「中々やるようになったじゃないか、新入り!」
「来てもう半年ですよ。いい加減“新入り”じゃなくて、“沙慈・クロスロード”って…」
「ミヤサカさん!いきなり何を!?」
「貴様を連行する!」
「ッ…!何で僕が!?」
「放して下さい!僕が何をしたっていうんですか!?止めて下さい!!」
「こんな事で…凹んでられない…!宇宙にいれば、何時かはルイスに…!」
「大丈夫か?」
「……ありがとう。あっ…。もしかして…刹那・F・セイエイ?」
「沙慈・クロスロード……」
「刹那、どうして君が?」
「黙っていろ」
「刹那…。どうして…君が……!?」
「刹那・F・セイエイ…!君はガンダムに乗っていたのか?」
「沙慈・クロスロード」
「答えてくれ!」
「……ああ」
「それじゃ…5年前から武力介入を?」
「ああ、していた」
「分かってるのか!?君達がやった事で、多くの人が死んだんだ!君達がそうしたんだ!
……君達の所為で、僕の…好きだった人は…傷ついて…。家族や親戚を殺されて……!
僕の…唯一の肉親だった姉さんも……ソレスタルビーイングに関わったばかりに…殺されてしまった……!
ルイスも……。姉さんも……!いなくなったんだ!!何とか言えよ!!―――言えよッ!!
……返せ…!返してくれ…!!二人をッ!!!返してくれよぉおおおおおッッッッッ!!!!!」
「何故刹那を撃たなかった?」
「人を殺せば、君達と同じになる。そんなのは御免だ……」
「刹那に感謝するといい」
「ッ!」
「彼が君を此処に連れて来なければ、君は…反連邦勢力カタロンとして、処刑されていた…」
「そんな事!!」
「君は現実を知らな過ぎる。自分のいる世界ぐらい、自分の目で見たらどうだ?!」
「……何時まで僕をこうしておくつもりですか?」
「えっ?」
「お前は、アロウズに目を付けられた」
「僕はカタロンなんかじゃない!!」
「向こうもそう思ってくれれば良いがな……」
「あなた達は…また武力介入を行うつもりですか?」
「いいや。アロウズを叩く」
「連邦軍を…!?」
「その政府直轄の、独立部隊だ。奴らは既に、14件もの“鎮圧”という名の…“虐殺”を行っている。
被害は数万人規模、その情報はすぐに揉み消されている。お前も…奴らのやり方を味わった筈だ……」
「……だから何です!?連邦政府は、あなた達の武力介入で出来たんじゃないですか!」
「だから…ケジメをつけるのさ」
「戦えば…また罪の無い人が傷付く!」
「戦わなくても…人は死ぬ」
「……。クッ……!」
「『スペインでの民間人への攻撃は、ガンダムスローネによる攻撃と断定。攻撃理由…不明』ガンダムスローネ…?
『スローネの機体は本計画に入っていない。また、スローネは擬似GNドライヴを搭載。放出される攻撃用粒子には、人体に影響を及ぼす可能性あり』…!
