LED ZEPPELIN(バンド)

登録日:2010/09/28(火) 18:37:03
更新日:2025/05/03 Sat 17:04:05
所要時間:約 5 分で読めます




And She Buying “Stairway To Heaven”…


1969年にイギリスからデビューしたロックバンド。
以下ZEP


概要

ブルースを基調に、ハードなサウンドを積極的に盛り込んでおり、HR/HMの原点の一つに数えられる。
(登場以前にも、クラプトンのCREAM等あったが、音作りがまだ『ハードなブルース』であり、ハードロックとは言い難い)
そのため、HR/HM愛好家にもファンが多い。
但し、バンド側はヘヴィメタルと呼ばれることを嫌う。
音楽性はブルーズやハードロック一辺倒ではなく、初期の頃からアイルランドや英国のフォーク(決して3rdアルバムで急に出てきた志向ではない)やファンク、ソウル、アジアや中近東の音楽などから多大な影響を受け、換骨奪胎して自らの音楽性に取り込んできた。

ビートルズと並んでライブや未発表曲のブートレグ(海賊盤)が非常に多く、コレクターも多い。
そのザ・ビートルズとザ・ローリング・ストーンズ共に世界3大バンドと評されることもある。

歴史

1968年に前身バンドといえるヤードバーズを母体として結成。最初はジミー・ペイジとヤードバーズのクリス・ドレジャ(ベース)を中心にテリー・リードらを加える予定だったが、固辞したリードからロバート・プラントを、プラントを経由してジョン・ボーナムを紹介され、また、ベーシストもドレジャが脱退し、ペイジのセッションマン仲間でもあったジョン・ポール・ジョーンズに交代。当初はニュー・ヤードバーズを名乗っていたが、ジェフ・ベックとのセッション時にキース・ムーン(ジョン・エントウィッスル説もあり)が言ったジョークからLED ZEPPELINと命名。翌69年にレコードデビューした。

当初はメディアの扱いも悪かったがライヴでの評判は鰻登りで、70年代初期にはロック界の王者と言って差し支えない人気を得ることになる。しかし70年代中期になるとプラントが事故に遭いツアーが中断されたり、ジョーンズがバンド内での立場への不満や自分のやりたい他の音楽を目指すため脱退を考えたり、挙句にはプラントの息子が急死するなど、音楽以外の面でバンドに暗雲が立ち込める。

79年になり、ニュー・アルバムを提げてのネブワースでの2デイズを成功させ、80年には新たな気分でヨーロッパツアーを敢行。ツアーは成功に終わるも、一説には40杯のスクリュードライバーを飲み干して泥酔して眠ったボーナムが死体で発見される。バンドはボーナムの後任を迎えることは無いとし、解散を発表する。

解散後も数回の再結成ライブは行われたが、バンド側の意向で小規模なものに過ぎなかった。
しかし、2007年に一夜限りの大規模な再結成ライブを行い、話題をかっさらった。
2万人規模のライブになんと全世界で1億人から応募が来た。
しかも英国の老夫婦がリハーサルも見れる超プレミアチケットを競売で日本円にして2000万円で落札したというニュースもあった。

■メンバー

ギター:ジミー・ペイジ
バンドの創始者でリーダー、プロデューサー。ジミーといえばレスポールと云われる程、ステージではレスポールの使用頻度が高い(ダブルネックのギブソンEDS-1275も有名)*1。膝近くまでストラップを伸ばし低い位置に構えた演奏スタイルはとにかくカッコ良い!
他には中近東風の響きを出す「DADGAD」と呼ばれるチューニングを施したダンエレクトロのギターもよく使われる。また、後期にはフェンダー・ストラトキャスターでアーミングを聴かせることも多かった。
バイオリンの弓でギターを弾く奏法(元ネタはCreationのエディ・フィリップス)や、音程を調整するアンテナを取り外してノイズメーカーとして改造したテルミンのパフォーマンスも有名だろう。

初期は割としっかりしていて破天荒な演奏を聴かせていたがライブでは時折音を外したり、ぐちゃぐちゃなギタープレイは『下手糞』と取るか『個性的』と取るかで評価が二分する。
エディ・ヴァン・ヘイレン曰く“「スタジオアルバムでは素晴らしいプレイをしているのに、なぜライブでは腕の折れた小学生みたいなんだ?」”。
豚貴族曰く“奴が偉大なギタリストだなんて、とんでもないジョークとしか思えないぜ!(●3●)”。
下手になった原因は練習をサボって居たからとの噂もある実際のところレコーディング音源で下手に聞こえるものはないので、ステージング優先で無茶苦茶ストラップを長くしていたのが主な原因という説が有力。アコギは座って弾くためミスも少ない。
何れにせよ、メロディメーカーとしては一流。
ZEPの海賊盤を趣味でコレクションしている。しかも店から『押収』という名目によりタダで…。西新宿の良きライバル
けいおん!で彼の名前を知ったアニヲタも多いだろう。

