星辰一刀流
【解説】
最高師範は代々、剣匠ジョウセンを襲名する。834年現在の最高師範は第30代剣匠ジョウセン。
刀神流が人魔大戦の時代に聖王国に広まり、聖騎士団の御留流「破魔の剣」・独自技術の「光の剣技」として発展したのと対照的に、星辰一刀流は帝国に伝わり、帝国軍人や暗黒騎士団の一部に独自の発展を遂げて伝わることになった。
【歴史】
初代の剣匠ジョウセンが属していたファミリアは、日本の古流剣術の中でも、神秘性を強調し精神修養による超常的な効果を説く流派を伝承していた。
旧時代には世迷言だった神秘的要素は、実際に魔素が存在し魔法が実在するようになった聖華歴の世界においてにわかに有効な手段となっていた。
想像だけで描かれた伝承内容を現実の武技に落とし込む努力を重ねたジョウセンは、研鑽の末に25歳の時に刀に気を込める技を編み出す。
そして伝書に記された修業の心得である「精神一統何事か成らざらん」という言葉から音を取って、流派の名前を「星辰一刀流」としたのである。
流派を編み出し、「剣匠」の尊称を得たジョウセンはカナドの各地を旅して広く星辰一刀流を教えて回り、様々なファミリアから彼を慕って同行する弟子は引きも切らなかったという。
こうして流派をカナド全土に広めた初代剣匠ジョウセンは、没するにあたって高弟の一人に伝書と愛刀を授け、
「これより後は、お前が最高師範たる剣匠ジョウセンの名を受け継ぎ、星辰一刀流の伝統を守るのだ」
と言い残した。
以降、歴代の最高師範は、地位を受け継ぐと同時に剣匠ジョウセンの名を自らの正式な名前として受け継ぎ、伝書や記録にも自らの名前や出身部族を残さないこととしている。
人魔大戦時には、刀に「気」を込めるスタイルが帝国の魔法剣士型魔装兵と似通っていたためか、帝国で広まりを見せた。
カナド人の身体能力でなければ再現できない要素を改変・デチューンしながら新人類の標準に合わせた技法に変化していったのは、聖王国における刀神流と同様である。
刀神流のように御留流となるような発展はしなかったが、刀術として帝国各地に伝わり、834年現在まで残っている。
【剣技】
練気斬岩剣
刀身に「気」を込めて、普通は切れない大きくて硬いものを叩き切る技。
最も基本となる初伝の技である。
達人は、木刀を用いて、木刀を追ったり岩を砕いたりせず、大人の身の丈ほどの大岩を豆腐のように切り裂くという。
魔闘一閃刃
流派を代表する技である。
一度「気」を込めた刀身を、気を維持したまま鞘に戻し、居合い抜きの要領で抜刀する。
この時、抜刀と同時に、増幅された「気」が剣の軌道に合わせて数十メートルを薙ぎ払う。
非常に有名な剣技ではあるが修めるのは難しく、この技を習得することが星辰一刀流の免許皆伝の条件である。
なお達人は、単に「気」で薙ぎ払う領域を広げるのみならず、絞り込んでピンポイントに攻撃したり、まるで魔法のように長距離に渡って「気」の塊を衝撃波として飛ばしたりすることができるという。
【派生流派】
ジョウセンが各地を旅して広めたことで、もともと体系的な剣術ではなく武器の扱いを伝承していただけのファミリアなどでは、星辰一刀流に自分のファミリアの伝承武器術を加えた独自流派を作り出すケースが多くあった。
現在に残る流派としては、