スタンド能力チャート(ジョジョの奇妙な冒険)

登録日:2012/09/04 Tue 17:49:26
更新日:2025/04/27 Sun 08:46:58
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どんな者だろうと 人にはそれぞれ その個性にあった適材適所がある
王には王の…… 料理人には料理人の…… それが生きるという事だ
スタンドも同様 「強い」「弱い」の概念はない


スタンド能力チャート(スタンドパラメータとも。便宜上こう呼ぶが公式ではっきりした呼称はない)とは、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第5部・黄金の風連載時に登場した企画・設定で、作中に登場する特殊能力『スタンド』の強さを

  • 破壊力
  • スピード
  • 射程距離
  • 持続力
  • 精密動作性
  • 成長性

の6つの要素に分け、それぞれA~Eまでの5段階で表したものである。

コミックスでは5~6部にかけて主に各エピソード間の余白ページに入る一種のおまけであり、チャートと一緒にスタンド名・本体名・能力の詳細に加えてスタンドビジョンの正面/背面図のイラストも描かれている。
じっくり細密に描き込まれたスタンドのかっこよさや、四角四面な能力解説に留まらない荒木先生のユニークなセンスが感じられる紹介文など魅力的な要素満載で、これが楽しみでコミックスを買っているというファンも多い。

5部より前のスタンドの能力チャートは長らく不明だったが、第5部完結後に出版されたジョジョの集大成的画集『JOJO-A-GO!GO!』内収録のスタンド図鑑『STANDS』で3~5部までに登場した全てのスタンド能力(小説・CDドラマのオリジナルスタンドを除く)にそれぞれチャートが公式に設定された。


ただ、このチャートは基準が非常にいいかげんである。
5段階評価のパラメータもスタンドそのもののスペックなのかスタンドの持つ特殊能力のスペックなのかがスタンドごとにまちまちになっている。そのため、いざ目を通してみて「空間を削り取れるのに破壊力B」「戦った相手の動きをどんどん学習する妖刀なのに成長性C」と劇中の描写と明らかに違うものもままある。

6部終盤あたりからスタンドが直接的パワーから離れ、概念的なものになっていくにつれ『なし』という項目が増え、7部以降はこれらの要素は撤廃され、スタンド紹介のおまけも大幅に簡略化されていくことになるのであった。
一応、8部初期までのスタンドの能力チャートは8部連載中に発売された画集『JOJOVELLER』に収録されているのだが、知名度は低い。
同値のパラメータであっても格差がかなり開いてることもザラで、破壊力、スピードA同士で殴り合って片方が一方的に圧される光景もそう珍しいものではないが、これは5段階評価である以上致し方ないところであろう。


なお、スタンド自体本体の精神状態によってその性能は大幅に変動する上、これらの強さは『ドラゴンボール』の戦闘力のような絶対的インフレ要素とは真逆の存在であり、状況や相互の相性によって力関係は千変万化する。

例えばDIOは第6部でプッチに「今まで出会った中で一番弱いスタンドは?」と質問されて、記事冒頭にあるように「王には王の、料理人には料理人の適材適所がある。スタンドに強い弱いの概念はない」と答えている。
それに対して第3部では「ザ・ワールドは最強のスタンドだ」「ハーミット・パープルが一番生っちょろい」と発言しているため、一見矛盾しているように思える。
しかしプッチが続けて「質問が悪かった。子供が遊びで話す『スタローンとジャン・クロード・バンダムはどっちが強い?』レベルで良いよ」と訂正すると、DIOは「サバイバーと名付けたスタンドが最も弱い」と明言している。

つまり「王の能力」と「料理人の能力」は比較可能な要素がなく比べようがない。
ザ・ワールドでは食べた人を健康にする料理は作れないし、パール・ジャムでは時間を止められない。この二つの能力の優劣など付けようがないのである。
あくまでその能力の本体に相応しい適材適所の能力が発現しているのであり、本質的な優劣が付けられない以上『強い』『弱い』の概念はない。

同時に、スタンド能力とは何らかの基準を設定すれば優劣の評価が可能である。
いわば「王と料理人が直接、格闘戦を行うとしたらどっちが強いか?」という基準であり、この基準でいえばDIOの知る最も強いスタンドはザ・ワールドであり、最も弱いスタンドはサバイバーである。同様に、ジョースター一行の中で直接的な戦闘能力が最も低いのはハーミット・パープルである。
要するにDIOの強い弱い発言は文脈的には矛盾がないので、揚げ足取り的に茶化すべきではない。