ヴォーカル・ハーモニカ:ロバート・プラント
ぁああぁ~~あぁ~~!!
初期の桁はずれの声量と黄金の様な輝きを持つハイトーンを駆使した歌唱が特徴。ヴォーカル・スタイルはスモール・フェイセズやハンブル・パイのボーカルのスティーヴ・マリオットからの影響がかなり強く、そのシャウトはグレン・ヒューズら同様に白人なりのソウル・ミュージックの表現方法と捉えられる。
初期における歌唱力は神憑り的だったが、破天荒な生活などが続き73年に喉を潰してしまいそれ以降はハイトーンを駆使した歌唱法と決別するが、超高音を出さないだけで歌唱力が衰えたわけでは決してなく、むしろ73年以降のコントロールされた歌唱を評価する向きも多い。
そしてギリシャ彫刻のような超絶イケメン、だったが自身に事故による大けが、息子の死などが相次いだせいか段々と老けていき、現在メンバーの中で最もお爺ちゃん化している。御伽話の王子様のようだったが歳を重ねて威厳に溢れた大王のようになったとも言える。

ソロ活動のレベルが高すぎてあまりにも充実しているため彼にとってメリットが無さすぎることがZep再結成最大の障壁となっているのは皮肉だ。

ベース・キーボード:ジョン・ポール・ジョーンズ
60年代からアレンジャーとしても活躍していたジョンジー(ジョーンズの愛称)がZep加入に踏み切ったのはなんだかんだ「スターになれりゃあいいね、あれはいいね(©️細野晴臣)」という気持ちだったらしい。他が濃すぎて一見あまり目立たないが、アレンジャー上がりの音楽センスと各種セッションで鳴らした演奏技術はとても高く、『Black Dog』『Heartbreaker』などに代表される印象的な単音リフの多くは実は彼が手掛けている。一歩間違えば破綻しかねないツェッペリンのサウンドを纏めるのは他でもない彼(とペイジ)の仕事。
実際のところ地味なようだがソウルやファンクを下敷きにしたベースプレイはまさにZEPの屋台骨だし、そのアレンジ能力をキーボード演奏にも活かし、上物でも活躍と、単に縁の下の力持ちだけでは言い表せない、ある意味サウンド面の核とも言える存在。

現在も各種セッションやソロプロジェクトを精力的にこなし現役で活動中。

ドラム:ジョン・ボーナム
通称・ボンゾ
シンプルなドラムキットを力強くバシンバシンと叩く豪快かつ複雑なプレイ、素手ドラム、手数足数の多さ…その姿はロックドラマーの神と崇められる。1stアルバムの1曲目のGood Times Bad Timesのバスドラは2バスと思う人も居るが1バスです。
だが実際の彼の凄さは見た目の派手さ以上の繊細なグルーヴコントロール。サンプリングされまくったWhen the Levee BreaksやThe Crungeのように、ファンクの影響を受けたグルーヴィなプレイは後年のダンスミュージック界にも大きな影響を与えている。
性格も豪快で、来日公演時に土産で購入した日本刀(模造刀)を宿泊先のホテルで振りかざして大暴れし、壁に大穴を空けて隣の宿泊客を恐怖に陥れた。
そんな彼も人間であり父親である、家族と会えない寂しさをしばしば酒で紛らわす癖があった。
1980年9月25日、ボンゾを起こしに行ったツアー・マネージャーとジョーンズが死亡している彼を発見。死因は嘔吐物を喉に詰まらせての窒息死で薬物反応は無かったとのこと。
代わりを探したが唯一無二のグルーヴ感を持つ彼の代わりが勤まるドラマーなどいるはずもなく、同年の12月4日にバンドは解散声明を発表する。

ライブブートレグの名盤『Listen To This Eddie』での神プレイは必聴。

サポートメンバー
ドラム:ジェイソン・ボーナム
ボンゾの実子。
1996年と2007年の再結成ライブでドラムを担当した。映画「永遠の詩」には幼少時のジェイソンがドラムを叩く映像が少しだけ出てくる。

ドラム:フィル・コリンズトニー・トンプソン
ベース:ポール・マルティネス
1985年のライヴ・エイドでのサポートメンバー。わざわざウェンブリーからフォらデルフィアまでコンコルドで飛んできてろくなリハーサルもなくステージに加わった挙句Whole Lotta Loveのライヴ・アレンジを全く覚えていないで適当なプレイでぶち壊しにしたフィル・コリンズにペイジは激怒した。