人体に影響…!?」
「ガンダムスローネ…。この機体がルイスを…!」
「アイツラテキ! アイツラテキ! アイツラテキ! アイツラテキ!」
「えっ…?それってどういう…?」
「テキブタイセッキン! テキブタイセッキン! セントウジュンビ! セントウジュンビ!」
「そんな…。戦うのか……?」
「……ガンダム……!」
「確かに記録にある通り、スローネと俺達は、別の立場で武力介入を行っていた」
「仲間じゃないと…!?」
「ああ」
「……それでも、君達も同じ様にガンダムで人を殺し、僕と同じ境遇の人を作ったんだ…。君達は憎まれて当たり前の事をしたんだ…!」
「分かっている」
「世界は平和だったのに…。当たり前の日々が続く筈だったのに…!そんな僕の平和を壊したのは君達だ!!」
「……自分だけ平和なら、それで良いのか?」
「ハッ…!そうじゃない…。でも、誰だって不幸になりたくないさ……!」
「艦内が騒がしいようだけど、何をしようとしているの?」
「ナカマキュウシュツ! ナカマキュウシュツ!」
「“仲間”…?」
「サクセンカイシ! サクセンカイシ!」
「また戦いを……」
「……イアンさん。あなたは…どうして此処にいるんですか?」
「あの子供達も君達の犠牲者だ!君達が変えた世界の…!」
「ああ、そうだな」
「何も感じないのか!?」
「感じてはいるさ…。俺は二度と、あの中に入る事は出来ない」
「それが分かっていて、何故戦うんだ!?」
「…理由があるからだ。分かって貰おうとは思わない。恨んでくれて構わない……」
「……刹那……」
「ソレスタルビーイングもカタロンも、戦いを引き起こす奴等じゃないか…。そんな所にいられるか…!」
「……僕は……カタロンでもソレスタルビーイングでもありません……!」
「僕の存在を知られたって…。もしかして…!?」
「ぼ、僕が……。僕が話した所為で……!そんな……!そんな……!!嘘だぁあああああああッッッッッ!!!!!」
「何をした?」
「ッ…!ぼ、僕は…」
「したんだな?誰だ君は?アロウズのスパイか?」
「ち、違う!僕は……!!」
「……訳を話して貰うぞ、沙慈・クロスロード」
「何という…。何という愚かな事を…!」
「こんな事になるなんて、思ってなかった…。僕は、戦いから離れたかっただけで…!こんな事に…!!そんなの、僕…」
「彼等の命を奪ったのは君だ!」
「ハッ……!」
「君の愚かな振舞いだ!“自分は違う。自分には関係無い。違う世界の出来事だ”
そういう現実から目を背ける行為が、無自覚な悪意となり、この様な結果を招く!」
「ッ…!ぼ、僕は……!そんなつもりじゃ……!」
「僕のした事でここまで……。僕は…どうしたら……?姉さん、ルイス……」
「カタロンの人達を守るんですよね?僕にも、何か手伝わせて下さい!」
「何かしなきゃ……!」
「イアンさん!僕にも手伝わせて下さい!」
「…覚悟はあるんだな?」
「あの人達を守りたいんです!」
「…ッ!分かった、ついてこい!」
「はい!」
「何してる!?撃て!」
「(人を殺せば、君達と同じになる……)」
「どうした!?早く!!」
「(戦えば、また罪の無い人が傷付く!)」
「く、来るな…!」
「(君達は憎まれて当たり前の事をしたんだ…!)」
「来ないでくれ!」
「(あの子供達も君達の犠牲者だ!)」
「僕は…!!」
「僕はあぁあああああああッッッッッ!!!!!」
「沙慈・クロスロード…。良いのか?お前はガンダムを…」
「カタロンの人達が無事に逃げられる迄は、何でもやるよ…」
「君でも…笑うんだ……」
「彼女…」
「サビシイノ?サジ! サビシイノ?サジ!」
「あ…。そうだね、少しね……」
「ルイスと…会った?」
「ああ、偶然にな」
「……元気だった?」
「ああ…。お前の事について聞かれた。宇宙で働いていると答えた」
「そう…。そうなんだ……」
