沿革
アルテルは大陸北東部に位置する平和な地域で、農業をはじめとする物産が豊かな土地柄であり、商業や芸術がおおいに発達しました。
さらに、この地は
冒険の神ネイアが「神戒」を下した地としても知られており、神々を祀る神殿が建立され、
社会や文化の中にも宗教観が緩く広汎に影響しています。
兵士たちは
ファイター技能と
プリースト技能を持つ聖戦士(クルセイダー)、
騎士たちはファイター技能と
ライダー技能とプリースト技能を持つ聖騎士(パラディン)、
魔法使いたちは
ハイ・ソーサラー技能とプリースト技能と
セージ技能を持つ司教(ビショップ)、
王族はファイター技能とプリースト技能とセージ技能を持つ君主(ロード)、
とプリースト技能を含めた複合職が一般的になっており、それらを示す言葉もできているほどです。
宗教・文化の中心地として芸術や美術が盛んであり、蛮族戦争で他の地域が壊滅的な被害を被る中でも平和を保ったアルテルは極めて多くの遺産に恵まれています。
また、農業・商業の中心地として多くの品物を輸出して利益を上げており、経済力では最高の力を持つ国です。
アルテルの支えが無ければ、
リルヴァンは対蛮族戦争を続けて行くことはできなかったでしょう。
しかし、大陸の東岸に位置するアルテルから最も遠い西岸に位置する
ナルドールは産物の援助も滞りがちで、ナルドールの貧しい環境への支援はなかなか行き届きません。
食料輸出がリルヴァンに優先的に行われているのも一因です。
平和と豊かさを享受しているために他国から嫉妬の目を向けられることも多く、
特にリルヴァンからは「こちらに戦争を押しつけて豊かさを楽しんでいる」、ナルドールからは「こちらと同じ貧しさや苦しみを味わえ」と考えられています。
蛮族との戦争をほとんど経験していないために緊迫感が薄く、兵士たちも実戦の経験はほとんどありません。
アルテルの軍は「装備と飯は豪華だが、敵が目の前に来るとすぐ逃げ出す」という悪評で知られており、
さすがにこれではまずいと真剣に考える将軍もおり、辺境の地に領土を広げて実戦による兵の強化を行っています。
アルテルの兵士たちはほぼ全員がプリースト技能を持ち、損耗率の低さに定評があります。
ミスリル製の防具に身を固め、魔力撃を用いた騎兵突撃を行う神聖騎士団は勇壮にして華麗、「閲兵の儀式でなら大陸最高」と言われています。
その反面、練度においてはリルヴァンの騎士団と比べて二歩も三歩も後れを取っているのも事実であり、
「我々はお飾りでは無い」との気概を持つ聖騎士たちの多くは辺境において武勲を挙げています。
そうした一部の者たちが辺境に行ってしまったので、国内はますますのんびりした人物ばかりになりました。
冒険者に依頼される仕事の内容は、他愛の無い意地の張り合いで揉め事を起こす貴族たちの代理戦争のようなものです。
それも殺人や誘拐などといった大事ではなく、「隣の貴族が新しく建てた別荘の壁一面に落書きをしてこい」「よその貴族が自慢にしている白馬に墨汁をぶっかけてこい」など
子供じみた話が多く、それぞれの貴族が抱えている優秀な兵士や騎士たちにやらせると本格的な争いになってしまうので、
その場限りの雇用関係で済む市井の冒険者に話が舞い込むのです。
こうした関係が長く続くと、冒険者たちも手慣れたもので、潜入側と防衛側にそれぞれ力量の近いパーティーを割り当てて依頼の結果を賭けにして楽しんだり、
年に一度はアルテル国内の冒険者の多くが集まって交流会を開いたりしています。
そのため、貴族達が無意味な揉め事を起こしても、冒険者たちもまたお互いに騒ぎを楽しむ気分で参加しているのです。
(もちろん、こうした気の緩んだ冒険者たちは、最前線で死闘を繰り広げている者たちからは不真面目すぎると思われています)
このように平和な争いばかりではなく、宮廷の内幕では本格的な権力闘争が繰り広げられている一面もあります。
特に大きな問題とされているのは、
退廃の町ナルドールに抱き込まれた貴族が国外に財物を持ち出したり、国政を歪めようとする事件が発生する事です。
ナルドール側は「貧しい自国への援助のために有力な貴族と話を付けておく」という観点ではなく、
「豊かで平和なアルテルが妬ましく、アルテルが混乱し、破滅する姿を見たい」という理由で動いています。
