ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

登録日:2009/09/06 Sun 20:41:33
更新日:2024/12/23 Mon 13:59:12
所要時間:約 7 分で読めます




レイ「私には、他に何もないもの」


シンジ「…僕に守る価値なんてないよ」


ミサト「私も、初号機パイロットを信じます」



EVANGELION:1.0
YOU ARE (NOT) ALONE.

概要

2007年9月1日公開の、新世紀エヴァンゲリオンシリーズの新シリーズ映画の第一作目。スタジオカラー設立第一回作品。
初見だと素通りしてしまいがちだが、タイトルは旧字体である「ヴァンゲリン」である。

制作発表時に全4部作と発表され、タイトルを能、狂言の演出技法である「序破急」から取った。
ちなみに序破急とは起承転結と同じような意味。

当初の公開時期はそれぞれ
  • 前編 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 2007年初夏
  • 中編 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 2008年陽春→後に2008年内に変更
  • 後編 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:急+完結編 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:? 2008年初夏(同時上映の予定)→後に公開時期未定に

だった。
しかし、『序』の時点で予想以上に新作部分が膨らんだため、大幅に予定がずれ込むこととなる。
最終的な公開スケジュールは当初より10年伸びた

2009年7月3日にはTV放映も行われた。(次回予告が破で実際に使われた映像に差し替えられている1.01'版)

主題歌は宇多田ヒカルの「Beautiful World」。
予告編では宇多田ヒカルによる「fly me to the moon」のカバーverも使用された。

内容としては、基本的にTVアニメ版第壱話〜第六話に当たる。

コンセプトは「現代のアニメ技術によって、新世紀エヴァンゲリオンの魅力を再確認する」というものであり、
大筋はTVシリーズと変わらないが、一部の展開に差異があったり、また随所にCG技術が用いられている。
特に、クライマックスである「ヤシマ作戦」はTV版からかなり進化しており、完全新作と言っていいほどの完成度の高い仕上がりとなっている。

公開されたバージョンは大きく分けて三つ。
  • 「1.0」劇場公開版。
  • 「1.01」初期DVD版。劇場公開版のフィルムの質感を再現しており暗め。解説テロップ収録版の「EXPLANATION OF EVANGELION:1.01」も収録している。
  • 「1.11」BD版。大きく普及されたバージョン。デジタルマスターをそのまま収録しており、明るい画質。追加シーンも収録している。
他、地上波放送版の「1.01'」「1.01''」が存在する。

登場人物

碇シンジ

「もう一度、乗ってみます……」

本作の主人公。14歳の少年。エヴァ初号機専属パイロット。
幼い頃に父親に捨てられたというトラウマを抱えており、それが原因で内向的な性格かつ大人に対してはよそゆきの自分で接している。
エヴァに乗って人に必要とされたいという願望と、エヴァによる戦闘で苦しめられる現実に折り合いをつけられないでいる。
新世紀よりも周りの大人が優しいため少し主人公らしい性格になっている。ヤシマ作戦では激痛の中、ミサトや友人などの守りたい人々の為に力を振り絞り戦うという追加シーンも。
細かなところでは新劇場版の演出において音楽プレイヤー「S-DAT」がシンジとゲンドウのみならず、シンジと様々な人との繋がりを象徴する道具として扱われている。

綾波レイ

「エヴァが怖いの?」

本作のヒロイン。14歳の少女。エヴァ零号機専属パイロット。
無口かつ無表情で人形のような少女。唯一碇ゲンドウにだけは心を開き笑顔を見せる。
本編開始前のエヴァ零号機起動試験に失敗し、全身に大怪我を負った。そのため序盤は常に包帯を巻いている。
その際に壊れたゲンドウの眼鏡を思い出の品として大切にしている。
アスカも登場しないので本作のヒロインはレイの独壇場。最後に見せる笑顔は必見。

葛城ミサト

「私たちは、あなたとエヴァに、人類の未来を託しているわ」

NERV戦術作戦部作戦局第一課課長。階級は二佐。29歳のお姉さん。
明るく騒がしいお姉さん。シンジを迎えに行ったのをキッカケとしてシンジの保護者同然に彼と同居し面倒を見る。
ペットとして温泉ペンギンの「ペンペン」を飼っている。
新世紀では年齢だけ大人で精神は未熟なままだったが、今作ではしっかり頼りになる大人として描かれている。

赤木リツコ

「人の造り出した、究極の汎用ヒト型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン。その初号機。我々人類の、最後の切り札よ」

NERV技術開発部技術局第一課所属。E計画担当の科学者。30歳のお姉さん。
新世紀と違いゲンドウとの愛人関係設定が無くなっており、蛋白な科学者としての一面が強調されている。

碇ゲンドウ

「いかなる手段を用いても、我々はあと8体の使徒を倒さねばならん」

特務機関NERV最高司令官。
シンジの父親だが、息子に対して異常に冷淡で必要か否かでしか接しようとしない。
反面レイのことはよく気にかけており、明らかに特別扱いしている。

