概要
SNKの2D対戦型格闘ゲーム。通称は『サムスピ』『侍魂』など。
海外版のタイトルは "SAMURAI SHODOWN"(Shodown=Showdown: 対決、決着)
下記に挙げた各作品の他、ゲームボーイで『熱闘』シリーズ2作が、ネオジオポケットで『サムライスピリッツ!』シリーズ2作が発売されている。
「アニメ」、
「RPG」、
「ハイパーネオジオ64」、
「ポリサム」*1 、
「ナコりもの」、「閃」とか言ったら
右京さんが
血を吐くのでやめて下さい。
「ガハァ!」
『
餓狼伝説』、『
龍虎の拳』と共に、90年代前半のSNKの躍進を支えたSNK第三の格闘ゲーム。
登場人物全員が何らかの武器を持っており、大きな特徴として一発あたりの威力の高さが挙げられる。
これ以前にも武器を使用する格闘ゲームは存在していたが、これらはあくまで「キャラが武器を持っているだけ」で、
ゲームシステムから演出まで本格的に「武器」を主軸に置いたゲームは本シリーズが初。
凝った演出も特徴で、
BGMやリアルな
SE、
斬撃時に舞う血飛沫など、徹底的に「時代劇」を意識した作りになっている。
『初代』などでは敗北すると胴体が切断されるなど、「死」が明確に描写された数少ない格闘ゲームであったが、
殺傷事件などの影響でシリーズが進むにつれて表現がソフトになっている(『零SP』、海外版『閃サム』、『令サム』除く)。
剣劇格闘ならではの残虐表現だが、国内外を問わず常に賛否両論の声があり、しばしば問題に発展してもいる。
にも拘らず、『零SP』と2019年版以外の全作品が「B」(12才以上対象)なのは、CEROの正気を疑わざるを得ない
操作方式は作品によって異なるが、レバー+4ボタンもしくは同時押し二種で擬似6ボタンが基本(MVSが4ボタンのため)。
ゲーム内容として他の格闘ゲームと一線を画するのは、「一撃が重い、駆け引き重視」な点。
カプコン格闘で例えるとろくに
コンボが出来ない『
ストリートファイターIII』、もしくは攻撃力を上げた『
ストII』的なゲーム…だろうか。
反面、技の隙が大きい場合が多く、一撃一撃が非常に重い意味合いを持つ。
いかに相手の攻撃を食らわず、ギリギリの間合から自分の攻撃をねじ込むかという駆け引きが重要視される
(この点は剣道をはじめとする刀剣を使用するスポーツと同じであり、侍同士の戦いという意味で優れた再現である)。
つまり
差し合いが全てのバランスで、2000年代以降のコンボゲームとは正反対のスタイルであり、
一般的な格ゲーのセオリーが通用しない部分が多い。
参考動画(注:これは極端な例で、もちろん全ての組み合わせがこのようではない) |
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他の格闘ゲームやMUGENにおいても、技を多く振らずじりじりと間合いを計るような
緊張感溢れる駆け引きが展開されると(例:『ブレイブルー』のハクメンVSテイガーや『
アカツキ電光戦記』の
不律同キャラ戦など)、
しばしば「
サムスピでやれ」等と言われる事が、このゲームの対戦の異質さを物語っている。
数多の格闘ゲームの中でもその存在はひときわ異彩を放っており、作を重ねるごとに目新しい新システム(必要性は別として)や、
個性の強いキャラが追加されるため、「SNKの実験場」と評される事もある。
『初代』からして
普通の侍よりも怪しげな忍者の方が多い事がこの作品の型破りさを表していると言えるだろう。
また、独自のファン層を持ち、他のゲームに浮気せずサムスピ一本に絞ってプレイするプレイヤーが多いため、
やり込みのレベルが非常に高く、「職人」と呼ばれる上級者が各地に存在する。
これまでにWiiバーチャルコンソールで『初代』から『天』までのネオジオ版が、
PS3ゲームアーカイブスで『初代』から『天』までのPS移植版と『零』と『剣』のPS2版が、PS4/Vitaから『零SP』が配信されている。
『零SP』を除いた2Dシリーズ6作を纏めた『サムライスピリッツ 六番勝負』も販売されているのでそちらを買うという選択肢もある。
また、各種ゲーム機にて配信されている『アケアカNEOGEO』シリーズにラインナップされており、シリーズ作品が順次配信されている。
そしてアーケード版の『初代』から『零SP』、そして幻の『零SP完全版』まで収録されている『サムライスピリッツ ネオジオコレクション』も、
PS4、Switch(両機種版はパッケージ販売あり)、PC(Steam、Epic Games)にて販売および配信となっている。
各作品毎のキャラランクについては
こちらを参照の程。
なお、『サムライスピリッツ』シリーズの各作品を時系列順に並べると以下のようになる。
+
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時系列簡易まとめ |
零┯令サム━初代━斬━天━真━ポリ2作┯[20年後]━蒼紅
└零SP完-剣 ┘ └閃 (←↑分岐パラレル?)
- 上表に無い零スペはストーリーが無いお祭り作品のため時系列からは完全に外れている。
- ただし完全版は『剣』に繋がるプレストーリーが描かれている。
- RPGの『武士道烈伝』は「邪天降臨之章」が『初代』、「妖花慟哭之章」が『真』をベースとしているが、それぞれパラレルに近い。
- ナコりものは『初代』と『真』の間と一応されているものの矛盾が多く、そのままでは年表に組み込むのが難しくなっている。
- 『零』は当初はどの時系列にも属さないパラレルの予定だったが、
その後正史の年表で最初に組み込まれる事になったため、一部の設定に過去作とつじつまが合わない箇所が出てきてしまっている。
- 『剣』は基本的には他作品から見るとパラレル世界だが、『零』の一部キャラのEDと繋がっており、一部キャラのEDは『初代』にも繋がる。
- 『閃』は他シリーズとの間にいくつか矛盾点があり、ファンの中では『閃』はパラレル(或いは『蒼紅』をパラレルにし『閃』を正史扱い)
なのではないかという考察をする人もいる(ただし、公式にパラレルであると明言された訳ではない)。
年代ごとの出来事をまとめて考察しているサイトもあるので、気になる人は検索を。
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SAMURAI SPIRITS
武士道トハ 死ヌコトト見ツケタリ
修羅道トハ 倒スコトト見ツケタリ
我、悪鬼羅刹トナリテ
目ノ前ノ 敵スベテヲ…
斬ル!!
1993年7月にMVS(業務用NEOGEO)で稼動。通称は
『無印』『初代』など。
ROM容量118Mbit(MbitはMBの8分の1の単位で、8Mbit=1MBとなる)。
当時SNKはこの作品にあまり期待していなかったのかろくに宣伝もされていなかったが、
プレイしてみて初めて分かる独自の面白さ、というか斬新すぎる発想が話題となり、予想外の大ヒット。
そのリアルに手応えが残る、
バッサリ感に定評のある
SEから
「社内で人を斬っている」とまで噂されていた。
主人公は
覇王丸で、右京さんが(一応の)ライバルキャラ。ラスボスは
天草四郎時貞。
また格ゲー界の元祖清純派と言える
ナコルルの人気が爆発し、一大センセーションを巻き起こした。
本命と見られていた『餓狼伝説スペシャル』『スーパーストリートファイターII』『
ワールドヒーローズ2』を押しのけ、
'93年度ゲーメスト大賞他、各部門賞を総ナメにした伝説的ダークホース作品である。
システム面で特筆すべき事は、とにかく強斬りの異様なダメージ。
いかにガードをこじ開けて相手をぶった斬るか、というシリーズ共通の戦略は既にここで完成しており、
この得も言えぬ快感の虜になったゲーマーは数知れず。むしろ
必殺技の方が使いにくく、
超必殺技にあたる技もない。
ゲームを盛り上げるサブシステムもシンプルながらバランス良く揃っているため、
現在も本作が『初代』にしてシリーズ最高傑作とする声が多く、大会や対戦会も開かれている。
ニコニコでは定期的に
北河内武芸帳
でハイレベルな試合がUPされているので、気になる人は参照を。
- 操作方式
- 1レバー+擬似6ボタン
(A: 弱斬り、B: 中斬り、AB同時押し: 強斬り、C: 弱蹴り、D: 中蹴り、CD同時押し: 強蹴り)
同時押し入力受け付けがかなりシビアなため、ここぞという時に弱斬りが暴発する事があり泣ける。
ゲーセンによっては基板を改造し、カプコン風の純6ボタンに設定されている事も多い。
- 怒りゲージ
- 画面下部に表示される「怒」と書かれたゲージ。ダメージを受けると増える。
MAXになると怒り状態となってキャラの肌が赤くなり、ただでさえ高い攻撃力がさらに上昇。
一定時間が経過すると怒り状態は解除され、ゲージも0に戻る。
サムスピの基本、これが無くては始まらないという程の超重要システム。
- 攻撃力補正
- 残り体力が少なくなると補正がかかり、攻撃力が上がっていく。
これにより体力1ドット・怒り状態の強斬りなどは凄まじいダメージを叩き出す。
- 画面の拡大・縮小
- 間合に応じてキャラの大きさとステージの表示幅が変化。
ズームイン時も「龍虎の拳」ほどキャラは大きくない。
- 踏み込み(ダッシュ)
- レバーを前に素早く2回入力。ラン型。ダッシュ後一定距離は止まれずガードも出来ない。
- 引き込み(バックステップ)
- レバーを後ろに素早く2回入力。そのまんま。無敵等は無し。
一部キャラのみバックステップ中に空中必殺技が出せる。
- つば競り合い
- ラウンド開始時ランダム及び互いの武器攻撃がタイミング良くぶつかり合うと発生。
連打勝負(実はほぼランダム)に移行する。
負けると武器を弾き飛ばされ素手状態になるが、両者の武器が飛ぶ、どちらも飛ばず空中戦に移行するなど、
