登録日:2010/05/11(火) 14:37:13
更新日:2025/04/07 Mon 18:31:44
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プログレッシブ・ロックとは音楽ジャンルのひとつ。
陰気で根暗なイギリス人共がはじめたプログレッシブ(=進歩的)なロック、要するにわけわかんねえロックの総称である。もはやロックではなかったりもする。
1970年代前半に隆盛を極めるも、パンク・ロックの流行に取って代わられた。
1980年代にMTV時代を迎えると地味で陰気で根暗な彼等はいよいよ日陰に……行くと思われたが、かなりのアーティストがポップ路線に転向して、セールス的には全盛期を迎えた。
もっともプログレ自体は衰退したまま。未だに難解なジャンルというイメージも付きまとう。
海外では「Prog-Rock」と呼ばれるがこう呼ぶ日本人はいけすかねぇ!爆発しろ!
◆特徴
- 長い。レコード一枚(表裏約40分)で一曲なんて日常茶飯事。二枚組、三枚組のことも。
- 壮大。シンセサイザーやメロトロンを使って無駄に荘厳な雰囲気を醸し出す。
- 超絶技巧。とにかく自分のテクニックをひけらかすことが大事である。ボーカルに期待してはいけない。いなかったりするし。
- 変拍子。とにかく奇をてらわなければならない。ポリリズムなども有効。
- 最先端技術を駆使。最先端と言っても70年代のものなのでたかが知れている。
- 超絶技巧や高級機材が要されるのでミュージシャンはたいてい金持ちの出身。もしくはスタジオミュージシャンの経験者とか。
- 他ジャンルとの融合。ジャズやクラシック、現代音楽などの要素をぶちこむ。ただし本格的にそのジャンルに移行すると大抵失敗する。
- メンバーが変わりまくる。基本的にみんな人付き合いが苦手なのだ。
- 意味もなく壮大な邦題がつけられる。その際、原題との関連性は求められない。
- 良く気が狂う。最初から狂ってたりもする。
- ゲーム音楽みたいだとよく言われる。逆 だ よ ! !
- 音ゲーではボス的存在である。悪の教典の第二楽章をまんまパクった100秒間の曲とか。それが入ってるアルバムタイトルをパロった曲とか。
- どのバンドのどのメンバーも全員同じ髪型で同じ服装なので全く見分けがつかない。というよりあまりファッションにはこだわってない。
パッと見で判別できるのはのは一部の変態だけである。ダモとかスズキとか。白塗りのマタンゴとか。
◆代表的なアーティスト
売り上げ面、あるいは音楽性において、後世のバンドに大きな影響を与えたバンドたちを以下に挙げる。
イギリス
プログレッシブ・ロックが発祥し、興隆し、そして(パンクによって)衰退した地。
イギリスに住んでいる人たちの国民性をイメージしてみれば、プログレがこの国から生まれたことに疑問は抱かないだろう。
ギタリストのロバート・フリップを中心に結成されたグループ。一般的に彼らの1stアルバムからプログレが始まったと言われる。
いきなりなんだが、彼らをプログレッシブロックと呼ぶと星のない真っ暗な闇に連れ去られるので注意。ヌーヴォメタル(笑)と呼ぼう。
その上、70年代はアルバムを出す度にメンバーが変わらなかったことがなく、音楽性もその都度バラバラ。
主は説明を拒否する。
代表作は「クリムゾン・キングの宮殿」「太陽と戦慄」「レッド」「ディシプリン」など。
シンフォニックで超絶技巧で長ったらしくてリズムが変でメンバーの出入りが激しいという、いかにも王道なプログレバンド。
並のジャキガニストでは歌詞の解読ができない。
ロンリーハートの人とか言うとオールドグッドピーポーに怒られるので注意。とはいえ、ちゃんと聞けばロンリーハートもプログレッシブロックの積み重ねがあってこその曲だとわかるはずだ。
代表作は「こわれもの」「危機」「ロンリーハート」など。
1971年に出た「Roundabout」が2012年に
ジョジョのED曲に使われて、アニヲタ層の注目を浴びた。ちなみにフルだと8分ある。
とらのあなに他のアニソンと一緒に「こわれもの」のCDが置いてある風景は違和感が半端なかった。
アホほど売れた。特に「狂気」というアルバムは世界で三番目に売れたアルバムだとかイギリスで30年間チャートインし続けたとかいう伝説を持つ。
全く盛り上がらない上に長いのだが、わかってるフリをしておかないと自称音楽通にバカにされるので注意。
初期はキ○ガイ、シドバレット率いるサイケバンドだった。
代表作は「原子心母」「狂気」「ウォール」など
元ザ・ナイスのエマーソンとのレイクとパーマーによる
イケメンキーボードトリオ。
