遠隔自動操縦型(ジョジョの奇妙な冒険)

登録日:2010/09/23(木) 00:24:06
更新日:2025/05/03 Sat 22:42:37
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遠隔自動操縦型とは『ジョジョの奇妙な冒険』に登場するスタンドのタイプの一つ。本体がコントロールしなくても自動的に目的を達するように動く性質を持つスタンドを指す。またその多くが、高いパワーと長い射程距離を併せ持つ。
第4部から登場。

目次

■概要

スタンドの基本原則として、パワーと射程距離は反比例するというものがある。そのため、近距離型は遠くまで行けないが強いパワーと速度で本体を守ることができ、遠距離型は本体を安全な位置においたまま活動できる、といった区別ができる。
遠隔自動操縦型は、近距離型のパワーを維持したまま遠距離で活動できるという、双方の特徴を併せ持つ特殊な遠距離型である。
自動操縦という言葉の通り、本体が操作することなくその命令を実行できる。
特定のターゲットを追跡して始末するとか、特定の場所や物に近づいたやつを迎撃するとか、本体が寝ていようと飯食っていようと、一度命令さえしてしまえばあとはスタンドの方で自動的にやってくれるのである。
この自動的にという特徴だが、自己判断能力を有しているなどという便利なものではなく、もっと機械的なものである。能力の発動と終了、能力によっては条件の一部を指定できるくらいで、その他本体の意志は一切介在できない。
条件を満たす対象がいれば機械的に延々と命令を実行し続ける。言い換えると、条件を満たさなければ攻撃されないので、作中でもその習性を見破られて、無力化されたり反撃のきっかけに使われたりしている。
スタンドが生み出したものや自我を持つスタンドも自動的に(本体の命令なしで)動いている(ように見える)が、それらは知性や本能に基づく判断能力を活かして本体の意志を遂行しているのであって、機械的に行動しているわけではない。
また、目的を達成するまで活動するという性質ゆえか、とてつもなく頑丈だったりエネルギーを吸収したりと、ある種の無敵さ・不死身さも有していることが多い。そのためスタンドを攻撃しても本体にまでダメージがフィードバックするケースはあまりない。
他の特徴として、スタンドが置かれている状況を本体が把握できないというものがある。どうせコントロールできないから不要な機能とみなされたのか、視覚の共有等がない。だから自分から襲わせた場合を除けばスタンドが攻撃を開始したことも分からないし、どんな敵とどんな戦いをしたかも分からない。いつ攻撃を終了させたのかも、本当に敵を始末できたのかも分からない。

簡単にまとめると、「遠距離から一方的且つパワフルに攻撃できる!本体がバレなければ無敵!でも完封されても気付けない!」という具合に、汎用性に欠ける分、型に嵌ったら手がつけられないほど厄介なタイプと言える。DIOが述べる「スタンドは適材適所」と言うのを形にしたようなスタンドタイプである。

特殊なタイプなために主人公たちにこのようなタイプは存在せず、主に敵がこのようなスタンドを持つ。
これらのスタンドを持つ本体は「自分さえ良ければ良い」、「自分の手を汚さず始末したい」といった卑劣な思考をしている人間が多いため主人公側に現れないのもやむ無しか。


■主な遠隔自動操縦型スタンド(括弧内は本体名)

「攻撃のスイッチがある」とか「本体のコントロールが不要(不可能)」という特徴だけなら、近距離型型スタンドや暴走しているスタンド等も該当するので、混同されがちである。ここでは作中または紹介文等で遠隔自動操縦型であると明言されているものを記載。

作中で初めて登場した遠隔自動操縦型スタンド。
キラークイーンが左手の手甲から発射することで発動。
人間の体温を感知して追尾する爆弾戦車。触れた対象を爆破する。人間の体温より熱いものを感知するとそちらを優先的に狙ってしまうため、広瀬康一には一度、追いつけない熱源によって完全に無力化された。
吉良が「弱点はない」と豪語するだけの事はあり、スタンド自体の防御力は異常な程硬く、『スタープラチナ』のパワーでさえ破壊することができなかった。すごい重りで抑えつける等により身動きを封じることは可能。