そうした大問題の解決は、市井の冒険者に依頼が来る可能性は低いのですが、ふとしたことで国家間の陰謀を巡る大事件に巻き込まれないとも限りません。
地図
A.王都アルテル
都市の規模は「
首都」にあたります。
人族が暮らす領域では最も豊かで発展した都市であり、周囲は人族の命脈を繋ぐ田園地帯が広がっています。
王都に集積された穀物や、優れた芸術作品などがヴァン街道を通ってメイプルフォード、ドールへと輸出され、逆に西方からの品々が輸入されます。
壮麗な神殿や目を瞠る建造物が建ち並び、他の国々とは比較にならない文化の高さを示しています。
平和を謳歌している時期が長く続いたため、住民の気質はどこか浮き世離れしており、蛮族との戦いもどこか遠くの国でしているものと捉えられがちです。
実戦の場に投入すれば活躍するであろう強力な魔剣や優秀な冒険者たちを、貴族たちや大商人が抱え込んでしまい、まるで美術品のように扱うこともあります。
特に形状や効果が美しい魔剣や魔法の防具、若く美しい女性の冒険者が人気を博し、そうしたものを披露する闘技場が住民の人気を集めています。
この闘技場には前線で捕らえられた蛮族が連れてこられることがあり、華麗な人族の戦士たちが蛮族を打ち破る姿を住民に見せるために利用されます。
(守りの剣が機能している都市内では、蛮族はまともに戦闘することができないのです)
このように、蛮族が都市内に連れ入れられることが日常化しているため、この町では「蛮族探知機」が役に立ちません。(守りの剣があるので安心しています)
当然ながら、こうした行為は、前線で本格的な死闘を繰り広げている戦士たちからは、
「こちらが命がけで戦っているのに後方は遊びの気分か」「わざわざ見世物にして殺すために生け捕りにするとは」「せめて戦わせるなら守りの剣の範囲外でやったらどうなんだ」
などと嫌悪されています。
B.メイプルフォードの町
都市の規模は「
大きな都市」にあたります。
王都アルテルから商業都市ドールに至る物流のルートをまかなう物流都市で、西側の国から見えるアルテルの表玄関となる町です。
アルテルの進んだ文化と、他国から訪れる者がもたらす文化が合流し、様々な文物が日々創り出される最先端の町です。
特に、コボルドの調理人が作る料理が有名で、隣のドールではそれが禁止されているため、多くの商人や貴族や旅人がこの町を訪れます。
国境の町でありながら警備は最も緩んでおり、西側には「どうせ軍事国家のリルヴァンが守ってくれるだろう」、
東側には「海から蛮族が襲ってきたとしても、ここは海から一番遠いし、先に襲われるのは王都だろう」と考え、安穏とした日々を送っています。
一応は守りの剣で保護されており、地勢的にはここを蛮族の軍が襲うことはまず考えられませんが、
他国の人はあまりの油断ぶりに憂慮を示すこともしばしばあります。
C.レヴィック公爵領
都市の規模は「
大きな都市」にあたります。
国土の北方を治める大貴族の私有地で、海から川を利用しての流通ルートは、陸路を使って大都市ふたつを経由して王都に向かうよりも早く届けることができます。
この権益によってますます豊かになり、国政においても大きな発言力を持ちます。
同じく大規模な領地を有するクォージィ公爵との仲は良くなく、何かにつけて張り合っています。
形が美しいだけで実戦での役に立たない武具を集めたり、使える者もいないのにSSランクの装備を揃えて屋敷に飾りたてており、
私兵として登用された元冒険者たちも「金払いはいいけど退屈だ」という日々を過ごす状態です。
D.クォージィ公爵領
都市の規模は「
大きな都市」にあたります。
国土の南方を治める大貴族の私有地で、リルヴァンに接する地域が多く、アルテル国内では珍しく対蛮族戦に真面目な考えを持つ人物が輩出されています。
同じく大規模な領地を有するレヴィック公爵との仲は良くなく、何かにつけて張り合っています。
無骨で質実剛健な装備を整え、私兵による騎馬隊や銃兵部隊を編成して鍛錬を行ったりしていますが、アルテルの国民性とはうまく合わず、
実戦を重ねているリルヴァンからは「本当に戦う気は無い貴族の道楽」と思われています。
E.サグリュイレスの町
都市の規模は「
小さな町」にあたります。
王都アルテルの南方にある港町で、10年前はこの町が川を境にして蛮族領と接している最前線のひとつでした。