オルガンにナイフを刺したりドラムが(横に)回転したりピアノが(縦に)回転したりする。サーカス団と呼んだ方が適切か。
FFシリーズの植松伸夫を筆頭に、ゲーム音楽家からは神のごとく崇拝されがち。
代表作は「タルカス」「展覧会の絵」「恐怖の頭脳改革」など。
ここまでの四組をまとめて4大バンドと呼ぶことが多い。
上記の4組にこのバンドを加えて5大バンドと呼ばれることもなくはない微妙な立場のバンド。
ピーター・ガブリエルがボーカルとして在籍していた時期は、彼が奇妙な変装をしてシュールな歌詞を歌っていたのだが、それが受けて結構な数のフォロワーが80年代に出てきた。
ピーター・ガブリエルが抜けてフィルコリンズがメインになった後にポップスバンドとして成功する。というより「世界で一番忙しい男」フィルコリンズの余技バンドみたいに見られていたような…
代表作は「フォックストロット」「怪奇骨董音楽箱」「眩惑のブロードウェイ」など。
とにかく懲りまくった複雑で技巧的な楽曲が特徴。
後期にはその複雑さを保ったままポップにまとめるという手腕を披露するも、根暗で陰気なイギリス人にはウケが悪かった。
代わりにアメリカで売れたが、あの脳天気バカ達が理解して聴いていたかは微妙なところである。
代表作は「ジェントルジャイアント」「フリー・ハンド」「オクトパス」など。
イギリスを代表するひきこもり。
エクソシストの人とか言うと原曲(40分)をフルで聴かされるはめになるので注意。
ムーンライト・シャドウ等きまぐれにポップスも作る。
代表作はエクソシストのテーマこと「チューブラー・ベルズ」「オマドーン」「クライシス」など。
80年代になってプログレを駆逐したパンクも飽きられてきたころにちょっとしたプログレリバイバルのブームがあったのだが、なぜか多くのバンドが音楽性もファッションもジェネシスの真似をしていたのだ。その音楽はネオプログレッシブロック、またはポンプと言われた。マリリオンはその代表格…というより、ポンプバンドの連中でチャート上位に顔を出せたのは、そして2000年が過ぎてなお、まともに生き残っているのはこのバンドだけだった。売り上げが落ち込んでいるときはクラウドファンディングの先駆けみたいなこともしているなかなかの苦労人なのだ。
どういうわけか、キングクリムゾンとか好きな人はこのマリリオンを偏執的に嫌いな傾向にあるような気がする。
代表作は「過ち色の記憶」「ブレイブ」など。ボーカルが入れ替わる前と後では音楽性がかなり変わっている。前者はいかにもなジェネシスフォロワー。後者はプログレかどうか迷うところ。
アメリカ
何をするにも大ザッパな国アメリカだが、そんな国でも小難しい音楽をやる人はいるもの。
アメリカを代表するキ○ガイ。結局ウンコを食ったのか食ってないのかの話題で持ちきり。
アホみたいな数のアルバムを残しており、ザッパさえいれば他はいらないという熱狂的なファンも多い。
多くのアルバムに自由すぎる邦題がつけられている。
豚(Three Different Ones)∬●З●∬に「俺には不協和音にしか聞こえない」と言われたがそれは当たり前である。その通りなんだから。
現在は息子がZappa Plays Zappaとしておこぼれに預かっている。
代表作は「フリーク・アウト!」「ホット・ラッツ」「’」など? 多すぎて決められない。
ずばりカンザス州出身のバンドだからバンド名がカンザス。バンド名の安直さでは「アメリカ」とか「ザ・バンド」などとためを張る。
もっさりしたバンドメンバーの風貌とは裏腹に、奏でる音楽はポップセンスにもあふれた華麗なもの。後に出てくる「ボストン」「スティクス」「ジャーニー」など、プログレにめばくせした音楽で大ヒットを飛ばした、いわゆる産業ロックバンド群の先駆けになったと言っていい。
代表作は「永遠の序曲」「暗黒への曳航」ライブ盤の「偉大なる聴衆へ」など。
どちらかと言えば、フュージョン、ジャズロックといったジャンルの代表格だが、このバンドが結成された70年代初頭はまだまだそこまでジャンルが分化しているわけでもなかった。
音楽性はとにかくバカテク。ジャズ・フュージョン界で後に大家となる凄腕のミュージシャンたちが一堂に集い、ひたすら音数を詰め込む。もちろん全ての曲がそういうわけではないのだが、とにかくテクニック誇示型の曲は聞いてると変な笑いすら浮かんでくるほどすごい。ジャズってあれでしょ、薄暗いパブでスコッチを傾けながら女を口説くときのバックミュージックでしょみたいな偏見を持った人間を音楽でたこ殴りするようなバンドなのだ。
代表作「内に秘めた炎」「火の鳥」など。
待って待って!殴らないで!
