ハムスターの研究レポート

登録日:2012/09/14(金) 14:29:38
更新日:2025/03/24 Mon 23:21:17
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大雪師走による四コマ形式の漫画。通称「ハム研」


事務的なタイトル通りというべきか、ハムスターの描写は殆どデフォルメされていない等身大で描かれており、ストーリーも非常に淡々としている。
それでも個性的なハムスター達や、何気ない日常生活を面白おかしく描いた描写が特徴で、ハムスター漫画の草分け的存在として名高い。
反面、ハムスターを飼う為の手引きとしてはあてにならない部分も多い(与えてはいけないエサを与えている等)が、作者に知識がないわけではないらしい。
むしろ経験においては、知り合いからハムバカ(釣りバカのノリで)と呼ばれ、アドバイスができるぐらいには豊富。
舞台はだいたい作者のアパート及び近所だが、時々番外編として全く関係ない場所で話が進んだりもする。

1988年(ファミコン系ゲーム機が現役)に連載開始し、2008年まで連載が続けられていた息の長い作品。
現在でこそ連載は途絶えてしまっているが、作者及び出版社は続編に関しては前向きな姿勢を取っている。


2017年12月、13年ぶりの文庫本新刊が発売。
単行本7.8巻の内容と未収録の話が収録されている。
単行本全8巻、文庫版全4巻を以てハム研は完結となった。

作中でしているが、本当はハムスターにしてはいけない主な事

1988年から連載されたものなので、今とは常識が違う為、今の常識では結構凄い飼い方をしている(特に初期)。本作は昔の時代の観察漫画であって、飼育書では無い事を念頭に置いておくべきだろう。

  • ハムスターに人間の食べ物を与える(特にチョコレートはショック死する危険がある
  • ハムスターにチョコレートチョコパイなどのチョコレートのお菓子を与える(真似する恐れがある為、新装版ではハムスターがチョコレートを食べるシーンなどは全カットされたらしい)
  • ハムスターに人間のおやつや嗜好品を与える(特にケーキ)
  • ハムスターにアルコール(梅酒)を飲ませる
  • 1巻の7ページで「ハムスターは雑食で、人間の食べ物でも何でも食べる」という誤情報を載せる(ハムスターの食べ物とされている物の中には、食べさせてはいけない物が多数ある)
  • 「ハムスターは水分の多い食べ物を食べて水代わりにするので、水は飲めない」と誤情報を載せる(1巻7ページなど)
  • ハムスターにミネラルウォーターを与える(膀胱結石の原因になるので飲ませてはいけない。水道水でOK)
  • ハムスターにどんぐりを与える(有毒)
  • ハムスターに熱々のお米やバナナを与える(お米やバナナは粘り気がある為、頬袋にくっついて腐ってしまい炎症を起こす可能性大なので、やってはいけない)
  • ハムスターにアイスを与える
  • ハムスターのお腹を触ったり、尻尾を引っ張る(ハムスターにとってお腹は急所であり、触ると威嚇したり、噛みつかれる危険があるので絶対に触ってはいけない。後、尻尾は敏感な部分なので絶対に引っ張らない事。後、足は少しの力で引っ張っても骨折したり脱臼するので、絶対に触らない事)
  • 「ハムスターは兄弟でも結婚する」という近親婚を推奨するような記述を載せる(近親婚は障害児や遺伝子異常、体の弱い子などが産まれやすくなる為、避ける事)
  • ハムスターがコードをかじる描写が多い(感電死する危険があるので、絶対にかじらせてはいけない)
  • ハムスターに熱々の焼き芋を与え、頬袋に火傷を負わせた
  • ハムスターに栗や大根、クッキーや牛乳などを与える(有毒)
  • ハムスターに納豆を食べさせる
  • ハムスターにドッグフードを与える(違う種類の動物の食べ物をやるのは厳禁)
  • ハムスターをお風呂に入れる(虐待行為)
  • ハムスターに赤チンやオロナインなど人間の薬を与える
  • 複数のハムスターを同じケージにする(ハムスターは単独飼育が基本)
  • ハムスターをケージから出して、散歩させる(※これは飼い主によって違うので、賛否両論。飼育書では推奨していない)
  • ハムスターを外に連れ出し、過失で雪の上に落とし、手足としっぽにしもやけを負わせる
  • ハムスターに桜やカーネーションといった花を食べさせる(1巻、47ページ。ハムスターには毒のある物もあるので、やってはいけない)
  • ひまわりの種のやり過ぎ(一日にひまわりの種を10個以上与えるなど。高カロリーで体に悪いので、後述の通り厳しく制限する必要がある)
  • ハムスターに種を取らずにさくらんぼを与える(ハムスターにとって完熟していない果物や、果物の種子は有毒で中毒を起こすので絶対に完熟している物をやり、必ず種を取る事)
  • ハムスターに果物をやり過ぎ(果物は甘みが強く糖分が多く高カロリーなので、体に良くない。妊娠中や体が弱っている時は多めにやってもいいが、普段は滅多にやってはいけない)
  • ハムスターを太らせる(原因は明らかにひまわりの種や果物などの高カロリーの嗜好品のやり過ぎ。太ると病気がちになるので、絶対に太らせない事)
  • ハムスターがみかんを食べて汁が目に入るネタがある(目の病気にかかる可能性があるので、みかんはやらない方が良い)
  • ハムスターに「うちでは厳しく、ひまわりの種は1匹に付き1日5粒と制限している」と明言しているが、それでも多いので、ひまわりの種は1匹につき1~2週間に1粒のペースにする事(飼育書より)
  • ハムスターとモルモットを同じケージで飼い、ハムスターに入院させるほどの大怪我を負わせた(しかも2回も)
  • ブリードの際、メスではなくオスをトレードし、オスに怪我をさせた
  • 相性の合わないオスとメスの複数に渡るお見合い(チビ♂と花子♀、チビすけ♂とてんちゃん♀、プー♂とチビっち♀、まめ太郎♂とみそちゃん♀他)
  • ハムスターと違う動物を対面させる(特に犬と猫)
  • ハムスターに服を着せる
  • ハムスターに首輪を付ける
  • ハムスターへの躾目的の体罰(ハムスターは小動物なので躾が出来ない為、無意味。虐待であり、これをするとハムスターが人間の手(飼い主)を嫌いになってしまい、怖がって噛み付いたり、病院に連れて行きにくくなるし、飼い主とハムスターの信頼関係を壊し、ハムスターに強いストレスを与える虐待行為なので、絶対にやめる事!)


