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ピースギア未知の存在への接触規定

制定年月日:新宇宙暦105年4月1日


概要

 ピースギア未知の存在への接触規定は、旧ピースギアが、自らの観測網の外側に現れる存在との遭遇に備えて定めた規定である。
適用の場は、銀河の内側から異世界にまで及ぶ。
任務先の世界で暮らす現地住民との接触はピースギア異世界転移・調整任務作戦規定に委ねられ、正体不明な存在との遭遇を、組織の評価と許可の下で本規定が扱う。

原則

 原則の定めは、接触から記録に至る以下の全章に先立って適用され、手順の判断に迷った場面で職員が立ち返る基準となる。

趣旨

 規定が未知の存在とみなすのは、組織の観測範囲の外に現れた生命体であり、自ら意思を備えた知性体もここに含まれる。文明の手で築かれたとみられる構造体も、同じ扱いを受けた。範囲の外にあるかどうかは、観測網に蓄えた類型を過去の接触記録に照らし合わせ、該当の空白が確かめられた時点で判定される。既知の科学技術を用いても、魔法体系に頼っても解析の外側に残る存在が、定義の中心に据えられている。規定の目的は組織と職員の安全の確保にあり、銀河から多元宇宙に至る秩序の維持がこれに重なる。接触は厳格な手順を踏み、段階的な評価を重ねて、上位の承認を経た後に初めて許される。性質も意図も明らかになる前に姿を現す存在に、無分別に近付く行為は、文明同士の衝突の引き金となりうる。命が失われる事態も想定され、波及が多元宇宙の規模に広がれば、危機は連鎖して収拾の手段を失う。

分類

 接触の対象は、意思の有無を第一の基準に、物理法則への従い方を加えて三つに分類される。どの分類に入るかは観測の段階で見定められ、判定の結果が接触の進め方を左右する。
 知性型存在:自律した意思を持ち、自ら決定を下す力を備えた存在を指す。個体で動く場合も、群体が一つの意思を形作る場合もこの分類に入り、意思疎通の可能性が接触計画の出発点に置かれる。
 非知性型存在:生物としての活動や何らかの現象の発生は観測されながら、意思も文明的な意図も確認を待つ段階にある存在である。行動の周期が把握の主眼となり、周囲の環境に及ぼす作用も観測の対象に入る。
 異次元構造体:時間と空間の法則から外れた振る舞いを示す存在で、通常の物理的手段の届く外側に在る。干渉の経路そのものが探索の対象となるため、接触に先立つ観測の工程は長く取られた。

接触

 接触の定めは、遭遇が予期された場面と、組織の側から接触を求める場面に適用され、不意の遭遇には回避の定めが先に立つ。

手順

 接触は三つの段階を順に踏み、各段階の結果が次に進めるか否かを決める。計画の時点で対象の分類に応じた接触の方法と距離が定められ、通信手段の選択には影響評価の観点が加わる。中央通信網との間にはリアルタイムの報告回線が開かれ、異常を捉えた瞬間に中止に移る手順も準備に含まれる。
 観測:専用のスキャナーと量子干渉測定器を用い、魔法的探査装置を併用して、対象の性質と潜在的な危険性を遠方から評価する。文明の水準もこの段階で推し量られ、得られた情報を基に接触の計画が組まれる。
 非侵襲接触:観測を経て重大な危険が低いと判断された場合に進む。手段を遠隔の通信に置き、信号への応答を確かめる作業がこれに続く。距離は最小干渉範囲の外側に保たれ、環境に変化をもたらす行為は戒められる。
 限定接触:非侵襲接触の結果に問題の兆しが皆無であった場合に限り、短時間の直接接触が許される。職員は防護服に非致死武装を加えて身を固め、隔離シールドの内側で対象と向き合う。目的は研究と交渉に置かれ、観測の継続もこれに含まれる。全過程は中央システムにライブで記録され、緊急中止の手順が常に発動の構えを保つ。
 各段階のデータは暗号化されて中央解析システムに送られ、評価の結果を待って次の段階が開かれる。

