カオス(遊戯王OCG)

登録日:2010/04/01(木) 02:03:39
更新日:2024/01/03 Wed 14:11:27
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「開闢の使者は光と共に、終焉の使者は闇と共に。光と闇が出会う時、世界は混沌に包まれる…。」
※包まれました



遊戯王オフィシャルカードゲーム(以下OCG)に「カオス」と名のつくモンスターは多々いるが、本項目で紹介する「カオス」とは
以上3体を指す。よって
これらについての解説はしない(一部項目下部で触れているカードはあるが)。


なお冒頭の文章は3体のカオスモンスターが初登場したパック『混沌を制す者』のCMナレーション。
そのパックのキャッチコピーは「デュエルはカオスフィールドへ」。今聞くと意味深である。

3体のカオスモンスターは共通点として

このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の光属性闇属性のモンスターを1体ずつゲームから除外して特殊召喚する。

という召喚条件を持っている。

多くの決闘者が苦しんだ遊戯王OCGの暗黒時代を招いた、最凶のカード群である。
特に開闢と終焉は凶悪を通り越して極悪で、単体の性能ならばインフレしたと言われるシンクロやエクシーズにも引けを取らない。
シンクロエクシーズが強いと言われるのは状況に応じたモンスターをメインデッキを圧迫せずに出せるのが理由であり、単体として見れば調整はなされている。DDBなど例外はあるが)
こんなに強いのに登場したのはシンクロ、エクシーズはおろか、黄泉ライトロードといった強固なシナジーを持ったデッキすら登場してない第三期である。

カオスの登場から禁止までの時代、大会はほとんどカオス一色になっており、ゲームの多様性が失われてOCGをやめる決闘者も続出した。まさにカオス。
スペック自体は優秀なモンスターでも光か闇属性でないというだけでデッキへの採用を見送られていた。

そんな事もあって一度は3体とも禁止指定されたが、09/03/01でソーサラーが制限復帰。
そして、開闢も制限復帰し、復帰は無理と思われた混沌帝龍もエラッタされて制限復帰(後に制限解除)されたので現在は全て使える。


【性能】

エラッタ前
《混沌帝龍 -終焉の使者-/Chaos Emperor Dragon - Envoy of the End》
星8/闇属性/ドラゴン族・効果
ATK3000/DEF2500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の光属性と闇属性モンスターを1体ずつゲームから除外して特殊召喚する。
1000ライフポイントを払う事で、お互いの手札とフィールド上に存在する全てのカードを墓地に送る。
この効果で墓地に送ったカード1枚につき相手ライフに300ポイントダメージを与える。
エラッタ後
《混沌帝龍 -終焉の使者-/Chaos Emperor Dragon - Envoy of the End》
星8/闇属性/ドラゴン族・効果
ATK3000/DEF2500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地から光属性と闇属性のモンスターを1体ずつ除外した場合のみ特殊召喚できる。
このカードの効果を発動するターン、自分は他の効果を発動できない。
(1):1ターンに1度、1000LPを払って発動できる。
お互いの手札・フィールドのカードを全て墓地へ送る。
その後、この効果で相手の墓地へ送ったカードの数×300ダメージを相手に与える。

遊戯王史上最凶クラスであり、場と手札のカードを全部奪われた挙句ダメージのおまけまでついてくるという極悪ぶり。
オマケに「破壊する・捨てるではなく墓地に送る」ので破壊耐性や暗黒界なども役に立たない。
当時はモンスター効果の起動効果は優先権を使って行使できたので奈落も役に立たず、手札誘発も乏しかったため、特殊召喚を無効化するぐらいしか対策がなかった。

後述の「八汰烏」とのコンボはゲームそのものを終焉に追いかねない鬼畜なものだった。
それ以前にコイツを含めた自分のモンスターで総攻撃してメインフェイズ2に効果によるバーンダメージでトドメを刺せたので、効果とのコンボを考えずとも十分強かった。

04/09/01に禁止指定される。DDB禁止までは最速禁止記録を持っていた。
開闢は帰ってきたが、こちらはメタカードがありふれる現在でさえ出せばほぼ勝利確定なため絶対に帰ってくる事はないと思われる。


