シェフ大泉 夏野菜スペシャル

登録日:2011/06/26 Sun 00:07:13
更新日:2025/04/07 Mon 23:49:07
所要時間:約 7 分で読めます





知り合いの店長に頼んだ
ご自慢のパイ生地


1999年に放送された「水曜どうでしょう」の企画。シェフ大泉シリーズのひとつで、DVD第16弾に収録された。

【概要・あらすじ】

シェフ大泉に是非とも夏野菜を使った料理を作って欲しい」という企画の元、呼び出された大泉。
自信満々にメニューを語れば地の文で「殺人予告」と例えられるわ、鈴井・onちゃんに過去の惨事(『車内でクリスマスパーティー』・『氷上わかさぎ釣り対決』未公開映像「花板大泉のわかさぎ懐石」*1)から「放送できるものにして下さい」とお願いされ、
クリスマスの後本当に病気(DVD版でのテロップではエビが食えなくなった)した安田さんonちゃんをはたいたりしながらも、「今までの失敗はちゃんとしたキッチンが無かったこと」・「火力が無い事」と説明。


何の疑いも無く車に乗せられ、実家が農家である土井P宅の農園に到着する。
しかし、連れて行かれた先は雑草が生い茂り瓦礫が散乱する、まさに「荒地」。

そして「どうでしょう農園開墾予定地」と書かれた看板を発見した大泉。

ここで企画の全貌を知ることになる……

早い話、自分達で作った野菜を使って料理を作るという企画である。
通称「日本一長い料理番組」。

全4週に渡って放送された。

以下、大泉→ 藤村D→


●開墾編【第1週】~【第2週 前半】


だんだん疑問が無くなってきたでしょ

今だっておかしいと思いながらやってるもん

土井Pのお父さんの指示のもと、畑に鍬を入れる大泉、ミスター、安田さんの3人。
作業の1時間ごとに10分の休憩を挟むものの、時間の経過と共に段々と壊れいく様は何ともみすぼらしいものだった。

料理企画と聞いて知り合いのイタリアレストランの店長・新見さんにパイ生地を練ってもらった大泉だったが、到底料理が作れるはずもなく、腐らせてしまった。


●陶芸編【第2週 後半】~【第3週】


「開墾編」から1ヶ月半が経ち(その間に東京→札幌間をカブで走る『原付東日本縦断ラリー』を実施)、ようやく野菜ができたという報告を受け、農園に向かうどうでしょう班。
野菜の出来具合に喜ぶ大泉だったが、藤村Dがあることに気づく。

小松、お前食器は?

「盛り付ける為の皿を忘れた」という理由で今度は陶芸をさせられるハメに…。
まさかの2重ドッキリに驚愕し、慰めようとするonちゃんに八つ当たりする大泉。



今回も生地を用意してもらっていた大泉、2度目の騙し討ちによってまたもパイ生地を駄目にしてしまった。

…が、話はここで終わらなかった。むしろここからが本題である。



出発

陶芸の工房に向かう途中、二度もやられた大泉は乾いた笑いを出した後ようやく現実を受け入れボヤき始める。
パイ生地は忙しい中作ってもらった、新見さんには「アンタ騙されてんだから」「皿でも焼くんじゃないですか」と忠告されたことを明かす。
オレは今から皿を焼きに行くんだと。そしてトマトは青かった。だから生地は早かった、と。

ここまではいつもの四人の雑談に近いやや殺伐としながらも和気藹々としたものだった。


だが、ヒゲこと藤村忠寿はとんでもないことを言い出す。

「でも…でも言わせてもらったらアレだよ?」


「何もね…」

「おぉ…」

「料理をやるからっていってね。」

「おぉ。」(この辺りから大泉の様子がおかしくなり始めるが、藤村は気付かなかった。)

「テメェで勝手にね…イタリア料理屋まで前日出向いてね…パイ生地練ってもらうなんて、こっちは一言も頼んでないわけだから…」


なんとヒゲは「(騙したことは悪いと思っているが)こっちはパイ生地なんて頼んでないから勝手に持ってきて腐らせたお前の自業自得だ(要約)」と言い出した。
恐らくヒゲはいつものように大泉を煽って口合戦に持って行こうとしたのだろう。
だが、この日の大泉は違った。