以下、チャートの各要素を解説する。

  • 『破壊力』
主にスタンドの持つ『物体を破壊する』能力の強さを表す要素。
純粋な突きや蹴りといった打撃の威力の他に、重いものを持ち上げたり引っ張ったりする力など、基本は「スタンド像の腕力」に当たる。
そのため、空間を削り取って対象を消滅させたり鉄をも溶かす炎を自由に操れたりするスタンドでもB止まりの場合がある。
また5部当時のエコーズACT3は破壊力A評価であり、これは明らかに3FREEZEへの評価となっているため、腕力ではなく特殊能力を使った際のパワーが対象になっている場合もある。


最高のA(超スゴイ)評価で岩石を軽く粉砕したり人体にワンパンで風穴を開けられるほどのパワー。
B(スゴイ)だと手刀などで腕などの人体を切断できる程度。鋼鉄の破壊などは不可能だったり時間がかかりすぎたりする。
C(人間並み)でも力づくで叩きつけるように攻撃することでけっこうな威力になる場合も。パワーがCでもチャリオッツのように武装があればBレベルの破壊が可能になるケースもある。
逆にこの要素がE(超ニガテ)だと下手をすると髪の毛一本動かせないくらいの非力さになる。

基本的にスタンドのパワーと射程距離は反比例の関係になるので、破壊力が高いスタンドは自然と射程距離の要素はDやEが多くなる。
例外として遠隔自動操縦型スタンドは両方が極めて高くなるが、代わりに細かい命令を実行できないため精密動作性や成長性が著しく落ちる。
また、遠隔操作型でも女教皇やホワイトスネイクのように、距離に反比例して本体近くならA判定クラスのパワーを発揮できるものもいれば、ハイウェイ・スターのように本体近くでもシュレッダーすら破壊できないものもいる。

  • 『スピード』
スタンドの『パンチを繰り出す』などの挙動の速さ、移動(飛行や泳ぎなどを含む)の速さ、特殊能力の即効性などを表す要素。
例外的な評価として、光速や∞(無限大)にまで達するものもいる。
また『オラオラ』や『無駄無駄』のようなラッシュ技を使いたいならせめてB以上は欲しいところ。
特に触れることが能力発動条件の場合が多いので、これが敵より劣ると正面対決では実質能力自体が封じられたような状態になりうる。一方、奇襲や不意打ちによる一撃でその問題を解決できる場合もある。

その一方で、移動スピードという観点から見るとせいぜい上位でも自動車程度の速さで、飛行機に追いつけるほどのスピードで走ったり飛んだりできるスタンドは殆どいない。
これはあまり速すぎると人間が感覚的に操作しきれないことや、基本的に『そばに立つ(STAND BY ME)』存在であるスタンドが超スピードで移動できてもすぐに射程距離限界に達してしまい無意味になるからであろう。


  • 『射程距離』
スタンドがどれだけ遠くまで移動できるかを表す要素。時折特殊能力の及ぶ効果範囲と混同されている場合がある。
スタンドの使用やそれを用いた戦闘において最も重要な要素のひとつである。
感覚的にはE:2m以下 D:5m以内 C:10m前後 B:50m前後 A:それ以上 といった感じか。 

射程距離にCの『人間並み』は当てはまらないためか、後に5段階評価ではなく具体的な距離が直接記載されるようになった。

前述のようにパワーとは両立しないことが多く、数kmの射程を持つものもあるがそうした場合はかなり非力になってしまう。
また、特定のビジョンを持たないタイプのスタンドは本体から離れられないので当然判定はEであるが、自分自身に働くタイプの能力も、クヌム神やミスター・プレジデントなど5部あたりまでは「E」評価、7部以降などは「なし」評価と表記が変動している。

エコーズACT3とパープル・ヘイズのように、具体的な射程距離が明かされておりかつ同距離ということも判明していながらアルファベット評価だけが違うというケースもある。*1


そして前述したとおり、この射程距離、「スタンドの射程距離」「能力の射程距離」どちらをあらわしたものなのか、まったく統一されていなかったりする。
たとえばグリーンディは射程距離Aとされているが、これはカビの射程距離(散布範囲?)を現したものであり、グリーンディそのものは近距離パワー型とされていてスタンドが本体から数十mも離れて発現したような描写はない。キッスも同様で射程距離A評価であるが、スタンドはどうみても近距離パワー型であり、これはシールの能力の射程を表したものと考えるほうが自然である。

その一方でリトル・フィートは小さくなる能力の射程に限界がないと作中で明言されているにもかかわらずE評価をつけられていたり、スター・プラチナやザ・ワールド、メイド・イン・ヘブンなどはスタンドの射程距離は数m~10mのC評価とされているが、能力の及ぶ範囲は全世界(全宇宙)という途方もない広さでありA-Eの五段階評価程度ではとても表せない規模となる。