冬月コウゾウ

「14年前からのシナリオ。運命を仕組まれた、子供達か。過酷過ぎるな」

特務機関NERV副司令官。
ゲンドウの補佐として彼が不在の際などには表立って指揮を執る。
新世紀と違いユイに対しての好意はないようで、頼れる年長者として描かれている。

伊吹マヤ

「初号機、活動限界まで、あと30秒!」

NERV開発部技術局所属のオペレーター。

日向マコト

「白旗でもあげますか……」

NERV作戦部作戦局所属のオペレーター。

青葉シゲル

「目標は完全に形象崩壊しました」

NERV調査部情報局所属のオペレーター。
新世紀同様に状況を言語化して報告する人々。

鈴原トウジ

「すまんなぁ、転校生。ワシはお前を殴らないかん。殴っとかな気が済まへんのや」

シンジのクラスメイト。関西弁。
シンジのエヴァによる戦闘に巻き込まれて妹が大怪我をしてしまいシンジを恨んで彼を殴りつけた。
しかしその後シンジが戦う場面を見たことによって、彼の苦しみを悟り謝罪。以降は友達となった。
ヤシマ作戦前にはシンジへ向けてケンスケ共々応援の言葉を送っている。

相田ケンスケ

「碇、頑張れよ」

シンジのクラスメイト。ミリオタ。
最新兵器であるエヴァンゲリオンに惹かれており、第5の使徒襲来時には避難シェルターを抜け出してエヴァの戦闘を見学しようとした。
その軽率な行動が原因で戦闘の邪魔をしてしまいシンジは追い込まれてしまう。以降は反省している様子。
新世紀での「雨、逃げ出した後」に該当するシーンでは出番がなくなっている。

洞木ヒカリ

シンジのクラスメイト。委員長。
あまり出番はない。

ゼーレ

「使徒殲滅はリリスとの契約のごく一部に過ぎん。人類補完計画、その遂行こそが我々の究極の願いだ」

ネルフの上層組織。
新世紀と違い初めからモノリス姿で現れて、人の姿を見せない。
シンボルマークは変更されており、七つ目に加えて林檎が書き加えられている。モチーフは言わずもがな失楽園であろう。
ロゴに書いてある文章は「überm Sternenzelt richtet Gott, wie wir gerichtet」であり、日本語訳すると「星空の上で神が裁く、我々がどう裁いたかを」という文章となるはず。

渚カヲル

「また3番目とはね。変わらないな、君は。逢える時が楽しみだよ、碇シンジ君」

最後の最後に月面で目覚めたゼーレの少年。
彼の周囲には巨人と大量の棺が並べられていた。
何故かシンジを知っている素振りをしている。

エヴァンゲリオン

正式名称「汎用ヒト型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン」。人の字がカタカナになっている。デザインは結構変更されており、より細くヒトに近い形状になった。

エヴァンゲリオン初号機

搭乗者:碇シンジ(第3の少年)
エヴァンゲリオン試験初号機。バイオレットカラーに、ところどころ緑の色がある。緑の部分は暗闇では蛍光塗料のように光る。双眼。
身体に入る緑の差し色が増えている他、紫色も緑色も色合いが調整されている。
肩の部分の形状が変わり、プログレッシブナイフが中折れ式になっている。またパレットライフルは訓練時にのみ使い、第五の使徒戦ではガトリング砲を使った。
第六の使徒戦では狙撃用のG型装備も使用。

エヴァンゲリオン零号機

搭乗者:綾波レイ(第1の少女)
エヴァンゲリオン試作零号機。機体色は山吹色で、単眼。
原作ではラミエル戦においてSSTO船底を流用したものを盾としていたが、今作では専用装備となっている。ダメージを受けると各部破損、蒸発する描写があった。

使徒

今作の使徒はコアが破壊されると原型を留めず、身体が全て赤い液体へと変質し「形象崩壊」する。
TV版では第三、第四、第五使徒だったサキエル、シャムシエル、ラミエルはそれぞれ第四、第五、第六使徒に変更され、順番が一つズレている。
なお各個に天使の名前は付けられずそれぞれ出現した順番の数字のみが割り当てられている。

第四の使徒

外見は新世紀版の第三使徒サキエルと同じ。由来は水を司る天使。
人型で、頭部には仮面のような顔がある。
手から光の槍や目からビームを出して攻撃。自爆もした。
N2地雷によってダメージを受けた際には新たな顔が出てきた。

第五の使徒

外見は新世紀版の第四使徒シャムシェルと同じ。由来は昼を司る天使。
背中に第四の使徒と同じ顔が付いている。
筒のような体で飛行して接近、光の鞭で攻撃。
腹部に脚が生えており、直立するとさかんに動かす。
初号機を貫いた鞭は形象崩壊しても残った。

