冒険野郎マクガイバー

登録日:2012/02/06(月) 18:09:25
更新日:2025/05/01 Thu 19:21:20
所要時間:約 3 分で読めます





『冒険野郎マクガイバー』とは1985年~1992年に放送されたアメリカのテレビドラマである。
日本ではTBSテレビで放送された。全11シーズン。

【概要】

フェニックス財団所属エージェント(つまり、軍隊などの後ろ盾のない私的機関の機関員)であるマクガイバーが世界中で悪と戦いこれを成敗する、というドラマ。
本作の最大の特殊性は、主人公がアメリカのドラマにありがちな銃器などの武器を使わず、
突き抜けた身体能力で押し通るのでもなく、普段から携帯する十徳ナイフとガムテープ、その場にある物品や状況に持ち前の豊富な科学的知識と天才的な閃きを組み合わせ、数々の危機を思いがけない方法で突破する「知恵と工夫で魅せる」点にある。通称マクガイバー流マジック
現在でも「最もタフなヒーローは?」などのランキングにマクガイバーが選ばれることがあるほど人気が高い。


主な登場人物


ジェームス・アンガス・マクガイバー
声:石丸博也

\友達に貸し借りはないよ♪/
主人公。愛称はマック。少年時代に友人を失ったトラウマにより銃器を極端に嫌っている(使えないわけではない。むしろやれば巧みな方)。頭脳明晰で運動神経抜群でアイスホッケーが大好き。西部劇の映画をコレクションしている。
元々はベトナム戦争で特殊工兵、爆弾処理班に従事し、終戦後に帰国。除隊後は親友ジャックの手伝いでタクシードライバーをしていた。その時なりゆきで助けたピーターから諜報機関DXSの依頼を受けてエージェントとして活動する。
その後ピーターのフェニックス財団移籍に伴いフェニックス財団とエージェント契約を結ぶ。子供の頃に両親を事故で亡くし、家族は祖父のみだと思われたが後に本人も知らなかった子供が登場。
常にアーミーナイフ、ガムテープを携帯する。


ジャック・ダルトン
声:内海賢二

\会いたかったぜ~アミ~ゴ♪/
マクガイバーの親友でトラブルメーカー。いつも金儲けを考えてマクガイバーをトラブルに巻き込む。が飛行機の操縦は一級品。
毎回家財道具をまるごとかっさらっていき「家具を返してほしければ…」という脅しをする。マクガイバーに迷惑ばかりかけているが命を懸けてマクガイバーを救う事も。
嘘つきだが嘘をつくと眼がピクピクする癖がある為マックにはすぐバレる。


ピーター・ソーントン
声:宮川洋一・上田敏也

\たのむよ、マック/
マクガイバーの親友であり上司。マクガイバーと共に国家の為に戦うメタボおじさん。
運動はからっきしで現場はマクガイバーにお任せだが、異様にドローが早く銃の名手ではないかという噂がある。
年に1回マクガイバーと山奥でアスレチックトレーニングに挑んでいる。
少々ヒステリック気味でハンバーガーをヤケ食いする癖がある。妻とは離婚しており息子が一人いる。
作品後期に演じるダナ・エルカー氏が眼を患い、これを取り入れて作品内でも同様に失明状態になった(これに伴って作劇上のフェニックス財団の扱いも変わっていった)。
豆乳が嫌い。


マードック
声:千田光男・原康義

\生きてるぜぇ~マクガイバアァァァ!/
殺し屋。唯一殺せなかったマクガイバーを執拗に狙うが、マクガイバーの数々の機転により撃退される。
毎回死んだとしか思えない最後だが遺体が発見されず復活する。一度、妹を助けて欲しいとマクガイバーに泣きついた。