様々なパターンが用意されている。
- 武器破壊
- 各キャラの武器にはそれぞれ耐久値が存在。互いの武器攻撃がかちあうと減少し、0になると壊れる。
ガードクラッシュの先駆けのようなものだが、普通にプレイしていてもまずお目にかかれないレアフィーチャー。
本作では黒子が武器を修復してくれないので、武器が壊れた試合中はずっと素手のまま。
- 素手状態
- 通常技(斬撃)をガードしても体力が削られる、攻撃力が低下、多くの必殺技が使えなくなるなど
基本的に弱体化するが、一部性質が変化する技もある。
落ちている武器の近くで斬りボタンを押せば拾う事が可能。- 真剣白刃取り
- 素手の時に相手の斬撃とこちらの攻撃がかちあうと発生。
一種の逆転要素だが、タイミングは超シビア。実用はほぼ無理。
- 飛び道具相殺
- 狂死郎の「風裂扇」など、一部の「物を投げる」タイプの飛び道具は
龍虎の拳などと同様、打撃技によって打ち落とす(相殺する)事が出来る。
- 黒子
- 紅白一組の旗を持ち、キャラの間合に合わせて背景を行ったり来たりする審判の人。
いくつかの作品ではPCとして参戦している。
この他雑用を請け負う下っ端黒子が何人かいる模様。
- 飛脚
- たまにステージ奥を横切り、肉(ライフ回復)や爆弾、得点アイテムを投げ込む。
スタッフ曰く音楽と爆発音が合いそうという理由で王虎ステージにおける爆弾の出現率が他の場所よりも高くなっている。
『初代』のみ天草に妹を人質に捕られ脅迫されているという設定がある。
GB版でのみ隠しキャラとして参戦。
- その他
- 弾かれキャンセル
- サムスピシリーズ特有のテクニック。
武器を使った通常技の多くはガードされると専用の硬直モーション(弾かれモーション)を取り、
このモーションには必殺技属性の技によるキャンセルを受け付けるポイントが設定されている場合がある。
これによって隙の大きい技をガードさせて確定反撃を狙った攻撃を無敵技などで潰す、
さらにそれを読んで反撃する、といった独自の駆け引きが成立している。
- 目ジャンプ
- 「目押しジャンプ」の略。こちらもサムスピ特有のテクニック。
本シリーズのジャンプには長めの着地硬直が存在するが、この隙は特定の行動でキャンセル出来る。
中でも着地に重ねられた投げ技は最速で再度跳ぶ事でしかかわせないため非常に重要。
先行入力はほぼ受け付けず、最速でジャンプするには目押し(目レバー)が必要なためこう呼ばれる。
真SAMURAI SPIRITS 覇王丸地獄変
今は昔のものがたり
我が道 極めんとする男あり
血生臭い 生きざまに
凶事まとうは 偶然ではなかった
1994年10月にMVSで稼動。シリーズ第二作、ROM容量202Mbit。略称は
『真サム』。
時はNEOGEO黄金時代。前作のバッサリ感はそのままに数多くの新システムを引っ下げ、堂々の登場。
ぬいぐるみ化や退き込みダッシュなどの謎システムも搭載し、
やや間違った方向に進化を遂げた感はある。
牙神幻十郎の登場により右京さんがライバルキャラの座から転落。ラスボスは格ゲーでは珍しい女性の
羅将神ミヅキ。
また二作目にして侍の数よりも
ハゲの方が多くなり、いよいよ本当にサムライのゲームなのかどうかが怪しくなった。
インパクトのある新キャラ・派手な武器破壊技の登場や粒揃いのBGM、餓狼・龍虎キャラのゲスト出演など、
演出やファンサービスが充実しており、『初代』に比べて普及率が高い事もあり人気は高い。
一方で追加システムがどれも微妙だった事や、CPU戦の難易度が非常に高くなった事、
右京さんがアホみたいに強くなりすぎたり、ナコルルが絶望的に弱体化したりといった対戦バランスの悪化、
残虐表現が対人戦限定になった点はやや評価が分かれている。
前作からの変更点のみ下記。
- 怒りゲージ
- MAXになると攻撃力上昇に加え、武器破壊必殺技が出せるようになった。
王虎のみ自力で溜める事が出来る(ただし体力も減る)。
- 怒り頂点(新)
- 怒りゲージがMAXになった直後に硬直から復帰すると、専用ポーズとともに一定時間完全無敵になる。
削りによって溜まった時は敢えて歩くなど他の行動を取る事で発生タイミングをずらす事が可能で、
頂点ポーズにはキャンセルがかかるため、これを利用した反撃も可能。
無敵時間とモーションはキャラごとに異なる。
なお、この動作の正式名称は存在せず、「怒り頂点」というのは主にプレイヤー間で用いられている仮称
(服部半蔵の「怒り頂点なり!」というセリフから)。
- 踏み込み
- 退き込み
- 前作の引き込み。無敵は無いが、空中判定になるので投げられない。
動作中に伏せ、前転、空中必殺技が出せる。- 退き込みダッシュ(新)
- レバーを←←→と素早く入力。一種のフェイント技だが、使い道はほとんど無い。
- 伏せ、前転、後転(新)
- レバー下を素早く2回入力で伏せ、前斜め下2回で前転、後ろ斜め下2回で後転。
文字通りの動作で攻撃を避ける。完全無敵ではなく、投げ無敵も無い。
全体的に使い方が難しいが、伏せにより覇王丸の大斬りをかわすテクニックは有名。
- 下段避け(新)
- BC同時押しで出る小ジャンプ。下段攻撃を直前ガードしても発動する。
直前ガードで成功すると相手の攻撃をドンピシャで避ける事ができ、ちょっと優越感に浸れる。
一部キャラのみ下段避け中に空中必殺技が出せる。
- フェイント技(新)
- 一部キャラ限定。必殺技の開始動作だけを行う。特にキャンセルがかかったりする訳ではないが、
一撃が重く、ジャンプが大きな博打になるサムスピでは純粋に択として機能する。
- 技あり(新)
- 攻撃動作中に相手の攻撃を受けるとダメージが上がる。要するにカウンター。
ただでさえ高い攻撃力が最大1.5倍以上に跳ね上がり、
しかも技を出し終わった後の硬直中でも成立する恐怖のシステム。
本作のみカウンターダメージ%はそれぞれの技で固有の値が設定されている。
- つば競り合い
- 『初代』よりは連打数が影響するようになった。左右の立ち位置が入れ替わったりもする。
- ぬいぐるみ化(新)
- 各キャラごとに設定された複雑なコマンドを入力。当時ゲーセンにあったプライズ商品とのタイアップ企画。
ぬいぐるみ化中は動けず、コマンド技以外不可能。
挑発の一種だが、動作中は投げ無敵だったり(打撃無敵ではない)、
タイムラグ無しで必殺技が出せたりと、それなりに応用が効く。
- 受け返し(新)
- 相手の斬撃を直前でガードすると、攻撃を弾き返して一瞬だけ行動不能にさせる。
所謂直前ガードの類だが、タイミングがシビアすぎるため狙って成功させるのはまず不可能。
具体的には技ごとに異なる「受け返しフレーム」にガード移行動作の2フレーム目を合わせる
(しかも間合が遠すぎると失敗)という無茶な条件。
- 白刃取り
- 素手状態で←↙↓↘→(ボタン無し)に変更。
前作に比べれば使い易くなったが、それでも成功させるのは非常に難しい。
- 武器破壊技(新)
- 怒り状態でないと出せない、所謂超必殺技。ゲージがある限りヒットするまでいくらでも出せる。
ヒットすると相手の武器が破壊され、一定時間後黒子が修復した武器を画面内に投げ込む。
- 秘奥義(新)
- 所謂隠し必殺技。覇王丸、ナコルル、服部半蔵、ガルフォードにしかない。
出すための条件や制限などはないが、恐らく格ゲー史上最難級のコマンドの複雑さを誇る。
- 挑発(新)
- 離れた間合でACorBD同時押しで二種類の動作が用意されている。同時押し入力受け付けは大斬り以上にシビア。
特別な効果は無く、純粋な挑発行為。
- 飛脚
- お金(得点アイテム)を投げなくなった。
一定時間ステージ端に密着していると画面端に爆弾、相手の位置に肉を投げ込む飛脚が現れるという
ガン待ち対策が導入されたが、少しでも端から離れていると出てこないのであまり意味が無い。
- 1/128の確率でキム・カッファンが鳳凰脚のポーズで飛脚の代わりに横切る。アイテムは投げない。
- その他
- 三角降り
- 三角跳びが出来るキャラでのみ可能な現象。以降の作品にも存在する。
前方ジャンプ時に相手を飛び越して壁に接触した際にレバーを↙か↓に入れながら攻撃ボタンを押すと
低い角度で壁を蹴って急降下し、めくりなどに応用出来る。
本作や『斬サム』では入力がシビアだが、『天サム』以降は実戦で積極的に使えるようになった。
サムライスピリッツ斬紅郎無双剣
剣の道 まさに 修羅の道なり
屍を築き 血河を流し
生き延びる事こそ 無敵なり
1995年11月にMVSで稼動。シリーズ第三作、ROM容量282Mbit。略称は
『斬サム』。
主人公が覇王丸から
緋雨閑丸に交代したが、キャラセレ画面の1P初期カーソルが覇王丸なら、
ポスターなどのメインビジュアルも覇王丸。
ひでえ事しやがる…。
新システムを多数採用した意欲作だが(阪神大震災の影響もあり)明らかな調整不足により
バランスが大崩壊。
ガード硬直中の相手を投げられるため、
コマンド投げを持ってるキャラ総
ゲーニッツ状態。
また当時の格ゲー界全体に見られた
コンボゲー化・火力インフレ傾向の極致にある作品で、
一発の威力が上昇した上にやたらめったら繋がり、背後を取れば簡単
永久~10割可能なキャラが目白押し。
いざ尋常に勝負あり!
壬無月斬紅郎を始めとする、その異常な攻撃力はもはや狂気の沙汰である。
なお緋雨閑丸も大概なパワーキャラのもよう
駄作の烙印を押すプレイヤーもいるが、永久コンボや即死、超火力による事故死が横行する事で、
キャラクターバランスはある意味取れていると言えなくもないため、アーケード版『
北斗の拳』が楽しめる人なら大丈夫かもしれない。
永久ミスったら永久食らって終わるのも日常茶飯事なので…
三途の川が待ってるぜ!
