奴隷

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奴隷 - (2023/05/11 (木) 11:41:12) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/11/11 Wed 12:46:06
更新日:2024/04/27 Sat 14:07:42NEW!
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【どれい】

戦争の敗戦国民や囚人、借金の片として人間でありながら物や財産、家畜のように所持、売買、譲渡され、家事や農業、工業等に従事し、人権や人格を無視した扱いを受ける人物、またはそのような階級や身分を指す言葉。

主に労働力として取引されるのは前述した通りだが、性行為を強要するために所持される奴隷を性的奴隷と言う。

敵を殺し尽すより他国や他地域から拉致、誘拐した方が利益になるし、場合によっては敵の抵抗を抑えられる*1ため、重要な輸出品として重宝され、無益で過剰な殺戮を抑える役割を果たしもした。

このような奴隷を許容する体制を奴隷制と呼ぶ。
古代日本の奴卑も同様のものとされる。



奴隷=酷い扱いという印象を与えたのは、15~19世紀のアメリカ合衆国において身分差別+人種差別でより陰惨となった黒人奴隷によるものが大きい。

基本は上記の扱いだが、古代ローマ等では高い教養を持つ奴隷は重宝されたり、その活躍によっては市民権を得る事もできたり*2、「奴隷の身分は主人の身分の1/2」とされたイスラム世界などは、平民よりも身分が高い奴隷が宗教的指導者にまで上り詰める例もあった。
旧約聖書によると、イスラエルでは7年ごとに徳政令が出て奴隷は必ず自由にされたとの記述がある。一方、主人や主人から与えられた妻子等に愛着があって自由を望まなければ一生奴隷として仕えることも選択できた。

まあ美貌や特殊技能が無いと文字通り一般的なイメージどおりの待遇になるのは間違いないが。


有史以来世界中あらゆる国がこの奴隷制を取っていたが、16世紀末の日本で豊臣秀吉が伴天連追放令に伴う奴隷売買の禁止を打ち出し、18~19世紀のイギリスによる国際的奴隷制度禁止運動、1948年に国連により採択された世界人権宣言国際的に一切禁止されている。

こうした人権の問題を抜きにしても、現代日本で一般に想像されるような奴隷制度はあまり現実的ではない。
というのも、現代で「奴隷で稼ごう」と思えば奴隷にそれなりの専門技能を身につけさせなければならず、鞭でひっぱたいてようやく動くような人間にそのような技能を身につけさせるのは困難である。技能も無いまま無理やりやらせようものなら事故&不良品続発で瞬く間に大赤字である。
また、最低限の衣食住を提供しなければ人権以前に医学的に労働不能な状態になるし、器具や材料と言った準備もこちらで整えなければならない。
現代の日本で一番奴隷に近い立場と思われる懲役刑の受刑者でも、懲役による収益よりも刑務所の運営経費の方が遙かにかかっている。*3

それでも世界には非合法な奴隷がまだ2700万人もいると言われている。
一部の発展途上国や紛争地域等では人身売買をしたり、個人を拉致監禁し暴力等によって奴隷化したりする犯罪も多数発生している。
そんな強制的な労働でも稼げる、逆にそんな労働でなければ稼げないような社会状況とも無縁ではないだろう。

可哀相だからと奴隷商人から奴隷を買ってはいけません。
仮に買った奴隷を幸せに出来たとしても、連中はその資金でまた それ以上の人数を誘拐し、売り飛ばします。 つまり、奴隷を救うどころか奴隷ビジネスそのものの活性化に貢献してしまうだけです。
たとえあなたがどれほどの資産家だったとしても、海外に行っても買ってはいけません。


創作において


石ノ森章太郎原作の漫画『サイボーグ009』の008/ピュンマは、奴隷商人に奴隷として連れていかれそうになった所を脱走したという過去がある。*4

トマトスープの漫画『天幕のジャードゥーガル』では、主人公のシタラ(ファーティマ)がイスラム教圏の奴隷。
奴隷ゆえに幼い頃は「元の場所に戻る」事すら出来ない身を嘆くも、良い出会いと主人達を得た事で学問を学び成長。将来恩人の傍に仕える事を願うも、モンゴル軍の襲来で捕虜→モンゴル王族下の奴隷となった事で数奇な運命をたどる事に…。
なお史実ベースで描かれているため、作中では奴隷として「自由」と「権利」こそ制限されているものの、イスラム圏時代・モンゴル時代共に主人達からは普通の召使の様に扱われている。

