フレイヤ(北欧神話)

登録日:2020/03/13 Fri 19:53:15
更新日:2024/04/03 Wed 00:43:38
所要時間:約 10 分で読めます





『フレイヤ(Freja, Freyja)』は北欧神話の女神の一人。
フレイアやフレイアー、或いは独語読みに倣いフライヤ、フライア、とカタカナ表記されている場合がある。
異名はヴァナディース(ヴァンの女神)。

異名が示すように、元来はオーディントール達アース神族との間で起きたとされる戦争に於いて、
争いを平和的に終了させるために人()質交換でアース神族へと差し出された、敗北した側のヴァン神族側の三柱の神の一柱。

よって、本来は北欧神話を信仰していたノース人やゲルマン人から見ると傍流の神であったのかもしれないのだが、北欧神話に登場してくる女神の筆頭となった。

わざわざ神話内でも戦争が起きたことを説明しているものの、アース神族とヴァン神族との正確な関係については現在でも良く解っておらず、
元々の土着の神々であるヴァン神族がアース神族を信仰する人々(インド・ヨーロッパ系民族)に侵略された構図であるとの説も出されたが激しく否定されている。
事実、北欧神話自体がインド~ギリシャまでの古代オリエントに共通するインド・ヨーロッパ系民族の信仰、神話、神々の区分や姿と重なる部分が多い為に、
アース神族とヴァン神族の関係をインドでのディーヴァとアスラ、ギリシャでのオリンポスとティターンの様な対立を描かれつつも、同根、同族ともする神々の区分の構図を同地にも持ち込み、再現したものに過ぎないとする説もある。

北欧神話に登場してくる女神の内では最も高名であり、創作作品に於いても多く言及されており、英語の「金曜日(friday)」は彼女(若しくはフリッグ)に由来するとされていることでも有名。


【概要】

バビロニアのイシュタル(シュメールのイナンナ)~ギリシャのアフロディーテ(ローマのヴィーナス)までと共通する性格を持つ、生と愛と豊穣を司る女神。
また、それとは対極的に死や戦争、セイズ(魔術)も司っており、豊穣の女神であると同時に、それとは正反対の暗い側面を持つこともイシュタル等と共通している。

こうした幅広い側面を一身に背負っていることから、女性の美徳と悪徳を兼ね備えた女神なんて評価もある。

名の意味は「婦人」であり、
“フレイヤ(婦人)”とは、本来の名を顕す形容詞や添えられていた冠詞であるとの説も提唱されているが、そうであるにしても本来の名(が本当にあるのならばだが)は、完全に失伝していて不明である。

双子の兄は北欧神話最高のイケメンにしてデカ◯ラの持ち主であるフレイ
父はオッサンながら北欧神話最高の美脚の持ち主である海神ニョルズである。

三神は、前述の様にヴァン神族から差し出された“人(神)質”であった筈だが、何れも重要で地位の高い神となっている。


【主な逸話や神話】

ヴァン神族には近親相姦の価値観があるとのことで、当然のようにフレイヤは父と兄とも関係を持っており、
特にフレイとは互いに配偶者が居るにもかかわらず関係を続けており、このことをロキに弄られている。(『ロキの口論』)*1

……そもそも、この兄妹もまたニョルズと彼の妹(名前等は不明)との間に生まれた子供達だった、とする説もある。

性格的には豊穣の女神としての属性が薄れて美ッチが強調されたギリシャでのアフロディーテに似て、若くて美しいが気位が高くて、浮気性。
大地母神としての属性と地位が残っているだけ遥かにマシだけど。
……まぁ、この系統の女神で最も伝説の古い部類のイシュタル辺りもそうだし。

浮気性で愛人(神)や恋人がいっぱい居る癖に気の許した相手にしか触れることを許さない一方で、
フレイヤの持ち物として特に有名な“ブリーシンガメン(炎の首飾り)”を得る為に4人の小人(ドヴェルガー=ドワーフ)に一夜ずつ身体を差し出した神話で有名。
この件は、覗き見していたロキよりオーディンにチクられ、激怒したオーディンはロキに肝心の首飾りを盗ませフレイヤをお白州に引っ立てると、
首飾りを与える条件として人間界で戦争を起こすことを命じ、フレイヤは二人の王に魔法をかけて終わらない戦争を起こすことに成功し、無事に首飾りを自分の物としたという。
小人と寝た話ばかりが有名な神話だが、彼女の役割がオーディンと似ていることを示すエピソードとも言える。
実際、死した戦士の魂がオーディンのヴァルハラ宮殿に迎え入れられる話は有名であるが、実は女性の魂はフレイヤの元へと送られるのである。