本作で完成された職人芸的ドット絵やBGMの出来の良さ、シリーズ最高傑作と言われるデモ演出など、
バランス以外の部分の評価はどの層からも非常に高い一作。
ただしPS移植版だけは『
アルカナハート2』が霞むほどのとんでもない劣化移植なので御注意。
にも関わらず何度も廉価版で再販されたりゲームアーカイブスで配信されていたりするが
『真』からの変更点のみ下記。
追加
緋雨閑丸、
リムルル、
首斬り破沙羅、
花諷院骸羅、天草四郎時貞
削除
柳生十兵衛、シャルロット、王虎、不知火幻庵、アースクェイク、チャムチャム、ナインハルト・ズィーガー、花諷院和狆
CPU専用
壬無月斬紅郎(ラスボス、対戦時限定で使用可能)、黒子(乱入キャラ、ただし同キャラ対戦扱い)
- 操作方式
- A: 弱斬り、B: 中斬り、C: 強斬り、D: 蹴り に変更。
蹴りの種類はレバー入力によって以下のように変化。斬るより小足連打の方が強いキャラもいる。- 足払い… ↘+D
- 下段ねらい攻撃… →+D。立ちガード不能。
- 牽制攻撃… ↙+D
- 怒りゲージ
- ABC同時押しで龍虎の拳や『KOF』のようにゲージを溜める事が可能になった。
ちなみに怒り溜めでゲージをMAXにすると怒り時の攻撃力補正が大幅に下がる
(攻撃を喰らって怒りMAXになった時の1/4~1/5)為、途中までは怒り溜めでゲージを溜め、
MAXにする時は攻撃を受けると良い。
また体力が少なくなると怒りゲージが常にMAX状態となる。
ある意味リアルだが武器飛ばし必殺技が強力なキャラの暴力が加速する。
なお、この作品では怒り状態はラウンドを跨がず終了する。- 武器飛ばし必殺技
- 前作の武器破壊技。本作からヒットしても武器が壊れず、弾き飛ばすだけになった。
もちろん拾う際には隙が生じるのでうっかり武器付近でボタンを押したために死んでしまう事がある。
- 対極選択(修羅・羅刹)(新)
- 要するにEXキャラクター。性能が違ったりストーリーが違ったり、たまにキャラ自体別人扱いな事もある。
ただし剣質が変わってもやる事はほとんど変わらない場合も多い。
- レベル選択(剣客・剣豪・剣聖)(新)
- プレイヤーが自分の腕前を自己申告し、ハンディキャップを付けるシステム。以下の3つから選択。
- 剣客… 初心者用。怒りにくい代わりに5回までのオートガード機能付き。
- 剣豪… 中級者用。特典の無い通常状態。
- 剣聖… 上級者用。一切ガードが出来ない代わりに常時怒り状態…だが、この作品でガードを捨てる事は即ち死。
- 開幕前移動(新)
- 「勝負!」のコールがかかる前に前後移動が可能(ジャンプなどは不可)。
- 踏み込み、退き込み
- いわゆるダッシュとバックステップ。踏み込み中に攻撃ボタンで踏み込み攻撃が出せる。
退き込み中は空中必殺技や空中特殊技が出せる。
踏み込み強斬りは発生が遅い代わりに全キャラ地上ガード不能技。
- 防御崩し(新)
- →+Cで「突き飛ばし」、←+Cで「引っ張り」。
通常投げが削除された代わりに搭載された、相手の体勢を崩すシステム。
ノーダメージだが追撃が可能で、特に引っ張りは相手の背後を取れるため、即ち死。
- 空中ガード(新)
- 異様にガード硬直が短く、空中ガード後に反撃が可能、(一部)地上技もガード出来るなど、
リスクがほぼ存在しないため、むしろ常に空中にいる方が安全。
- 見切り・回り込み(新)
- AB同時押し。間合が近いと前方に移動しながら避ける「回り込み」、遠いとその場で避ける「見切り」。
レバーを←に入力している場合無条件で見切りになる。
打撃はもちろん投げにも無敵、回り込みは相手の背後を取れるため、成功時に相手がうっかり攻撃を出していると硬直即ち死。
開幕直後から背後を取り合う武士道のカケラも感じられない情け無用の残虐ファイトが横行した。
- つば競り合い
- ランダム要素は完全になくなり、純粋な連打勝負になった模様。
- 不意打ち(新)
- BC同時押し。前作の下段避けに自動攻撃が付いた全キャラ共通の中段技。性能にはキャラ差あり。
『ストIII』のリープアタックの元ネタと言われる。
- 移動起き上がり(新)
- ダウン中にレバー後ろ要素or前要素。移動中完全無敵。以降作では標準装備される。
壬無月斬紅郎は後ろ移動起き上がり中にやられ判定が出現する病気持ち。
- 当て身
- 前作の受け返し。
コマンドが白刃取りと同じ←↙↓↘→(ボタン無し)に変更され、コマンド成立時に一瞬受けのポーズを取るようになった。
ただし持続時間が非常に短い上に、普通に立ち回っているだけでやたら暴発するので鬱陶しい。
しかしガードも仕込めるので狙って出せるようになると強力。
- アイテム
- 飛脚がいなくなり、画面外からアイテムが降ってくる。誰が投げてるのかは謎。
爆弾はガードすると大きくよろけ、ガードが崩れるようになった。
- 極限空間(新)
- 3ラウンド目で両者体力点滅時、もしくは4ラウンド目に突入するとBGMが停止して背景が一変、「極限空間」に突入する。
ただそれだけで特殊な効果は全く無いが、ギャラリーも含めて緊迫した状況を楽しめる。
なお極限空間への突入時には露骨な処理落ちが発生するため永久コンボ中はカッコいい演出が最大の敵になる。
- その他
- 花諷院骸羅と首斬り破沙羅のみ(恐らくバグにより)必殺技・武器飛ばし技でガードキャンセルが可能。
- 怒り頂点動作、退き込みダッシュ、伏せ、前転、後転、ぬいぐるみ化、武器破壊廃止。
- 技ありのダメージ増加率が表示されるようになった。
前作でも十分に高かったカウンターダメージはさらに上がり、時に200%近い狂気の火力を生み出す。
- 黒子が背景から消えた。
サムライスピリッツ天草降臨
一七八九年
寛政の改革が 人々を圧迫せし頃
一ツの魔性の魂が 燐火を上げて蘇った
大地を揺がし 出現した城は
島原の人々を 災いに染めていった
それに呼応するかの如く 己が身を修羅に変え
定めに生きる者たちが 現れた
1996年10月にMVSで稼動。シリーズ第四作、ROM容量378Mbit。略称は
『天サム』。
この後シリーズが3Dに旅立ったまま帰ってこなかったため、旧SNK製2Dサムスピ最終作となった。
主人公が
風間火月・
蒼月兄弟に交代したが、他キャラとの絡みがあまり無く、
覇王丸が相変わらず初期カーソル位置に陣取っている
(1P2P両方)ため、
ほとんど認識されていない。
後にネオジオポケットでリリースされた『サムライスピリッツ!』は本作がベースのアレンジ移植。
基本部分は『斬サム』がベースとなっているため即死や永久はゴロゴロ転がっているものの、
ライフが2倍になることで相対的にダメージが大幅減少したため、即死は状況限定が多くなり、
永久は格ゲー初の食らい抜けシステムとも言える「怒り爆発」で抜ける事も可能になったので対戦バランスはかなり改善。
空中ガード・自動連続ガードの廃止、防御崩しから高威力の斬りが入るなど、ガン待ちも難しくなった。
また弾き返しがようやく実戦で使えるレベルになり、攻めにも守りにも緩急が必要に。
BGMなど演出の完成度も高く、前作で失墜したサムスピの信用をある程度取り戻す事に成功した(ポリとRPGでまた失墜したが)。
ただし連斬の導入により一撃の重みが減った事と、CPU戦がタイムアタック制となったため
じっくりプレイ出来ない事が「サムスピならではの味を消している」とする意見も少なくない
(規定タイム以内にボスまで到達しないとライバルキャラがボスを倒してしまい、実質バッドエンドとなる)。
出来る事が極めて多彩なため、やり込むほどに応えてくれる奥の深さを持つ反面、初心者お断りな作品である事も否めない。
なお、本作で再びサムライよりも忍者の方が多くなる(ハゲは前作で消滅した)。
斬からの変更点のみ下記。
追加
風間火月、
風間蒼月
復活
柳生十兵衛、シャルロット、タムタム、チャムチャム(PS版『天草降臨SPECIAL』のみ)
CPU専用
壬無月斬紅郎(ラスボス、一部移植版で使用可能)
- 怒りゲージ
- 怒り溜めが廃止され、代わりに「怒り爆発」が追加された。
また各キャラに1~2つずつ、怒るとパワーアップする技が存在する(覇王丸の斬鉄閃→斬鋼閃など)。
必殺技を出している間は怒りの持続時間が減らないため、特定の技を連発すると永久ガードで削り続ける事が可能。
具体的には風間蒼月の怒り「月光」(強)と柳生十兵衛の「絶 水月刀」。
後者はタイミング良くジャンプする事でカスダメ化+怒りも解除させる事が出来るが、
前者はわざと食らうか重ねをミスらない限り抜けられないので、対人戦での使用は禁物。- 怒り爆発(新)
- 地上・武器持ち時にABC同時押し。
強力なメリットを得ると同時に後が無くなる、言わば「背水の陣」を敷くシステム。
いつでも発動する事ができ、攻撃力を上昇させるとともに「連ね斬り」と「一閃」が使用可能になるが、