基本的に3部4部のスタンドはスタンドの射程距離、5部6部のスタンドは能力の射程距離を表す傾向にあるが、上記のように統一的な基準による評価ではないので、各自の解釈にゆだねられている

  • 『持続力』
スタンドの持つ特殊能力がどれだけ持続するかを表す要素。これはスタンドそのもののスペックとはあまり絡まない。
ジョジョにおけるスタンド攻撃は『一度はまったら絶対に脱出できない』・『じわじわと相手を苦しめる』タイプが多く、(主に敵スタンドが)比較的Aが多くなりがちな要素である。

一方、直接的かつ強力な能力は持続時間も僅か数秒程度に限られる傾向がある。
これは本体が心のどこかで強すぎる能力にブレーキをかけているからで、それがなかったりできて当然と思い込むことで限界は伸びる。

しかしながらこの持続力、ほかのパラメータと違って作中での存在感は比較的目立たない不遇気味のステータスである。
一応、時止めや時飛ばしといった時間操作系は持続力が短い事が駆け引きや見せ場にもつながっている他、ザ・グレイトフル・デッドやグリーン・ディなど能力を長時間毒ガス的に散布するタイプなどは持続力の高さを生かして大暴れしているのだが、持続力切れになって決着がついた、といった例が作中でほとんどないからだ。
敵(スタンド)が息切れしたから勝てた、という結末ではイマイチ盛り上がりに欠けるということなのかもしれない。また持続力という強みを絵的に表現し辛いということもあるかもしれない。


  • 『精密動作性』
スタンドがどれだけ精密な動作を行うことができるか、あるいは特殊能力をどこまで細かく制御できるかを表す要素。
前者は発射された弾丸を摘み取り肉の芽を摘出する『星の白金』の神技的精密作業や『銀の戦車』の剣さばきなどを除いてほとんど描写がないため、現在はほぼ後者の意味合いで判定されていると言ってもいい。

この精密動作性、とにかく評価が厳しい事で有名。大半のスタンドがD以下であり、Aとなると各部に2体いれば多い方といった有様である。DIOのザ・ワールドに至ってはスタープラチナと同じタイプでそれ以上の精密動作性を誇るはずなのに、公式ではなぜかB評価。
基本的に、この要素の判定が高いほど緻密で繊細な動きが可能で、逆に低いと大雑把なことしかできないのだが、精密動作性が低い場合は無差別的な広範囲攻撃が可能な危険な能力も多い。
あくまで「スタンド自体の性能」のため、修行や戦い慣れによる熟練によって向上する可能性もある。
特に道具の形をしたスタンドなどは、持ち主の器用さが精密動作性に直結するので、C(人間並み)というのも実はけっこうあなどれない。

  • 『成長性』
スタンド及びその特殊能力の成長の伸び代を表す要素。
本体の精神が未熟だったり好奇心やハングリー精神が旺盛だったりするなど、本体そのものの精神の伸び代や能力への興味の強さでもあったりする。
くだらない能力に見えてもこの要素の判定が高いときっかけ次第で一気に化ける可能性があり、成長次第では全く違う能力を複数発現させたりするケースすらある。

その一方で老年のスタンド使いの操るスタンドは精神的に成熟している一方で成長の余地自体は少ない為、成長性も低くなりがちである。
もっとも成長性が低いということはスタンド自体の完成度が高くそもそも成長の必要性が薄く、成長性の高いスタンドは逆に未熟で不完全なスタンドという解釈もできる。ブチャラティや東方仗助といった、スタンド使いになってからの日数が比較的長い使い手は能力的には成熟しているため成長性の評価は低い一方で、能力の応用力自体は高く多様な使い方を発揮する場合もある。
6部のスタープラチナの成長性が『完成』とあるのは、良く言えばレベルがカンストした状態、悪く言えばこれ以上は衰えることはあっても上がることはないという意味を持っている。
主人公とラスボスといったメインは高く、一般敵といったサブは低い傾向にある。



スタンド名『アニヲタWiki』 
本体 アニヲタ
破壊力-E スピード-A 射程距離-A
持続力-A 精密動作性-C 成長性-?
追記-A・修正-A



To Be Continued…

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最終更新:2025年04月27日 08:46

*1 この2者の場合は両者5m程度と言及されていながらエコーズD、パープル・ヘイズCと食い違いが起きていたが、アニメ版放送に際してパープル・ヘイズに合わせる形でエコーズの評価がCに修正された