【登場人物】


ハムスター


  • チビすけ
一巻から登場。初期の主人公的存在で、名前が判明しているハムスターでは4世のオス。ドジでいやしんぼとは作者の弁。背中の点が特徴。
鳥のから揚げとメスのてんちゃんが大好きだが、よく噛まれている。(メスのハムスターはだいたいオスに厳しい)
多産なハムスターらしく兄弟は多く、その殆どを引き取られたが、引き取られる前日に餌を食べまくった結果当日にお腹を壊した為候補から外され、作者に育てられた。
なお、その兄弟の中には真っ白なのが2匹いた(8巻)が、すぐに貰われて行ったらしい。
脱走日記の主人公になったり、パパどころかおじいちゃんになったり、冬に激太りしたりと忙しい。
本物のチビすけはとっくに天に召されているはずとか言っちゃだめ。

  • てんちゃん
1巻から登場。チビすけのお嫁さんとして知り合いから貰ったメス。
本名は「てんてん」で、尻の白い点と、しょっちゅうコードをかじる「おてんば」さから名づけられた。
一時期は自分の名前を「かわいい」だと勘違いしていた。また、貰われてすぐの頃は小柄だったが、その後成長している……そして太った(出産から子供の独立まではスリムだった)。
チビすけとはケンカばかりだったが、魔法の粉(クッキーの粉)の効果で晴れて夫婦となった。
ハムスターにしては珍しく、子供を2匹しか産んでいない。

  • チビ
1巻から登場。ペットショップ出身で、チビすけの父。所謂婿養子。
それでも1匹でケージに入ったからのびのび育ったはずだが、重さでチビすけに負けている。
額に汗のような白い縦線が入っている。

  • 花子
1巻から登場。チビすけの母。元々作者の家にいたハムスター。
脱走してトイレにはまった翌日に子供を無事出産するというたくましい逸話を持つ。

  • チビビ
1巻のみ登場。チビすけの祖父に当たる。耳に模様がある。
チビはペットショップ出身のはずだが、レポート4(1巻)では、花子ではなくチビの父と紹介されている(1巻の別の場所ではちゃんと義理の父扱い)。