「店長に悪いだの何だの言ってるけど、確かに悪いさ…でも悪いのは君だろ?」

「…おーおーおー。うーん、なるほどなるほど」


「なるほどぉぉ… んー、良いこと言うじゃねぇか」












「藤村くん!」

と、おもむろに起き上がり突如声を荒げる大泉。
突然の展開にミスターもたじろぎ、藤村も怯む。


「いやだってそうだろ…」
「えぇ?てめぇ気持ちいいこと言うなぁ」

<ドンッ*2
「お↓ーい!」



そして、大泉の連撃が始まる…

脅迫


藤村く~ん。君の肉親を、オレァどん~どん、おみまいしてくぞぉ

君に近い者から順番にな!
待ってろ、待ってろ藤村一族…


この時点で大泉は座席に不恰好な姿で寝転んでいる。
だがそれは同時に、いつもと違う異様な雰囲気を醸し出していた…

家族に手ぇ出すなよ
はっ何言ってんだが…選べよ 名古屋*3か?それとも君の家か?
いくぞオレァ…パァ、パイが腐らねぇうちに



『どーも奥さん 知ってるでしょう?』
『大泉洋でございます…』













『子供達もおいでぇ~。パ↑イ焼くぞぉ~』

(から)いかい?おじさんはもっと(つら)い物を君のお父さんにぃ、食べさせられてるんだよぉ~』『残さず食えよぉ~』


片手にこう包丁持って座ってるワケだろ、シェフの格好したヤツが俺んちで
うちのカミさんがもう泣きながら『私が食べます!』ってこう*4

そうだよぉ、お前も食えよぉ~
そしてそれが終わったらオレァ、名古屋に飛ぶんだ



『お母さ~ん。知ってるでしょう?大泉でございます』













名古屋だったら急がねぇとな。皿焼いたらすぐ行くよ

母さん今行きますよ。パイを届けにね…


この台詞を最後に第二夜は終了した。
来週の皿作りではいつもの大泉に戻っている…多分。


陶芸教室へ移動すると、大泉扮する「半角斎(ハンカクサイ(半可臭い):北海道弁で「アホ」の意味)」先生が、門下生の「胡散く斎」(ミスター)、「心気く斎」(陶芸教室の方)、「白菜」(安田さん)、「く斎」(藤村D)を率いて登場。

「ここでお前のパイ生地練ってやろうか?」
「菊練りしてやろうか?」
「んなことしたらお前んちのオーブンで(皿を)焼くぞ」

途中、く斎とは罵声を浴びせ合いながらも何とか皿を作り上げた半角斎先生だった。


また、白菜は半角斎先生の動きを見てイメージトレーニングするものの、ろくろを回しながら自分も動く無類の不器用ぶりを発揮した。


完成作品
  • ヴィーナス誕生
  • 世紀末大革命恋愛大皿
  • onちゃん
  • 藤村D(かなり似ている)

それからさらに2週間後、ついに調理の日がやって来た。
さすがに3個目のパイ生地を手にしたシェフ大泉の顔には憂いが見え隠れしたり、onちゃんが黄色い全身タイツに簡易onちゃんな安田さん姿で現れたり(着ぐるみが営業用に使用中)したが、
焼きあがった陶器の出来栄えを誇らしく眺め、野菜を収穫し、いよいよ料理を開始することになった。





●調理・試食編【第4週】

開始から既に69日(2ヶ月)が経過し、自ら「畑を開墾し、皿を焼く」という偉業を成し遂げたシェフ大泉
通算3つ目となるパイ生地を店長に朝早く届けてもらって謝罪した後、ようやく野菜を収穫。
以前紹介したフルコースを味わってもらう為、調理場へと移動する。


しかし

ピストル大泉へようこそ!!撃ち抜くぞー!撃ち抜くぞーー!!

死刑を待つ囚人に対し、執行人が持参したのは…


◇ピーマンの肉詰め 夏野菜添え
前菜。付け合わせは茄子の肉詰めと新種の青トマト。
焼き茄子を作る予定をいきなり肉詰めに変更するなど相変わらずグダグダで、料理人なら10分で終わる作業に1時間半を費やした。
でも青トマトは美味しかったらしい。

◇鯛と夏野菜のシンフォニー
鯛のソテーに特製ソースをかけた一品。
ソースは農園のジャガイモに牛乳と焼いたホタテ(!)を混ぜ、ミキサーでムース状にしたもの。
ほぼ固形物のシロモノをミキサーにかけるという無謀な行いをした結果、先生の目の前でミキサーをぶっ壊した。
結果、ソースが奇跡的に美味しくなってしまったことにより「中途半端に美味しい」「コメントに困る」と意外な高評価(?)を得た。
なおピーマンの肉詰めを含め、ここまでで2時間経過している。

◇夏野菜と鯛のパスタ
ピストル大泉名物、本日パスタ。
今回は茹で時間をミスすることはなく、麺の硬さはちょうどよかった…のだが、単純に多く作りすぎたため結局ドーム状になった
しかも農園で取れた激辛唐辛子(安田が人体実験済み)を大量に入れたためものすごく辛い。

◇夏野菜の料理びっくりカルツォーネ風
「じゃあ水分もなんもなしに焼かれるわけ?このコメ達は!?」
メインディッシュ。器は世紀末(ry。
ここで問題のパイ生地が登場。
丸ごと一匹の鯛に夏野菜と魚沼産コシヒカリ(原付東日本で積んで帰ってきた)をざっくばらんに詰め、パイ生地で包みオーブンで焼いたもの。
コシヒカリは炊いていない生米であり、シェフ曰く「鯛から出る水分で炊く」らしい。
その結果、塩釜焼の要領でちょうど良く焼かれた鯛は美味しかったが、夏野菜と米については「うわぁ…これはまずい」とシェフ自ら匙を投げてしまった。
(コメは一応炊けてはいたらしい)

