『天外魔境 真伝』(てんがいまきょう しんでん)は、ハドソンより発売された、対戦格闘ゲームである。
1995年に、SNKのMVSソフトとしてリリース。ROM容量は202Mbit。
実際の開発は当時設立して日が浅いラクジンが担当しており、これがデビュー作でもある(ハドソンは開発のサポート及び監修面を主に担当)。
同時にハドソンのNEOGEO参入第一弾タイトルでもある。
同年7月28日に家庭用NEOGEOソフトとして、12月8日にはNEOGEO-CD版が発売されている。
海外版のタイトルは『KABUKI KLASH』(発売:ハドソン/販売:SNK)。
PCエンジン用ゲームにして、同ハードの世界初、コンシューマ機用CD-ROMシステムである、
「CD-ROM2システム」でリリースされたRPG『天外魔境』シリーズのメインキャラクターが中心に登場する。
「P.H.チャダ著『FAR EAST OF EDEN』を原作とするRPG」という本家シリーズの設定に倣うなら、
本作は「海外小説を原作としたRPGを原作とした格闘ゲーム」という設定になる。
キャラクター
システム
1レバー+4ボタン構成。ボタン単位では小と中、同時押しで大攻撃となる「疑似6ボタン構成」となっている。
Aボタン -小斬り
Bボタン -中斬り
AB同時押し-大斬り
Cボタン -小蹴り
Dボタン -中蹴り
CD同時押し-大蹴り
また、BC同時押しで大攻撃を上回る「特大攻撃」が使える。
言うなれば「吹っ飛ばし攻撃」に近く、特大攻撃で
必殺技は出せない。
ジャンプ中に特大攻撃を出すと斜め下に武器を投げる。
投げた後はもちろん素手状態になるが、一部キャラは武器投げではなく衝撃波のようなものを出すので素手状態にもならない。
SNKの『
サムライスピリッツ』シリーズに似ている「武器対戦格闘」であり、全員武器持ちで、状況によって武器を落として素手状態にもなる。
その他、所々で『サムスピ』を意識している点がある(試合中に飛脚役のカラス天狗がランダムにアイテムを落としていくなど)が、
『サムスピ』シリーズのような一撃の重さよりもテンポを重視しており、
コンボを繋げていくこれまでの対戦格闘ゲームと感覚は似ている。
また、武器を持っていない時の対処として
通常技のコンビネーションを全キャラ1つずつ持っている。
このゲームの最大の特徴は、
必殺技とは別に共通コマンド「↓↓+A、B、C」で使える「術」と呼ばれるものをそれぞれ持っている点。
これは
飛び道具のような直接攻撃技の他、自分の攻撃力を上げたり相手の動きを遅くしたりする補助的なものまでバラエティに富んでいる。
画面下にある術ゲージが満タン時に使え、所謂ゲージ技に相当する代物であるが、この術ゲージは時間が経てば自然に回復する。
ただし、それぞれ使用した技によって回復のスピードは違うため、飛び道具感覚で使いまくれるもの、
通常技を絡めてここぞというポイントで使うもの、といった戦略的な使い分けが重要となっている。
綱手の金剛バグや
1Pと2Pで処理の優先順位により微妙に判定が異なるという仕様があったりするものの、
ゲームバランスは比較的良好なレベルであり、対戦格闘としてはかなり優秀なゲームである。
ただ、市場に出回った本数が極めて低く、家庭用NEOGEOソフトやNEOGEO-CDソフトもそこまで生産されなかったため、
良作でありながら知名度は低めとなっている。
ちなみに、このゲームは技名の多さなら群を抜いている。
通常技に技名が設定されているものは昔の作品では珍しくないが、
近距離、遠距離で技が別物扱いになる(しかしキックだけ例外)のに加え、素手状態の技も名前が設定されているため、
必殺技や術を含めれば、大抵のキャラはかなりの数の技を持っている。
トップは主人公の
戦国卍丸が
73。
追随するように、
極楽太郎、
綱手、
大蛇丸、
カブキ団十郎が
60越え。
少し離れて
八雲、
絹、
自来也、ボスキャラの
マントーAとカラクリ兵が
40~20後半と段々数字がダウンしていく。
ラスボスの
邪神斎(ルシフェラー)に至っては
一ケタという有様である。
余談ではあるがNEOGEO-CD版のサウンドは、CD-ROMという事で当時のハドソンのCD-ROM2ゲームでの主力アレンジャーによる編曲であり、
ROM版とはまた違った非常に聴き応えのあるアレンジとなっている。
MUGENにおける天外魔境 真伝
何体かは入手不可となっているものの全キャラが製作されており、作品別大会などに顔を出している。
大将に抜擢される事が多い卍丸の他、極楽、綱手、大蛇丸、カブキ団十郎、阿国が実力も高く出場機会も多い。
中でも特に綱手の人気が高い。可愛らしい
ドット絵と、強い
AIが人気の秘訣だと思われる。
最終更新:2024年09月20日 06:39