  • チビビンバ
1巻のみ登場。チビビの父。チビすけの曾祖父に当たる。耳が少しだけ欠けている。

  • チビっち
3巻から登場。チビすけとてんちゃんの娘。腰にネズミマークがある。
名前の由来は子供の頃に呼んでいた「チビ1」がなまった為。
弟のまめ太郎が作った別荘を態々荒らすことにやたら拘るほどにおてんば。自身の別荘は壺の中。
他所の家にいるプー君との間に子供ができた……が、子供達の毛も生え揃わないうちに体調を崩して入院してしまい、作者がしばらく別荘の壺の中で世話をすることになった(不眠不休でつきっきりだったこともあり、他のハムスターは1日食事抜きとなった)。

  • まめ太郎
3巻から登場。チビすけとてんちゃんの息子で、チビっちの弟。
ハムスターにしても小柄で、感触だけで判別できるほどに軽い。
名前はまめ太郎自身が(擦り付けられたチーズの匂いに釣られて)選んだ。
その小ささ故に心配されることが多いが、逆に言えば作中外問わず気にかけられるある意味人気者。
他所の家にいるみそちゃんと交際中だが、うまく行った試しはほぼなし。
テレビ台の下にある別荘に消しゴムをコレクションする趣味がある。

  • おチビくん
6巻から登場。こんな名前だがチビっちとプーくんの娘。名前は仮のもの。
沢山の兄弟の中から、一番のいやしんぼだった為最後まで売れ残った1匹。
ゴミ漁りとツルツルしたフタ集めが好きと、チビっちの娘かつまめ太郎の姪らしい性格。
押入れの奥に別荘がある。
レポート37(5巻)では彼女を合わせて兄弟は6匹と紹介されているが、6巻にはちゃー坊・ポッケ・マルミ・チビ太・プクプク、7巻にはマリ、八巻にはちいちい・チビンと、6匹を超える兄弟が登場している。

  • プーくん
チビっちの夫。他所の家のハムスターだが、チビっちの婿として度々出入りしていた。
10匹兄弟の中で唯一のオス。ケンカが弱いので耳がかじられて欠けている。
作者は耳を守る為に耳ガードをつけたが、すぐに外された。
なお、両親は姉妹が別々に買っていたハムスターで、何の心の準備も無く出会っていきなり仲良くなったと、非常に珍しいケースだったりする。
尚、本当はオスではなくメスをトレードし、メスをオスの小屋に入れた方が、メスは自分の縄張りで無い為大人しくなり、ブリードの成功率も上がるのだが、その辺は飼育漫画じゃないので、仕方ない。

  • みそちゃん
まめ太郎の彼女。他所の家のハムスターだが、まめ太郎が度々会いに行く。
名前の由来は毛色が濃くて田楽みそがかかっているみたいだから。
他のメスの例に漏れず気が荒く、まめ太郎を邪険に扱う。
が、自分がお腹を壊した時に添い寝したこともある。

大雪家のハムスターの家族(★は番外編オンリー、☆は番外編でも登場)

  • チビ子♀と坊ちゃ♂(プーの両親)★
  • ちゃー坊、マルミ(マリ)♀、ポッケ、プクプク♂☆、チビ太♂、ちいちい♀☆、チビン♂☆(おチビくんの兄弟)
  • チビ太郎♂(チビすけの兄弟、番外編で登場)☆
  • 白いハムスター(2匹のチビすけの兄弟。アルビノ

他のハムスター

  • チョコちゃん♀(チビすけのガールフレンド候補だった)
  • ポチ
  • ヘラクレス/チビ坊♂
  • ニコ丸♂
  • まめ三郎♂
  • 助清♂
  • チーピー♂
  • プン助♂

番外編に登場するハムスター(☆は本編にも登場)

  • チビまろ♂
  • 頑丈野郎チビお♂
  • しま次郎♀☆(飼い主が♂だと思い込んでいた為、その名前になった)
  • コロちゃん♀
  • ぼん太郎♂
  • カルビ
  • チビ玉
  • マコ♂
  • プッチ♂

他の生き物


  • ゴンちゃん
作者の向かいの家に住む犬。体毛はモコモコで、目が「北」の字になっている。
沢山の兄弟が居るが、全員もれなく目が「北」。お向かいさんは犬のクローンの研究でもしているのだろうか。
実は血統書付きの名犬でお見合いの話はよく来るが、飼い主が選んだのはやっぱり目が「北」の犬だった。

