となり、天外孤独となった彼は
メダロットの軍事利用を目論んでいた某国の
メダロット部隊に拾われ、軍人となる。
その国が滅ぶと、傭兵として活動するようになる。
その後彼は、賭け
ロボトルで金を稼ぐうちにとある組織に拾われて、
ロボトル世界大会に出場する事になるのだった(つまりこの間実に4年間)。
自身から全てを奪ったメダロットはヴィクトルにとって、生きる糧を得るためのただの道具でしかないのだ。
能力
その強さは一言で言うとチート。
そして
ゲーム中のスペックとメディアでの描写は必ずしも一致しないことを鑑みても、パートナーの
ウォーバニットもまた、圧倒的なスペックを誇る。
シュートバレルは会場の床を大きく抉り、その動きは
メタビー、
スミロドナッドの両機を圧倒。
ナースちゃんが防御しようとした際にも、肘打ちで掣肘して防御をさせなかったほど。
挙句の果てに、
アイスランド代表チーム戦では、二脚だてらに空中で平行移動を行う(※)ほど。
さらに、
レアメダルのため、
メダフォースまで操る。
メダフォース以外は、特殊な改造で何とかなるのかもしれないが、ヴィクトル本人でさえ、
「右コンマ〇〇度修正、
ファイア!」などと指示するスーパーメダロッターなので、普通の人間ではまず敵わない。
ジョーがデストロイミラージュという、ルール違反のグレーゾーンを突く手段をとろうとしたのも当然ということだ。
元軍人様々である。
※飛行タイプ以外の
メダロットには、恐らく空中での姿勢制御用の推進器の類は付いておらず、加えて宇宙空間でもないため、反動を活かして移動することも不可能なハズである。
劇中の活躍
決勝までの道のり
決戦前夜
だが決勝前日、ヴィクトルのある事実が
ロクショウによって暴かれる。
ヴィクトルは、
ロボトル世界大会組織委員となっていた
サケノスケと
ルミにベルモットから奪った
メダルを渡していた。
彼はロボロボ団に金で雇われ、メダルを奪っていたのだった。
しかもその日、ヴィクトルはたまたまチドリの車に水をはねられ、
何度も断ろうとしたものの、天領家ーー対戦相手たるイッキの自宅に招かれた。
濡れた服を選択してもらい、風呂に入ると
チドリから夕食のすき焼きを振る舞われる。
そこに帰ってきた
イッキとの間に気まずい空気が流れる中、チドリが買い物に出ていったことで、ついに
イッキは
ロクショウから知った話を切り出す。
彼に対して、ヴィクトルは過去に起こった出来事の全てを話す。
そして、彼の生まれた国とは違い平和で恵まれた環境にある(※)イッキを、怒りとも憎しみともつかない感情を込めて
満腹メダロッターと辛辣な言葉をぶつけ天領家を後にした。
チドリの優しさーー家庭のぬくもりは、ヴィクトルには響くことはなかったのだった。
※現実の2020年代日本は、本作で描かれた近未来の日本とは異なり、政治の失策などによって格差が広がり、決して誰もが恵まれているとは言い難い点がある。
世界大会決勝
ヴィクトルはこの事態を止める術が、レアメダルの破壊しかないことを快盗レトルトから聞かされ、ウォーバニットのメダルの破壊を即断。
だが、それは一番確実であるが、楽な選択肢でもあった。
パートナーへの弔い
イッキはヴィクトルを制止すると
メタビーを止めようとして、その精神世界に入り込むという危険を冒しながらも、何とか
メタビーを現実に呼び戻すことに成功した。
メダロットとぶつかりあいながら友情を育む、厳しくもある選択肢を選んだイッキとメタビーが、事態を収束させたのだ。
復活した
ウォーバニットは、
メダロットと人類がどちらが偉いかという話ではない、とドクター・ヘベレケの計画を否定。
計画が頓挫したことで逆上したドクター・ヘベレケは、自身を模した
メダロットを投入。
しかし
世界大会の猛者達の前にほとんどが撃破され、スタジアムも
スミロドナッドのシャドウソードで墜落。
窮地に立たされたドクター・ヘベレケに対してヴィクトルは、引導を渡さんと殴り掛かろうとしたが、それを狙ってドクター・ヘベレケ型
メダロットが銃口を向けた。
彼をその光条から守ったのは、
ウォーバニットだった。
ヴィクトルは命令以外の行動をとったことを咎めたが、ウォーバニットは
私のパートナーはあなたしか考えられないと告げ、ドクター・ヘベレケ型メダロットの爆発に巻き込まれて大破した。
ウォーバニットの言動の数々は、メダロットーーウォーバニットをただの道具として扱ってきたヴィクトルにとって、驚くべきものだった。
セレクト隊が救助に現れた中でヴィクトルは、スタジアムにひとり残った。
こいつにも弔いは必要だ、とだけ口にして。
彼の心境に少なからぬ変化があったのは、言うまでもないだろう。
再出発
崩壊したスタジアムに残っていたヴィクトルだったが、ウォーバニットのカブトメダルがメタビーが引き起こした先祖返りにより光を放っていたのを見ると、スタジアムを離れる。
ドクター・ヘベレケとの決戦には間に合わなかったが、彼には戦うべき相手ーーイッキが存在した。
世界大会の一件によって、メダロットという存在への認識を改めたヴィクトルは、今までとは違う晴れやかな顔でイッキに再戦を申し込む。
そして
ヒカルが用立てたレプリカモデルによって復活した
ウォーバニットと共に、イッキと
メタビーと再びロボトルに及ぶ。
その結果は最終回の特別版エンディングのカットによれば、
イッキの惨敗。
精神面が変わろうとも、彼の強さは本物だったということである。
その後のヴィクトル
最終回の特別版エンディングでは、
何故か天領邸で食事をしているシーンが描かれている。
次回作である
メダロット魂では、彼に限らず一部主要人物は姿を見せなくなった。
だが、エンディングの写真のカットの中に、
チドリと写っているものがある。
恐らくは先の天領邸での食後に撮ったものだろう。
後年の作品への影響
ヴィクトルはアニメ版オリジナルキャラクターである。
だが、後年の
メダロットシリーズ作品のキャラクターには、彼の設定をオマージュした様なキャラクターが登場している。
コンゴ代表イーグルは、
アフリカ圏のメダロッターである点や、
アークビートルDと
ティレルビートルーー
KBT型とKWG型という主役格のメダロットを使用していた点や、緻密なロボトルをしていた点がヴィクトルに近い。
ただしイーグルは、ヒールとして描かれたヴィクトルとは異なり、
ベビーフェイスかつ味方側であった。
関連人物
最終更新:2023年12月08日 12:42