マリオとワリオ

登録日:2025/10/16 Thu 19:48:00
更新日:2025/10/16 Thu 22:35:04NEW!
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これは……!
マリオが バケツを かぶって
あるいていく ゲームだ!


マリオとワリオ*1とは、1993年8月27日に発売されたスーパーファミコンのゲームソフトである。





【概要】

ワリオの仕業で視界を遮られたマリオたちを妖精・ワンダが魔法のつえでゴールへ導くアクションパズルゲーム。『レミングス』に代表される誘導アクションの一種である。
1992年に発売された『マリオペイント』に続く、スーパーファミコンマウス専用ソフトで通常のコントローラーでは遊べない。
当初はスーパースコープ専用ゲームで企画が進められたが、諸事情でマウス用ゲームとして開発されることになった。

開発は、後に『ポケットモンスター』でその名を轟かせるゲームフリークが手掛けた。
なお、ゲームフリークが開発に携わったマリオシリーズとしては、『ヨッシーのたまご』に続き2作目となる。

スーパーマリオランド2 6つの金貨』でデビューしたワリオにとっては初のSFC出演作で、なおかつ初めてタイトルに名前を冠した作品でもある。また、本作の主役はワリオではないものの、マリオシリーズかつ「ワリオシリーズ」の第1作と位置づけられる場合がある。

2025年10月9日、スーパーファミコン Nintendo Classicsで配信を開始した。『マリオペイント』と同様、Nintendo Switch 2・Joy-conのマウス操作専用となっている。また、旧型のNintendo Switchでも外付けUSBマウスでのプレイに対応している。


【ものがたり】

今回の舞台は「妖精の森」。
その姿を見た者に幸せをもたらす妖精の伝説を知ったマリオは、仲間を連れて森へやって来た。
ところが、一緒に来たはずのルイージが行方不明に。マリオはピーチ姫ヨッシーと共に手分けしてルイージを探すことにした。

ルイージを捜索するマリオの上空に現れたのは、愛機「ブルドッグ号」に乗ったワリオ。ワリオは空からバケツをマリオ目掛けて放り投げ…。
「うわー、これじゃなんにも見えないよー」
バケツが頭に被さりマリオはてんてこ舞い。

それを見ていた森の小さな妖精・ワンダは彼を助けてあげようとするが、あいにくバケツを外せるほどの力はない。
そこでワンダは、魔法のつえでマリオをルイージのもとへ導いてあげることにするのだった。


【遊び方】

アクション全般は左ボタンに割り当てられ、右ボタンはポーズに使う。

マリオ・ピーチ姫・ヨッシーのいずれかを選択し、8つのレベルに挑戦する(以下、選択キャラは仮にマリオとする)。
プレイヤーはマウスでワンダを操作し、前進するマリオを、ある時はルイージの待つゴールへ辿り着けるよう、またある時は敵や障害物にやられないように誘導する必要がある。
集めると残機が増えるコインやスターもあるが、時間制限には注意したい。

各レベルをクリアするとボーナスゲームに突入。画面を横切るワリオを連続して叩きコインを獲得できる。残機アップのチャンスだがマウスが死なないよう。

ゲームオーバーになるとキャラクター選択画面まで戻されるが、ミスしたコースからコンティニューできる。

各レベルごとに10コースずつ存在する。レベル1〜8は好きな順番でプレイ可能で9と10は最初は選べず、9をクリア後に10を選べる。一度クリアしたレベルは再挑戦できない。
なお、上記の進め方を聞くと「ロックマンのようにレベル1から8を任意の順で選んで8つのLEVELを全部クリアでレベル9が出現」と思う人もいるかもしれないが、
「レベル8をクリア(1~7は全く無関係)するとレベル9が出現」*2であるのでご注意。

レベル2以降はコースの広さが2画面分以上に展開されるため、先に何があるのかを把握しておく必要がある。画面はマリオの挙動に合わせてスクロールされるため好きな場所を見ることはできないが、ステージ開始前かポーズ時にはコース全体を自由にスクロールできる。


【難易度】

アクションパズルとしての完成度、クリック一つでほとんどのアクションを行えるシンプルな操作性など評価は高いものの、マリオシリーズの中でも異端と言える難易度の高さについては賛否が分かれた。

マリオの行く先に連なる小さいブロックを連続して操作し、なおかつマリオの軌道を調節し安全を確保しなければならないという逼迫させられる場面がかなり多い。マウス操作に慣れないうちは、このような迅速かつ繊細な操作に苦しむことになるだろう。
特に後半エリアでは敵キャラ(無敵多し)の配置がいやらしさを増す。開始前にはコース全体の構造を頭によく叩き込んで事前対策を徹底すべし。