気位が高いとされる一方で、人間達から恋愛相談に関して祈りを捧げられると夢中になって聞いてくれたとも言われている。

性に奔放とされる一方で、夫のオーズが失踪した時には嘆き悲しみ、涙を流しながら方々を探し回ったとする神話も残る。
この時、各地に溢れたフレイヤの赤い涙が鉱脈に染み込んで黄金が生まれたとされ、この時にフレイヤが名乗っていた偽名から黄金を“マルデルの涙”と呼ぶようになったされる。
また、この時には上記のマルデルや前述のヴァナディースの他、ゲヴィン、スュール、ヘルン、マルデル、シル、スキャルフ、トルング……と、偽名を使いまくっている。
オーズとの間にはフノス(宝)とゲルセミ(宝石)という、これまた美しい姉妹をもうけている。

黄金の擬人化とされ、前述のアース神族とヴァン神族の戦争のきっかけになったともされる女神とも巫女とも魔女ともされるグルヴェイグ(黄金の擬人化力)はフレイヤの別名であると考えられている。
偶に言われる“フレイヤが戦争の原因”とはこの話のこと。
『巫女の予言』によれば、オーディンの館へと現れたグルヴェイグをアース神族達は寄ってたかって槍で貫き、更には炎で三度焼いて処刑しようとしたが、その度に甦り果たせなかったとされている。
そして、グルヴェイグは報復ということなのかアース神族の領地で魔法をかけて回り、悪い女性達が性欲に掻き立てられたり、グルヴェイグを傷付けたアース神族もまた黄金への飽くなき欲求を掻き立てられることとなり、
これがヴァン神族との戦争の始まりとなったという。
……尚、グルヴェイグは本来はヴァン神族よりアース神族の誰かの花嫁にと送られた娘だったのに、皆の槍で貫かれた=侮辱されて集団レ◯プに遭ったので、報復と共に戦争に至ったとの解釈もされている。
一方、この神話を古代のローマ人とサビーニ人との抗争の伝説より生じた創作と解する説もあり、この説に依れば、黄金によりローマ人を裏切ったとされる巫女のタルペーイアがグルヴェイグのモデルだという。

性的な魅力に溢れ、更に春には上記の“ブリーシンガメン”により、ただでさえMAXの魅力パラメーターが振り切れてしまうだけに、性格が悪かろうが危険だろうが彼女の虜となってしまう者は多く、
敵対している巨人族からもあの手この手で身柄を狙われている。
巨人が身分を隠して神々の城壁を直す報酬として要求した話や、ミョルニルが巨人に盗まれた時に報酬として要求された話が有名。

戦争時の最高神オーディンとは公的な愛人関係にあるとされる。
また、前述の通り戦争と死を司り魔術を操るオーディンとフレイヤの負の側面は対応しており、実際にフレイヤの提案に従い、戦場で死んだ魂の半分はフレイヤが受け持つようになったとされる話もあり、
ここから更に女性の魂はフレイヤの元へと送られるという信仰が出来上がったという。
また、これに関連してフレイヤをヴァルキュリア達の支配者とする説もあり、
実際に戦争時には普段の美ッチは何処へやら彼女は戦装束に身を包み、猫の戦車で最前線に赴きオーディンの傍らで戦ったという。

このようにオーディンとの関係は深い訳だが、実はオーディンの正妻であり、本来は北欧神話のファーストレディのはずがフレイヤと比べるとイマイチ影の薄いフリッグ(女主人)とは呼び名の語源が共通しており、
そこから両者を同一の女神とする説もある。
同じく、フレイヤの夫であるオーズとオーディンも名前が似ているが、更に言えばオーズの影が薄く正体不明なこともあってか、
実はオーズはオーディンと同体、若しくはオーズとフレイヤはオーディンとフリッグの若い頃の名前……と解釈されることもある。
これは、フレイヤの地位の高さへの一つの答え合わせであるかもしれない。
実際、フリッグに纏わる話がフレイヤの物として紹介されている場合もあり、
奔放でギャル属性のフレイヤと、貞淑でオカン属性のフリッグは共に成長と共に別の顔を見せる女性性の象徴と見ることも出来るし、
どちらの面にも必要性があるからこそ同じ女神の別の時期の顔が並んで出てきているということなのかも知れない。
フリッグもまたセイズを司る予言の女神であり、妻(愛人)の影響か、魔術を極めたオーディンも本来は女性=魔女が使うものとされたセイズを操れることをロキに責められている。