発動した時点で怒りゲージが完全に消滅するため使用は一度きり(ラウンドが進んでも復活しない)。
攻撃を受けている最中でも発動可能、かつ発動時に完全無敵・ガード不能・ダメージ0の攻撃を放つため、
バーストやアルカナフォースのような緊急脱出手段としての役割も兼ねている。
また爆発中はタイムカウントが完全にストップするため、相手の逃げ切り阻止にも有効。
持続時間は発動した時点での残り体力に反比例し、爆発ゲージで表示される。自キャラ仰け反り中は減らない。
武器飛ばし必殺技も使用可能になるが、通常の怒り状態同様、当てるとゲージを全消費。- 連ね斬り(新)
- 怒り爆発中にABC同時押し。
爆発ゲージを一定量消費し、6ヒット(キャラや間合によって若干変動)の連続攻撃を繰り出す。
通常技からキャンセルがかかり、発生が非常に早い(1F)ため硬直の短い技からも目押しで繋がる。
ABC同時押しで3回まで追加攻撃が可能で、2回目の追加入力まではゲージ消費は無し。
3回目の追加を行うとフィニッシュとなり、爆発ゲージは全て消費する。
硬直も非常に短く、必殺技・武器飛ばしキャンセルや目押しで通常技や連斬に繋ぐ事も可能。
非常に強力な技で、爆発ゲージMAX始動の条件ならほぼ全キャラ即死連続技を組める。
さらに一部の必殺技や武器飛ばし技を強制キャンセルしたり、
連斬の途中に挟む事も可能(ただしどちらもネタの域)と、奥の深いシステムである。
- 一閃(新)
- 怒り爆発中にBCD同時押し。爆発ゲージを全消費し、全キャラ共通の突進技を放つ。
ダメージ量は爆発ゲージ残量に比例し、最大で6割近く奪える一撃必殺技。
発生は早いが判定は弱く、代わりに背後の残像部分まで攻撃判定がある。
連ね斬りからのみキャンセルがかかるが、連ね斬りを一度でも発動すると大幅に威力が落ちる。
- 武器飛ばし技
- コマンドが全キャラ←→↘↓+AB同時押しに統一された。
また暗転による時間停止が追加(ただし停止時間そのものは10F前後で非常に短い)。
- 対極選択(修羅・羅刹)
- レベル選択(剣客・剣豪・剣聖)
- 剣客
- オートガードに加え連斬の目押しが不要、ABCD同時押しの簡単コマンドで武器飛ばし技が出る。
また怒り爆発が不可能な代わりに、ダメージを受けた時の怒りゲージ増加量が多い。
ただし連斬は初段がガードされても出し切るので、外すと隙が絶大。
- 剣豪… 特に変更なし
- 剣聖
- 常時怒りがなくなり、攻撃力が若干高いだけになった。
ガード不能はそのままで、攻撃力の増加もごく僅かなため完全に自殺モード化。
- 連続斬り(連斬)(新)
- 本作の目玉となるシステム。CD同時押しで始動し、ルート通りにボタンを順押しすると小威力の攻撃が次々に繋がる。
名前が紛らわしいが連ね斬りとは別物で、チェーンコンボやデッドリーレイブに近い。
ルートは共通で以下の4通り(風間兄弟と閑丸はこれ+固有ルートあり)。
キャラごとに異なるが、それぞれ必殺技などでキャンセルがかかるポイントがある。
半蔵・ガルフォードのみ始動のCDにもキャンセルがかかる(他のキャラも空キャンを使った擬似CDキャンセルは可能)。- AAA
- 威力が高めだが、ほとんどの場合追撃が不可能なので、ボタン連打で簡単に出る以外は特にメリットなし。
「剣客」時のみ通常技をキャンセルして連斬を出す事ができ、自動的にこのルートになる。
- ABC
- BBC
- 食らい判定を残したまま相手を浮かせるため、多くのキャラがCをキャンセルして追撃可能。
通常ルートの中では最もよく使う。
- 14連斬(→+A、A、B、B、C、C、A、B、C、C、C、C、C)
- 本来は隠しルート。最後まで出し切れば何故か(自分の)怒りがMAXになる。所謂逆ギレ。
多くのキャラは12斬目にキャンセルがかかる。純粋に怒るために使う他、ダメージソースとしても非常に重要。
- 踏み込み
- 踏み込み強斬りがガード可能に戻った。代わりに全体的にダッシュ攻撃の発生が早くなった。
またダッシュ中にレバーを後ろで「緊急停止」となり、普通に停止するよりも隙が小さくなる。
- 避け、回り込み
- 避け
- AB同時押し。前作の見切り。
投げに対して無防備になり、動作の終わり際に大きな隙が生じるようになった。
通常技をキャンセルして出す事ができ、これを利用してヒットバックをなくすテクニックが存在する。
- 回り込み
- 至近距離で→+AB同時押し。こちらも通常技をキャンセルして出す事が出来る他、
特定の技が当たる直前に回り込みを入力すると、何故かその技がガード不能になる現象(バグ)が存在する。
ナコルルのダッシュ中斬りや閑丸のダッシュ蹴りなどが代表例。
- 当て身、白刃取り
- ↓↙←→+Dに変更。武器持ち状態で成功すると相手の武器攻撃を弾き返し、一定時間硬直させる。
硬直時間は相手の出していた技によって異なり、中斬り属性の技が最も長い。
強斬り属性の技やダッシュ攻撃を取ると武器を弾き飛ばして相手を素手状態に出来るが、硬直自体はほとんど無し。
基本的に取れるのは地上の武器攻撃のみで、足元に判定がないため多くの下段技は取る事が出来ない。
素手状態の白刃取りは相手を蹴飛ばす動作に変更。同時に武器を弾き飛ばすようになった。
- つば競り合い
- ボタンの連打数が画面に表示されるようになり、視覚的に分かりやすくなった。
CPU戦後半の常軌を逸した連打速度もはっきり見えるため、理不尽感はむしろ増したかもしれない。
- 追い討ち(新)
- ダウンしている相手の近くで↘+AorBorCで小追い討ち、間合を問わず↑+AorBorCで大追い討ち。
- 起き上がり
- 移動起き上がりに加え、ダウン中に上要素でその場で最速で起き上がる「クイック起き上がり」、
下要素でダウン時間が長くなる代わりに体力が少量回復する「体力回復」。
- 武器捨て挑発(新)
- スタートボタンx3。文字通り自ら素手状態になる上に長時間無防備なため、かなりのリスクを含む挑発。
武器を捨てる動作に追い討ち判定があったり、必殺技でキャンセルが可能なキャラもいる。
- 武器拾い
- 防御崩しをキャンセルして拾う事ができ、この場合のみさらに各種技にキャンセル出来るようになった。
これを利用して普通の防御崩しからは決まらない技を確定させる事ができ、素手から一気に大逆転が可能。
- 自決(新)
- ←→↘↓+S。その名の通り勝負を捨て、次のラウンドを怒りゲージMAXから始める。
自決と銘打たれているが、他人に殺されたり逃走するだけの者もいる。
無意味に通常技からキャンセル可能。
- 断末奥義(新)
- 武器捨て挑発を行うか、タイムカウントを40以上残してラウンドを取ると決着時に1/2の確率で発生。
Aを押しながら止めの一撃を決めると確実に出る。
その後相手がフラフラと立っている間に表示されるコマンド(↓↓↑→→+C)を入力すると成立。
要するにFINISH HIM!!!(ナコルルとリムルルには決められない)
- その他
- 空中ガード、アイテム、気絶、開幕前移動廃止。
- コンボ数が表示されるようになった。
ただし本作はカウント確定前(文字色が緑の時)に次の攻撃を当てればほとんどが繋がっていると判定されるため、
実はかなり適当で全く役に立たない(唯一、追い討ち時にカウントが増えた時だけは確定している)。
- カウンターダメージが最大でも+15%に収まり、ようやくまともなレベルになった。
- 本作の極限空間は状況次第で3ラウンド目でなくとも発生する(発生条件は正直よく分からない)。
発生する度に悪天草が笑いながら背景に現れるためちょっとウザイ(笑)。
ポリサム
ハイパーネオジオ64で1997年稼動の『SAMURAI SPIRITS ~侍魂~』と1998年稼動の『SAMURAI SPIRITS 2 ~アスラ斬魔伝~』、
PSで1999年に発売された『
サムライスピリッツ新章 剣客異聞録 甦りし蒼紅の刃』の通称。
いずれも3D作品のためゲーム内容の詳細は省略。
2Dのサムスピとはまた違った退廃的な雰囲気が漂っており、根強いファンも存在する。
このポリサム出身の
色と
アスラは後に『
SVC』『
NBC』にも外部出演し、
さらに色は後述の『令サム』にも出演したため、ポリサムを知らない層にも認知されるに至った。
『侍魂』と『アスラ斬魔伝』は家庭用機に移植されていないため現在はプレイ困難だが、『蒼紅』はゲームアーカイブスで配信されている。
ちなみに、ネオジオポケットカラーで発売された『サムライスピリッツ!2』は『アスラ斬魔伝』をベースとしている。
こちらはNintendo Switchにて復刻配信された他、後述の令サムSwitch版で初回購入特典として先行ダウンロードできた。
サムライスピリッツ零
武士道とは死ぬことと見つけたり
修羅道とは生きることと見つけたり
我、悪鬼羅刹となりて
目の前の敵、全てを
斬る!
