登録日:2025/10/16 Thu 17:00:41
更新日:2025/10/16 Thu 20:42:36NEW!
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九条薔薇丸とは、超人気漫画『
TOUGH』の登場人物である。
【人物】
ハイパー・バトル予選参加者の1人。
といっても一般参加者ではなく、大会を盛り上げるために金で雇われた"ジョーカー"である。
(ジョーカーとは勝ち残っても本戦には出られない代わりに、奪った"生命のリング"の分だけ報酬がもらえる選手のこと。)
円月流剣術の師範であり、単なる木の枝であっても強固な刀のように扱える技量を持つ。
武器持ち込み禁止の予選では、実際に木の枝や石の
ナイフ(
有働征二が作ったもの)を使って立ち回っていた。
剣術の腕前は幼少期から父親の英才教育を受けた成果であるが、その指導は幼い薔薇丸が「殺される」と錯覚するほど過酷なものであった。
長らく恐怖心に支配された反動か性格は歪んでしまっており、他者を剣技で傷つけることに全く躊躇がない。
一方で社会的信用を気にしたり明るい家庭を築くことを夢としているなど、歪で危うい二面性を内包した人物であると言える。
少し前に登場した
九条シオンとは同姓だが特に関係はない。
タフ・シリーズにおいて名前被りはよくあることなので
マイ・ペンライ!(大丈夫)
【使用技】
自身の姿を背景と同化させ、相手の目を眩ませる技。
術に嵌った相手は太刀がどこから来るのか視認できなくなる。
円月流の秘剣と呼ばれる技。
薔薇丸はこの技を習得するまでに15年かけ、ダメにした木刀は1万本を超えたという。
【作中での活躍】
◇ハイパー・バトル予選
30話で顔見せ程度に紹介された後、31話から登場。
予選開始から程なくして元関脇の
馬乃山、そして
キー坊と遭遇する。
この時点で既に10個ものリングを回収していた。
まず馬乃山との戦闘では、向かってくる相手の顔面を木の枝で斬りつけ、さらに隠し持っていた石のナイフで中指を切り落としてあっさり勝利。
続けてキー坊との戦闘に突入するが、途中で逆上した馬乃山が乱入し、背後から首を締め上げられてしまう。
しかし薔薇丸は動じずに馬乃山の腹部をナイフで刺し、拘束が解けたところで容赦なく傷口に枝を突き立てる。
そのまま背中まで枝を貫通させるという非道な攻撃に、ついに馬乃山は失神。
必要以上に相手を傷つける戦い方にキー坊は怒りを露わにするが、薔薇丸は水を差されて白けたとその場を立ち去る。
キー坊は彼の背中に向けて「お前は最後に倒したる」と宣言。
薔薇丸もその挑戦を受け、勝負は一旦お預けとなった。
そして予選は続き、キー坊は次々襲い来る強敵たちに打ち勝っていく。
最後には風のミノルの猛攻を耐えきり、キー坊は辛くも本選への進出を決めるのだった。
…あれ?薔薇丸は?
そう、結局薔薇丸とは再戦しないままハイパー・バトル予選は終わってしまったのである。
連戦を超えた連戦の疲れで三日三晩寝込んだキー坊は、介抱してくれた宮下和香とともに
電車に乗って会場を後にする。
薔薇丸は
猿空間に送られてしまったのか…読者がそう思い始めた矢先。
キー坊はやり残したことがあると言い残し、和香を置いて隣の車両へ移っていく。
座席に腰を下ろすキー坊。その向かいには1人の男が座っていた。
◇虹色列車編
キー坊は満身創痍の状態でありながら、「最後に倒す」という薔薇丸との約束を果たしに来たのだった。
予選突破で得た1000万円の目録を餌に挑発するキー坊。
対する薔薇丸は、予選では20個のリングを集めたものの主催者側からストップがかかったことを語る。
報酬はリング1個につき50万で計1000万。奇しくもキー坊の賞金と同額であった。
勝負は薔薇丸の先制攻撃から始まる。
木刀で窓ガラスを軽々粉砕する突きを放ったかと思えば、天井に切先を引っ掛けたように見せて柄の方で殴るという小技も織り交ぜキー坊を翻弄。
隣の車両にいた和香も騒動に気付くが、止めてはいけないと背後から声を掛けられる。
そこにいたのはキー坊が予選で戦った
盲目の武人、
帯刀右近であった。
激しい攻勢を掛けつつも、薔薇丸は真剣だったら簡単に殺せるのにとぼやく。
キー坊も真剣で来いと挑発するが、薔薇丸は殺人を犯して刑務所に入るのは御免だと答える。
既に散々器物損壊してるじゃねえかよ えーーーっ
「独り善がりのカスみたいな男を斬って人生を棒に振りたくないですよ」
正面から突っ込む薔薇丸。しかしキー坊はそれを白刃取りの形で受け止め、蹴りで薔薇丸を吹き飛ばす。
するとキー坊の手元には鞘だけが残り、薔薇丸の手には抜き身の刀が握られていた。
薔薇丸が刀を振るうと、キー坊の手にした鞘はいとも容易く切断される。
"超日本刀"と名付けられたそれは、特殊合金で作られ軽さと切れ味を高められた殺人刀であった。