■ディスコグラフィ

Led Zeppelin
1969年リリースのデビュー・アルバム。メンバー全員の見せ場をフィーチャーしたGood Times Bad Timesから始まり、当時のツアーでエンディングを飾ることが多かったブギー組曲How Many More Timesまで、フォークありブルーズありサイケありロックンロールありのまさしく名刺がわりに相応しい作品。
代表曲:Communication Break Down, Dazed and Confused, Black Mountain Side

Led Zeppelin II
デビュー作からたったの10ヶ月で同じく1969年にリリースされた2nd。現代ではあり得ないペースでは?時間も予算も増えたので前作より凝った録音ができるようになり、この作品を最高傑作にあげるファンも少なくない。サウンドはブルーズを基調にしつつも全体にボンゾのファンキーなドラムのノリを活かした曲が増えた。
代表曲:Whole Lotta Love, Heartbreaker, Thank You, Bring it on Home

Led Zeppelin III
1970年の3rdにして最初の「問題作」。リリース当時はアコースティックな曲が批判の的となったが、現在では重要作として評価されている。 反面、誰もが認める代表曲の一つ「移民の歌」ことImmigrant Songも収録されており、サウンドの振り幅が広いのは事実だ。
代表曲:Since I’ve Been Loving You, Gallow's Pole, Tangerine

(untitled) a.k.a. Led Zeppelin IV
1971年リリース。世間一般的にZepの代表作、最高傑作といえばこのアルバムだろう。しかし超有名曲を多数収録する超キャッチーなアルバムである反面、リリースにあたっては「ジャケに文字を一切入れない」「アルバムタイトルがない」などで揉めている。しかもレコード会社の意向を蹴って(英国では)一切シングルカットをしないという方針を貫いたため、「天国への階段(Stairway to Heaven)」を聴きたいファンが買いまくった結果アルバムがシングル並みに売れたという伝説を持つ。
代表曲:Rock and Roll, Black Dog, When the Levee Breaks

Houses Of The Holly
1973年リリースの5作目。アルバムに初めて「正式なタイトル」が付いたが、またしてもジャケに文字を入れないことを主張し会社と再び揉め、最終的には幼女の尻隠しを兼ねた帯をジャケに付けることで手打ちとなった。本作も新たな試みの多いアルバムで、その結果III同様批判も多かったようだ。レゲエ風(D'er Mak'er)や変拍子ファンク(The Crunge)がふざけてると思われたのだろうか…?
代表曲:The Song Remains The Same, No Quarter, Over The Hills and Far Away

Physical Graffiti
1975年の初の2枚組アルバム。バンドの自主レーベルSwan Songからの初のリリースとなった。新曲が大量に仕上がったため、過去の曲を合わせて2枚組にしたという。流石にこの曲数ともなると曲の方向性が広いことで批判が起こることもなかったようだ。特にペイジ/プラントの中近東趣味の集大成、Kashmirは絶賛で迎えられ、現在に至るまで代表曲として聴かれ続けている。
代表曲:Custard Pie, Sick Again, Ten Years Gone, In the Light, Trampled Underfoot

Presence
1976年リリース。全キャリア随一のギターアルバムとして知られ、実際全アルバム中唯一一切キーボード類が使用されていない。音楽評論家の渋谷陽一はこの作品を最高傑作と位置付けている。ペイジ主導のもと短期間でソリッドに仕上げられたサウンドはハードロック・バンドとしてのZepの集大成とも言えるだろう。ドラマティックな大作「アキレス最後の戦い」Achilles Last Standはこのアルバムの収録曲。なお歌詞にアトラスは出て来るがアキレスは出てこない。
代表曲:Nobody's Fault But Mine, Hots on for Nowhere, Candy Store Rock

In Through the Out Door
1979年リリース。事実上のラストアルバムでもある。本作はペイジが不調の時期だったため、ジョーンズとプラント主導で製作された。その為前作の鬱憤を晴らすかのようにキーボードサウンドが多用されている。その分、Zepらしくないとの批判も集まってしまい、残念ながらこれをワースト作に挙げるファンも多い。
代表曲:In the Evening, Hot Dog, All My Love, Fool in the Rain

