日本語表記/英語表記(遊戯王OCG)

「日本語表記/英語表記(遊戯王OCG)」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

日本語表記/英語表記(遊戯王OCG) - (2022/05/17 (火) 21:10:34) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2012/05/18(金) 16:25:01
更新日:2024/02/12 Mon 03:48:40
所要時間:約 4 分で読めます





原作開始から10年以上、遊戯王OCGは世界一売り上げたカードゲームとなった。
現在では世界的に展開しており、日本版以外のカードも多数存在する。

だが年が経つに連れ、日本と世界の言語の差異から、どうやっても表現出来ないカード名が生まれ始めた。

この項目では基本となった日本版と英語版のカード名について述べる。

また、解説が長いため、難しい話に興味のない決闘者はこちらからどうぞ。





◆日本語の特異性について
日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字でほとんどの言葉を表記できる。
カード名にも日本語以外の言語が使われるのは当たり前だが、日本は世界一自由な国であるため、
諸外国では禁句である単語も平気でカード名に使っている。

兵器などの暴力的な単語、差別用語、宗教用語は軒並み規制対象であり、名称が代えられる。
この中でも、宗教用語は歴史背景もあり特に影響が大きい上例外は日本だけである。

日本では世界宗教が文化に根付いていない。
これは世界的に見てもかなり特異であり、日本語が自由である最大の理由だろう。

しかし、宗教のある諸外国ではそのままでは販売できない。
ときに戦争をも起こす宗教の概念を使うことは日本以外ではできず、宗教的な単語は全て別の単語に代えられるか、丸ごと削除されている。

この影響が特に顕著なのは「」の表記だろう。
これは、日本人にとっての「神」とキリスト教でいう「God」が全く違う概念であるため。
そもそも「God」を「神」と訳すのは不適当という論説もあるほどである。日本は実質の多神教だしね。


日本以外のカードでは「GOD」にあたる単語を使わないようになっており、
原作でそう表記されていた三幻神ですら属性、種族含め一切「GOD」という単語は使われていない。*1
Goddesは女神なので例外的にOKなのに
大して「神」が特別な存在ではない日本では、三幻神やホルアクティのような例外を除いても、神と名の付くカードは相当数存在する。 

よって、日本語名の『神』に当たる部分は「God」ではなく
「Immortal(超越者)」「Divine(神性)」「Deity(神格)」といった単語が用いられている。


堅苦しい前置きはここまで。

表記が限られた状態で悩まされた。果たして下された決断とは……



「カードは偽造(つく)る。表記は変える。両方やらなくちゃいけないのがアッパーデックのつらいところだよな」

「それって訳さなければいいんじゃないかな?」


「それだ!!!」


ローマ字日本語表記爆誕である。
先に上げた神を名に含むカードや、名前が宗教的なカードの多くが日本語訳されたのである。
神はkami、jinなどの表記に。物によって違和感が否めないものの実際のプレイに支障をきたすよりかはずっといい。
これを「徹底できれば」なんの問題もなかったのだが……

「鬼神の連撃」

これが英語だと、

Oni-Gami Combo(オニガミコンボ)」


そう中途半端に翻訳した結果、新たなカオスを生み出した。
特に三魔神は被害が大きいことで有名で、


水魔神スーガ→Suijin(スイジン)

これはまだいい方で、

風魔神ヒューガ→Kazejin(カゼジン)

スイときたら普通フウだろう……

雷魔神サンガ→Sanga of the Thunder。

統一性も何もあったものではない。
雷はともかく神(ジン)はどこいった!?


その統一性の無さは、新たな「名称」カテゴリが登場する時に一気にしわ寄せとなって現れてしまう。

デーモン(説明不要 カードリストとか前代未聞)
ガーディアン(5枚もの「○○を除く」)
HERO(E−HEROやM・HERO、V・HEROの登場で、とうとう耐え切れずカード名の大エラッタ)
リチュア⇒gishki(ギシュキ)(Rituaは《高等儀式術/Advanced Ritual Art》等で既に使われていた)
魔人⇒Djinn(エクシーズモンスター以外全てハブ)
魔導⇒Prophecy(レベル3以外全てハブ)
究極宝玉神⇒Ultimate Crystal(漢字の部分を略してカード化したせいで日本との裁定の違いが生じたばかりか、後からのカードの追加に対応できず左記のカテゴリ名後付け)
ヴァンパイア(一部適当にVampireと付けていたカードがあったため、日本がそれに配慮してカテゴリ名+闇属性指定をかけてあげたのに、海外先行カードで属性指定を取っ払っちゃったので結局先の一部カードをエラッタして対応)


など、おさまるどころか悪化している。
一方、アッパーデックによる英語版の先行販促カードの登場により、今度は英語→日本語へ翻訳が行われることとなった。


「このカードなんて言うんだ?」
「これは《Scrap Archfiend》というんですよ。海外先行カードで9月になれば使えますよ」

Scrap→スクラップ
Archfiend→デーモン
なので日本語では《スクラップ・デーモン》以外ありえないだろう。……とおもーじゃん?



   ↓



で、迎えた9月。

「《デス・デーモン・ドラゴン》という前例があったからって、《スクラップ・デスデーモン》って……それっておかしくないかな?
(デス・デーモン・ドラゴンの英語名はFiend Skull Dragon→悪魔の髑髏竜の意。)

名前に何故か「デス」を付けられた。
どっから湧いたその単語!?スクラップは「デス」の単語とは無縁なカテゴリだろうが!?

海外先行カードの存在により、今度は英語を日本語に訳さなければいけなくなった。
やめとけばいいのに、コナミは日本語の汎用性を生かして無茶な邦訳をし、ネーミング被害者が続出することとなる。 

太平洋に「ト・」の字を落としたアレキサンドライドラゴン(Alexandrite Dragon)
誤植を直されなかったオーシャンズ・ーパー(Ocean's Keeper)
何故邦訳しようとしたのか分からないミンゲイドラゴンTotem Dragon)
バウンサーの英語名(Bounzer)を謎の単語にしたサボウ・クローザー(Cactus Bouncer)……

とくにスクラップ・デスデーモンの余波はすさまじく、(いや、まぁ、フレムベル・デスガンナーとかはいたけど)
魔界発現世行きデスガイドが登場した際にはかなりの(主に悪い意味で)反響があった。
こちらはバスとデスをかけてあるので、デスデーモンがなければわりとすぐに受け入れられただろう。


きっとこれからもネーミング被害者は増え続けるのだろう。今年も9月に期待と不安が高まるところだ。
……フラッピィ……?


追記・修正は日本語訳の予想を当ててからお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/