2003年10月にMVSで稼動。シリーズ第五作(ポリ・RPGを入れると第九作)、ROM容量706Mbit。略称は
『零サム』。
プレイモア移行後初のサムスピ。ファンが待ち望んでいた2Dサムスピが遂に復活、とあってかなりの注目を集めた。
また開発は悠紀エンタープライズが担当、他機種移植を除いて2Dシリーズ初の外注作でもある。
なおこの悠紀エンタープライズは、古きコンピュータゲームを知る人ならば、
「最強の思考ルーチン」として有名な「森田将棋」を作り出した天才プログラマー・森田和郎氏が設立した会社である
(後に同社は『
アルカナハート』を製作、この開発チームが独立して設立された「エクサム」という会社へと繋がっていく事となる)。
熱狂的なサムスピファンで知られ、かつて旧SNKと壮絶な
パ○リ合戦を繰り広げた『
るろうに剣心』の和月伸宏氏が、
新主人公の
徳川慶寅などメイン数キャラのデザインを手掛けた事も密かに話題に。
連斬など複雑なシステムを撤去し、剣気ゲージの採用、
一撃が『初代』並の威力になるなど斬サム以前の「一撃の重み」を重視した作りに回帰。
さらに斬新な新システム
「無の境地」を導入し、システムバランスは高いレベルでまとまった。
斬殺などの残虐表現が大幅にカットされた点や、新キャラを除くドットの大半が『天サム』の使い回しだった点は賛否が分かれるが
(特に中ボス二人が橘右京と牙神幻十郎の首を挿げ替えただけ)、
『KOF2001』~『KOF2003』や、『
SVC』の前例があったため不安視されていた演出面はしっかりとサムスピ感が出ており、概ね評価は高い。
ただしキャラクターバランスは上位と下位の差や相性が非常に激しく、対戦カードによって極端な有利不利が付きやすい。
天からの変更点のみ下記。
- 操作方式
- A: 弱斬り、B:中斬り、AB同時押し: 強斬り、C: 蹴り、D: 特殊動作に変更。
- 剣気ゲージ(新)
- 攻撃の威力を決定する第三のゲージ。攻撃を出すと減り、時間経過で徐々に回復する。
MAXで通常の威力となり、怒り中は上限が上がる。
つまりコンボ補正の一種で、むやみに牽制を繰り返すとどんどん攻撃力が下がる。
- 瞑想(新)
- レバーニュートラル+D押しっぱなし。
怒りゲージを消費し、境地ゲージ(ライフバーの上に表示される▼印)の位置を上げる事が出来る。
ただし既に怒り状態になっている場合は行う事が出来ない。
怒りゲージの消費量=境地ゲージの上昇量ではなく、変換効率はキャラごとに異なり、
基本的に怒りやすいキャラ(炎邪、羅刹丸など)は変換率が低く、
怒りにくいキャラ(服部半蔵、劉雲飛など)は高い傾向にある。
- 無の境地(新)
- 落とすと自分が負けになるラウンドで、体力が境地ゲージを下回っている時、
(ライフバーが青い状態)に↓↙←+CD。相手の全ての動きとタイムカウントの減少速度が1/4になる。
オリコンの逆転発想のようなもので、複雑な操作を要求されずに強烈な連続技が成立する。
ただし発動すると怒りゲージが消滅するため、怒り爆発と二者択一。
持続時間は境地ゲージ幅に比例し、相手の攻撃を受けると強制解除される。- 一閃
- 無の境地中にBCD同時押しに変更。突進速度が大幅に上がり、判定も大きくなった。
威力は無の境地残り時間に依存。発動直後に出すと最大で半分近くの体力を奪える。
ただし一閃を出した瞬間に無の境地は終了するため、距離が遠いと確定しない事もある。
- 怒り爆発
- 発動しさえすればどんな状態でも持続時間が一定になった。
一閃と連ね斬りが使えなくなった代わりに剣気ゲージ最大量が大幅に上昇。
剣気MAX時の強斬りなどはとんでもない威力になるが、そう簡単には決まらないため
純粋な脱出技としての役割が強くなった。
先手必勝・大ダメージ狙いなら境地、逃げ切り阻止・緊急脱出なら爆発といった感じ。
相手が無の境地中も発動可能だが、発動時の衝撃波では無の境地を解除させる事が出来ない。
- 武器飛ばし技
- 踏み込み、退き込み
- 踏み込み中は剣気ゲージが回復せず、ダッシュ強斬りガード時の隙が大きくなった。
退き込みは特に変更なし。
- 防御崩し
- 成功後の追撃がAorBで出る専用の「崩し斬り」でのみ可能になり、失敗時の硬直が大幅に大きくなった。
ただし一部キャラは例外的に他の技でも追撃が可能。
- 追い討ち
- ↓+BCで小追い討ち、↑+BCで大追い討ちに変更。
- 飛び込み(新)
- →+D。前方に小ジャンプする。
至近距離で出せば相手をすり抜けて裏を取る事が出来る。
- 回避動作(復活)
- 久々に真サムの多彩な避け動作が登場。
共通して出掛かりに投げ無敵が付き、下段避け以外はキャンセルがかかるポイントが存在するため、
防御崩しを読んで出せば強力な反撃が可能。- 下段避け… ←+D。コマンドが変わった以外は真とほぼ同じ性能。
- 伏せ… ↓+D。
- 前転… ↘+D。出掛かり完全無敵だが、『KOF』の緊急回避のように相手の裏に回る事は出来ない。
- 後転… ↙+D。他の2つに比べてキャンセルがかかる時間がかなり長い。
- 弾き返し
- 当て身から名称変更。コマンドや動作には変化なし。
成功時の相手の硬直時間が全体的に伸び、どの属性の技を弾いても強斬りクラスの反撃が確定する。
- 自決
- 次のラウンドで必ずしも怒り状態にならず、キャラによってゲージ増加量が変化するようになった。
- その他
- 剣質選択、レベル選択、連斬、連ね斬り、避け、回り込み、ダウン時の体力回復、断末奥義削除。
一部の羅刹キャラは単体のキャラとして独立した。
- 極限空間の発生条件が怒り爆発時に限定された。
サムライスピリッツ零 SPECIAL
世に武士道といふものあり
屍山を超え 血河を渡り
極めんとするは 剣の道
己が露命を刃に血塗り
我は修羅の道逝く
羅刹なり
2004年4月にMVSで稼動。シリーズ第六作(ポリ・RPGを入れると第十作)、ROM容量712Mbit。略称は
『零SP』。
15年近くに渡って現役稼動を続けたMVS・NEOGEOの最終作となった。
開発は同じく悠紀エンタープライズが担当。
あまりバランスがよろしくなかった前作の調整版。「SPECIAL」という事でお祭り番外編である。
システムはほぼ前作と同じだが、キャラ性能が細々と変更されており、シリーズ随一の対戦バランスを誇る。
しかし前作で綺麗になくなっていた残虐表現が一挙に復活し、さらに究極の一撃必殺技
「絶命奥義」が追加。
血の雨や縦横真っ二つは当たり前、首切断に上半身消し飛びに白骨化、なんでもござれの過激なゲームへと変貌した。
『天』で断末奥義を免除されていたナコルルや
リムルルもお構いなしである(CPUはガードするが)。
ナコルルは、真っ二つなどの特殊やられが発生した時や一部を除く大半の絶命奥義を喰らった時は、
KO台詞が
「きゃあああああああ」になる。生々しい。
また、リムルルは真っ二つになる時は一瞬涙を流す、何て痛みを感じさせる細かい演出だ…
かなりの人気を誇る作品だが、NEOGEO版発売にあたり後述の零SP騒動が起こり、
バグだらけのROMが4万円という価格で発売され大問題となる。
その後回収騒ぎや謝罪文の送付など、一旦はどうにか鎮静化したように見えたが、長らくその火種は燻り続け、
『零SP』
だけ移植版が発売されていなかったり六番勝負のような作品でも『零SP』
だけが省かれていたりと、
アーケードそのままにプレイ出来る移植版が長らく存在せず、半ば黒歴史とされてしまっていた。
『初代』に匹敵する傑作、むしろ格闘ゲームとしてはシリーズ随一との呼び声も高い一作だけに、ファンからは惜しむ声が後を絶たなかった。
+
|
零SP騒動 |
『零SP』に纏わる騒動は、NEOGEOの歴史の中でもひときわ記憶に残る事件であり、
NEOGEOの幕切れとして、ユーザーに深く刻み込まれた出来事である。
NEOGEOとはSNKが販売していた「値段が超高い代わりにアーケードそのままのゲームがプレイ出来る」というのを最大のウリ、
というかユーザーに向けてした宣言したゲーム機である。
当然、主な購買層は「多少高くてもいいのでゲーセンで遊んだゲームと同じゲームをしたい」という人々で、
SNK時代には基本的にこの原則から外れる事なく成立していた。
NEOGEOは本体が5万円以上、ソフトが3万円以上という異常に高い価格だったが、こうした事を前提に購入されていた
(余談になるが、当時の他ゲーム機ならば3万円で2台購入出来る)。
その後、SNKは倒産。SNKプレイモアという会社がその後を継ぐ(自称)という形で、スタッフの一部と機材、版権等を引き継いで設立された。
その後、SNKプレイモアが悠紀エンタープライズ( アルカナハートのエクサムの前身。)に外注、『サムライスピリッツ零SP』を製作させる。
『零SP』はゲームセンターで稼働。グロ表現は「悪趣味が過ぎる」と評される事もあったものの、
上述のようにバランスが大変に 世紀末な事が多かったサムライスピリッツシリーズにしては珍しく、大変バランスが良かった事と、
何より対戦格闘としての面白さから、ファンからの評価はかなり高かった。
当然、上述のNEOGEO用ROMの「受注生産」が決まり、ファンは今か今かと発売日を待ち望んでいた訳だが、
いざ発売日になり送付されてきた零SPのROMにはアーケード版には無かったバグが満載。
それも、少しテストプレイすればおかしいとわかるような不具合まで存在しており、この事から問題が大きくなり始める。
「高くてもいいからアーケード版そのままに遊びたい」という事で、NEOGEOとROMを購入していた消費者からしてみれば、
「高いしバグだらけでアーケードと違う」製品が送られてきた訳で、一気に不満の声が上がる事となった(参考:『零SP』の当時の販売価格は4万円)。
ましてや、テストプレイすらまともにしたのかさえ怪しいバグとなればなおの事である。
また、バグだけでなく『絶命奥義』の演出が削除されており、それに関して事前に通知は一切無かった事から、
「『NEOGEO=高い代わりにアーケードそのまま』とい売り文句に反するのではないか」「事前通知すらない騙し売りだ」という不満が噴出。
さらに発生しているバグのいくつかは、その『絶命奥義』の演出を強引にカットした事によって発生したと思われたものであり、ますます不評であった。
これに対してのSNKプレイモアの説明は「時勢に配慮して自主規制した」というものであり、当時佐世保で発生した事件の事を示唆させる内容であった
(事件は発売日から一月経っておらず、ROMカセットの場合とっくにマスターアップしてカセットを生産している時期な事、
また、そのもっと前に雑誌掲載されていた写真が絶命奥義カット版と思われるものであった事等から、「言い訳に使うのは不謹慎すぎる」との声もある)。