対象の匂いを記憶し、最高時速60キロで敵を追跡する。相手に触れると養分を吸い取り本体を癒す。
触れた時点でエネルギー吸収が始まるため、殴る蹴るといった攻撃手段は効かない。
また直接的なパワーは低いので、障害物の向こう側の標的を狙って障害物を押し続けるといったことにもなる。もっとも、匂いは障害物を回り込むので一時しのぎにしかならない。
『エニグマ>宮本輝之輔/エニグマの少年(ジョジョの奇妙な冒険)』戦では本体がコントロールしていたので、操作をオートとマニュアルで切り替えられるようである。本体に行動を制止される描写があるので自分の意思がある模様。初登場時には言葉も発しているが、本体の意思を代弁しているだけなのかどうかも不明。

パッショーネの幹部であるポルポが刑務所にいながら団員を「選別」する為に使うスタンド。口の中に才能ある者にスタンドを発現させる「矢」を装備している。
ポルポが渡したライターの火が消え、「再点火」する事で現れる。
影の中を移動し、再点火した瞬間を目撃した人間を無差別に「矢」で突き刺す。才能がない者はその時点で即死する。
日光が弱点で浴びると消滅してしまうがそれは一時的なものであり、「再点火」する事で再び現れる。「影」との物質同化型といえるかもしれない。
影を通って一瞬で移動してくるが、標的に近付くためにしか使わないため、誘導することが可能。

PC型の「親」と女性に受胎させ、孕ませることで誕生する「息子」で構成されたスタンド。
厳密に言うと『ベイビィ・フェイス』本体は自動操縦型ではなく自動操縦型なのは「息子」の方。
その為の発動条件が非常に面倒で、女性の血液型や喫煙の有無、好きなキスの形等の情報が必要(名前は必要ない)*1。さながら育成シミュレーション。
さらにターゲットの人間の血液を混ぜることで、産まれた「息子」はその対象(DNA)を追尾する。
「息子」はあらゆるものをブロック状に分解する能力をもち、他の自立型スタンドよりもはっきりとした意思を持ち、PC型の「親」を通じて会話を行うこともできる。
さらに本体によって知識を与えられ学習する事で成長し、そのうえで自ら考えて行動できる。
自動操縦型のデメリットである単純な行動しか出来ない点を完全に克服した稀有なスタンド。
息子を倒されてしまった場合も本体のメローネには影響ないが、一からまた産ませて育てる必要がある。

動く物体を感知して肉体やスタンドエネルギー、金属や飛行機の燃料等、あらゆるものを取り込む能力を持つ。
取り込んだエネルギーを使ってさらに強大になって活動する。外部からエネルギーを補給できるため本体が死んでいても動けるという、亡霊のようなスタンド。
本体が死亡している以上本体を叩くという攻略法は通用せず、少しでも破片が残ってさえいれば周囲の物を取り込んで復活する為事実上の不滅である。
より速いものを探知して攻撃するが、攻撃対象よりゆっくりと動くものには反応しないため、自分から静止しているものにぶつかってダメージを受けたり、破壊しきれないものがあると永久にそれを攻撃し続けたりする。

丸い石の形をしたスタンド。
近いうちに死ぬ運命にある人物が近くに来ると発動し、その最期の姿を彫刻として現して、安楽死させるために追跡する。そのため標的以外には無害。
「運命」というどうすることもできないパワーをエネルギー源としており、本体の意志とはまったく無関係に動く。暴走でも独り歩きでもなく、「自動操縦型」という言葉のイメージに最も近いといえる。
一応、外部からの攻撃で追跡を止めさせる事はできるが、たとえ追跡を止めさせてもその人物が死ぬ運命は変わらず、「安楽死ではない未来」すなわち「苦難の道」につながっていく。
ちなみに、『ローリング・ストーンズ』の近くにいて姿が彫られていない人物は「まだ死ぬ運命ではない」という事が確定しているので、マンションの上階から飛び降りるなどの無茶をしても絶対に死なない。