鉄さえ真っ二つにする高速の斬撃に、キー坊は為す術なく追い詰められていく。
さらに薔薇丸は本物の"真剣白刃取り"を見てみたいと挑発。
対するキー坊は落ちていた窓ガラスを利用し、破片で目を眩ませた隙に超日本刀を抑え込む。
「それは取ったのではなく掴んでるだけですよ」とツッコまれるも、意表を突いた薔薇丸の
投げ技でも刀を離さず、顔面を蹴り上げ傷を負わせる。
ここで薔薇丸はついに、キー坊を惨殺し"人生を棒に振る"覚悟(右近談)を決める。
円月流剣術"陽炎"により薔薇丸の姿が背景と同化していき、キー坊の視界から太刀が消失。
そして超日本刀による神速の突きが一直線に放たれる――
――が、キー坊は心眼で太刀筋を見切り、脇の下で刀を受け止めていた。
予選のミノル戦と同様、極限状況で秘められた能力が引き出されたのだ。
お返しとばかりに顔面への膝蹴りを連発するキー坊。
しかし薔薇丸もただでは倒れず、キー坊も気づかぬうちに小柄(小刀)を腹部に突き立てる。
大量の血を流しながらも「人間は素手では猿にも劣る」と豪語する薔薇丸は、幼少期から父親に剣の英才教育を受けてきたことを語る。
「父はいつでもお前を殺せる」「弱い者は私の子として認めない」と言われ育った彼にとって、父は恐怖の存在でしかなかった。
そんな父も寄る年波には勝てず、ある格闘家との立会いで大怪我を負ってしまう。
病床に臥せる父は見舞いに来た息子の姿に弱々しく喜びを見せるが、薔薇丸はその様子を見て嘲笑を浮かべる。
父も成し得なかった円月流秘剣"土竜突き"の習得をついに成し遂げたと告げ、薔薇丸は父と決別する。
こうして薔薇丸は自他ともに無様でみじめなものが許せなくなったのであった。
「親父が言うてたわ 才能のない子供に英才教育するほど不幸なことはないってなあ」
キー坊は薔薇丸の身の上話を一蹴し、"土竜突き"を撃ってくるよう煽る。
激昂した薔薇丸は隣の車両にいる右近に伝わるほどの凄まじいオーラを放つ。
彼のオーラは"攻撃性"を表す赤色、それも限りなく血の色に近い赤。
対するキー坊もオーラを放つが、その色を感じ取った右近は驚愕する。
"信心"を表す緑色、"慈悲"を表す黄金色――複数の色がキー坊のオーラには含まれ、赤色はごくわずかであった。
「あの車両は二人のオーラで充満しきってるでやんす」
「様々な色が混ざった虹色列車でやんす」
薔薇丸は一気に間合いを詰め、"土竜突き"を放つ。
下段からの逆袈裟斬り――と見せかけ、キー坊が初太刀を避けたところで一気に突きに転じる薔薇丸。
しかしキー坊は灘神影流"弾丸すべり"を発動し、顔面で刀の軌道を逸らす。
そのままカウンター・パンチが直撃すると、吹き飛んだ薔薇丸は窓ガラスを突き破り車外へ投げ出されてしまう。
咄嗟に薔薇丸の手を取るキー坊。
薔薇丸は手を放せと叫ぶが、キー坊は「助けられたのに助けなかったら一生後悔する」と死に物狂いで救い上げる。
格下と思っていた相手に敗れた上に命まで助けられ、屈辱のどん底に落とされる薔薇丸。
その姿を見たキー坊は彼が身も心も弱いことを指摘しつつ、さらに言葉を続ける。
「それってけなしてるんですか?励ましてるんですか?」と困惑しつつも、憑き物が落ちたような表情を浮かべる薔薇丸。
直後、キー坊は腹部の出血が元で失神してしまう。
キー坊が病院に運ばれた後、薔薇丸は右近に声を掛けられる。
「薔薇丸さん 敗れて得るものは"屈辱"しかないと思ってるんでやんすか?」
「でもね…敗れて得るものは他にもあるんでやんす 尊いものが…」
そして薔薇丸は病床の父親と対面する。
言葉に詰まる薔薇丸だったが、父親は全てを察したかのように優しく声を掛ける。
刀を取り落とし、膝をつく薔薇丸。その瞳には涙が光っていた。
まだ試したことはありませんが
この"超アニヲタ"は追記・修正だってできるんじゃないかと思えるんですよ
- 煽りや愚弄を交えつつも、キー坊はなんだかんだ基本的には対戦相手や流派に敬意を持ってるから、見ていて存外気持ちいい主人公なんだ キャラ愛が深まるんだ -- 名無しさん (2025-10-16 18:15:04)
- キー坊の強さとそれ以上に優しさの光る一戦。爽やかな終わりかたも良かったッス。 -- 名無しさん (2025-10-16 18:16:13)
- でも、猿列車に乗ったまま猿空間に呑み込まれたんだァ -- 名無しさん (2025-10-16 18:42:11)
- いや…普通に出番終わりで退場だろ 薔薇丸父の「修行だ」発言は再戦フラグととるにはちょっと弱いぞ -- 名無しさん (2025-10-16 19:50:55)
- このエピソードはどっちかというと、高校鉄拳伝っぽい爽やかさや読後感の良さがあって好き -- 名無しさん (2025-10-16 20:28:41)
最終更新:2025年10月16日 20:42