【主な持ち物】

  • ブリーシンガメン
日本語表記では、他にもブリージンガメン、ブリーシンガルの首飾り、ブリーシングの首飾りとされる。
前述の様に“炎の首飾り”を意味する、フレイヤを象徴する魔法具。
春のみ身に付けたとされるが、その時のフレイヤの魅力には何者も逆らえなかったとされる。
フレイヤとの関係も深い黄金製とされことが多いが、“炎のように輝く”ことからか琥珀製との説もある。
魔法具なので、一度壊れたが元に戻ったとも。
入手の経緯からも因縁深いロキに盗まれたことがあったが、ヘイムダルが止めに入り、変身合戦の末に最後に互いにアザラシとなった戦いを制してヘイムダルが首飾りを取り戻している。
その後、ロキはラグナロクの導き手となる訳だが、この時に生じた因縁の相手であるヘイムダルと相討ちになって果てることになる。
アングロ・サクソンの叙事詩『ベーオウルフ』では、グレンデル討伐の褒美にベーオウルフに譲渡された首飾りの美しさがブリーシンガメンと比されて形容されている。


  • 鷹の羽衣
飛行機能の付いたモフモフした着ぐるみや鷹の姿になれる変身アイテムみたいなものとも、単に飛行を可能にする翼や衣ともされる魔法アイテム。
フレイヤ当人が使う神話は無く、ロキが借りて使う場面ばかりである。
前述のように、同体とされるフリッグの持ち物とされている場合もある。


  • 猫の戦車
フレイヤは二頭立ての猫が牽く車(戦車)を移動手段としている。
猫が牽くということから、絵画でもシュールでメルヘンな作品が残されたりしているが、当人(神)はこれで戦場にも駆けつけるので、実際にはむっちゃデカい猫みたいな何かなのかもしれない。


  • ヒルディスヴィーニ
またはヒルディスヴィンで、直訳すると“戦いの家猪”或いは豚のこと。
同じく、フレイヤの乗り物として知られており、多産を象徴する猪(豚)はフレイヤを示す聖獣でもある。
兄のフレイもグリンブルスティ(恐るべき歯を持つ者)を意味する黄金の猪を乗り物とするが、此方はミョルニル、ドラウプニルと並ぶ魔法具である。


  • オッタル
ただの人間の男性ながら、フレイヤにとっては数ある愛人の内でも最も“お気に入りの相手”とされる。
反面、古エッダの『ヒュンドラの歌』では、繰り返し繰り返し“愚かなオッタル”と呼びかけられている。
この『ヒュンドラの歌』でフレイヤに猪に姿を変えられる描写があるためか、上記のヒルディスヴィーニの正体とされていることもある。
フレイヤと共通するか、フレイヤに引き継がれた要素を持つ他地域の地母神や豊穣の女神の愛人や配偶者に相当するキャラクター(ドゥムジやタンムズ、アドニス)とも思われるが、
オッタルに関しては悲劇的な末路までは描かれて(判明して?)いない。


【登場作品】

※追記を希望します。

小説

舞台となる街「オラリオ」で冒険者集団「ファミリア」を率いる神々の一員として登場。CVは日笠陽子。
優れた美貌と「美神」と呼ばれるカテゴリーの神々が持つ常時発動権能「魅了」によって人々を魅了し、自身が魂ごと見初めた「強い男」達を魅了を使わずに女の格と策で眷属とし、自分のためにより修練を重ねる彼らを従え傍若無人に振舞っている。
なお眷属たちの中には最強の戦士オッタルや「女神の戦車」の異名を誇る猫人の青年がおり、元ネタを知るとにやりとする名前である。
だが一方で魅了や強さ等で配下含めた殆どの相手があっさり崇拝者化する事から「真の意味で強い伴侶」を心の底で願っており、本編主人公ベル・クラネルにその可能性を見出し、彼にも凝視が察せられるくらい目を付ける事に。
…だが「女神」として上から彼を眺め裏で恩寵と試練を与えながら、実は「別な顔」で素性を明かさず交流を重ねており、「別な顔」の時憧れの相手がいる(ついでに既に別な女神の忠臣でもある)彼にフラれた事で、その愛は街全てを巻き込み暴走してしまう…