彼らをプログレバンド扱いすることは極めて危険なことで、特に70年代プログレが好きな人には顰蹙を買いがちなのである。
プログレッシブ・メタルというジャンルを膾炙させた第一人者。元々、テクニックを誇示することが多かった
ヘヴィメタルだが、彼らはそこにさらにプログレの要素を持ち込んでさらに複雑さや深遠さを増すことで一時代を築いた。のはいいのだが、あまりにメジャーになったせいで「プログレってドリームシアターみたいなやつでしょ」みたいなある種の偏見が生まれてしまった。もちろん彼らのせいではないのだが…
代表作「イメージズ・アンド・ワーズ」「メトロポリス・パート2」など。
イタリア
お国柄なのか、クラシックから大きな影響を受けたバンドが多い気がする。
- PFM(Premiata Forneria Marconi)
イタリアン・プログレと聞けば、まず多くのプログレ好きが思い浮かべるであろうバンド。
バイオリンやメロトロンを駆使した技巧を凝らした美しい音楽は、時に「これはロックなのだろうか?」と疑問すら抱かせるもの。もちろんこれもロックなのだ。
キングクリムゾンのメンバーによる紹介で鳴り物入りで世界デビューをして、玄人や評論家からは大絶賛されたのだが、あまり大きな売り上げにはつながらなかった…
代表作は「幻の映像」「蘇る世界」「チョコレート・キングス」など。
イタロではPFMに並ぶとも劣らないビッグネームだが、すごく聞く人を選ぶ。
その大きな理由はボーカル。カンツォーネともヨーデルともスキャットとも演歌とも似ているようで違う、力の限りいきんだ歌い回し。このボーカルとアバンギャルドなジャズロックとの組み合わせはフォロワーの存在を許さない強烈な存在感を持つ。
あまりに強烈な歌がたたったのか、ボーカルは惜しくも早死にしてしまった。
代表作は「自由への叫び」「クラック」「1978」など。
ドイツ
俗に有名なクラウトロックはドイツのプログレの1ジャンルに過ぎないのだが、ドイツのプログレって何だろうと問われたときに一言で答えないといけない場合、やはりクラウトロックを無視するわけにはいかない。
ボーカル以外がインテリなバンド。ちなみに全盛期のボーカルはダモ鈴木という日本人である。愛は勝ったりしない。
ただし見た目はキモい。よく見なくてもキモいダモのインパクトが強いが、よく見ると全員キモい。
そんな彼らだが音響派、ポストロックの祖と呼ばれているとかいないとか。
代表作は「フューチャー・デイズ」「タゴ・マゴ」「モンスター・ムーヴィー」など。
プログレか?と聞かれればプログレじゃない。としか言い様がないのだが、それでもプログレについて話すときは何だかんだで言及しておかないといけない部分がなくもない位の気持ちはどこか拭えないものがある。プログレ界隈ではそんな立ち位置の影響力があるバンド。バンド?
言わずと知れたテクノミュージックの祖。YMOの先達。
代表作は「アウトバーン」「人間解体」「ツール・ド・フランス」など。
フランス
突然だが、フランスの有名なロックバンドをあげてみて、と聞かれてぱっと具体名を答えられる人はそう多くないのではないだろうか?
