ディアナ・ソレル

登録日:2012/02/18 (土) 20:14:02
更新日:2021/02/02 Tue 19:30:48
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ディアナ・ソレルから、

ディアナ・ソレルへ。






『∀ガンダム』の登場人物。
かつて、外宇宙にまで届くテクノロジーを持っていた科学万能時代(宇宙世紀~RC、そして他の世界)の記憶を僅かに残すムーンレィスより神格化された月の千年女王。
神格化されているとはいえ、カリスマだけでなく実際の統治者としての能力も備えた女傑でもある。
御大が『∀ガンダム』の発想の元とした『かぐや姫』と『とりかえばや物語』から発想されたシンボル的存在である。


名前の由来は、ローマ神話で月と狩猟をつかさどる女神、ディアナ*1から。

月世界を統治するムーンレィスの女王。
見た目は20才前後の女性だが、1000年程前から100年毎に月の統治と人工睡眠を繰り返している為、実際の年齢は不明だが公式的には19歳とされている。
ソシエ・ハイムの姉であるキエル・ハイムとは容姿から声まで瓜二つだが、二人に血縁は無いとのこと。
幾らなんでも似すぎているので、先祖の何処かに血縁者が居て隔世遺伝でもしたのだろうと予想されるが年代を跨ぎ過ぎていることもあるし、公式には不明である。

元々定期的に地球への視察を繰り返したのをきっかけに、ディアナカウンターを率い、地球帰還作戦を開始した。
物語にしてロラン・セアックとソシエ・ハイムが成人の儀式を行っている晩の時である。
その真意は、人工睡眠を繰り返すムーンレィスに、豊かな自然に触れて人生を全うさせ『生きる喜び』を与えるため。
やや小難しい言い回しだが、要は普通の人間らしい生活に戻したい(戻りたい)ということであり、この辺は昔の人間っぽい。

ただ統治者としてのカリスマと能力こそあれど、物語当初は世間知らずであるのもまた事実であり、これが問題を引き起こした。
実際、彼女の思想は生まれた時からテクノロジーに囲まれた後の世代のムーンレィスは勿論、生まれたときから豊かな自然に囲まれた現在の地球人からも共感し難い思想であり、
この女王との思想のズレこそが『∀ガンダム』に於ける月と地球の戦争の発端となってしまっている。

地球人代表としてグエン・サード・ラインフォードとムーンレィスが地球で暮らせるよう交渉をするが、
侵略行為だと反発する地球人と、地球人を野蛮と見下すムーンレィスは折り合わなかった。

そんな中、自分と瓜二つのキエルと遊び心で衣服を交換した結果、意図せず成り行きでそのまま二人は暫くの間入れ替わることになる。
視察としてハイム家を訪れるが、そこでディアナカウンターが放った一撃でキエルとソシエの父が亡くなった事を知り、墓前で自身の過ちを嘆き、涙まで流して謝罪をした。
この時“自分に変わって泣いてくれた”ことで、キエルはディアナを心より慕うようになると共に、
前述の様に孤独であった彼女の本心を知ろうと努力してディアナが思っていた以上に完璧に女王の代わりを務めるまでとなり、
その姿を見たディアナもキエルに“もう一人の自分”として絶対的な信頼を寄せるまでになる。

その後はキエル・ハイムに成りすましたままで、ロラン達と行動を共にする。
因みに、アニメでは区別の為にディアナは色白で瞳のハイライトが無いのに対しキエルは少し肌の色が濃く瞳にハイライトが入れられているが、
これは作劇上と視聴者への区別を付ける為にそうしているだけで、実際には細部に於いても殆ど差異が無い=側近ですら区別が付かない程に似ているとされる。
これは、本当の家族と呼べる存在が既に居らず、周りの側近も目覚めた時には入れ替わっている可能性も高く侍従とも親しく接していないという事情もある。
寧ろ、念願叶って降りた地上にて自分自身で行動する中で、真の友達や女王の騎士とも呼べる存在を得ることになった。
そうして前線を移動しつつ各地で地球人の営みを知り、野戦病院ではリリ・ボルジャーノの意地悪が発端とはいえ、傷病者の洗濯などの雑用を経験している。
野戦病院でのエピソードはサブタイトル通りのディアナ様の奮闘、戦争の悲惨さ、全自動洗濯機∀等、多くの意味での見処があり、従来のガンダムらしくは無いが『∀』中でも評価の高いエピソードである。