ハリー・ジャクソン
声:納谷悟朗・千葉耕市

\ぼうず/
マクガイバーの母方のおじいちゃん。おじいちゃんと呼ぶと怒る。
マクガイバーのサバイバル術や科学知識はこの人から教わった。

ニッキ・カーペンター

フェニックス財団所属の女性エージェントでマックにツンデレなバツイチ。
一度マックに無理矢理キスされた


ペニー・パーカー
声:岡本麻弥・神代知衣

トラブルメーカーその2


コルトン3兄弟

フランク、ジェシー、ビリーの三人。
フランク、ジェシーは賞金稼ぎ。ビリーはフェニックス財団で働きつつ兄達の様に賞金稼ぎになりたがっている。


マクガイバーのみどころ



マクガイバー流マジックの数々

チョコレートで硫酸漏れを起こしたタンクのヒビ割れを塞ぐ。
※この時、同行していた女性にまさかガムから爆弾作らないわよね?と言われたマクガイバーはガム持ってるかい?とマクガイバージョークを披露した。

○化学肥料から信号弾、爆弾などを作る*1

○竹、エンジン、ごみ袋、ガムテなどで飛行機を作る。

○ボールペンで車の修理。

○車のマフラーでロケットランチャー。

◯サボテンの樹液の電解質を電池にして電波を送信

などなど数知れず。マクガイバーが唐突に動きを止め、何かがアップで映ったらマジック開始の合図。


必殺マクガイバー捨て身パンチ

マクガイバー唯一の直接攻撃。
殴ったさいは必ず自身の拳を痛め、余りの苦痛に転げ回る。


マクガイバーのナイフ

マクガイバーの武器はその明晰な頭脳と、赤いアーミーナイフ。といってもこれで攻撃などしない。
この一本でどんなピンチも大逆転。コイツが出てきたら勝利フラグだ!


最終回での衝撃の事実(ネタバレ) 
マクガイバーが目を見張るほどの科学知識とひらめきをもつ謎の青年が登場。実は彼はマクガイバーが以前に関係を持った女性の忘れ形見。彼女はマクガイバーに迷惑をかけないように秘密にしたまま出産し、一人で育てていたが不治の病にかかり、死去してしまった。複雑な思いを持ちながらもマクガイバーの前に現れた彼はついにその事実を明かす。最後には「今までの時間を一緒に取り戻そう」と一緒にバイクで旅立っていった。;

マクガイバー(リブート版)

2016年にリブート版が制作された。こちらもアンガスが銃を使わず身近なものを駆使するというコンセプトは同じだが
設定や登場人物など異なる点も多い。
1話完結型の「冒険野郎」と比較すると1話ごとで区切りをつけつつも大きなストーリーラインを構築することで物語に厚みが持たされている。


マクガイバーよもやま話


番組内では台所にあるもので爆発物をこしらえたりしていたが、子供が真似をしたら危ないという苦情が寄せられることがしばしばあった。
しかし実際は科学的根拠に基づいて、再現できない方法でしか行っていないため、実際に真似したところで危険になることはないように配慮されていた。まあチョコレートで爆弾は作れんわな。


マクガイバーは銃が大嫌いだが、別に非暴力主義というわけではなく、相手を殴り倒したり(女性でもブン殴ったことがある)、爆発で施設や乗り物を破壊したり、仕掛けられた爆弾が解除できないので逃げていく黒幕の車にぶつけたりと、意外と派手なことをやったりもする。
しかし徹底してマクガイバーの行動で誰かが血を流したり、重いケガをしたりはせず、とびかかって引き倒した相手を気絶させるところさえ映さず、直接的な暴力の描写を最低限に抑えていた。あくまでも彼はヒーローであって、悪の敵ではないというスタンスを崩さなかった。どんな悪党にロケットランチャーをブチ込んでもせいぜいせき込みながらほうほうのていで逃げ出すといった具合。例外的には(自滅に近い)宿敵・マードック戦程度だった。