許可

 接触の許可は、治安軍事局と科学教育局が合同で設ける評価委員会が下す。評価は四つの項目にわたり、定量的なスコアに定性的な分析を重ねて判定される。
 攻撃性:対象が職員に危害を加える兆候を示すかを見極める。
 環境影響:接触が周囲の環境にもたらす変化の度合いを測る。
 文明干渉:接触の事実が近隣の文明の歩みを揺るがす危険を評価する。
 秩序影響:遭遇の波及が多元宇宙の秩序に及ぶ範囲を見積もる。
 リスクが一定の値を超えた時点で、接触は禁止される。限定接触の実施にも委員会の許可を要し、現場の職員が独断で段階を進める道は閉ざされている。特例として、銀河もしくは世界線の規模で緊急事態が生じた場合に限り、司令の特別承認による例外接触が認められた。例外の下でも、安全装置の作動と隔離の手順は厳守を求められる。

回避

 回避の定めは、未知の存在が不意に接近した場面と、敵対の行動を示した場面で発動し、平時の接触手順に優先して適用される。

初動

 未知の存在を確認した職員は、直ちに警戒態勢に移る。最初に確かめるのは個人の防護装備であり、非致死防衛装置の作動に続いて隔離シールドの状態が点検される。警戒信号は中央通信網に自動で送られ、全職員に警報が行き渡る。優先されるのは物理的な距離の確保であり、職員の側から接触を試みる行為はこの段階で禁じられる。安全距離は対象の分類に応じて定め、運動能力と攻撃性を見積もったうえで、未知のエネルギーが及ぶ範囲を加えて総合的に評価する。物理的な隔たりに加えて、情報の干渉と心理への影響が及ぶ範囲も距離の算定に織り込まれる。周囲の環境の変化は観測を続け、エネルギー反応の推移も記録に残して、異常物質の発生に目を配りながら危険性の評価を更新していく。回避の手段が尽きて接触に至った場合、中央通信網に状況が即座に報告され、全職員に警戒指令が発せられる。

退避

 回避の手段には、対象を無傷のまま遠ざける方法が選ばれ、職員は状況に応じて複数を組み合わせて未知の存在の動きを誘導する。手段ごとの訓練は事前の想定に沿って行われ、受講は全職員に義務付けられた。
 光学迷彩:職員と装備の姿を、対象の知覚から覆い隠す。
 音響干渉:音の波で対象の注意を散らし、接近の進路を乱す。
 重力偏向:重力の向きを局所的に曲げ、対象の進む方向を職員の位置から外す。
 経路誘導:強制ワープの経路を開き、対象を安全な空間に導く。
 空間切断:職員と対象を隔てる空間を断ち、接近の経路を閉ざす。
 危険が高まった局面では隔離シールドが即座に展開され、被害の広がりを抑える。手段を講じた後も危険度が増す場合、職員は撤退に移る。撤退の経路は事前に複数用意され、ワープによる回避経路とシールドに守られた退避地点が使い分けられる。撤退の間も周囲の監視を続け、中央指令との通信を保つ。安全区域に着いた後は全員の健康状態と装備の状況が確かめられ、次の接触に備えた態勢が組み直される。

記録

 接触と回避のいずれを経た場合も、得られたデータは全件が暗号化され、中央データベースに保管される。保管の対象は観測記録に始まり、通信ログに行動の解析結果が続いて、環境の変化を記したデータにまで及ぶ。接触の後に対象から直接データを集める場合は、影響評価を済ませ、倫理委員会の承認を得たうえで、隔離された環境の内側でのみ解析が進められる。回避を経た事例では、対象の性質が行動の型に照らして解析にかけられ、回避の成否を分けた要因が切り分けられた。解析の結果は回避の手順に書き加えられ、次の遭遇に臨む職員の判断材料となる。友好的な接触に終わった事例も同じ扱いを受け、結果は直ちに全職員に共有されて、組織全体の対応方針に反映される。蓄積された記録は将来の接触に向けたリスク評価の基礎に据えられ、研究の材料としても長く参照されている。

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歴史
最終更新:2025年11月26日 06:59