  • 野良犬
近所をふらついていた犬。目が「北」の字になっているが、ゴンちゃんとは違い体毛が短い犬種。
最後には理科実験道具屋なる店に拾われ、ちゃんと面倒を見てもらっているらしい。
作者はつい記念に「石綿付き金網」を買った他、チビっちの代理母になった際に度々世話になっている。

  • ネコ
アパート一階にある作者の部屋の庭によく来る猫。
エサを貰おうとしたらスズメがいた為に追い返されたブッチや、信頼関係まるでなしの野良猫親子、
貧弱そうなバカチンから近所のボスネコにまで成り上がった野良猫等様々。

小さいからという理由で見逃されたり、作者がハムスターに気を取られている隙に逃げたり何かとラッキーなゴキブリ。

  • ヤモリ
最初はゴキブリより怖いと作者に言われたが、愛着が湧いてしまった為に飼おうとして怒られた。

  • ハエ太郎
作者の家に居着いたハエ。
当初は作者にも嫌がられていたが、愛着がわいてしまい名前が付けられた。
人間のご飯にはたからない。

  • モルモット
最初期の頃にはよく出てきた。
尚、登場する個体(モルちゃん、モコちゃん、ミーちゃん)は全て♀。
ハムスターと張り合わせたり、中にはハムスターとかけ合わせようとした人も居る。

  • ツチノコ
ハムスターを知らない人にはこう見えるらしい。


人間

当然人間も登場するが、基本的に後姿だったり、鼻から上が見切れて目が映ってなかったりする。
1巻で、「ハムスターに似てきた」作者の顔が見られる。最近では「><」の目をしていることも多い。

  • 飼い主(作者)
人間側の主人公で作者自身。名古屋在住。女性。話は基本この人の目線で繰り広げられる。
ハムスターに限らず動物が好きだが、動物から好かれることはあんまり無い。
メカ音痴で、写真はいつもボケる。
ゲーム好きだが、事あるごとにコードをかじられており、作中では殆どプレイできていない。
まともにプレイしていた回では猫の手ならぬハムスターの手リセットを喰らったことも。
連載開始当初、本職はOLであったが後に専業マンガ家になった模様。

ハムスター歴については小学生時代にまで遡り、粘土で作ったハムスターをツチノコと勘違いされたり、
生まれたハムスターの子供を同級生に配った結果作文の宿題をハムスターで侵食した過去もある。

作者の母。主にツッコミ担当。ちびまる子ちゃんお母さんみたいなパーマ頭。
母の部屋は普段ハムスターは入れないが、アフターケアやリフォーム時の避難場所にされた。

  • おばあちゃん
作者のおばあちゃん。名古屋弁で喋る。
手の皮が厚かったり、掃除機を使わなかったりと昔ながらのおばあちゃん。
その一方で王子ブームや氷川きよしのファンだったり、カタカナに疎くてありえない間違いをしたり(ディズニーのピーターパン→デニーズのピータン)とお茶目な面が目立つ。
この作品の人間キャラとしては最強の萌えキャラかも知れない。
単行本7巻カバー下と8巻冒頭には彼女の日常や人生を題材としたすごろくが収録されている。

  • 大家さん
作者が住んでいるアパートの大家。
実はこのアパートはペット禁止なので、この人が通り掛かると作者は窓のカーテンを閉める。
…が、作者がブッチと一緒にいるのを見ても特に気にしなかったりもする。

  • 先生
動物病院「なんでも医院」の先生。
らっきょうの臭いで気絶したハムスターを前に「もうダメだ」とか言ったり(しかもハムスターじゃなくて傘が)、
子育て中のチビっちが入院する際に子供達のことを「餌が食べられるならなんとかなる」とか言ってしまったり、かなりいい加減で無神経。
だが連れてきた動物は野良猫だろうが、野良猫に引っかかれた作者だろうが診断してくれる。


【余談】

かつて電気に関連する企業*1のCMとしてアニメ化されたことがある。
ただ、肝心の映像は2023年現在発見されておらず、幻のCMとなっている。
内容としてはてんちゃんが登場し回し車を回したりするものだったらしいが詳細は不明。


追記・修正はwikiバカ(釣りバカのノリで)の方にお願いします。

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最終更新:2025年03月24日 23:21

*1 電気事業連合会、電力会社、電気保安協会など様々な説がある。