格闘ゲームにおける基本用語の一つで、相手が反撃出来ない、反撃出来る隙のない連続技の事。
これを行う事で連続で攻撃を加える事が可能なため単発ヒットよりもダメージやゲージなどのリターンが増大し、
また単発ではまず当たらないがリターンの大きい技をヒットさせる事も可能となる。
これらを抜きにしても、連続で技を繋いでいく事に爽快感を感じる人も多い。
対戦格闘ゲーム初期においては、連続技として繋がる事に特に名称は存在せず、
また画面上にも連続ヒットを示す数字などの表示はされなかった。
しかしゲームがやり込まれるにつれて様々な連続技が発見され、そして研究されるようになった。
そんな中『
スーパーストリートファイターII』において、このような連続技に初めて
「コンボ(combo)」*1という名称が付けられ、
実際に画面にヒット数を表示して分かりやすく示されるようになり、ここから本格的に連続技の繋がりを示す呼び名として「コンボ」が使われるようになった。
その後に続くかのように他社もこのコンボ表示を行うようになり、
「コンボ」が成立している総合ヒット数を画面表示するのが、昨今の格闘ゲームではほぼ常識となっている。
とはいえ独自性を持たせるために呼び名を変えて表示させる事も多数ある。
しかし、やはり先駆者の功労という事もあり、大抵は「コンボ」と言えば全て通じる。
こうしてコンボを発見し、実戦で決める事が格闘ゲームをプレイする事の醍醐味の一つとして認知されるようになるにつれて、
製作者側もそれを意識したゲームや技を積極的に取り入れる事が常となってくる。
それまでのゲームはヒット時の有利フレームを活かして
目押しする事でコンボを成立させている事が多かったが、
技の戻りモーションを強制的に中断して次の技を出すという本来バグであったはずの
キャンセルがテクニックとして知られるようになると、
各社それに追随する形で様々な技にキャンセルポイントを設定し、コンボが成立しやすいようなゲームを設計するようになる。
初期のゲームは
通常技→
必殺技といったキャンセルしか出来ないものがほとんどであったのだが
このような中でカプコンは通常技から通常技にキャンセル可能というそれまでの常識を覆す
チェーンコンボを導入した『
ヴァンパイア』を世に送り出し、
その独特のキャラ造形やシステムと相まって人気を博す事になる。
これにより、それまでコンボとは縁の無かったプレイヤーでもより簡単にコンボできるようにする事で、
多くのプレイヤーにコンボの爽快感を提供する事に成功し、その後後述するコンボゲーと称されるゲームの礎を築いた。
カプコンはこの後にも常時空中
喰らい判定を残す事で空中コンボという概念を生み出した『
X-MEN Children of The Atom』(以下『COTA』)、
そして空中コンボにチェーンコンボの概念を持ち込んだ
エリアルレイヴを導入した『
X-MEN VS. STREET FIGHTER』などを世に送り出していった。
一方当時ライバルであったSNKもカプコンがコンボをシステムとして導入したのに対抗して、
『
餓狼伝説SPECIAL』からはそれまで仰け反り中無敵だったシステムを改め連続技を可能にし、
さらに『ヴァンパイア』のヒットを受けてか『餓狼3』でのコンビネーションアーツや『RB餓狼』でのコンビネーションアタックの導入、
また別方向としては『
THE KING OF FIGHTERS』シリーズでの通常技→
特殊技→(
超)
必殺技というコンボルートの確立など、
こちらも徐々にコンボを優遇する方向に走っていった。
しかし、コンボが長くなるにつれてコンボダメージも徐々に大きくなっていき、
結果として瞬殺や、
コンボができるプレイヤーとそうでないプレイヤーとの間で火力差が大きくなりすぎるという問題が顕在化。
また、コンボの自由度が上がった影響で
永久コンボも多数発見されるようになり、その結果プレイヤーが離れるゲームが増加した。
瞬殺対策のために単発火力は徐々に下げられるようになったが、火力差に対しては効果が無く、