マクガイバーはアメリカンヒーローらしくカジュアルな服装でいることが多いが、ホワイトハウスなどのフォーマルな場所にはビシッと決まった黒のスーツとワイルドなウルフカットの髪型で登場することがあった(ものすごくカッコイイ!)。これはのちにリブート版となる「マクガイバー」第一話でセルフオマージュとして使われている*2


主演のリチャード・ディーン・アンダーソンはスタントを使わない俳優だったため、しばしば撮影で大小の怪我を負うことがあった。
骨折などの重傷で撮影が困難なときはエピソードを工夫し、番組内でも怪我をしたマクガイバーがピーターや仲間たちを
通信で指示するなどしてアクションだけではない魅力を引き出した。


マクガイバーの日本語版吹き替え声優はジャッキー・チェンの吹き替えでお馴染み石丸博也氏である。
むしろ石丸氏といえばマクガイバーと思う方もいるのではないだろうか?


制作にはロケ地として当時はまだそんなに知名度のないカナダのバンクーバーをメインに使っていた。
バンクーバーは都市部は新しく清潔感のある町並みで、2時間も車を走らせれば見渡す限りの荒野。番組との相性は抜群。
のちにハリウッドでバンクーバーのロケが大いに用いられるようになったことで大きな経済効果が生まれ、バンクーバーや周辺地域に大きな恩恵を与えたそうだ。
そのためマクガイバーはバンクーバーを発展させた立役者(のひとり)として大変有名なのだとか。


マクガイバーのナイフのメーカーはスイスの「Victorinox」(ビクトリノックス)。モデルはティンカーかスパルタンPD(エピソードによって色々違うらしい)。
Victorinoxは現在でもアウトドアのマルチツールの上位3選にはまず挙がるというスゴいメーカー*3。ほかにもキッチンナイフなども生産している、創業130年を越える老舗メーカー。
日本はじめ韓国、タイ、フィリピンなどのアジアの放映圏ではマクガイバーナイフ(マクガイバーツール)と呼ばれるほどの知名度となり、一躍大人気商品になった。後年、マクガイバーにあこがれるキッズのために大型ナイフの先端が丸くなった「ティンカーforKids」という商品が発売されている。


オックスフォード英語辞典に「to MacGyver」という慣用表現が記載されている。そんなアホなと思うかもしれないがもちろん由来はこのマクガイバー。
「その場にあるものでなにかを作る・修理する」という意味で、「(無理難題を)なんとかしろ」とか「(ありあわせで)やってみる」といった使われ方をするらしい。


マクガイバーが作中で使う(何の変哲もない)針金クリップにマクガイバーが描かれた台紙をつけただけのファンアイテムでも飛ぶように売れたらしい。


マック論争(関東と関西でマクドナルドの略称が違う)では第三勢力として「マックといえばマクガイバー」という過激派がいるらしい。


マクガイバーのMacはアイルランド語で「誰々の息子」とか「◯◯の子孫・血族」といった意味。そのため「Mac」と「Gyver」はそれぞれの頭が大文字になる。
マクドナルドのMcDonaldも(MacとMcでつづりが違うが意味は一緒)同じ理由でこのように表記されている。


主演のリチャード・ディーン・アンダーソンはマクガイバーと同じく銃が嫌いで銃規制派。そのため番組放映中も銃規制派の集会やCMに登場することがあった。しかしどちらかというと政治的な理由ではなく「銃犯罪の重大性と子供たちへの影響」といった社会的な面での意図だったそうだ。


追記・修正はそこら辺の物を組み合わせてお願いします。

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最終更新:2025年05月01日 19:21

*1 化学肥料の原料は爆薬に転じるものが実在する。爆弾の項目も参照のこと

*2 新マクガイバーは普段は髪をセットしてなでつけているが、この時は冒険野郎を意識したような髪型にしていた。

*3 最近では「ソロキャンおじさん」ことウクライナ出身のYoutuber、SergioOutdoors氏が用いるナイフとしても知られている。