通常のゲームプレイに支障を来すバグまで存在していた事から、有志による署名活動が行われ、SNKプレイモアにまで持ち込まれる事態となった。
ところがSNKプレイモアはこの署名を「個人情報の取り扱い」を理由に受け取り拒否
(同社ではその時期個人情報を既に取り扱っていたのは恐らくツッコミ所である)。
さらに火に油を注ぐ結果となる。
その後、流石にまずいと思ったのか、ROMを送付すれば希望者はバグを修正したものに変えてもらえる事になり、
SNKプレイモアから購入者に謝罪の手紙とキーホルダーが送付され、事態はこのまま収束するかに見えた。
SNKプレイモアから送られてきた修正版では、絶命奥義の演出が一応復活したものの、
そのほとんどが「切断されずただ吹っ飛ぶだけ」「血の量が大幅減少」などマイルドな表現に変えられてしまっていた。
それだけならまだしも、残念な事に修正版にも依然直っていないバグが存在…どころか新しいバグまで。
「結局4万も払って劣化じゃねーか!」という不満の声が上がる。
そしてそこに追い打ちをかけるように、海外の違法ROMサイトにて本作の未修正版ROMが流れ、
このROMが実は「アーケード版のような絶命奥義を普通に出せる」という事が発覚。
当初は「海外版では規制無しの完全版をリリースしたのでは?」という噂が流れたものの、
実際には本作は海外では発売されていない(ネオジオのゲームは英語表示がデフォルトで搭載されている)。
これは、所謂「デバッグ用ネオジオ」と同等の働きをするエミュレータ上の動作により、
後付で無理やり規制されていた部分があっさり外れてしまったためらしい。
さらにその後のユーザーの調べで、実機においても、
「NEOGEO本体を改造して『デバッグ仕様の本体』にしてしまえば、『未修正版』のROMを動かすと『絶命奥義演出がONになり』、
加えて『絶命奥義の演出を強引にOFFにした事が原因とみられるバグの一部が解決される』」
(=ほぼアーケード版MVSと同等の仕様でプレイ可能になる)事が発見される。
これはデータ自体がすっかり別物に置き換えられてしまった修正版では不可能となってしまっていたため、
「なんだ、修正してもらわない方が良かったじゃん」「未修正版買ってくる」という事となり、
本体の改造という手間は掛かるものの「本物」がプレイ出来るという事で、当然、未修正版の価格は有り得ないほど暴騰。
2010年現在でも中古ゲーム販売店では定価の4万円をはるかに超える価格(5万円~)で販売されていたり、
状態の良いROMカセットにはオークションで10万円近い値が付く事もある。
元々NEOGEOのROMカセットは単価が高く、中古ゲームソフト販売店などでも高値で置かれているが、その中でも一際値段が高い理由は正にこれである。
また、ゲームセンターでも同作が稼働している物を見かける事は少ない。
というのも、NEOGEOのROMでは完全にプレイ出来ないという事が解っている以上、
その「原盤」とも言えるMVSカセットに白羽の矢が立てられたからである。
MVSカセットは形状はNEOGEOと互換性がないものの、MVS基板そのものは中古で安ければ9000円前後で買えてしまう事、
またMVSカセットをNEOGEOで使えるようにするコネクタ変換アダプタが存在する事もあって、
何も手が加えられていないMVSカセット版にマニアが飛び付き、
本来ゲームセンターに置かれているであろう分も、今は個人ユーザー達の売買取引に回っている状態である。
上記のような問題を散々引き起こしてしまったSNKプレイモア。
時勢で仕方なかったとは言え、お世辞にも良いとは言えない対応と事件に関する態度から、未だに購入者との間に火種が燻り続ける結果となってしまった
(この頃から、同社製品のバグの多さやそれを「仕様です」と言い張る対応等が目立ち始める)。
ゲーム機/ソフトとしては非常に高価である事。「アーケードそのまま」をウリにしていた事。
その2点が大きく響き、SNKプレイモア、ひいてはNEOGEO自体の評価まで落とす事となってしまった。
そして、この『サムライスピリッツ零SP』が、「NEOGEO最後のソフト」であった
(SNKプレイモアはこの事件自体が理由ではなく、「違法コピー」が理由としている。
NEOGEOはアーケードゲーム機、また家庭用ゲーム機としては異常なまでに長い現役期間だった事もあり、
既にその仕様のほとんどが解析され、上記のように本体をどう改造すればどう動くかまで知られていた。
当然、この『零SP』というゲーム自体も例外ではなく、あっという間に解析されてコピーされている。
また、タチの悪い事に、海外でのROMカセット製造業者自身が、マスターデータをそのままネットにアップし、
違法ダウンロードさせるという事も深刻な問題点でもあった)。
実際に起こってしまった騒動と、発売後も拘らず燻り続けた火種から、
SNKプレイモアは零SPの移植を行わない方針を取り続けてきた。
コレクション的作品の『六番勝負』も『零』は収録されているのに『零SP』は収録されておらず、単品での移植版も存在しなかった。
また、前述のようにコピー自体が容易であった事と、この「移植はしない」というスタンスに対して、
「手に入らないが、どうしても遊びたい」という思いの行く先が違法コピーに手を出す事となった人が少なからずいたようで、
海外の違法コピーROMを配布しているサイトでは、サムライスピリッツシリーズのROMの中で他の倍以上ダウンロードされている、
というような事も報告されている。
また、外部掲示板でも本問題に関するスレッドが立て続けてられ、
定期的に現れる「『零SP』を評価するファン=グロ厨(彼らの言葉で「グロテスクな表現を好む異常者」の事を指すらしい)」
という論点に持っていこうとする書き込みや、何故か唐突に悠紀エンタープライズ(エクサム)を叩く書き込みなどといった油が注がれ続け、
火種が残ってしまう結果となった。
その後、突如として海外版『六番勝負』に『Samurai Shodown V SP』の文字
(英語表記では『零』が『Samurai Shodown V』、『零SP』が『Samurai Shodown V SP』表記である)が含まれているのをユーザーが発見し、
「国内では出さないで、海外向けには移植するという事なのか?」という話が一時期実しやかに囁かれたが、
いつの間にか『Samurai Shodown V SP』の文字は消去され、結局『Samurai Shodown V』だけが収録・販売されたようである。
このように、多くの問題を抱える事となってしまったため、
「『零SP』自体は非常によく出来たゲームなのに遊べない」という現象が起こっており、
アーケードそのままに正規の手段でプレイ出来るのは基板購入者だけだった。
稼働しているゲーセンも非常に少なく、必然的に「埋もれた名作」(というか、「消し去られた名作」)と化していた。
いっそクソゲーであればここまで惜しまれる事も無かったのだろうが、何度も言うが、不運にもと言うべきか、
本作のバランスやシステムは「シリーズ随一」と評価する人も多い作品である。
それだけにますますこの先移植版に期待出来なかった事は多くのファンからの惜しまれた。
そんな『零SP』だったが、直下に記述されている通り、
長年の沈黙を経て後述のPC移植版が突如登場、遂に日の目を見る事になった。
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その後2015年12月、アメリカのPC用ダウンロード販売サイト「Humble Bundle」にて、
2015年12月9日~12月22日までの期間限定で、NEOGEO25周年を記念としてNEOGEOタイトルの
PC移植バンドルセット『Humble NEOGEO 25th Bundle』が期間限定販売。
そして、その中の10ドル以上枠に本作のPC移植版『SAMURAI SHODOWN V SPECIAL』が含まれていた。
配信サイト自体はアメリカ合衆国のものだが、日本からも購入及びダウンロード可能。
11年の時を経て、『零SP』の正規移植は突然世に放たれた。
翌年よりこのバンドル収録版と同じものが『SAMURAI SHODOWN V SPECIAL』として単品4.99ドルで販売が始まった。
Windows/Mac/Linux対応だが、海外での販売のため、当然ながら英語版仕様となっている。
移植担当はDotEmu。
+
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PC版について |
このPC版の実態は、NEOGEOエミュレータに何のプロテクトも掛けてないROMイメージとBIOSを入れた状態で販売というものだった。
そのため当然ながら「ROMとエミュレーター不正使用疑惑」を向けられ一時はニュースにもなったものの、
実はDotEmuは1年以上前にNEOGEOエミュレータ「Nebula」の権利を100パーセント取得済みであり、
ROMの使用許諾もSNKプレイモアから正式に受けているという、完全に合法的な正式移植である事が明かされた。
なお上記のように中身は生ロムそのまんまのため、別のエミュレータに載せ替えれば日本語化も普通に可能になっている。
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さらに時は流れ、2017年にPlayStation 4とPlayStation Vita用に配信される事が発表。
そして遂に2017年9月14日、正式にこの二機種にて『零SP』がDL専用ソフトとして発売された。
CEROはC(15才以上対象)。
MVS稼働から数えると…実に13年の時を経てNEOGEO以外での家庭用機への移植が実現となった。
また翌2018年には7月リリースされた「ネオジオミニ」にも無事収録。
他にシリーズから選ばれたのが『真サム』・『天草降臨』である辺り、対戦人気の高さが評価されての選出である事が窺える。
ネオジオミニにはいくつかのバージョン違いがあり、その中にはシリーズ全タイトルがプレイ可能なものもある。
その翌2019年6月にダウンロードゲーム配信サイトSteamにて配信開始。
メニューおよび字幕初期設定は英語だが、ゲーム内オプションから日本語、スペイン語、ポルトガル語に切り替えが可能。
ボイスは日本語のみ収録。
他、ステージBGMを任意のものに変えられる「メニューBGM」、歴代作品のイラストが見られる「ギャラリーモード」、
さらにライバル達と対戦出来るオンライン機能に加え、スコアや各種ランキングが分かる「リーダーボード」にも対応している。