CMでも謳われているように、100以上ものコースが遊べる豊富なボリュームが魅力。
にもかかわらず今作には………


セーブ機能がない。


進行度に応じたパスワードによるコンティニュー機能といった代替機能も存在しない。
「スーファミなのに…」というのもあるが、これだけコース数が充実しているだけにセーブが実装されなかったのは一層悔やまれる。

一応フォローしておくと、終盤のレベル9・10へ挑むためにクリアが必要なレベル8へは初期状態から選択可能なので、クリアするだけなら全レベルを攻略する必要はない。
だが、安心はできない。

レベル9・10はゲームオーバー時、どのコースであろうと9-1まで戻されるという鬼畜仕様となっているのだ。

これこそがクリアまでの道のりをより過酷なものとしている要因のひとつとなっている。

というわけでSwitchで遊ぶ人は遠慮なく、どこでもセーブと巻き戻し機能の恩恵に与ろう。


【登場キャラクター】

◆主要キャラクター

●マリオ/ピーチ姫/ヨッシー
ワリオにバケツなど被り物を被せられた影響で、前進しかできない。
とにかく死ぬまで歩くのをやめない(壁に突き当たると自動で折り返す)ため、前方が危険な時は叩いて向きを変える必要がある。

それぞれ移動速度と落下速度が異なり、ピーチ姫が最も遅く、ヨッシーが最も速い。
遅いピーチ姫が操作に余裕が生まれ有利…かと思いきや敵キャラの攻撃が激化してきたり風船ブロックを乗り継いでいく必要がある後半ステージはその遅さが足を引っ張ってしまうため、終盤は基本的にヨッシー一択。
そのゲーム性からかなりのおバカ頼りないキャラに描かれているが、高所から落ちてもしばらく動けなくなるだけでミスはしないなど結構打たれ強い。

●ワンダ
本作の実質的な主人公。妖精の森に住んでいる小さな妖精。かわいい。
魔法のつえでブロックを出現・消滅させたり、マリオたちの向きを変えたり、敵を倒したりして彼らをゴールへ導く。
非力ゆえにバケツを外してやることはできないとされているが、ボーナスゲームではつえをハンマーに持ち替え、ワリオを黒焦げになるまでボコボコにしている。

●ワリオ
ご存知マリオのライバル……とはいえ、ワリオがマリオの明確な敵役として立ちはだかるのは現在のところ本作が最後となっている。
ワールド開始時に、愛機ブルドッグ号からバケツなどをマリオらの頭上に投下し視界を塞ぐ。投げてくるものはバケツ以外にヨッシーのたまごやタル、クラゲ、パックンフラワーなどレベルによって様々。
ワールド8をクリアすると彼の邸宅および敷地に乗り込むことになる。

●ルイージ
妖精の森で仲間とはぐれてしまった。各コースのゴールでマリオたちが来るのを待っている。もうお前が来い。ゴールすると被り物を外してくれる。

◆敵キャラクター

マリオたちが触れるとミスになるが、ワンダが触れても影響はない。魔法のつえで叩けば倒せるものと倒す手段がないものがいる。後者の場合はマリオたちを敵から遠ざけつつやり過ごす必要がある。

●ドドリゲスJr.
おそらく『マリオUSA』に登場したドドリゲスの子供。
典型的なザコキャラで、一発叩けば倒せる。

●コモリン
コウモリの敵。レベル4に多く登場する。
天井で待ち構えており、4匹に分身して襲いかかる。

●ツボーン
天井に張り付いて火の玉を吐いてくるツボ型砲台。レベル5に多く登場する。
直接攻撃は効かないが、張り付いているブロックを消すと落として倒すことができる。また、火の玉はつえで消すことが可能。斜め向きのタイプは叩くと向きが切り替わる。

●ウニボー
無敵キャラであるウニの敵。ゴ○ドーではない。レベル6に多く登場する。
黄色いタイプは左右を、紫色のタイプは上下を往復している。
倒すことはできないため障害物に近い。

●グリグリ
火の玉の敵。レベル1に一度だけ登場するが、後にレベル8で再び猛威を振るう存在。ブロックや壁を反時計回りに這い回る。
つえで叩くと小さくなり移動速度も低下するが、完全に倒すことはできない。


【仕掛け】

各ブロックは通常サイズと、プレイヤー1人分と横幅が同一の1/4サイズが存在する。後半へ進むにつて小さいブロックが多く登場するようになり、素早く細やかなマウスさばきが要求される。