そのために導入されたのが、ヒット数を稼ぐごとにダメージや浮きが小さくなる
「補正」というシステムである。
しかしこのような是正手段を以てしても、初心者とそれ以上のプレイヤーとの間の差は如何ともし難く、
また格ゲーバブルが弾けた事もあって、プレイヤーは離れる一方であった。
そんな中、当時としては異常と言えるほどの自由度を持ったゲーム『
GUILTY GEAR』、
さらに家庭用だったこのシリーズのアーケード進出第1作目である『GUILTY GEAR X』が登場する。
このゲームはガトリングコンビネーションやダストアタック、ジャンプキャンセルといった豊富な連続技ルートや
『X』から新たに導入された、あらゆる動作をキャンセルしてニュートラル状態に戻すロマンキャンセルといったシステムが用意されている事もあり、
半ば暴力的なまでの自由度の高さで多数のプレイヤーを獲得する事に成功した。
惜しくもこの2作は自由すぎて所謂「
世紀末」だったのだが、これをきっかけとして自由度の高いコンボを目玉としたゲームが多数誕生。
これらのゲームは『COTA』以降の所謂『VS.』シリーズ(『
CVS』除く)や『
あすか120%』などと合わせて
コンボゲーと呼ばれ、
これらは現在の格闘ゲームのメインストリームとなっている。とはいえこのようなゲームは初心者にとって習得する事項が多く、敷居が高いのも事実であり、
それを省みてコンボ性を抑えたゲームとして『
アカツキ電光戦記』や『ヴァンガードプリンセス』といったゲームも存在する。
前述の通り今日のゲームではコンボによる爽快感が主眼に置かれるケースが多く、
逆に言えばコンボができなければ初心者以下という、初めて格闘ゲームを始める人間はおろか、
他の格闘ゲーム経験者ですらかなり苦しいゲーム性となっているものがほとんどである。
しかし、コンボ性を謳うだけあって簡単なコンボであればそれこそボタンを連打するだけで繋がり、見た目ほどの難しさではない事もある。
いわゆる基本コンボも少し練習すれば出来る難易度のものが多数あり、家庭用版ではプラクティスモードが充実している場合も多い。
むしろ、相手の体力を奪う上で必ずコンボを用いる必要性があるおかげで、熟練した人間であってもミスを犯す可能性があり、
また
立ち回りのダメージレースで負けていても、一度のチャンスからコンボで得られるリターンが昔のゲームと比較すると大きいため、
結果として初心者でも格上の相手に対して勝てる可能性が上がっているという意見もある。
しかしこれは、「コンボさえ習得していれば立ち回りがグダグダでも運良く勝てる事がある」と言う事であり、
酷い場合だと「立ち回りのセオリーも知らない初心者に永久喰らって殺される」と言うケースもある。
まぁこれは永久の存在が悪いのだが、こうしたコンボ精度が勝敗に直結しがちなゲームをコンボゲーとして距離を置くプレイヤーも少なからず存在する。
また格ゲーバブルが弾けたのとほぼ同時期にゲーマーの気質が変わり、
「
努力して強くなっていくのが楽しい」から「遊びにまで努力を強制されたくない」となってしまった。
そのため、最低限の連続技以上の所謂「レシピ」と呼ばれる長い
コマンドの組み合わせを覚えたり、練習したりする事を面倒臭がる事が多い。
ぶっちゃけソーシャルゲーム(と言うか札束で殴り合うゲーム)が人気になったのも、これが原因だろう
また、コンボを継続するルートには多くのゲームに共通する一定の"お約束"が存在する。
詳細は後述しているが、「236コマンドで飛び道具や牽制技が出る」レベルの格闘ゲームのお約束であり、
これを知っているプレイヤーは初めてのゲームでも何となくコンボを構築する事が出来る反面、
知らないプレイヤーはコンボのコの字も出来ないという事になりがちである。
ゲームというのはジャンルによって得手不得手がハッキリしている代物であり、同じ格闘ゲームであっても、
コンボを決めていく事に楽しさを見出す人もいれば、一撃必中による差し合いの展開に楽しさを感じる人もいる。