CODA
バンド解散後、ボンゾの追悼作として1982年にリリースされた。デビュー直後から前作時期までのアウトテイクやライヴ音源に主にペイジ(一部プラントもヴォーカルを追加)がオーバーダビングして作成された。特に79年のアウトテイクは「前作に入っていたら全く印象が変わったのに」と言われる出来で、実際ネブワース・フェスティバルのプロモーションとしてリリース予定もあったという。
代表曲:We're Gonna Groove, Wearing and Tearing, Bonzo's Montreux

他に1973年のライヴから編集した映画のサウンドトラックThe Song Remains the Same、解散後にリリースされたライヴアルバムBBC Sessions(1969〜71のBBCラジオセッション), How the West Was Won(1972年USツアー音源)、2007年の再結成ライヴを収録したCelebration Dayが公式ライヴアルバムとして残されている。

■ZEPとブートレグ

切っても切れない関係にあるのがブートレグの存在。
活動期間が約11年にも関わらずその音源の量は世界一である。
ほぼ全ての公演の音源が出回っている可能性が高い。
同じ日のライブでも複数の音源が存在するなんて当たり前
ちなみに数はライブ音源はツェッペリンだがスタジオ音源はビートルズが圧倒的である。
メディア露出が少ない為に映像は同時期のアーティストと比べると格段に少ない。
最古とされているものではデビュー前の1968年12月31日の公演から新しいものでは2007年の再結成ライブを15種類もの隠し撮り映像を巧みに編集したものがある。
ジミーの自宅から盗まれた未発表曲や未発表ライブ音源まで出回り、ZEPのブートレグ専門レーベルまで建ち上がる始末。
近年ではどこから流出したのか公式盤も真っ青のライン録音による高音質音源が出回っている。
実際に公式用に録音された73年1月22日のサウサンプトン公演等が挙げられる。

近年では2011年に2007年の再結成の際のリハーサルを完全収録した超高音質のステレオライン録音音源にて流出した

■その他

デビュー作のジャケットはヒンデンブルグ号事件の写真を使用した物騒なもので、
5作目の『聖なる館』はロリショタの全裸写真を加工して使用している(一部の国では修正された)。
ちなみにこのジャケットはメンバーには不評で、理由は“肌が青白くて風邪をひいているみたい”とのこと。
まぁ、どこぞの蠍団よりは大分マイルドなジャケットではある。

当時は酷評されたアルバムもあるが今では外れ無しと見るロックファンも多い。特にⅡ、Ⅳ、Presenceはブリティッシュロックの名盤中の名盤。

一般的にアルバムの最高傑作と云われるのは4作目の『Ⅳ』で、『Rock & Roll』や『Black Dog』、そして何よりも神曲中の神曲

国 国
へ   へ
の     の
階       階
段         段

が収録されている。

+ パクり問題
Led Zeppelinを語る時避けて通れない問題の一つ。これに関しては色々な意見があるため、捉え方の一つとして見てほしい。

ことの発端はデビューアルバム収録のDazed and Confused。これはジミー・ペイジ作曲とクレジットされているのだが、実際誰がどう聴いても歌詞もリフもジェイク・ホルムズのI'm Confusedそのものだった。ペイジ自身は影響は認めたものの別物だと主張しているが、結局後年裁判が起こされ、法廷外での決着となったようだ。

他に有名なところではWhole Lotta Loveがマディ・ウォーターズのYou Need Loveの盗作と訴えられている。この曲はややこしいことに、Small Facesが同曲を「パクって」You Need LovingとしてリリースしたものがZepのWhole Lotta Loveの下敷きと思われ、しかもSmall Facesの方は訴えられてなかったりする。

他にもプラントが古いブルーズの歌詞をノークレジットで引用してしまうパターンは多々あり、ペイジは「Zepの曲はパクリだと批判されるけど、やらかしてんのはロバートなんだよ(大意)」というような発言もしているし、当のプラントは「リフに合わせて歌うとき失敬しちゃうんだ。もし捕まるとしても売れてからのことさ。そういうゲームだよ」などと開き直っている。

まあ、そもそもブルーズの世界も本当のオリジナルがどれかなんてわからないくらい他人のリフや歌詞を盗作改作しまくっている歴史があるわけで、その歴史の中にZepもあるわけだ。だからB'zがZepをパクっても訴えられないのである。



つ・・・

追記修正ぃ?

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 音楽
  • ロック
  • ハードロック
  • ブルース
  • イギリス
  • HR/HM
  • 天国への階段
  • 移民の歌
  • レスポール
  • じ…
  • ジミー・ペイジ
  • ぃ?
  • ツェペリ男爵
  • バンド
  • レッド・ツェッペリン
最終更新:2025年05月03日 17:04

*1 レコーディングではテレキャスターの使用頻度も高かった模様。また、EDS-1275はステージでしか使用していない