さちみりほの漫画『銀のヴァルキュリアス』の舞台は、女が支配者・市民、男が奴隷という異世界である。
奴隷を矢の的にする、要らない奴隷は道端に捨てられるなど男は人間以下の扱いで、幼い少女ですら弟は将来自分の奴隷になるからとこき使っている。

センシティブな話題のため、スパロボではコンバトラーの「どれい獣」が後期の上位種である「マグマ獣」に統合されたうえで、「本当は○れい獣だが、やばいので変更された」と説明された。異世界でマグマがなんちゃら

また、近年ではネット小説…もとい小説家になろうあたりのファンタジーモノ、異世界モノあたりだと、主人公が奴隷を買うという展開も多い。
(例:盾の勇者の成り上がりなど)
家具家電が現代日本ほど便利ではないので、面倒な家事炊事をやらせよう、のような軽い気持ちでお手伝いさんを雇う気持ちで行うものが大半であり、
元居た現代日本ではブラック企業勤めorいじめやら冷遇を受けた経験があり、そんな主人公が現代人の人権観で奴隷に接するため、死活を握られていて地獄のような日々を覚悟していた奴隷は優しく接してくれる主人公様にベタ惚れ...というのがなろう作品における典型的なテンプレ展開である。なお、当然の如く奴隷は美人な女の子である。*5
もちろん「とんスキ」やら「10年ニート(Web版)」など、この手のテンプレ女性ではないパターンもあったりはするが。
…ただ、身も蓋もなく言えば何の実績も無い主人公が大した努力もせぬままにほぼ無条件で女性の信頼・好意を得る常套手段であり*6、作劇としてもお手軽な流れなため一時期は魔法やステータスボードに継ぐ頻出ワードだった。それ故「またか」などとかなり嫌がられる存在だった時期もある。
そして、「現代日本との対比」の象徴として風刺として出てくるものの、自身の死活を握られた史実上の奴隷と日本の社畜を比較の対象にするなという現実とフィクションを割り切れない人の厳しいツッコミを受けることが多々ある。特に外国人含め多くの人の目に触れるアニメ化された作品ではこの手の展開は非常に批判されやすい。

この手の奴隷が存在する作品の多くは「一般奴隷」と「犯罪奴隷」が区分けされている事が多い。
前者は「労働力」を提供する商品として自分を売った存在なので、R18やR18Gのような事をしてしまうと購入した主人の方が罰せられる。
どれかっつーと「住み込み労働者(期間:自分を自分で買い取れるまで)」とかの方が近いかも。
後者は何かしらの罪を犯した人が落ちる階級であり「買った人が何をしても罪に問われない人間以下の存在」という現実の奴隷に近い物となっている。
こちらの奴隷の主な使い道は購入者のストレス解消、及び戦闘の捨て駒である。

なろうファンタジーではこれに加えて「被差別種族だから」という理由でエルフや獣人、モンスター娘などが奴隷落ちする場合もあり、この場合はほぼ犯罪奴隷と同じ扱いを受ける。
(例:勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う
外観は美人な女の子なのに被差別種族だからという理由で雇い主から性的な目では見られず処女であるのは、なろうによくあるご都合主義である

奴隷は基本的に人権を無視された存在で、アダルトゲームや漫画等でも度々使われる表現であり性奴隷は肉便器とほぼ同義語。

よくあるメイドもの等とは違い、主人が望めばどんな時でも場所でも体を提供しなければならない。

まれにものすごく愛される幸せな奴隷もいるが、自主的に望んで奉仕するよりは拷問レイプ等の鬼畜系だったり、精神崩壊しておねだりするようになったりする表現が多い。

またサディストな主人だとスカトロ等の変態的なものや、場合によっては手足を切り落とされたり……

特権階級の主人と奴隷の禁断の恋をテーマにしたラブストーリーもある。恋愛に限らず身分を越えた絆を育むことも多い。いずれにしても主人側の部下や関係者が「お前何奴隷なんかに絆されてんだよ目ぇ覚ませ。自分の立場分かってんの?」などと二人を引き離そうとするのがお約束の展開である。

もちろんこれらは犯罪なのでみんなは真似しないように。














「奴隷は持たざる者……猶予の無い……虐げられし者……、
 しかし……その何も持たない……どうしようもない奴隷だからこそ……追記・修正ができる……と……!」

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