「連絡取ってないのか?」
「あっ…。……それは……」
「今、“ママ”って言わなかった?」
「ああ、言った」
「という事は…」
「そうか、会うのが初めての奴もいたなぁ。わしの嫁だ!」
「リンダ・ヴァスティです」
「わ、若い……!」
「どうかしました?」
「ッ…。どうして良いか分からないんです。僕の所為で、多くの人が命を落とした…!その償いはしなきゃいけない…。
でも、戦う事なんて…人を殺す事なんて……!僕にはとても……」
「出来ないのが当たり前です」
「でも……!何かしないと……。自分に出来る事を、何か……。あの、聞いていいですか?」
「何をです?」
「あなたは、これからも彼らと一緒にいるつもりですか?」
「ええ。アレルヤがここにいる限りは」
「戦いに巻き込まれても?」
「……私は軍人でしたし、そういう覚悟も出来ているつもりです。それに…もう決めたから。
私は何があっても、アレルヤから離れないと……」
「羨ましいな…。僕にもそう思える人がいて……。もし再開する事があったら、二度と離れないって思ってて…。
でも、何だか不安で…。無性に不安で……」
「トレミーに残る?」
「ああ。僕にも、何かやれる事があると思うんだ。戦わなくても、やれる事が……!」
「イアンさん!しっかりして下さい!イアンさん!」
「あっ…。オーライザーの…調整は終わった……」
「オーライザー?」
「コイツを…ダブルオーに……」
「そんな事より、早く医務室へ…!」
「わしの事はいい……。オーライザーを…届けるんだ……。そうでないと、わしらは全員やられる……!」
「イアンさん……!」
「守るんだ…。皆を…仲間を……!」
「オーライザー、出します!」
「お前が!?」
「クロスロード君!」
「イアンさんに言われたんです。ハロも手伝ってくれますから!」
「刹那!」
「沙慈・クロスロード?!」
「イアンさんに言われて、この機体を刹那に!」
「えっ…!?ドッキングした!?」
「声が…聞こえる…?」
「ガンダム……ッ!」
「ッ…!その声…。まさか……ルイス…!ルイス!!」
「何?どうして沙慈の声が…?」
「ルイス、まさかモビルスーツに…?」
「何処にいるの!?沙慈、何処に?まさか…ガンダムに……?」
「ルイス…。まさかアロウズに……?」
「……沙慈、どうして?」
「……どうして君は……?どうして……?」
「……どうして…あなたが……?」
「どうして此処にいるんだ!?」「どうして此処にいるの!?」
「沙慈ぃいいいいいッッッ!!!!!」
「ルイスゥウウウウウッッッ!!!!!」
「行かなきゃ…。行かなくちゃ……。ルイスの…所に…。ルイスの……!」
「動け!動いてくれ!頼むから…!!動けってんだよぉッ!!!―――ルイスの所に行くんだ…。ルイスの所に……!」
「沙慈・クロスロード……」
「……ルイスの声が聞こえたんだ……。モビルスーツに乗っていたんだ……。僕の名を…呼んでたんだ……」
「……何故…彼女はアロウズに?」
「ハッ……!決まってるだろ?ガンダムが憎いんだよ…!ルイスの両親はガンダムに殺されたんだ!!
……君等の所為だ…。君等の所為でルイスはアロウズに入って、そして……。何故…。何故なんだ…?どうしてこんな事に……!?」
「戦え」
「ッ…。えっ…?」
「ルイス・ハレヴィをアロウズから取り戻すには、戦うしかない」
「僕が…戦う…?」
「彼女の事が大切なら、出来る筈だ」
「ッ…!人殺しをしろって言うのか!?」
「違う!彼女を取り戻す戦いをするんだ」
「そんなの詭弁だ!戦えば人は傷付く!ルイスだって!」
「お前の為の…戦いをしろ…!」
「クッ…!(刹那を殴り飛ばし)冗談じゃない…!僕はお前等とは違うんだ!一緒にすんな!!」
「この宙域を離れたら、ルイスには…!」
「会いに行かなきゃ、ルイスに…!アロウズなんかにいちゃいけないんだ!