途中、数百年前に地球を訪れた際に出会い、恋仲になったウィル・ゲイムの子孫に出会う。
彼は祖先が月の女王と恋人であったことを残された日記で知り、月へ行くことを夢見て宇宙船の発掘をしていた。
そしてディアナカウンターと接触し、宇宙船を渡す代わりに月へ連れて行って貰う約束をしたが、道中でミリシャの襲撃に合い死亡した。
残された船はミリシャが手に入れ、ディアナはその船に『ウィルゲム』と名付けた。


その後、地球帰還作戦に反対していたアグリッパ・メンテナー一派が、自身の不在をいいことに月の実権を掌握したことを知り、
コレン・ナンダーやレット隊の助けを借り月へ戻る。

月では自分の暗殺を目論みギンガナム艦隊をも引き入れていたアグリッパと対立するも、秘せられていた過去の記録を“∀”のコードと共に皆の前に解き放つ。
そこで黒歴史の真実(数千年以上に及ぶ戦争の果てに∀が地球文明を月光蝶により埋葬した後の世界が現在である)を知り、月では混乱が起きるが、ディアナの演説で沈静化した。
そして再び地球へ戻り、ターンXの月光蝶で全てを無に帰すことを企んだギム・ギンガナムを打倒する為、作中で初めてディアナカウンターに武力行使を命じた。
この時自分を信じる民を死地に向かわせる命令を下すことに苦しむ姿を見せた。
また、最終決戦では最高指揮官であるにも関わらずギンガナムとの最終決戦に挑むロランの下に向かおうとして諌められており、その頃には周囲にもロランに向けた特別な感情を察されていた模様。


エピローグでは、戦争終結後は月の統治はキエルに任せてロランと共に人里離れた土地に渡り、そこで隠棲生活を送っている姿が描かれた。
ディアナはこれまで多く重ねてきた人工睡眠の後遺症で、人工睡眠装置を利用しなければ肉体の維持が出来なくなってしまっており、
物語終盤からずっと人工睡眠を行わなかった影響もあり、その肉体は急激に衰えていたが、月に戻って延命治療を受けるのではなく、地球でロランと余生を過ごすことを決めたのだという。
ちなみに、「ディアナが肉体的に老いている」ことを示す描写に関しては何度か脚本が書き換えられたそうで、老いていることを強調する脚本案もあったらしいが、
最終的には「声の調子を変える」「杖をついている」など、強調するのではなく、それとなく匂わせる程度の描写になっている。

なお、このエピローグではロランとソシエが別れのキスを交わす場面でディアナが目を背ける描写があったり、
その後のロランとの隠棲生活の描写では左手の薬指に指輪を嵌めていることから、ロランとディアナが結婚したのか否かについても考察されている。

これについて冨野監督は、自身が出版したエッセイ『ターンエーの癒し』にて、
「ロランとソシエを十分に知っていても、最後の自分を看取ることをロランに頼んだ。許したのではない。頼んだのだ。なぜなんだろう?」と問を投げ掛けた後で、自らこう解答している。
「それは、永遠の疑問ではない。簡単な理由だ。ディアナの本当の初恋の相手が、きっとロランに似た少年だったからだろう。人間などというものは、そんなものなのだろうとおもう。」
「それは、つまらないことなのだろうか?そうではないと伝えたいのが、『∀』という物語なのだ。」
と。


◆名言集

「よしなに」

「これは私の仕事です。やめたりすればキエルさんの名も辱めることになります」

「ガンダムにはお髭がありますか!? ありません! 時代は違ったのですから、お前の任務は終了しております」

「夜中の夜明けなど、あってはならない歪みです……」

「ディアナ・ソレルから、ディアナ・ソレルへ」


【余談】


地球と月の戦争の発端になったということから『ガンダム三大悪女』に挙げる不信心者も要る。
尤も、拗れたのはディアナ暗殺を目論んだアグリッパ派の行動と地球側の無知があったのだが。  



【ゲーム作品での扱い】


スーパーロボット大戦シリーズ
ソレイユの艦長(メインパイロット)扱いで登場。立場や原作シナリオ上、加入が遅くなりがちであり戦闘能力は高くないが
非常に優秀な精神コマンドを有しており、終盤加入ながらもサポート要員としての価値は大きい。



おやすみなさい、ディアナ様。


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最終更新:2021年02月02日 19:30

*1 ギリシャ神話ではアルテミスと対応する。