誤植とは、印刷物における文字や文章の誤りのことである。
ミスプリント(ミスプリ)とも呼ぶ。
元々は活版印刷法において、活字を組み合わせる際に誤ったものを植字してしまうことを指していたが、現在の印刷法でも誤植と呼ぶ。
そのため
日本において誤植は新聞の活版印刷が始まった明治時代には既にあり、万が一「天皇」関係の文字を誤植してしまった場合不敬罪にとられるため、当時の新聞社は軒並み宮内庁系の単語は使う活字を一つにくっつけたものを使っていたらしい。
印刷物で起こりえる誤植には「誤字」「誤変換」などがあるが、書き文字では誤変換は起きない。
誤字
書き文字で起きる誤字は、主に誤った型や似た型・印象の文字を用いるなど、書き手の知識不足や記憶違いによることがほとんどだが、印刷物の場合は筆者・編集者等の不注意によるところが大きい。
日本語の文章は、漢字・ひらがな・カタカナ・アルファベットなど用いる文字が多いため、特に誤字を犯しやすい。
例えば
漫画の台詞は、
ふきだし内に作者が書いた字を基にして,印刷した文字を写植していくが、その際に見間違えたり、そもそも作者が書き間違えていたりすると誤字が生まれる。
「聞く」と「聴く・訊く」、「訪ねる」と「尋ねる」、「伺う」と「窺う」など、音が同じで意味が似ている漢字は、特に誤字を起こしやすい。
外国製品の説明書に至ってはおかしいなと言うか、アホみたいな間違いをしてくれるので、ある意味でお笑いのネタ。
でも大きなコンピュータ会社は、そんな間違いをしちゃいけない。もちろん大きな食品メーカーもやっちゃいけない。
世界的に有名な誤植として、17世紀イギリスにて聖書を出版した際に「汝、姦淫するなかれ」を「汝、姦淫
すべし」と間違えたという例がある。
これは否定を意味する『
not』が外れていたという単純かつそれまでもよくある誤植だった。
だが、それを聖書でしかも
神の言葉とされている十戒でやらかしてしまったので、出版した人は出版業免許を剥奪されたあげく星室庁(裁判所)に呼び出され、多額の罰金支払いを命じられたが支払えなかったために投獄され獄中で死亡したという。
聖書にこの手の誤植は多いらしく、「愚かな者は心のうちに神はない」とすべきところ、否定の『
no』が抜けて「愚かな者は心のうちに神は
ある」としてしまった例もある。
こちらも印刷者は多額の罰金を科せられ、誤植した聖書は全て没収されたという。
誤植は時に人生を狂わすのだ…!
誤変換
基本的に誤字なのだが、入力した文字を変換する際、誤った物を選んでしまうことを特にこう呼ぶ。
漢字でのみ起こることで、日本人の物書きの一番の大敵。
「すくつ」や「ふいんき」などの読みまちがいをすると変換できない事態になるが、打ち過ぎ、打たな過ぎによる打ち間違いをしていた場合には、特にひどい変換が起きる。
また、書き文字でも起きうることだが、ついつい同じことを繰り返して書いてしまうこともある。
言うなれば「誤挿入」とでもいうべき間違いで、ついつい同じことを繰り返して書いてしまうことを言う。
不注意さ以外の何物でもないので、よく心していこう。
こうした誤植は、手紙やレポートなど誰かに見せるために書くもの、特にビジネス文書ともなると、「誤植がある」というだけで信頼されないこともあり、致命的なことなのである。
誤植が酷すぎて打ち切られた漫画もあるので、アニヲタ諸氏にとっても他人ごとではないはずだ。
何かを書く際にはしっかりと校正を行おう。
有名な誤植
この項目を書く上で避けて通れないのは
ゲーメストだろう。
いまは亡きゲーセン野郎のバイブル的存在だった雑誌「ゲーメスト」。
ゲーム攻略雑誌の癖に
投げやりな攻略と
Q&Aで有名
例:Q.STGでボスが倒せません
→:A.攻撃を加えつつ気合いでよけて下さい
な雑誌だが、誤植が多すぎることでも有名だった。
例
- 餓狼伝説→飢餓伝説、餓死伝説、飢狼伝説
- ハンドルを右に→インド人を右に
- ザンギエフのスーパーラリアット→ザンギュラのスーパーウリアッ上
- ジャンプ大パンチ→ジャンプ大パチン
- ファイナルブロー→ファイナルゴロー
- 数百の支部→数日の支部
- レバー+大パンチ→レバー+大ピンチ
その誤植の多さはすさまじく
- 誤植が多すぎる事への謝罪記事の次ページで誤植。
- ある号で自虐ネタとしてワザと仕込んだ誤植を見つけた人にプレゼントを送る企画のページで堂々と誤植。。
と正にやりたい放題であった。
ライターが手書き原稿だったのと、校正する人がゲームに関する知識を有してなかったのが原因だったとか。
(「インド人を右に」を見たライターは雑誌発売後に校正人へ怒ったが、改めて手書き原稿を読むと確かにインド人としか読めないほど汚い字だった)
ゲームでもチョコチョコある。
例
- FF2での「てったいしなければ ならかった」
- 逆転裁判2での「もろちん、尋問する」
- 月姫での「お部屋をお連れします」
「なっ! 何をするだァーーッ!ゆるさんッ!」
であろう。
本誌掲載時は普通に
「なっ! 何をするんだァーーッ! ゆるさんッ!」
であったのにもかかわらず、単行本収録時に誤植という珍しい例でもある。
長らくこのまま使われ、「誤植ではなくこういう口調だ」という説もあったが、文庫版で修正され、誤植であったと結論が出た。
ジョジョは他にも様々な場面で誤植が散見されるので、意識して探してみるのもまた一興。
デジタルモンスターシリーズは媒体問わず、それどころかコラボレーション先でもなぜか妙に誤植が多く、「デジモンの歴史は誤植の歴史」と言われるほどで、ファンサイトでも誤植をまとめたコーナーが作られている。
有名どころでは方位が狂っていたということにした
四聖獣の名前の取り違え、最初のアニメ用設定画の段階で間違えたために正しく彫られている方が稀な
オメガモンのグレイソードの文字、
アポロモンの必殺技である「フォイボス・ブロウ」がアニメ『
デジモンクロスウォーズ』第2期第21話(通算第51話)では「ファイボスブロウ」と表記されるなど。
他に現在進行形で誤植が多い事例として、プロ野球選手が契約更改した時の年俸記事や二ュースがある。
各メディアが速報をこぞって争うことや数字を延々入力していくためか、色んなところで誤植が起きて突飛な数字での契約締結が目立つ。
「9800円」「200円アップ」など、万が抜けて四桁三桁になる大減俸を毎年のようにどこかがやらかしているが、稀に「5億年20円」「3900億円」などハイパーインフレが起きることや「1歳500万円」といった意外と現実的な値段になることもある。
ストーブリーグになったら探してみよう。
このようにおもしろい誤植は数多いが、ただ喜ぶだけなのは考え物。
間違えた作者や筆者は、頑張ったのにミスがあったと落ち込んでたりするかもしれないので、優しい読者の我々としては、見つけた時は優しく労ってあげるべきだろう。
上記のように、過去には誤植により職を失った人もいるのだから。