現在はアーケードアーカイブスにも移植されているのでNintendo SwitchやXbox Oneでも遊べる。
なお、CPUが尋常でない
超反応をする事でも有名で、CPU戦の評価はお世辞にも高いとは言えない。斬紅郎など作業プレイでも倒すのが辛い。
CPU戦の最後は天草→斬紅郎→我旺→ミヅキの順でシリーズのボスキャラと戦うが、
我旺までは絶命奥義か一閃を決めた上で勝たないとバッドエンドとなってしまう(ミヅキは普通に倒してOK)。
『零』から大幅な変更があったもののみ下記。
追加
壬無月斬紅郎、羅将神ミヅキ、兇國日輪守我旺
復活
天草四郎時貞
- 絶命奥義(新)
- ↓↙←+CD。発動条件は「怒り爆発中」かつ
「取れば勝利が確定するラウンドで、相手の体力が境地ゲージを下回っている」事。
突進技を繰り出し、ヒットすると相手をロックして様々な演出で惨殺する。決まった時点で勝利が確定。
怒り爆発の衝撃波と絶命奥義は無の境地の時間遅延の影響を受けないため、境地発動後も気が抜けない。
その他、詳しくは該当項目を参照。
- 無の境地
- BCD同時押しにコマンド変更。
持続時間が大幅に短くなり、発生が遅くなったが、発動時に投げ無敵が付く。
このため「とりあえず出せばこちらのもの」ではなくなり、
相手の動きを見切っていないと有効に活用する事は難しくなった。- 一閃
- 残り時間にかかわらず、無の境地を発動した時点での境地ゲージ幅で威力が決まるようになった。
またダメージも全体的に上がっており、最大で7割近くの威力。
このため本作の無の境地は、ほぼ一閃を当てるための準備動作という位置付け。
- 防御崩し
- 突き飛ばしが→+CD、引っ張りが←+CDにコマンド変更。
- 自決
- とうとう怒り上昇効果が一切なくなった。つまり本当の意味でただの死に技。
(敗北がほぼ決定した状態で)相手に余計なゲージを与えない、怒り状態でラウンドを終了させると残り時間がリセットされる等使う意味はある。
+
|
サムライスピリッツ零SPECIAL 完全版 |
2004年10月末に目撃された、幻の零SP完全版?らしきタイトル。
タイトルロゴの「サムライスピリッツ」の文字色が赤いのが特徴。
当時発表されていた『天下一剣客伝』のプロトタイプのロケテスト、
もしくはネオジオの修正版ロムとの同期を取るための特別版…かと思われていたのだが、
稼働して2日も経たず、このゲームは跡形もなく忽然と姿を消したという。
目撃者によれば10月27日夕方頃、背広を着た二人の男性が筐体を開けて
「早く取っちゃって!」みたいな事を言って迅速に基板を回収していったそうな。
最初に存在が確認されたのが10月26日のため、事実上2日弱しか稼働していなかった事になる。
そして数日後にこの件に関してSNKプレイモア公式の「ユサ日記」に「聞いてない」とのコメントが掲載。
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当時のユサ日記より |
2004年10月29日 |
[抹茶ユサ] なんか噂でサムスピ新作が出るんじゃないかっていわれてるんだけど・・あれ、何? 謎のロケテ情報とか。ユサ家は全然聞いてないよ。同人ソフトかなんかが出回っているんだとしたら大変だ!アトミス版はまだだいぶ先だって聞いてるし。 お兄ちゃん!通報通報!でも今頃海賊版出されても・・・・ |
[ユサ] おおお・・・!ユサも昨日の夜、インターネットしててその記事読みました〜!なんでしょうか?ネオジオROM版じゃないですよねぇ?ロケテストってことは・・・ 黒ユサ情報求むデス〜;w; そんなこんなで、抹茶ユサは今日からまたしばらく東京におでかけ。月曜日から社内を巻き込んで、RE-BOUTの特典関係のチェックが始まります〜チェック期間中には帰ってくるかなぁ〜(心配)結構ボリュームあって今からどきどき・・・でも絶対いいものつくるぞ〜!なんたって10周年ですもんね!! |
[黒ユサ] おっサムスピの新作の話か。それは楽しみやねぇ。アトミス版の開発が随分前に発表されてたけどそのサムスピか?ではないのか? ネオジオはゼロスペシャルで終わりだったと思うねんけど。アトミス版サムライ情報は まだ出ないのか? ところで俺はRE-BOUT同梱ムックの原稿チェックでいそがしや~。特典ムックは今までにない良い仕上がりにしたいのぅ。俺がやるからには自信手ごたえもバッチリあるで。 |
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「完全版」「是非 お試し下さい。」というポップが飾られ、
残虐描写をカットしたりストーリーを導入するなどの新要素追加で、
いかにもロケテっぽい雰囲気ではあったものの、よく見るとポップに「ロケテスト」とは書いておらず、
エンディングはオリジナルであるものの一枚絵に文章のみの簡素なものであり、
システム面では特にこれといった特別な仕様変更(システム変更やバランス調整)も無く、
単にCPUが弱くなったり等、まるでディップスイッチでも実現可能に見えるような微妙な調整程度であった事から、
所謂「海賊ROM」であった可能性が高いのではと見られていた。
それにこの時はNEOGEOで発売以前のROMですら海外の製造業者経由でハックされてネットで違法配信されていたり、
「SVC」の時でも強化プロテクトを施した専用一枚基板を特注して販売したにも拘らず一週間も経たずにプロテクトが解析され、
あまつさえ隠しキャラやCPU専用キャラもデフォルトで使えるパッチを当てられた「PLUS」と呼ばれる海賊ROMが横行しており、
NEOGEOの15年の歴史に幕を閉じた理由の一つである海賊版ROMの横行が著しい状況下でもあった。
もちろんこの零SPだけではなく、KOFといった他のNEOGEOタイトルも人気の高い物は違法に改造されたROMカセットにされて売られていたりと、
正に無法地帯な状況でもあったので、このタイトルも恐らく、それらの内の1本である可能性は高いのではないかと推測された。
もし真の『零SP完全版』が発売される運びとなれば、サムスピファンは狂喜していたであろうが…。
この件についての詳細はサムスピ攻略サイト「ぽんしゃぶ弐号」を参照の程。
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と、長らく思われていたのだが…… |
2017年、元開発者の一人のtwitter上での暴露により、
この完全版(赤スペ)は「卸売のビスコがプレイモアに無断で悠紀に作らせた」ものであった事が判明。
どうやら当時のビスコ・悠紀の経営陣が零スペの売上に満足していなかったため、さらに一儲けしようとして、
『天下一剣客伝』の前にプロローグ的なストーリーを追加してリリースするつもりだったとの事。
プレイモアには完成してから見せれば、既に出来たものを無碍にはしないだろうという算段だったらしい。
ところがこの赤スペのせいで逆鱗に触れ、『天下一剣客伝』の版権はプレイモアに持っていかれる事になる……。
それが後々のサムスピチームの離反→独立してエクサム設立に繋がったようである。
なお「赤スペは一枚しか存在しないテスト基板だったので流出したら大問題不可避」との事なので、
今後も日の目を見る事は恐らく無いだろう…と思われていたが、
なんと2020年に突如として『サムライスピリッツ ネオジオコレクション』に収録される事が発表された
(『零SP』までは収録されるであろう事は予想されていた)。
プラットフォームはPS4とNintendo Switchに7月30日。
Steamは6月19日、Epic Gamesでは6月12日に後述の『令サム』と同時配信。
さらにEpic Games版は12日から18日まで無料配信という大盤振る舞いを行なっていた。
ストーリーは『剣』に繋がるはずだった当時のものがそのまま再現され、真のNEOGEO最終作品とも言えるものとなった。
なお、ロケテ当時は英語版が存在しなかったのだが、移植に伴いNecrosoft Gamesの協力の下、新規の翻訳が付けられている。
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サムライスピリッツ天下一剣客伝
告
駿府御前試合の事
御前にて尋常なる仕合に臨む武芸者を
素性不問にて世界各国より広く募りて候
勝者には左の報奨を約束す
一、天下無双の証
一、大願の成就
一、金一千両及び米一千石
存分に剣技を尽くすもの也
徳川慶寅
2005年9月にATOMISWAVEで稼動。シリーズ第七作(ポリ・RPGを入れると第十一作)、ROM容量不明。
略称は
『剣サム』。頭文字を取って『天サム』と言ってしまうと『天草降臨』と被るので注意。
2Dサムスピの完結作と銘打たれ、過去に登場した全キャラクターが総出演。
ようやくスコアシステムに変更され、じっくりプレイ出来るようになった。
かの
エロメイドこと
いろはなど新キャラも追加された。
ある程度のコンボが出来るようになった代わりに、全体的な火力が最大6割、通常1~2割程度と大幅に下がっており、
『
CAPCOM VS. SNK2』で言う所の
グルーヴにあたる「
スピリッツ」を搭載。
シンプル・一撃必殺の怒スピリッツ(初代仕様)から複雑・手数重視の剣スピリッツ(本作オリジナル)まで、
非常に多彩なシステムを使い分けることができ、スピリッツバランスはどれも一長一短でかなり優れている。
ただし登場キャラの多さ故、キャラクターバランスはあまり良いとは言えない。
零SP回収騒ぎを起こした直後の作品なため血飛沫一つ飛ばず、残虐表現は徹底的にカット。
良くも悪くもサムスピ特有の癖が消えて普通の格ゲーにグッと近付いたが、当然と言うべきか、旧来のファンからは賛否両論。
また一部を除き声優が一新、キャラ絵などが非常にライトな雰囲気になっており、この点に対する不満の声が多い。
*2
家庭用ではネットワーク対戦やカラーエディット、新キャラ、新スピリッツ等が追加されている。
大まかな変更点のみ下記。詳細は攻略サイトなどを参照。
- 操作方式
- 1レバー+5ボタン(A: 弱斬り、B: 中斬り、C: 強斬り、D: 蹴り、E: 特殊動作)に変更。
- スピリッツ(新)
- 従来作の名を冠した6種類+家庭用で追加された「獣」・「魔」・「祭」の計9種。詳しくは該当項目を参照。
- 弾き返し、白刃取り
- 防御崩し
- ←+CDで引っ張り、←以外+CDで突き飛ばしに変更。
崩し斬りまでが1セットになり、必ず自動で出る。
また、投げ抜けにあたる「投げ相殺」が発生するようになった。
威力は下がったが発生や投げ間合い面で強化された。
- 追い討ち
