アーカード(HELLSING)

登録日:2010/01/17(日) 17:30:44
更新日:2020/05/08 Fri 22:51:38
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素敵だ やはり人間は 素晴らしい


化物を倒すのは いつだって人間だ


人間でなくてはいけないのだ!!



アーカードは、マンガHELLSINGの主人公。ファンからの愛称は「旦那」。
CV.中田譲治

【概要】

数百年の時を生きる吸血鬼で、イギリスの対吸血鬼の特務機関「王立国教騎士団」、通称「ヘルシング機関」に所属している。
役職名は「ゴミ処理係」で、ウォルター・C・ドルネーズの後任。

吸血鬼でありながら人間に味方(臣従)し、吸血鬼を狩るスゴ腕のハンター。
不死者(ノスフェラトゥ)」、「死なずの君(ノーライフキング)」等様々なあだ名を持つ。

(基本的な)容姿は長い黒髪を常にざわめかせる長身の美青年で、普段は赤いコートにつばが広い帽子を被り、サングラスをかけている。
これらの格好は本来は対紫外線用の装備なのだが、本人は日光を克服しているのであまり意味はない。
たぶん本人の趣味なんだろう。

【人物】

性格は傲岸不遜で、敵と認識した物全てに容赦しない。
容姿は人間だがその精神はまさしく化物(フリークス)であって、例え力に格段の差がある常人であろうと、
つい一瞬前まで尊敬していた人物だろうと、微塵のためらいもなく殺し尽くせる。
作中での悪鬼羅刹のごとき活躍っぷりから、「HELLSINGのラスボスはどう考えても旦那」と多くの人に認識されている。

敵の攻撃を避けずにそのまま受ける事が多いので、極度のマゾ疑惑も浮上している。
連載中、どうやって敵を倒すかよりも、どうやって倒されるかが注目されていた珍しい主人公。
実際、体中を祝福儀礼済みの銃剣で剣山にされても、心臓を銃で吹っ飛ばされてもニヤニヤしながら立ち上がる。
どうやったらこいつ死ぬんだろう状態。
本人は「お前強いんだろう?私を倒せるなら倒してみろ」と挑戦者を迎え撃つ魔王のような調子であった。

極悪な化物であるが、人間から変異した吸血鬼(後述)でありながら人間を蔑むどころか敬意、あるいは羨望を感じており、
「生・老・病・死」や理不尽と死の塊のようなアーカード自身に堂々と立ち向かって生きる人間は素直に認める。
その為「すっかりお婆ちゃんになってしまった」事を嘆く女王陛下を「今のほうが美しい」と賛美し、
ある人物が外法で若返った時は「今のお前よりも、以前の老いたお前のほうがずっと美しかった」と吐き捨てた。
「化物を倒すのはいつだって人間」という信条をもっており、諦めずに全力を尽くす素晴らしい人間達を見ると大喜び。
これは当人が「人生に負けて、負けた事実に耐えきれずに化物というチートに逃げてしまった」という敗北感に起因している。

その反面、人間を辞めた(辞めてしまった)化物どもには一切の容赦がない。
一応敵対者が化物を自称した場合、ならば化物らしさを示してみろと言わんばかりに色々素直に喰らったり何だったりしてくれたりマゾ疑惑の最大の原因、部分的には褒めることもある。
しかしいかんせん彼の思うところの化物らしい化物の水準は大体自分以上の圧倒的な身体能力か多岐に渡る特殊能力のため、
基本的に落胆したり、あるいは何の気無しにそのまま圧倒して抹殺することになる。
化物を気取るなら俺とタメを張るくらいはやってみせろ、という事。旦那は自分を含めて化物を卑下する事が多いが、ここまでくると災厄である。
こうして期待外れに終わった敵はアーカード的には人間どころか化物ですらなくなり良くて「狗」、
生意気な態度を取っていたのに実力が伴っていないと「くその様な男」だとか「犬の(にく)」扱いだとかになる。
捕食する(やる)ことは同じだけど。

【経歴】

本編開始から何十年か以前、ヘルシング家先代当主アーサーはアーカードの危険性を警戒しヘルシング邸の地下に彼を封印。
カラッカラに干からびて動けなくなっていたが、物語開始の10年前にヘルシング家の当主となったインテグラに封印を解かれて
インテグラの従僕になり、少佐率いる「最後の大隊」やヴァチカン特務局第13課「イスカリオテ」と戦う。


以下ネタバレ注意











アーカードの正体はかの有名な吸血鬼「ドラキュラ」そのものであり、
さらに言えばルーマニアの救国の英雄で、知略と武勇で自国を良く守った「串刺し公」ヴラド・ツェぺシュその人。
アーカードと言う名前も、「ドラキュラ」の逆さ読み。ちなみに英語吹き替えでは「アルカード」と発音されている。
AlucardDracula*1
500年前、戦いの末に捉えられ処刑されようとしたその瞬間に「何物か」に誘われて血を吸い、人間をあきらめて吸血鬼となった。
吸血鬼に血を吸われて吸血鬼化した眷属ではなく、いわゆる「真祖」に属する。