その人が不得意とする事を押し付ける事のないようにしよう。
なお、コンボを決める事自体はほとんどのゲームにおいて共通であるため、共通用語になっている関連用語も多い。
弱攻撃から強攻撃など通常技同士のコンボルートを指すチェーンやガトリング、空中コンボを指すエリアルといったような用語はその典型だろう。
コンボルートの一例
- 各種通常技>必殺技
- 『ストII』から見られる基本。2D格闘ゲームでこのコンボが存在しないケースは皆無。
- しかし実戦投入するには単発でヒット確認できる能力が要求されたりするので意外に難しい事も。
- ジャンプ攻撃>地上通常技(>特殊技)>必殺技or超必殺技
- ↑のコンボにジャンプ攻撃と特殊技を取り入れたケース。
- 『THE KING OF FIGHTERS』シリーズでは特殊技が入る場合も含めよく見られるタイプ。
- ガードされて五分の特殊技がある場合は特殊技まで、無い場合は最低でも地上通常技までで確認すればよいので、割と手軽にラッシュが組める。
- 通常技>目押し:通常技>必殺技
- ヒット時の有利フレームが長い攻撃を当てた後に、発生の速い他の攻撃を当てる事でコンボにするもの。
- キャンセルとは異なり、間にニュートラル状態を挟むのが大きな特徴。
- 目押しのタイミングの猶予は数Fである事が多く、実戦で安定させるためには相応の練習が必要ではあるが、
- キャンセルに比べてヒット確認がしやすく、目押しが安定すれば必殺技まで繋ぎやすい。
- カプコン製格ゲーなど、通常技にキャンセルが効きにくいものに多く見られる。
- 弱攻撃>中攻撃>強攻撃
- 『ヴァンパイア』を始祖とする、所謂チェーンコンボ。
- 『GUILY GEAR』シリーズのガトリングコンビネーションなどもこの一種。
- PとK、立ちとしゃがみと空中、ヒットとガードでキャンセル可能なルートが変わったりするが、
- コンボゲーといわれるゲームにはほとんど存在する基本中の基本とも言えるコンボルート。
- ただし基本過ぎてこれだけではダメージが取れないので、たいていの場合は最後を足払いにしてダウンを取って起き攻めしたり、
- さらに必殺技や超必殺技を添えてダメージを上乗せしたり、何かしらのキャンセルをかけて別のコンボルートに移行したりと、
- どちらかというと何かの布石的な使い方がメイン。
- 打ち上げ技>弱攻撃>中攻撃>強攻撃>必殺技
- エリアルレイヴの基本パターン。
- 『VS.』シリーズのみならず、大抵のコンボゲーにおいておなじみのコンボ。
- 浮かせ>空中チェーン>ジャンプキャンセル>空中チェーン>コンボ〆
- 2段ジャンプがある場合のエリアルレイヴ。コンボゲーなら大抵の場合可能。
- 3段ジャンプがあるキャラなどはさらにもう一回ジャンプキャンセルして3回目のチェーンコンボを決めるといった芸当も可能。
- 〆はダメージを重視するかダウンをとって起き攻めするかで異なるが、基本的にダウン誘発する技や必殺技・超必殺技が好まれる。
- しかしゲームによっても多少の違いがあり、『MELTY BLOOD』では通常技から各種キャンセルを使って空中投げで〆、
- 『Eternal Fighter Zero』では2回目の空中チェーンを途中で止め受身狩りに入るなど、ゲームによって微妙に差がある。
- 昇り空中技>降り空中技
- 通称似非空刃。
- 地上の相手に対しジャンプの昇りでよろけ時間の長い技を当てつつ下りに発生の早い技を低めに当てる事で、
- 中段の昇りジャンプ攻撃で崩しつつ、さらに地上でのコンボが入るという点が特徴。
- 元々は『Queen of Heart'99』での用語であり、
- スタンドON状態の柏木楓の昇りジャンプ大攻撃→下りジャンプ中攻撃というコンボパーツの見た目が、
- 殺意の波動に目覚めた志保のコンボでよく使われた昇りジャンプ大攻撃→空刃脚という構成と良く似ており、
- 殺意志保のものが「空刃コンボ」と呼ばれていた事から。