【制限復帰】

……と思われたが、なんとエラッタ祭りこと2015年1月のリミットレギュレーションにて制限に復帰。

①自身の効果でしか特殊召喚できなくなり、蘇生制限を満たしても蘇生できなくなった
②リセット効果を使うターンは他のカード効果が使えなくなった(予め別の効果を発動させてから使うことやファンカスなどでの効果をコピー場合も使用できない)
③相手のカードしか数えないためバーンダメージが減少

と、流石に大幅に弱体化された。

効果を使うと他の効果を使えなくなるため、場と手札を壊滅させた後に何らかの効果を発動してそのターンに相手を詰ませる事はできなくなった。
とはいえ現在ではサーチ手段も増えている上、

  • 特殊召喚しやすい
  • ☆8
  • 闇属性
  • ドラゴン族
  • 3000打点

と恵まれすぎたステータスを活かせるので、効果を考えずともサーチ・特殊召喚共に容易な3000打点のアタッカーとして十分使いやすい。
また、エクシーズなどの各種素材としても扱いやすく、全盛期程の凶悪さこそ無いものの多様な運用方法が出来るなった。

攻めるには1ターンのラグが発生するとはいえ相手がデステニードローでもしない限りほぼ死刑宣告できるため征竜との相性は抜群。
また、単純にこれ1枚通ればどんな不利な状況も引き勝負に持ち込めるので強力*1

制限復帰後は【ダークマター征竜】などで展開要因として採用されたものの、目立った活躍はなく15年10月1日で無制限カードとなった。



《カオス・ソルジャー -開闢の使者-/Black Luster Soldier - Envoy of the Beginning》
星8/光属性/戦士族・効果
ATK3000/DEF2500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを1体ずつゲームから除外した場合に特殊召喚できる。
1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●フィールド上のモンスター1体を選択してゲームから除外する。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。
●このカードの攻撃によって相手モンスターを破壊した場合、もう1度だけ続けて攻撃できる。

(当時としては)ぶっ壊れその2。通称「開闢」。
3000という攻撃力で2回連続攻撃というのは、相手の場にモンスターが1体だけならば3500~5000ぐらいのダメージが期待できた。
一気にライフを半分奪える、まさしくフィニッシャーと呼ぶにふさわしい存在である。

さらにもう一つの能力も強力。破壊耐性持ちや裏守備を安全に除去できるのは心強い。
しかも当時は貴重かつ強力な除外除去で。なにかがおかしい

「死者転生」もカオスデッキでよく採用されていたがこのカードは光属性・戦士族なので「戦士の生還」「光の召集」などサルベージの手段も豊富。何度も襲ってくる恐怖も持っていた。
言うまでもなくオネストとの相性は抜群。

03/10/15に制限指定、05/09/01に禁止指定。
実に6年後の11/09/01から制限に復帰、長い規制から解き放たれた。
これによって、また環境を破壊しつくす事が危惧された……が、実際に環境を席巻したのはダンセルショウカンであった。
開闢「なにこの環境こわい」
実際のところ、この時期にもなると全盛期よりも無力化手段が大幅に増えたこととコイツ出すより先にゲーム終わるとの理由で規制緩和候補に挙げられることは割と多かったりした。

だが甲虫装機が闇で当時大流行のヴェーラーが光だったため採用される事自体は多かった。
昔ほど無理に採用される事はなくなったが、属性が噛み合えば手軽に出せる☆8モンスターとして良く採用される。
現在でも十分な打点を持つため、ダメ押しに特殊召喚したり、終焉同様に素材として扱う運用方法も有りだろう。
現在ではどちらかと言えば第二効果の方がメインに使われる。第一効果は類似効果持ちが出すぎてわざわざコイツ出してまで使うような効果でもなくなった。

長らく準制限でとどまっていたが、17/07/01を以てついに制限解除となった。


《カオス・ソーサラー/Chaos Sorcerer》
星6/闇属性/魔法使い族・効果
ATK2300/DEF2000
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを1体ずつゲームから除外した場合に特殊召喚できる。
1ターンに1度、フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択してゲームから除外できる。
この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。