- 挑発
- 通常の挑発が←+Sに、武器捨て挑発が→+Sにコマンド変更。
- 受け身(新)
- ダウン着地の瞬間にEで移動距離の短いダウン回避、←+Eで移動距離の長いダウン回避。
移動起き上がりがなくなった事でダウンのデメリットが大幅に増加しており、
通常起き上がりは打撃無敵のみ、受け身は投げ無敵のみとなっているため起き攻め・受身狩りが非常に強力。
- 飛脚(復活)
- 事前にアイテムの有無を選択(対戦時は乱入者側が決定)でき、ありにすると真サム以前のように飛脚が登場。
本作ではアイテムに重なるだけでは取る事が出来ず、AD同時押しで拾う必要がある。
アイテムは寿司、爆弾、毒薬、鈍器・刃物があり、寿司以外は拾った後に投げつける事で効果を発揮する。
爆弾は以前と同じように放置していても一定時間が経過すると爆発する。
- その他
サムライスピリッツ閃
2008年にはTaito Type X2で稼動。再び3Dに舞台を移した。
開発は『
天誅』シリーズなどを手がけているK2スタジオ。
ポリサムの悪夢の払拭を期待されていたが、「浮かせてコンボを繋げる」というよくある3D格闘と化し、
サムスピ特有の差し合い感が殆ど感じられなくなってしまい、さらに演出が地味。
ゲームの出来自体は悪くなかったと言われているものの人気は全く振るわず、早々にゲーセンから撤去される憂き目を見た。
よく例えとして「
ソウルキャリバー風サムスピ」と言われる
(12年後、本当に覇王丸が『ソウルキャリバー』に客演したのは何の因果か)。
後にNESiCAxLive配信タイトルとなったため、プレイ可能なゲーセンは多くなっている。
SAMURAI SPIRITS(2019)
2019年6月にプレイステーション4とXbox Oneで発売。
同年秋にはNESiCAxLive2にてアーケード版が稼働し、冬にはNintendo SwitchとSteamでも発売。
…とされていたが、2020年6月12日にEpic Gamesにて先に配信され(前述の『ネオジオコレクション』と同時配信)、
2021年6月15日にようやくSteam版が発売される事になった。
Steam版が遅れに遅れたのはEpic Gamesによる1年間の時限独占によるものと思われる。
2021年3月16日にはXbox Series X|S版も発売し、新世代機への格ゲー発売の先陣を切った。
Xbox Series X|S版とパソコン版では4K並びに120フレームでのプレイも可能。
こちらもグラフィックは3Dだが『
ストリートファイターIV』や『
KOF XIV』同様の2.5Dとも言うべき2D対戦格闘の体裁を取っている。
システム面も差し合い重視で一撃必殺がウリのシンプルなものへと回帰した。
新たにプレイヤーの戦闘スタイルを学習するAI「ゴーストシステム」を取り入れており、
育てたゴーストと戦ったり、他人のゴーストをダウンロードしたり、他のプレイヤーと戦わせる事が出来る。
『初代』とタイトルが一緒で紛らわしいため、令和時代最初のサムスピという事もあり『令サム』の愛称で呼ばれる事も多い。
ちなみに当初は
『サムライスピリッツ暁』という題名の予定で、そちらは中国版でのタイトルに流用されている。
本作では相手を斬る度に血飛沫が跳ぶ、返り血を浴びる、決着時には女性キャラでも容赦なく体が両断など
世代が進んだ機種という事もあって残虐表現がパワーアップしたため、シリーズで初めてCEROがD(17才以上対象)となった。
この残虐表現は設定で無しにする事が可能なので苦手な方も安心。
- 操作方式
- 1レバー+4ボタン(弱斬り、中斬り、強斬り、蹴り)
- 武器飛ばし必殺技
- 秘奥義
- 641236+強斬り+蹴りに統一、全キャラクターに搭載。
怒りゲージの状態に関係なく出せるが、1試合に1回のみとなっている。
また、秘奥義で決着をつけると、「勝負あり」の演出が変化する。
- 怒り爆発/一閃
- 弱斬り+中斬り+強斬り
従来の「怒り爆発」から発動できる技へと変更、これにより「無の境地」は廃止された。
発動後に怒りゲージが消失するのは今まで通り。
- 見極め(新)
- 攻撃を受ける直前にガードすると青いエフェクトが発生し、削りダメージを無効化できる。
更に、怒りゲージも増加する。状況次第では食らった場合よりも多く溜める事が可能。
- 押し返し(新)
- 見極め成立時に弱斬り+中斬り
当てるとふっとばしてダウンさせる事ができる。
- ガードクラッシュ(新・アップデートで追加)
- ガードクラッシュ値が一定まで溜まると体が赤く点滅し、点滅時に強斬りをガードすると発生する。
ただし、見極め成立時は点滅時でもガードクラッシュに移行せず、ガードクラッシュ値も溜まらない。
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番外編1:RPG |
ネオジオCD、プレイステーション、セガサターンの3機種で同時発売された『真説サムライスピリッツ 武士道烈伝』の事。
サムスピシリーズの展開の目玉として、人気が絶頂を迎えた真サムの頃に発表され大いに期待を呼んだ。
しかし延期に次ぐ延期を経て発売された本作は、ロード時間が異常。
SNKは過去にファミコンでRPGを2作発売しているので(『ゴッドスレイヤー』と『里見八犬伝』)、全くノウハウが無いという訳ではなく、
グラフィックや独自の戦闘システム、豊富なボイス、ストーリー構成やボリュームなど、内容は標準以上のものに仕上がっていたが、
とにかく頻繁に入る長いロードが全てを台無しにしてしまっている。
特にネオジオCDの等速読み込みは「クリアまでにプラモデルが完成する」「拷問器具」など散々な言われようであった。
なお、各機種によって微妙に内容が異なり、ネオジオCD版が最も充実していると言われる(ロードを除けば)。
逆にプレイステーション版はロード時間が最も短く、プレイステーション2でディスクの読み込みを高速にすればさらに短くなる
(その分ロード画面は非常にシンプルで、戦闘以外のロードは暗転のみとなっている)。
内容そのものは決して悪くなかったにもかかわらず、未だに復刻版などでの再発売が無いのは、
一部で版権関係がややこしい状態にあるらしい(フジテレビなどがクレジットされている)と噂されている。
また、外部でMORPG『サムライスピリッツオンライン』なるものも開発中だったが、スクリーンショットの公開以来音沙汰がない。
それから時は流れ2019年8月8日、X.D.Globalよりスマートフォン向けに『侍魂オンライン―朧月伝―』が配信されるも、
2020年12月31日にサービス終了となった。合掌。
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番外編2:メディアミックス |
アニメの外伝的作品として、ゴールデンタイムの地上波で放送された『サムライスピリッツ~破天降魔の章~』が存在する。
覇王丸の声優がSMAPの香取慎吾氏だった事や、真サムの「天覇封神斬」の隠し コマンドが番組の中で公開された事で有名。
…だが、色々と酷い出来だったので闇に葬られている。
この他、ポリサム2のOVA版『アスラ斬魔伝』、インターレッツ開発のADV『ナコルル~あのひとからのおくりもの~(通称ナコりもの)』と、
それを映像化したOVA (ただし未だに1巻『郷里之畏友編』しか出ていない)がある。
特にナコりものはそのアレな内容により、黒歴史が多いサムスピの中でも最高級に危険な作品。
後に関連キャラが『 CVS』(マナリ)や本編の『零サム』( レラ)に出て来てファンに悲鳴を上げさせた。
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おまけ:漫画版 |
サムスピ本編の開発に深く関わっているしろー大野先生、『トライガン』で星雲賞を取った内藤泰弘先生、
『BLACK LAGOON』などで有名な広江礼威先生がコミカライズを手掛けている。
いずれも評価が高く、内藤泰弘先生は後に『零サム』でのキャラクターデザイン( 妖怪腐れ外道)も担当。
また、作中に登場するオリジナルキャラ「小綱」が 緋雨閑丸の原型となり、
覇王丸のデザイン(髪の増量)にも影響を与えたのではないか、と推測されている。
この他、実はかの有名な「 ボンボン餓狼」にも、単行本未収録のエピソードにおいて客演しており、
その他『 ゲッターロボ』や『 虚無戦記』の作者である石川賢先生による漫画版、
『SAMURAI SPIRITS 島原天草邪神城攻略編』も存在している。
上記の『破天降魔の章』を原作とした作品であるが、内容は…お察しの通り 「ケン・イシカワ漫画」である。
餓狼の時と同様、氏特有のダイナミックすぎる展開が炸裂しており、侍と言うか“野武士”みたいな漫画となっている。
現在は「eBookJapan」で電子書籍として購入可能なので、興味のある方は一読しても良いかもしれない。
さらに、コミックボンボンで連載された 島本和彦先生のサムスピも存在。
間接的な影響だったが、上記の通り和月伸宏先生も開発に携わるなど、サムスピと漫画界の繋がりは意外に深い。
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MUGENにおけるサムスピシリーズ
SNKを代表するタイトルなだけに、一部を除くほとんどのキャラがMUGEN入りを果している。
しかし、システムの仕様上他のゲームと噛み合わない事が多いためか、アレンジキャラも多めである。
切り返しが安定せず、攻められ続ければ何も出来なくなってしまう事も珍しくないが、
一瞬の隙を突く高火力な一撃はMUGENでも健在であり、視聴者を驚かせる。
また、凄まじい改変でお馴染みの
Fooや
傘などもニコMUGENではかなり有名である。
*1
公式サイトではポリサム三作も歴代作品に含まれているが、RPGは含まれていない。
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『六番勝負』の移植版には、新たに再収録した旧来のボイスに変更出来る設定が追加された。
基本的に『初代』などキャラクター初出の声優からであるが、我旺やチャムチャムなど一部再録されていないキャラもある。
また、逆に炎邪・水邪にも元々変更は無かったのだが、
火月・蒼月と同じ声優による追加ボイスに変更可能。
本来その声だと厳密にはそれぞれ炎邪火月と水邪蒼月という別キャラなのだが、ファンサービスなので気にしないでおこう
(ポリサム第2作の『アスラ斬魔伝』における火月・蒼月の羅刹版。各々の刀に封印されている炎邪・水邪が憑依した状態)。
最終更新:2023年05月10日 15:09