- 似非空刃が成立しやすくなる条件としては
- 仰け反り時間の長い技から別の技に繋がるコンボルートが存在
(通常と逆方向に繋げられるチェーンコンボが可能、あるいは隙消しシステムが存在など)
- 技後の隙が少ない空中必殺技がある
- 相手の喰らい状態中の判定が上方向にある程度大きい
- 低めのジャンプ軌道
- といったものがあるが、これらが無くても成立する作品・キャラは存在する。
- MUGENにおいても調整が甘かったりすると似非空刃から似非空刃が繋がったり、
- その結果永久になる事がしばしばあるため(カンフーマンですらキャラ限定で成立する)、
- キャラ製作の際には注意が必要かもしれない。
- ジャンプ攻撃>空中ダッシュキャンセル>ジャンプ攻撃>地上攻撃>ジャンプ攻撃>… のループ
- 『Eternal Fighter Zero』に多い空中ダッシュキャンセルを組み込んだコンボ。
- ダメージを伸ばしやすい上相手をかなり長い距離運べるためコンボ後の状況も良い。
- 空中で約30ヒット前後のコンボを決める>ダウン追い討ちブースト弱攻撃×N>浮かせ技>…
- 『北斗の拳』の代名詞的永久コンボ・バスケへ突入する手段の一つ、百烈ルート。
- ブーストゲージを大量に消費するため、キャンセルせず移動ブーストというテクニックで節約するのが修羅の嗜み。
- 「移動ブーストミスらな~い!」
- 空中で約35ヒット前後のコンボを決める>ダッシュ弱攻撃×N>浮かせ技>…
- 同じく『北斗の拳』のバスケ突入手段、ドリブルルート。
- ダッシュ弱が6Aや6Bといった特殊技に化けないようにするのが地味に難しい。
- 6Aや6Bが出てしまった日には周囲から猛烈に煽られる事必至。
- 空中で約30ヒット前後のコンボを決める>エリアル攻撃>(中>強)×N
- 『戦国BASARA X』の代表的永パである宇宙旅行。ピザマヨッ!。
- 強>中は目押し……かと思いきやエリアル攻撃からの追撃中は最速で出るため連打するだけでよい。
- むしろ強攻撃にタメが存在するために中>強が目押しなキャラが存在する始末。
- ボタン連打
- 『ワールドヒーローズ2』『サムライスピリッツ天草降臨』(連斬のルートの一つ)『東方緋想天』『P4U』『E's laf』(A連打)や、
- 『エヌアイン完全世界』(完全連鎖)などに導入されている共通技で、
- 「取り敢えず1ボタン連打しとけば勝手に基礎コンをしてくれる」というお手軽コンボである。
- 原則、攻撃が空振りすると次の攻撃に派生しない。
- 後者のようにチェーンコンボ要素も同時に実装している場合、ゲージがあれば超必殺技で〆てくれるなど、
- 「適当にいくつかボタンを押しているだけで何となくかっこよさげなコンボが出る」
- という初心者には大変ありがたいシステムである。
- きちんと組んだコンボと比べると使い勝手や火力に劣る欠点がある為、
- これだけに頼って戦うのは難しいものの、「とっさの状況でも取り敢えず連打すれば出る」
- というお手軽さは便利であり、意外と馬鹿にできなかったりする。
ニコニコには様々なゲームのコンボ動画が上げられており、
それこそ実用可能な実戦コンボから実戦ではまず決まらないような、所謂「魅せコン」も多数拝む事が出来る。
実用的なコンボ集などは
原作再現志向のキャラクターの
AI作成の参考にもなるため、是非覗いてみるといいだろう。
あまり数は多くないが、MUGENキャラのコンボ集も投稿されているので、使っているキャラのムービーは参考にしてみよう。
関連項目
*1
コンボ(combo)は英語の「コンビネーション(combination)」に由来する単語で、
元々は小編成のジャズバンド、複数の惣菜を組み合わせて選ぶ料理、または単に組み合わせ・連合のいずれかを指す。
『スパII』でこの語が採用されて以降他ジャンルのゲームでも使われるようになり、
英語圏でもゲーム上の意味としてのcomboが通じるようになっている。
最終更新:2023年01月05日 17:55