通称「皿」。見ればわかると思うが上記2体(特に開闢)の下位互換。

開闢と比べ打点が低く、2回攻撃ができなくなり、表側表示しか除去できなくなっている。
しかし別に弱いわけではなく、相手の場の高攻撃力モンスターも安全に除去できる。
効果も破壊ではなく除外なので「スターダスト・ドラゴン」も苦にしない。
開闢の調整版に見えるが初出のパックは開闢と同じだったりする。

水増し要員としてすら採用されない程に上記2体が強すぎただけで、登場時点でこのカードも普通にぶっ壊れ。
上記2体が規制されると、このカードにも注目が集まるようになった。
そして下位互換にもかかわらず後に純粋に強すぎるがために一度は禁止化されるぐらいには強い。

現在は流石にフィッシャーとしては力不足なものの、差別化点として☆6、魔法使い族、闇属性を生かしエクシーズ素材やシンクロ素材に向く事など除去兼展開要因と活躍している。

このカードの全盛期は上2体が禁止になった後に訪れた【除去ガジェット】の全盛期とかぶっていたので、ガジェに対して特に有効な「魔のデッキ破壊ウイルス」の媒体にできる点も評価されていた。

06/09/01に禁止指定されるも、09/03/01に制限復帰。
09/09/01には準制限にまで緩和されたが、【カオスドラゴン】などのデッキで猛威を振るったためか、12/09/01の制限改訂にて再び制限指定されてしまった。

その後シンクロやエクシーズとの相性の良さを評価され、しばらくの間制限と準制限を行ったり来たりしていたが、シンクロやエクシーズモンスターの減少や個の存在としては力不足すぎたのか現在は無制限。


その強さ

カオスの強さは上記の通り単体の性能もさる事ながら、その召喚条件の緩さにある。
実は墓地のカード2枚を除外するというのはアドバンス召喚よりも軽い。

コストにはのモンスターが必要だが、遊戯王はもともと原作が闇をテーマにしたものなので、闇属性はいつの時代も優遇されており、当時も「クリッター」「黒き森のウィッチ」魔導戦士 ブレイカー」など、超優秀なモンスターが揃っていた。

光属性も闇ほどではないにしろ「聖なる魔術師」「ブレイドナイト」「異次元の女戦士」、さらに後期には「サイバー・ドラゴン」と優秀なモンスターがいた。
つまり、汎用性の高いカードばかりを詰め込んだら、カオスもすんなり入ったという事である。
このため、【カオス】はいわゆる【スタンダード】系デッキの究極系とも言える。

当然こんなぶっ壊れどもが存在を許されるわけもなく、2004年9月から1年ごとに禁止になっていった。

最悪、光と闇さえいればどんなデッキにも組み込めるのでまず戻ってくる事はないだろう……



開闢「と思っていたのか?」



……戻ってこないだろうと思っていたのに2011年3月、しれっと開闢が帰ってきた。
「でも終焉が帰ってくるなんて絶対にありえない」と思われていたが、終焉もエラッタと言う意外な形を経て復活。
大分弱体化したが今後の活躍に注目である。


【代表的なカオスデッキ】

  • 【ヤタロック】
ロックという名前が付いているがなんて事はなく【カオス】に「八汰烏」を入れただけである。
しかしその鬼畜さは他の追随を許さない。

《八汰烏/Yata-Garasu》
星2/風属性/悪魔族・スピリット
ATK200/DEF100
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが相手に戦闘ダメージを与えた場合、次の相手ターンのドローフェイズをスキップする。

召喚権が残っており、場に「クリッター」か「黒き森のウィッチ」がいる状態で終焉の効果を発動。
あとは手札とフィールドが空っぽになったところに持ってきた烏で殴るだけ。
相手はドローできずにターンエンド宣言せざるを得ない。
攻撃力200なのでライフが0になる前に相手のデッキが切れるのを願いたいが、カオスを出されたりモンスターを蘇生されたりする。
これを受けてリアルファイトになった決闘者も多いだろう。

現在は終焉の使者もウィッチもクリッターも皆エラッタされてコンボできなくなっているので一生日の目を見る事はないと思われるデッキ。
一応、別のカードを使用して似たようなデッキを組むことは可能。