僕達は関係無いのに、こんな所にいるのがおかしいんだ!戦争なんて、やりたい奴等だけで勝手にやってろよ!」
「僕達は取り戻すんだ…。あの頃を…。あの日々を……!」
「(そういう現実から目を背ける行為が、無自覚な悪意となり、この様な結果を招く!)」
「ハッ…!」
「(彼等の命を奪ったのは君だ!君の愚かな振舞いだ!)」
「……また僕は…同じ事を……。どうすれば…!どうすればいいんだ…!?ルイス……!」
「ル…ルイス……!」
「ルイスを知ってるんですか!?」
「はい…。といっても彼女が着任した直後、私は此処に…」
「ルイスはモビルスーツの…」
「ええ、パイロットでした」
「やっぱり…!やっぱりあの時、ルイスは近くにいたんだ…!」
「これが…ソレスタルビーイングの戦い……」
「兎に角、直せる所だけでも直すです!」
「リョウカイ! リョウカイ!」
「僕達も手伝うよ」
「協力…感謝です!」
「あのモビルスーツは…!」
「あっ…!私の…機体……?」
「ルイス!」
「ルイス…!止めてくれ、ルイス!!」
「オーライザーにパイロットが必要だ。ラッセに頼みたい所だが……」
「オーライザーに乗れ」
「えっ…!僕が…!?」
「6万もの人命が懸かっている。これは…守る為の戦いだ」
「…守る為の……」
「成功の確率は低いだろう…。だが、始める前から諦めたくない!」
「守る為の…戦い…」
「コイツを着ていけ」
「んっ?」
「頼むぞ、命を守れ……」
「……ッ!はい!」
「相手は機械だ…。人じゃないんだ……!」
「…沙慈・クロスロード、発進します!」
「協力するのは今回だけだ。衛星兵器を破壊する為なら…」
「ルイスも同じなんだろうか……。家族を失った悲しみを、憎しみに変えて…。僕はルイスに何を言えば……?」
「僕は…」
「(ルイス・ハレヴィを取り戻すには、戦うしかない。彼女を取り戻す戦いをするんだ)」
「……それが……。僕の…戦い……!」
「沙慈・クロスロード…」
「アロウズの部隊の中に、ルイスの乗った機体があったよ。―――この4ヶ月は戦力を整える為に、敵から逃げ続けてきた…。でも、もう戦うんだろ?」
「ああ…」
「ルイスを討つつもり?」
「それは…お前次第だ」
「ッ……?」
「戦いは…破壊する事だけじゃない。作り出す事だって出来る。俺は信じている。俺達のガンダムならそれが出来ると。―――あとは…お前次第だ」
「……僕は…引き鉄を引けない…」
「分かっている」
「…ルイスに叫び続ける事しか出来ない…」
「分かっている」
「……それでも、僕は…。僕は……」
「逢いに行こう、ルイス・ハレヴィに……!」
「……ああ……。ああ!」
「逢いに行くぞ、沙慈!」
「ああ。行こう、刹那!」
「オーライザー、沙慈・クロスロード…発進します!」
「ルイス……」
「沙慈、ルイス・ハレヴィに逢いに行くぞ!」
「ああ!ルイス…!」
「ルイスは……?ルイスの機体は……!」
「沙慈、彼女の機体は?」
「何処にもいない…!」
「よく探せ!」
「やってるよ!」
「ミサイル…一斉発射!」
「止めろぉおおおおおッッッッ!!!!!」
「ずっと待ってた…!会いたかった!!」
「ルイス……!ルイス!」
「あっ…。さ…沙慈…?」
「そうだよ、僕だ!沙慈・クロスロードだ!!」
「…沙慈……」
「ルイス!ルイス!!」
「……クッ……!」
「ルイスゥウウウウウッッッッ!!!!!」
「綺麗だ……。5年前も、こうやって2人で…地球を見たよね?あの時僕は…この青い地球を見て、宇宙で働こうって決めたんだ……。
そして何時か…この景色を、もう一度君と見ようと…そう思ったんだ……」
「……もう…会わないと決めていたのに……」
「ッ……!―――でも…僕達はこうして出逢えた。ずっと待っていたんだ!君を…この宇宙で!」
「……」
「戻ろう、ルイス…!あの頃へ!何もかも穏やかだった…あの日常へ!」
「……出来ない」
「えっ…。どうして…?僕の声を聞いただろ?僕はソレスタルビーイングじゃない。ただ巻き込まれてあそこに―――」
「そういう…事じゃない…」
「だったら…!?」
「(拳銃を構え)」
「あっ……!」
「……統一世界、恒久和平を実現する為…私はこの身を捧げたの。世界を乱す…ソレスタルビーイングを倒す為……。そして…ママとパパの仇を!」
「…ルイス……」
「邪魔をしないで!もし邪魔をするなら…あなたを撃つ……!」
「……おかしいよ…。おかしいよ!君はそんな女の子じゃなかった!」
「……」
「何が君を変えたんだ?」
「……自分で変わったのよ。自分の意思で」
「それは嘘だよ!僕は知ってる、ルイスの事…!優しい女の子だって事!」
「……」
「宇宙に行く為に、一生懸命勉強した事も!」
「……」
「我儘を言って、相手の気を引こうとする不器用な所も!!」
「……」
「本当は…寂しがり屋だって事も……」
「……」
「……僕は…知ってるんだ……。ルイス……」
「……沙慈……」
「ルイス……」
「……わ…私は……」
「(優しく抱き締め)ルイス……」
「ッ……。私は……。私は……!」
「もう止すんだ、マリー!」
「邪魔をするな!私は、大佐の仇を―――!」
「止めろぉおおおおおッッッッ!!!!!」
「……もう止めてくれ!―――何も変わらない……。仇を討っても、誰も生き返ったりしない…!悲しみが増えるだけだ……!