個人的な印象だが、フランス語とはあまりガツンとくるロックバンド的なシャウトに向いてない言語のような感じがする。
じゃあどうすればいいか。一つは、英語など他の国の言葉で歌うという手がある。(ダフト・パンクやタヒチ80など。彼らがロックバンドかはさておき)
そしてもう一つは…新しく言語を作る。
コバイア星からやってきたコバイア語を操る
宇宙人。
ひたすら重いジャズ風の曲調、呪術的なコーラス、ポリリズミックなリズムが特徴で、長時間聞くと「ハマタイ!」と叫んでバタンとぶっ倒れること必至。
近年再び活動を活発化させており、フジロック2010への参加も決定している。
代表作は「MDK」「ウドゥヴドゥ」「コバイア」など。
惑星ゴングから来たノーム星人のバンド。
まあ正確にはイギリス人のバンドなのだが、リーダーがおクスリ関連のあれこれでイギリスにいられなくなってフランスで結成された経緯がある。なので歌詞は英語。
喘ぎ声担当のメンバーがいる変態集団。
現在に至るまでずっと現役の上、派生バンドが多すぎてわけがわからない。
代表作は「CAMEMBERT ELECTRIQUE」「YOU」など
日本
プログレの歴史の中ではあくまでも傍流でしかないし、全然売れてないし、他の国のバンドと比べてフォロワーを生み出すような個性があったわけでもないが、それでもプログレに関わっていた人たちが日本の音楽界において意外に大きな地歩を得ていたりする。
聞く人によっては「なんか四畳半フォークみたいでダサい」とか言われたりするが、日本のピンクフロイドとも言われるバンド。言うほどその
二つ名ほどにはピンクフロイドしてない気もするが。
第二作から入った佐久間正英はその後、
GLAYや
JUDY AND MARYなど、日本のトップバンドを多数プロデュースする売れっ子になる。
代表作は「一触即発」「ゴールデン・ピクニックス」…というよりこれ以降のアルバムはプログレ耳には少しつらい。
クロマティ高校
軽音楽部所属のキンクリフォロワー。
通称和製キングクリムゾンだがあまりにも和製キングクリムゾンすぎるのでキングパクリムゾンとも。
歌はおまけである。
近年ではクロ高、ぷちえう゛ぁと桜井弘明監督のアニメ作品のBGMを担当している。
ちなみに、桜井自身も2003年より美狂乱のメンバー(ベース)である。
平沢進他後のP-MODELメンバーが組んでいたプログレバンド。
プログレ後進国の日本では一部のファン以外にはさっぱり人気が出ず、
あげく「そんなわけわからんもんよりスモークオンザウォーターやれ!」とか言われたので平沢がきれてとことんキャッチーにやってやると、
このバンドの田井中、熱狂的ファンの秋山と共に結成したのがP-MODELである。
現在アンリリーストマテリアルという編集盤で聴くことができるが恐ろしく音が悪いので注意。
その他の国々
バカテクギタリストと、顔芸キーボードの組み合わせで、世界的にヒットを飛ばしたオランダの代表的なバンド。
代表曲の「悪魔の呪文」はあらゆるロックの名曲の中でもイロモノ中のイロモノ。
本来の彼らの音楽はもうちょっとまったりした、美メロ重視の真っ当なものなのだが、「悪魔の呪文」一曲で全部ひっくるめてイロモノ扱いされた可哀想な一面も。
代表作「ムーヴィング・ウェーブス」「Focus3」「ライブ・アット・ザ・レインボー」
上記のドリームシアターのネタ元の一つ。大量のドラムを要塞のごとく並べたドラマー、異常に甲高いボーカル&ベース&キーボードを一人で担当するフロントマン。そしてちょっと立ち位置が地味だが普通にバカテクで耳に残るリフを多く生み出すギタリストの結成以降メンツの変わらない3人組。
プログレとしての代表作は「西暦2112年」から「ムーヴィング・ピクチャーズ」までの5作全部が一聴の価値がある作品だが、一応、彼らの全作品についても言っておこう。
「ラッシュに駄盤はない」
もう一度言っておこう。
「ラッシュに駄盤はない」
"Addition and revision" will be my epitaph...
『追記・修正』こそ我が墓碑銘…
- Van der Graaf Generatorは定義を八割くらい覆してるけどプログレ全盛期に解散してたんでマイナーだな -- 名無しさん (2013-07-25 13:31:12)
- サブジャンルについても書いて欲しいなぁ…Italian、French、German、Canturbery、RIO、ChamberRock、Zeuhl -- 名無しさん (2013-07-25 23:36:20)
- 嫌味で皮肉っぽくてめんどくさいプログレファンを端的に表した良項目 -- 名無しさん (2014-10-06 14:28:16)
- だらだらした曲が多いよなー。聴くんじゃなく、何かしながらのついでに流すための音楽だと思うw -- 名無しさん (2014-10-06 14:30:31)
- 聞きやすさなら初期ELOかな -- 名無しさん (2018-06-19 23:52:14)
- プログレファンの項目じゃなくてジャンルの説明項目なんだから主観ゴリ押しで書く意味はないよね -- 名無しさん (2018-11-09 02:03:14)
- 某音楽評論家からするとピンク・フロイド派は拗らせ系でキンクリ好きはリア充(要約)とのことだがどうなのだろう -- 名無しさん (2022-08-02 11:00:17)
- 建て主ではないが追記しました。まあ主観も入れつつ大まかに俯瞰する感じで -- 名無しさん (2024-04-17 23:13:13)
最終更新:2025年04月07日 18:31