カボチャとスイカと藤村(onちゃん)
デザート。農園のスイカを切り、ついでに陶器製の藤村とonちゃんを添えた。
とても甘くておいしい。

計5品を作るも、殆ど「不味い」か「中途半端に美味しい」等の評価ばかりで「料理しないものが一番美味しい」と評される始末。

全品作るのにかかった時間は約4時間。大泉シェフの手際の悪さがうかがえる。

その点を指摘された大泉は半ギレ状態でメンバーに文句を言い放ち、藤村Dと罵り合いを繰り広げながら幕を閉じたのだった…。



粉ふきイモ食わしてさ
ナスのびっくりムース食わしてさ
あの鯛食わしてさ
何だったらあのパイ生地も食わして
『しょっぱい』って言ったら
おまえの親父に言えって
言ってやったんだよ!

じゃあ、何でお前そんな黄色いんだよ!


【余談】


この「パイ事件」は視聴者とどうでしょうメンバーの記憶に深く刻まれたのか、後年でも度々話題に上がってくる。

ユーコン川下りではテント内でパイを食べていた*5藤村に対し、過去の意趣返しと言わんばかりに「熊が出たら君に熱々のパイをぶつけてやる」と言っていた。


また、2005、2013年に行われた『あなたが選ぶ! 第1(2)回どうでミー賞!!』で、名セリフ部門で2回共に第一位に輝いている。

公式での命名は『どーも 奥さん 知ってるでしょ? 大泉でございます おいパイ食わねぇか』
…どうやら藤村の奥さんもセットらしい。
なお最初に言った台詞と二回目に言った台詞が混ざっている。


このパイ事件の影響力は凄まじく、他のアニメや番組でパイの話題が出てくるとほぼ必ずと言っていいほどどうでしょう関連のネタが挟まれるという…



このときの大泉だが、実はかなり頭に来ていたようで実際はテレビに映してはいけない状態(マジギレ)にまでなっていたらしい。
大泉の詠唱中に珍しくカメラワークが前を向き続けていたのは、大泉らの表情を映さない目的もあった。
また、普段は出演者が頭に来るとカチッという表示が出るのだが今回は付いていない。ネタではなく、本当に怒っていたのだろう。
このシーンは実際もっと長かったらしく、編集で短く切ったとのこと。

皿のドッキリをする前、野菜を収穫してやる気全開の大泉を見たミスターと藤村は「こいつ、皿作るって言ったら絶対マジで怒るな…」と内心では心配していた。
だが予定通りにドッキリを施行。その結果、この状況へと至ったのだ。

一連の流れ中、車内はシリアスなムードになっていたらしい。
鈴井を怒らせたら恐ろしいのは有名だが、大泉も本気で怒らせてはいけないとD陣は身をもって知るのだった。
だがこのマジギレ状態でも、面白い語りに昇華する大泉のトークスキルは流石の一言である。


どうでしょう祭2013でのトークにて、大泉にパイ生地を提供した新見さんがシェフを廃業して鞄職人になったことを明かした。
しかも大泉に渡した生地は正確にはピザ生地(の製法で作ったパン生地)だったと暴露した*6



「藤村く~ん。君の項目を、オレァどん~どん、追記修正してくぞぉ~」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • シェフ大泉
  • 水曜どうでしょう
  • 大泉洋
  • シェフ大泉シリーズ
  • ミスター
  • 藤村D
  • 嬉野D
  • onちゃん
  • onちゃん←安田さん
  • 簡易onちゃん
  • 騙し企画
  • パイ事件
  • おいパイ食わねぇか
  • 半角斎一門
  • 「自ら土地を開墾し、皿も作る料理人」
  • おみまい
  • 1200度
  • 至高のぼやき
  • 飯テロ(別の意味で)
  • 菊練り
  • ネタバレ項目
  • パイ
  • 夏野菜
  • 発想の源が狂ってるシリーズ
  • 夏野菜スペシャル
最終更新:2025年04月07日 23:49

*1 総集編『未公開VTR&NG集一挙放出!!』で初公開され、DVD第14弾でも特典映像として収録された企画。なおDVD版ではテレビ版で未収録だったラストシーン等が追加され、大泉が「2度とやらねえぞ料理なんか!」とブチ切れる様子で終了していた。

*2 助手席のシートを叩く音

*3 藤村の実家。後にメンバー全員で行くことになるのは知る由もない。

*4 このときの笑い声をよく聴くと大泉は笑っていない。

*5 事前に「熊が嗅ぎ付ける可能性があるので、テント内で食事(特に甘いもの)をしてはいけない」と忠告されていた。

*6 そもそもパイ生地は折り重ねて作るため、「練らない」。大泉がパイ生地パイ生地と繰り返したことでお客さんからも何度か突っ込まれたらしい。