こんな事してたら、皆どんどんおかしくなって…。何処にも…行けなくなる……!前にすら進めずに……!」
「……戦うよ……!ルイスを取り戻す為に、僕は…僕の戦いをする!」
「分かり合ってるのに…。なのに……。何時か僕も、ルイスと……」
「他に方法は無かったの…?」
「無かった。あの時、彼女は……アニュー・リターナーではなかった…」
「どうしてそう言い切れるんだ?」
「何故だろうな…。だが俺には確信があった…。ああしなければ、ライル・ディランディは死んでいた」
「そんな……」
「ルイス・ハレヴィもそうだ」
「えっ……!」
「彼女も何かに取り込まれている…。そう感じる……」
「……最近の君はどこかおかしいよ。今迄とは何か……」
「トレミーは迂回して、敵の目を引き付けるわ。その間に、通信者との接触をお願い」
「分かった。いけるな?」
「人助けでしょ?そういう事なら協力するよ」
「ありがとう」
「あっ…。何を…?」
「そう言いたい気分なんだ……」
「行くよ。僕の戦いをする為に…!」
「クロスロード君…?」
「決めたんです。もう迷いません…!」
「本当に良いんだな?沙慈」
「心配しないでくれ。僕だって…未来を見つけたいんだ…!」
「お前達は……世界を乱す悪だ!!!お前達さえいなくなれば!!!」
「幸せになれるの!?」
「沙慈…!?」
「戦いで勝ち取る未来なんて…本当の未来じゃないよ!僕達は分かり合う事で……未来を築くんだ!!そうだろう!?ルイス!!!」
「その未来を奪ったのは……ソレスタルビーイングだ!!戦争を仕掛けたのも…世界を歪めたのも!!!」
「もう逃げられないぞ、ガンダム!!」
「止めるんだ!このままじゃルイスも…!!」
「それがどうした?!貴様達を…倒す為なら!!」
「ッ…!駄目だぁあああああああッッッッッ!!!!!」
「ル…。ルイス……?……あぁ…ッ……。ああぁ……ッ!ルイスゥウウウウウウウッッッッッ!!!!!」
「ルイス……!」
「沙慈……。沙慈……」
「ハッ……!ルイス……!」
「沙慈…。私…もう……」
「……何も言わなくていいさ…。分かってる……!」
「……ねえ、この暖かな光は…何?心が…溶けていきそうな……」
「…刹那だよ」
「…刹那…?」
「そうだよ。彼の心の光…未来を照らす光だ……!」
「ルイスの体を蝕んでいた細胞異常は、その進行を完全に止めた。それも…刹那の放ったあの光のおかげなんだろうか?
真実が…その理由は分からなくても…。でも、彼女は…此処にいる」
「ねえ、沙慈。世界はこれから…どうなるのかな?」
「……正直…僕にも分からない。でも…僕達は、無自覚ではいられないと思う。平和の中にいた僕等は……現実を知り、戦いを知り……その大切さを知った。
考える必要があるんだ。本当に…平和を求めるなら……。世界について考える事が……」
「うん……」
「世界がどうなるか…それは誰にも分からない……。でも…どうにでもなれると思うんだ。過去は変えられなくても、未来は変えられる…。僕達が望む世界へ……」
「もし…間違ってしまったら?」
「……悲しい擦れ違いが起きて、戦いになってしまったら……。きっと…彼等が立ち上がる。全ての矛盾を抱え込んでも、きっと……!」