その後本編の100年前、恐らくはブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」の物語同様にミナ・ハーカーを巡る闘争の末に
ヘルシング教授とその仲間に倒された後、改造されて「色々混み入った事情」によりヘルシング家に使役されている。

そしてなんの因果か、自身の「終わり」に差し掛かるとその度に処刑の際に見た朝日の光景を目にし、幾度それを目にしても「美しい」と感じている。

【能力】

『最後の大隊』所属の連中とは違い純粋な吸血鬼であり、吸血鬼としての身体能力、特殊能力は作中最上に位置する。
人外の怪力を始めとした様々な特殊能力をもっており、流水や十字架等といった吸血鬼の弱点も克服している、上に書いた通り日光も大丈夫(嫌いなだけ)。
そして最大の脅威はその他を圧倒する不死力。斬っても刺しても爆破してもすぐさま再生して反撃できる。
前述したが、むしろ相手に殺させてから反撃にかかる事がしょっちゅう。

普段は「拘束制御術式(クロムウェル)」というリミッターをかけており、力をセーブしているが、ひとたび解放すれば敵を圧倒する。
拘束制御術式の3~1号が開放されるとまず人間としての外郭が溶け崩れ、ムカデやバスカヴィルといった使い魔が溢れ出て、
腕が何本も生え、不定形の殺戮アメーバ状態になる。この状態で最後の大隊の人狼部隊(ヴェアヴォルフ)構成員を一方的に滅殺できる。


そして主君(本編ではインテグラ)の承認を得て拘束制御術式零号を開放すると、

アーカードが「中」に取り込んでいた命の全てが「外」に解き放たれ、溢れ出す。


…本作の設定における「真の吸血鬼」は、他者の血を吸う事で対象の命の全存在を吸収し所有する権限を持つ*2
そして死ぬ度に命のストックを消費して復活する。このストック消費は「心臓を破壊された時」という場面に限定される。
つまり殺しきるには何百万回も心臓を潰さなけりゃならない。
本編の異常な不死性はこの能力による。
すなわちアーカードは数百万の命が人間大に圧縮された状態で跳ね回っているわけで、少佐はこれを「運動する領地」と例えた。

拘束制御術式零号解放とは、この今までに吸って内包した命を全員出現させて敵を蹂躙するという攻撃である。
その数は数百万、まさに数の暴力。通称「死の河」。
発動自体を阻止する場合は発動までに数百万というアーカードの残機をそっくり潰さなければならず、事実上不可能。
このシーンのインパクトは凄まじく、まさに悪夢。まさに地獄。
零号解放の詠唱を開始した直後、その場で睨み合っていた最後の大隊とバチカンの軍勢が一斉にアーカードのみを敵として認識し、
「恐ろしいことになる」と半ば恐慌状態に陥りつつ一斉に攻撃を開始するも阻止は間に合わなかった。
「何だ!?何が起きている!!??」
「死だ!死が起きている!」

しかし「死の河」はどうやら「小出し」が利かないらしい。解放する場合は全軍解放が固定であり、
本体たるアーカードがただ1つの命のただ1人の吸血鬼になるため、それまでとは違い心臓を潰されれば滅んでしまう
ただし、アーカードに死の河を開放させる状況を作った上ですぐに殴れる位置に潜んでおくとか、同程度の化物になれる奇跡の残骸を用意するとか、
ビームライフルや衛星レーザーか何かで狙撃するとか、数百万の亡者を突破して斬りかかるとかする必要がある。

しかもこの「ただ1人の吸血鬼」状態は一時的なもので、旦那が周辺から吸血を始めれば再び残機が増えまくって台無し。
実際、劇中では死の河を回収したついでに最後の大隊の攻撃やマクスウェルの死刑執行で巻き添えを食らい亡くなったロンドン市民の命、
死の河の攻撃で倒れた最後の大隊・バチカンの軍勢をも吸収しているらしく、その時点で残機は更に増えている。
しかも少佐の見立てでは最低でも100万か200万かという増大振りであり、アーカード自身も「これは食いきれるかわからんなぁ」と至極ご満悦という有様。
そもそも吸血鬼のカテゴリ内でもなお最恐クラスの怪力と戦闘能力を持つ旦那は、ただ倒すだけでも極悪に強い。
500年戦い続けたこの化物は、残機なしでもやっぱりどうしようもない化物なのだ。
それを厳しい制限時間つきで殺らねばならない。無茶いうな。


【武器】

彼の武器は、「.454カスールカスタム」と全長39cm・重量16kgの対化物戦闘用拳銃「ジャッカル」という2丁の大型拳銃

カスールにはランチェスター大聖堂の銀十字を鋳溶かして作った13mm爆裂徹甲弾(.454カスール改造弾)を、
ジャッカルは専用の13mm炸裂徹甲弾(弾殻:純銀製マケドニウム加工、弾頭:法儀礼済み水銀、装薬:マーベルス化学薬筒NNA9)を装填。
どちらも対吸血鬼を想定した特殊な弾丸を使っており、拳銃とは思えない威力を発揮する。
あ、ジャッカルには某ウィリス似の「ジャッカルの精」が宿ってます。