主戦場となっていたリルヴァン南方の山脈から離れていたので蛮族の主力との戦いこそ無かったものの、
南にあるヴァウスの町や、海上から襲撃を仕掛けてくる蛮族との戦いが行われていました。
この町が落とされるとアルテル本国が危険に陥ることになり、アルテルが落ちればリルヴァンも腹背に敵を迎えることになってしまうと言う重要な拠点で、
10年前はクォージィ公爵領や、リルヴァンの領土
ミロンの町と連携を取って厳しい警備が為され、神聖騎士団の活躍の場となっていました。
蛮族の勢力が退いた後、この町は戦いの緊張から解放されておおいに平和を満喫するようになりました。
王都から陸路と海路を通して産物が輸送され、さらに新しい領土となったヴァウスの町に向かって商隊が進み、
蛮族に怯えていた10年前とは見違えるような豊かさと賑わいを持つ発展ぶりを見せています。
その反面、かつては運命共同体として共に戦っていたはずのミロンの町はすっかり寂れていくことになりました。
しかしサグリュイレスの住民は開放感と繁栄に酔いしれ、
隣国からの「危機に陥った時は頼りにしてくるのに、戦いが無くなったら用済みということか」という視線はあまり気にしていません。
F.ディオロフの町
都市の規模は「
辺鄙な村」にあたります。
大陸の最北東にある小さな町で、豪華絢爛な首都アルテルの裏側に位置する田舎です。
この町は、死罪となる重罪人や捕虜にした蛮族たちを集め、対岸の流刑島「ゴールドオーガ島」に送り込むための施設になっています。
そのために厳重な警備が為されており、町に入るだけでも許可が必要で、許可を得て立ち入る者にもそれぞれ監視がつき、
町の中で起きた事は決して口外してはならない規則になっています。
食料を運ぶ御用商人たちですら街中での行動は厳しく制限されており、一般の冒険者たちはまず立ち入ることはできません。
この町において、流れの冒険者が立ち入りを許されたり協力を依頼されることがあるとすれば、
重罪人や蛮族が脱走したという事態の解決のためとなるでしょう。
PCたちが罪を犯してここに送り込まれるといった事態が起きないようにしたいものです。
G.ゴールドオーガ島
ディオロフの町から約20kmの沖合にある無人島で、険しい山が鬼のように見えることから名付けられた島です。
人族の領域で重大な罪を犯した者や、戦争で捕虜になった蛮族が送り込まれる流刑島となっています。
捕らえた蛮族を殺さずに、この島に放逐される理由については、様々な憶測が流れています。
実戦の機会に乏しいアルテルの軍が島に赴き、必死で反撃してくる蛮族を相手に離島攻略の訓練のためであるとも、
娯楽に飽きた貴族達が蛮族たちを使って「狩り」を楽しんでいるとも、魔術師たちが危険な実験を行っているとも、
実はこの島は強大な魔神に支配されており、その生贄となる者を差し出しているのだとも、
様々な噂が流れていますが、それを確かめた者はありません。
H.ヴァウスの町
10年前までは蛮族が支配していた地域であり、この町の攻略によってアルテルは新たな領土を獲得し、それまでの領土が安全な地域になりました。
さらに南に向かうと、アルテルから送り込まれたゲーリング辺境伯が治める辺境の地に至り、蛮族と戦いを繰り広げています。
北のサグリュイレスからゲーリング
辺境伯領に続く物資の輸送拠点であり、蛮族のために疲弊した土地の再開発が行われており、
また物流網の構築が軌道に乗り、近年では発展著しい地域です。
ここもまたサグリュイレスの町と同じように、隣のミロンの町が寂れていくのを無視して、自分たちの発展を喜んでいます。
かつては蛮族が支配していた地域だけあって、まれに居残っていた蛮族の拠点が発見されたり、前線で討ち漏らした蛮族が地域に侵入することがあります。
現れる蛮族の中には投降者もおり、アルテルはすぐに抹殺はせずに身柄を拘束して船に乗せ、ディオロフの町まで輸送するよう命じています。
しかし、投降者たちの運命は、彼らが期待しているような安穏なものではありません。少なくとも、蛮族PCの存在は絶対に有り得ないと言えるでしょう。
地図外.ゲーリング辺境伯領
アルテルから送り込まれた貴族、ゲーリング辺境伯が治める領土がヴァウスの町の南に存在します。
詳しくは
辺境伯領のページを参照。
最終更新:2014年08月16日 17:46