第六の使徒

外見は新世紀版の第五使徒ラミエルと同じ。由来は雷を司る天使。
青い水晶のような正八面体だが、攻撃・防御時に幾何学的な形に変形する。
一定範囲内または攻撃してきた敵に加粒子砲で攻撃するが、その間はコアが見える。ただし強力なA.T.フィールドをもつ。
また微速ながら複合特殊装甲体すらも貫通する触手を真下に伸ばしてNERVへ侵攻する。
新世紀版では不動の印象が強かったラミエルだが、CG技術を遺憾なく発揮し様々な形態へと様変わりする姿は観客を驚かせた。

リリス

生命の祖先と言われる第二の使徒。ネルフ本部地下のセントラルドグマで磔にされている。
原作と違い早期に公表され、ネルフ職員も知っている。
仮面はサキエルの顔と同じ。

月の巨人

(実際には使徒かどうか不明)
月面に寝かされていた巨人。
仮面はSEELEマークのものを装着している。(新世紀でのリリスが着けていた物と同じ)

新世紀版との主な差異

  • 第四の使徒戦まで
海の色が青ではなく赤になっている。
第四の使徒は初登場時、ミサイルを防ぐ描写がなくなったが、国連軍の攻撃をA.T.フィールドで防いでいる。
初号機に乗る前にガレキが降らず、初号機が防ぐ描写が削られた。
初号機出撃後の使徒戦において、TVアニメ版では頭が貫かれた後は一旦途切れ、後にシンジが思い出す形で暴走するさまが描かれたが、すぐに暴走へ入っている。実際の時系列順に描写されている。

  • 第五の使徒戦まで
クラスメイトにエヴァのパイロットであることが知れ渡るシーンが省かれている。
第五の使徒戦では、エントリープラグにトウジとケンスケを入れたことによるシンクロ率低下の様子が省略。
また新劇場版での使徒は形象崩壊するため、後の使徒の遺伝子パターンの解析は行われていない。

  • 第六の使徒戦まで
シンジが逃げ出した後、ケンスケに出会うことなく連行される。その後のシンジが第三新東京市を離れるために駅に行くも、結局残る選択をするシーンもカットされた。
第六の使徒戦は変更点が多く、初登場時から変形して攻撃。防護ビルを展開するが、また変形してさらに強力なビームで破壊。
カタパルトが融解しているので初号機が収容できず、ボルトを爆破してビルごと回収している。
原作では機械のようなドリルを使ったが、今作では下部が螺旋状に変化し、侵食する形で進行する。
ヤシマ作戦前に不貞腐れているシンジだがミサトがセントラルドグマへ連れていき、リリスの存在および予測されるサードインパクトについて告げる。
ヤシマ作戦では、陽電子砲の狙撃準備中から都市迎撃機能による援護射撃を開始。
しかし使徒は360゚来るミサイルをビーム一発で薙ぎ払った後で砲台を2基蒸発させ、遠距離砲撃は防御形態でブロック、攻撃して砲台を破壊。
他にも無傷で次々と被害を出している。
陽電子砲の狙撃の一発目は当たり、一度トゲトゲした形状になって血を撒き散らすが致命傷ではなく、スターミーのような星型に変形して反撃する。
この際山が半分吹き飛んでいる。
その後もう一回やろうとするが、シンジの姿にゲンドウが業を煮やし更迭しようとするのを、ミサトの説得で思い止まる。その間に初号機は這って狙撃位置へ。
また時を同じくして触手がジオフロントへ到達。
後はほぼ原作と同じ。充電中に攻撃されるも、零号機が守る。というかそれまでどこ行ってた
そして陽電子砲を発射、使徒が変形を解除するも間に合わず、後部から火を噴出。再びトゲトゲした形になって各部が凹み、コアが潰れて形象崩壊した。
血の海から零号機を引き上げ、プログナイフでエントリープラグを出し綾波を救出。
そして、綾波の笑顔。

第六の使徒戦後、もうカヲルが登場。月で、複数並ぶ棺から姿を現す。

ゼーレの人間に促され、全裸のまま立ち上がるカヲル。
その付近には謎の巨人が。それもネルフにいたのとは異なり、こちらは新世紀でリリスが着けていたデザインの仮面。

そしてそのままエンディングとなるが、その直後に「破」の予告が流され、
仮設5号機や6号機といった新たなエヴァや、何体もいる光の巨人アダムス、全く新しいキャラクター等意味深なシーンが流され、多数のファンを驚かせた。








予  告


出撃するエヴァ仮設5号機。

配属されるエヴァ2号機とそのパイロット。

消滅するエヴァ4号機。

強行されるエヴァ3号機の起動実験。

そして、月より飛来するエヴァ6号機とそのパイロット。

次第に壊れていく碇シンジの物語は、果たして何処へと続くのか。





次  回

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:



さぁ〜て、この次も、サービス、サービスゥ!


西暦2009年6月27日公開

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最終更新:2024年12月23日 13:59