ウォルター曰く「装填数は6発」だが作中では明らかにそれ以上の回数を乱射している
リロードの描写はときどき申し訳程度にあるくらい。
しかしこの2つの拳銃は百万発入りのコスモガンなので全然問題ない(公式設定)。


【勝機、あるいは敗北】

因みに、初代ヘルシング卿とその仲間達は正面から死の河を突破してアーカードを倒したトンデモ野郎達だが、そんな彼らは

  • アーサー・ホルムウッド ただの貴族
  • ジャック・セワード 精神科医
  • キンシー・モリス 金持ちのパンピー
  • エイブラハム・ヴァン・ヘルシング 大学教授

である。
こいつらのような教授や医者はクトゥルー神話にしかいないだろ。
初代ヘルシング卿によって胸に杭を打ち込まれ訪れた敗北の後、彼に「お前には領地も領民も何も残っていないのだ。何も」と憐憫の情に似た言葉を投げかけられた。


vsウォルター戦で死の河を回収した際に、少佐の策略により、
「自己観測できる限り何処にでもいてどこにもいない」シュレディンガー准尉も一緒に吸収してしまった事で、 
数百万の魂の中で自らを見失ってしまい、「どこにもいない、生きてもいないし死んでもいない」状態にされ、消滅してしまう。
英語音声版のOVAではインテグラの「消えるな!!」が「Stay with Me!!」と訳されており、彼女にとって精神的支柱となっていた事も改めて補強された。

少佐的には500年くらいしないと帰ってこないと思っていたが、30年で自分の中で自分の命をシュレディンガー以外殺しきり、インテグラの元に帰還する。

シュレディンガーの特性までも吸収した為、以前にも増して不死性が向上し、「人間と戦って死ぬ」と言うアーカードの本懐が遂げられるかは疑問視されている。





The bird of Hermes is my name,
私はヘルメスの鳥

eating my wings to make me tame.
私は自らの羽を食らい飼い慣らされる

――棺の蓋より




【偏愛】

なお、アーカードは萌えキャラの一面も持つ。

普段の姿でもある種の色気があるが、アーカードはHELLSING外伝「the dawn」にて少女の姿を取って物語に現れた事があり、その姿は普段の恐ろしげな青年姿ではなく、赤いコートの変わりに全身真っ白のスーツを着こんだロリっ娘。通称・ロリカード、ロリ旦那。

そのあまりのギャップに三千世界のロリコンどもが萌やし尽くされた。OVAではショタとして扱われた。(声は青年時と同じくジョージ)

外国のファンも「Girlycard(ガーリーカード)」と呼んで熱を上げている。
ただ、とある執事はそんな彼女も容赦なく縦に真っ二つにした。全く効いてなかったけど。


また、某絶対神敵殺すマンに強烈なメンチを切られた際に見せた微笑みが、少女漫画のイケメンもかくやという程にふつくしい。
「腕が千切れそうだぞクリスチャン、どうするんだ?」
「それがどうした。早く掛かって来いよ化物。」
「…素敵だ。やはり人間は素晴らしい。」
あんな笑顔されたら女子どころか我らも墜ちる。


アーカードがドラキュラでありヴラド公である事を考えると、アーカードの趣味は意外や意外、なんと刺繍。
幽閉されていた時に裁縫と共によくやってたらしい。

ジョナサン・ハーカーを家に招き入れた時に自ら料理を作って振る舞い、ベッドメイクもした事から、家事も得意であると推測される。いつでも嫁or婿に出せるぞ。

アーカードはああ見えてガラスのハートの持ち主でもある。
常日頃超自信満々で一部マゾっぽいとはいえ基本サディストな態度を貫き、散々「私は化物だ」と言ってるわりに、
面と向かって「化物」と言われるとしょんぼりするし、宿敵が死んだら思わず泣いてしまったり、思い出し泣きをする泣き虫でもある。乙女か。

こんなパーフェクトな吸血鬼捕まえてあんなことやこんなことも命令できるアーサーは羨ましい限りである。


ヒラコー曰く、アーカードは性別やらなんやらをもう超越した存在であるという。
年齢性別を問わずかつて吸血した人間の意志を全て保有しており、それをアーカード自身の人格で無理矢理まとめることで旦那のパーソナリティが構成されている。
様々な一面を持っているのはそのためなのかもしれない。

アーカードの事をより深く知りたい人はブラム・ストーカー著「吸血鬼ドラキュラ」を読むことをお勧めする。アーカードの華麗な恋の遍歴にギャップを感じること受け合いだろう。









「おかえり 伯爵」



ただいま 伯爵

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