ウルトラヒートハッグ(ウルトラマンティガ)

登録日:2012/09/18(火) 20:28:42
更新日:2024/01/31 Wed 22:11:11
所要時間:約 5 分で読めます






「これが答えなのか?」


『ウルトラヒートハッグ』とは、ウルトラマンティガの通常形態・マルチタイプの必殺技の一つ。
相手と密着した状態で全身から熱線を発し、ごく至近距離から敵を爆発させる捨て身の荒業である。


使用回数は僅かに二回。
初使用は第28話「うたかたの……」。その後、第45話「永遠の命」でトドメ技として使われた。


それでもこの必殺技は、強烈なインパクトを誇っている。


■「うたかたの……」


ウルトラシリーズそのものに疑問を投げかけた問題作がこのエピソード。
地球平和連合TPC特捜チーム GUTSが戦力を分散させられ苦戦する中、実戦に不慣れな最年少隊員、ヤズミへ焦点が当てられる。
彼が右往左往する間、主人公マドカ・ダイゴも苦悩していた。
何故自分がウルトラマンの力を得て、戦うのか。
何故怪獣を倒さねばならないのか。



「何故戦う? 何のためなんだ……ティガァァァァッ!!


悩みながら作中で一度きりの名前叫び変身を披露。
目的も分からず、ただ暴れるだけの甲獣ジョバリエに応戦する。

だが、ジョバリエは強い。
怪獣の両腕に押さえ込まれた瞬間、ティガの脳裏にGUTSの仲間の姿がよぎり、冒頭の独白が始まる。



「これが答えなのか? この人たちを守るためなのか?」



「仲間だから……」



「皆が、好きだから!」


一つの答えが出た瞬間であった。
と同時に、ティガの全身から赤い光が迸る。
ティガを捕えている腕が焼け、泡を噴くジョバリエ。
そしてティガが握り締めた拳が強く輝き、ジョバリエは四散した。

以上が、ウルトラヒートハッグの初使用プロセスだった。

ちなみに、ダイゴ変身前のヤズミの特攻から、ティガ勝利、本話の一方の軸であるクリッター作戦に区切りがつくまで、延々とOPインストが流れ続けている。
これがそれまでの重苦しい話運びも相まって、強いカタルシスを生み出してくれる。

一方、「皆が好きだから」という、邪推すればダイゴの個人性にのみ帰結するような結論はヒーローとしてどうなのか、という考えもある。

しかし、ダイゴはあくまでダイゴとして、ウルトラマンの力を持った個人であり続けた。
それを証明するのが、ウルトラヒートハッグが再度使用された第45話「永遠の命」である。


■「永遠の命」


人類が滅びを迎える時に咲くという、超古代植物ギジェラ。その花粉には、人類を陶酔させ、依存させ、自滅を促すという性質があった。
要はヤク中だ。

人々はギジェラの花粉の奪い合いを始め、花粉の効果が切れた禁断症状に苦しむ。
TPCやGUTSのメンバーも被害を受け、ギジェラの撃滅に消極的になってしまった。

そもそもギジェラは人類を楽しませているので、これを滅ぼせばTPCは人類に敵対する事になる。

人類が自ら滅びを選択するなら、ウルトラマンにもそれを止める権利は無い。
……だが、ウルトラマンであり人類でもあるダイゴは決断する。



「ダイゴ。お前が正しいと思ったことをやれ!」


そして変身。
これもやはり、使命などではなく、ダイゴがダイゴ個人として決断した証明だ。

そして、人類を守るためにウルトラマンが人類と敵対する構図がここで生じる。
高原に咲いた、巨大なギジェラ本体に群がり花粉を求める人々は、そのギジェラを倒そうとするティガを弾劾する。
ティガが劣勢になれば歓喜する人々。

だが、ここでようやく覚醒したGUTSはガッツウイング2号からティガを援護射撃。
それを受けて立ち上がったティガはゼペリオン光線で花弁を粉砕し、地下へ逃げようとしたギジェラの「根」を鷲掴みにする。
そして、ウルトラヒートハッグのエネルギーを腕へ集中させ、ギジェラを文字通り根こそぎ焼き尽くした。


以上が、シリーズ中僅か二回のヒートハッグ使用例である。
どちらもダイゴの葛藤と決断が重要な要素となって発動している。


つまり、技というよりは、ティガの精神力の爆発と考える方が正しいのかも知れない。
突然ヒーローになってしまって何を思うのか。
個人としてどうあれば良いのか。

M78星雲人を始めとする宇宙人ウルトラマンから初めて完全に脱却したティガだからこそ問えた話だろうし、その苦悩を払拭する事でカタルシスが生じる。

その払拭する様を具象化したのが、気力で敵を焼き払うウルトラヒートハッグではなかったのではないだろうか。


■恐らくの元ネタ


ウルトラマンタロウウルトラダイナマイトではないかと思われる。
全身を燃やして突撃し自爆、自分だけが再生するルール無用の荒技だ。
作中でも目潰し宇宙人カタン星人に一度しか用いていない(後にメビウスやウルトラ銀河伝説での客演時に使用されるが)。

だが、タロウはそもそも東光太郎にウルトラの命が与えられて誕生したという、後のティガと共通するバックボーンがある。
ストーリーもカタン星人の卑劣さや、光太郎の怒りが強調された内容だった。

そのカタン星人を、怒りの炎を纏って捨て身で倒す――やはり、主人公の個人性が強調された上で発動している共通点がある。

基本的にダイゴは温厚で、悪に激昂することはあっても口汚く罵ることは無い。
変身後のティガもどちらかといえば冷静なスタイルだ。
だからこそ、こうした「気合い」で粉砕するような技にカタルシスが生じるのだろう。


■その他の活躍


ロストヒーローズ2』では打撃・火属性で、使用時にHPが1まで残るという技。
この特徴を用いて、ティガにスキル「渾身」(HPが1の時に攻撃力が上がる)を付けるプレイヤーが続出した。


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最終更新:2024年01月31日 22:11