使いたいなら禁止制限無視が可能な遊☆戯☆王タッグフォースで。
他の項目にも書いたが、フィールドがら空きでヤタロックが決まるとCPUがサレンダーする。
コンピューターでも突破口を見いだせなくなるってどんだけだよ。


カオス全盛期最後の姿。2005年3月~8月まで大流行していたデッキ。この時は開闢ピン差しが基本だった。
「突然変異」によって安定してモンスターを墓地に送れるのも特徴。
例えば、光属性の「聖なる魔術師」から闇属性の「サウザンド・アイズ・サクリファイス(以下千眼)」が出てきたりする。

戦術は「月読命」と千眼のコンボで相手のモンスターを除去しつつ殴り、最後に開闢でとどめを刺すというもの。
この時は大会出場者のほとんどがこのデッキを使っており、この後、このデッキのキーカードはことごとく禁止・制限送りになった。

一方でカオスを入れない【ノーカオス】なるものが存在した。
今で言う【メタビート】の原型である。
カオスを入れないだけでこんなデッキ名が付いたという事を考えると、いかにカオスが環境を席巻していたかがわかるだろう。


【『遊戯王ZEXAL』でのカオス】

『遊戯王ZEXAL』には、「カオスエンド・ルーラー -開闢と終焉の支配者-」というカードが登場した。

《カオスエンド・ルーラー -開闢と終焉の支配者-》
星10/光属性/戦士族・効果
ATK3500/DEF2000
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地に存在する光属性・戦士族モンスター1体と闇属性・悪魔族モンスター1体をそれぞれゲームから除外して特殊召喚する。
このカードの特殊召喚に対して魔法・罠・効果モンスターの効果を発動する事はできない。
1000ライフポイント払う事で相手の手札・フィールド上・墓地に存在するカードを全てゲームから除外する。
この効果で除外したカードの枚数×500ポイントダメージを相手ライフに与える。

召喚条件こそ厳しくなったもののその効果はどういう訳か開闢の除外要素を混ぜて強化された終焉の使者(エラッタ前)とも言える効果だった。手札・フィールド・墓地への干渉はどことなくトリシューラ(当時は禁止級)を彷彿とさせる。
地味にバーンダメージも強化されている上に三幻神と同じような召喚カウンター無力化効果までついている。そして効果対象が相手限定に。
さらに言うと、正規召喚すれば蘇生・帰還は自由にでき、戦士族なので墓地に落ちても《戦士の生還》で引き込んでこれる。
バウンスしても墓地コストが足りているならもう一度出せるし、何より特殊召喚も効果使用も回数制限が一切ない。
無論そのままOCG化しようものなら即刻禁止でもおかしくない代物。というか相手泣くしかねえよ。

「カオスエンドマスター」と「モリンフェン」を素材に使える事がネタにされたりもしたが……。

これが入ったデッキはハートランドの国宝として扱われ、博物館のガラスケースに入れられている。
できれば未来永劫封印してほしい。

なお、『ZEXAL』には「カオス」という一種の欲望のようなものである概念も登場する。

数千年前、アストラル世界はあらゆる悪や憎しみ、利己的な想いである「カオス」を追放し、純潔の世界を作り上げた。
その結果生まれたのが、カオスに満ちた赤き世界「バリアン世界」である。

さらにアストラル界の住人は世界の象徴であるエリファスを造り上げ、ランクアップをひたすら目指すようになる。

しかしカオスの中には誰かを守りたい、生きていきたいという願いや、生きる力そのものである原始的な欲求も含まれていたため、みるみるうちにアストラル世界は弱体化してしまう。

住民もなんとかしようと試みるが、自らが造ったランクアップのみを目指す存在であるエリファスに阻まれ、どうする事もできずにいた……というもの。

エリファスが放ったそのセリフはこのカオスたちにも適用……されそうで怖い。





追記・修正は自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを1体ずつゲームから除外してお願いします。

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最終更新:2024年01月03日 14:11

*1 とはいえ、現在では墓地から効果を使用できるカードも多いため油断はできないが。