ゲーム

『ストラクチャーデッキ-閃光の波動-』で初登場した天使族効果モンスター。
チアリーディングを彷彿とさせる衣装に身を包んだ銀髪ショートの美少女で、効果こそ凡庸だが、そのビジュアルの可愛さからユーザー間の人気は地味に高め。
詳細は当該項目も参照。

シリーズ『運命のラグナロク』で初登場したプレミアムガチャのモンスター。
非常に可愛らしい見た目なのだが、残念ながらガチャのハズレ枠としての扱いとなっている。故に獣神化も出来ない。
ただしその割にはステータスは悪くなく、初期頃のモンストでは彼女にお世話になったユーザーも多い模様。また、2度も上方修正が行われた事がある。

北欧神の1体として実装された金髪巨乳の女神。
ストーリーダンジョンのオーディン編にも登場し、直後にヴィーザルを使っての超転生進化が実装された。エンハンスを持つ列リーダーといったものに仕上がっている。
クリスマスガチャにも猫耳フードをつけて登場している。

  • フレイヤ(斬撃のREGINLEIV)
兄フレイと並び主人公として登場。神々がオーディンの命でラグナロクに備え防備を固める中、人間たちを巨神族から救うため兄とともに地上に降りる。
フレイが接近戦、耐久力に秀でているなら、フレイヤは魔力を用いた魔法攻撃による遠距離、広範囲、高火力攻撃を得意とし、接近戦や耐久力にはいまいち。
フレイヤ専用の魔力ゲージが存在するが、強力な魔法を撃ち放題というわけにはいかない。
回復するには魔剣で敵を攻撃する必要があり、必然的に適度な接近戦を強いられる。しかし魔法攻撃は強力なものが多い(中には自分も巻き込まれかねないものもあるが…)。
性格については主人公ということもあってか、ビッチ要素はなく、心優しく勇ましい。だが多少ブラコン気味。
作中では単騎で巨神の勇者フルングニルを迎撃したり、地下深くのスヴァルトヘイムやニヴルヘイムに乗り込んだりと、ヘタレがちな場面の多い兄とは対照的に、非常に勇猛果敢。
余談だが、ある意味本作を象徴するネタ台詞「いるじゃない!」は彼女のもの。*2

  • 関銀屏(無双OROCHI3)
フレイヤ本人は登場しないが、関銀屏がフレイヤの力を使って神格化する。
衣装が花をたくさん飾り付けた緑色のドレスになり、固有神術がブリージングガメンを設置してその上できらびやかな光の中でダンスを踊るというものに変化する。

  • フレイア(戦乙女ヴァルキリーシリーズ)
第1、2作に登場。CVは北都南
主人公・デュークが所属する魔王軍の敵、大神オーディンが統べる天界において、天界一と称される美貌と知識を誇り、
オーディンから戦乙女たちの統括を任されるほど篤い信頼を得ていたが、魔王軍に捕らわれてデュークたちに数々の調教を受けて快楽堕ち。
第1作冒頭時点で既にデュークに忠実な性奴隷と化しており、メインヒロインのレイア*3を騙し討ちしてデュークの捕虜とさせた。
一応主人公がいないところでは聡明さも保っているが、主人公の前では常に色ボケ状態で、その様を見たレイアには以前の姿との落差に愕然とされている。
本編開始時点で調教済なので扱い的にはサブヒロインで、少ないがHシーンもある。中の人のビブラートが利いた独特の喘ぎ声はとても耳に残る。




追記・修正は魅力を上げてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 北欧神話
  • 女神
  • 美ッチ
  • 大地母神
  • 奔放
  • 貞淑
  • 金曜日
  • ヴァン神族
  • 黄金
  • ヴァルキリー
  • フリッグ
  • フレイヤ
  • メス豚
  • メス犬
  • ビッチ
  • アニヲタ神様シリーズ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月03日 00:43

*1 尚、そう言うロキもフレイヤの愛人の一人である。

*2 経緯を説明すると、スヴァルトヘイムに乗り込んだフレイヤがナビゲート役であるイズンに「この辺りに魔物はいる?」と聞いたが、イズンは「いませんよ」と半笑いで答えた。しかし1秒もたたない内に魔物の集団が沸きだし、フレイヤはキレ気味でこの台詞を言い放った。

*3 第1作時点ではヴァルキリーと呼称される