●フリップフロップブロック
赤い枠に菱形模様のブロック。通常は点線で示され透明の状態だが、つえで叩くと出現しその上を歩けるようになる。再び叩くと消滅する。

●タイマーブロック
黄色い枠に時計マークのブロック。フリップフロップブロックと同様、通常は透明だが、叩くと出現する。ただし時間制限があり、数秒経つと消えてしまう。叩くタイミングに気をつけよう。

●ひびブロック
古びてひびが入ったブロック。つえで壊すことができる。壊した時の「パキッ」という音がなんとも小気味いい。

●風船ブロック
ゴム風船でできたブロック。一定のリズムで収縮を繰り返しており、膨らんでいる間はその上を歩くことができる。

●スイッチブロック
つえで叩くとそのブロックと同色のものが全て出現・消滅する。赤と青の2種類が登場するコースでは、赤が出現している時は青が、青が出現している時は赤が消える。

●ネバネバブロック
上半分に緑の粘液がかかったブロック。粘着面を歩くと移動が非常に遅くなるが、叩くと半回転し、ネバネバのない部分を歩かせることができる。

●コインブロック
本家スーパーマリオでお馴染みの連続コインブロックのようなもの。最大10枚のコインが獲得できる。コイン欲しさにマリオたちから目を放さないよう注意。

●ジャンプブロック
いわゆるジャンプ台。この上に乗ると高所に飛び移る。

●ビックリブロック
いわゆる隠しブロック。怪しいところを叩いてみると新たな道が開かれるかも?

●トゲブロック
代表的なトラップ。当然この上に落ちるとミスになる。

●エレベーター
ここにマリオたちが重なると自動的に一番上まで移動する。途中で降りることはできないが移動中に向きを変えることは可能。なお、上から下へ行けるエレベーターは登場しない。


【アイテム】

●1UPキノコ
お馴染み残機アップアイテム。

●タイムキノコ
スーパーキノコに似ているが別物で、残り時間が回復する。

●スター
スーパースターではないため無敵にはなれないが、全て集めると残機が増える。レベル2以降の各ステージに4つずつ配置されている。


【余談】

◆設定について

このゲームに対する主なツッコミどころとして「自分でバケツが取れないマリオ」「ひたすら前に進む以外何もできない」という点がしばしば挙げられる。
当時にして既にゲーム界のスーパーヒーローに君臨していたマリオなだけに、妖精の助けがないと何もできない姿については、遊んだ人のほとんどが一度はツッコミを入れたことだろう。

バケツをはじめ被り物に関する設定は不明だが、ゴール時の演出からしてそこそこ力を入れないと取れないようになっているため、見かけ以上に重いのだろう。とはいえ、ルイージが力技で外せているため、いずれにせよマリオが自分で外せなくもなさそうではある。

…まぁ、これはあくまでゲーム性を成立させるための設定であり、あまり突き詰めるとワンダの役目はおろかゲーム自体が成り立たなくなるため「そういうゲームだから」と考えるしかないだろう。
「何の変哲もないバケツで宿敵を無力化させる」という一見バカバカしい発想はある意味ワリオらしいとも言える。

ちなみにこの「バケツ目隠し」設定は、「マリオたちを直進させる」というコンセプトに説得力を与えるべく、エグゼクティブプロデューサーとして参加した横井軍平氏が考案したアイディアだそうだ。

なお、沢田ユキオの漫画『スーパーマリオくん』の「マリオとワリオ編」では、ピーチ姫に被せられたバケツにカギがかかっており、解放するにはカギを持っているルイージを探さなければならないというオリジナル設定にアレンジされている。

◆他作品との関係

  • 後にゲームフリークが世に送り出し、同社の看板タイトルとなった大ヒット作『ポケットモンスター 赤・緑・青・ピカチュウ』*3では、開発元つながりの小ネタの一つとして、ヤマブキシティのモノマネむすめの部屋にあるスーパーファミコンを調べると、冒頭文のテキストが表示される。




追記・修正は、全コースをノーコンティニューでクリアしてからお願いします。

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最終更新:2025年10月16日 22:35

*1 任天堂公式サイトなど、媒体によっては『マウス専用 マリオとワリオ』名義の場合もある。

*2 取説にもはっきり「LEVEL8をクリアするとLEVEL9が現れ、LEVEL9をクリアすると最終ステージのLEVEL10が現れます。」と明記(p.5)

*3 赤・緑のリメイク作『ファイアレッド・リーフグリーン』も同様。