麻薬チームの一員・アンジェリカ・アッタナシオが操る小鳥型のスタンド。
本体の寂しさから、他者の魂を敏感に察知して飛び回り、その人間を麻薬中毒の末期症状に陥らせる。
自動操縦型の挙動をとるのは、本体もまた麻薬中毒の末期症状にあり、的確な状況判断ができないため。
術中に陥るのは一瞬で、精神力の強いものでなければ瞬く間に麻薬中毒になってしまう。

小柄な人型のスタンド。普段は相手にヘコヘコして従順な態度をとっているが、自身を見ているのが敵一人以下の状態になった際に攻撃を発動。
唾を飛ばして付着した相手の体を溶かすが、攻撃されたことに気づかれない様に狡猾に立ち回り手口も豊富なため攻撃の方法やタイミングを見破るのは困難。
ヨーヨーマッ自体を攻撃しても再生するため倒すことは不可能。
どうみても意思を持っている独立型スタンドにしか思えないが、準備こそすれど、攻撃は一対一になるまで開始しないし、明らかな誘いであっても攻撃を開始したり、スイッチに忠実な点は遠隔自動操縦型らしいといえる。

東方家の家政婦・虹村京が操る、ライダーのような恰好をしたスタンド。
本体もしくは標的が何かを「開ける」と出現し、「閉じる」と一瞬でいなくなる。
出現している間周囲は氷の世界となり、標的の動きを奪ったうえでバイクで轢き殺そうとしてくる。

杜王スタジアムに勤務する岩人間・大年寺山愛唱の操る風の精霊のような姿……ってかまんまDQシリーズのかまいたちのようなスタンド。
風を纏ってどこからともなく現れ、かまいたちで切り刻んだり破壊したりしてくる。
標的の呼吸に合わせて大きさが変化するが、呼吸をやめない限りどこまでも無限に追跡してくる。呼吸を止めていると触れても何ともない。
康穂からは「確実に相手を殺すための能力」と形容された。

「新ロカカカ」を狙う岩人間プアー・トムのスタンド。
ブロックで作ったホワイトハウスの形をしたスタンドで、これを地面に埋めると発動して半径100m内にある建物の中を加圧していく。
その状態でドアや窓を開けると、今度は一気に減圧されて建物の中にいる生物を減圧症で殺害する。
スタンドをプアー・トムが手にすると、プアー・トムを中心に加圧したり、直接相手に加圧を送り込む事ができるようになる。
発動に手間はかかるが、一度発動すればまず逃れる術はない強力なスタンド。
能力が発動するとガラクタで作った不気味な人形のようなものが現れるが、これは攻撃が始まった事を告げる合図のようなもので、攻撃してもダメージはない。

  • バグス・グルーヴ(ルル
体内に侵入して血管や臓器を攻撃し、対象に病気の症状を引き起こす。
何かしらの物体に隠れ潜むように取り憑き、それに触れた人間を攻撃する罠スタンド。本編では、HOWLER社の財産の要であるDEED原本に潜ませ、閲覧した人間を攻撃していた。
体内に侵入してくるため発見することは困難だが、小型な分パワーや耐久力は低い。群体型だが、1体つぶされただけで本体側にも明確なダメージがあったため、最大数は多くないようである。


■似て非なるスタンド(括弧内は本体名)

作中の描写等から「遠隔自動操縦型では?」疑惑されるが、微妙に“似て非なる”と言えるスタンド。

土に願いを投影して偽物を生み出すスタンド。
ランプの魔人のような振る舞いや、パワーの割に長めの射程距離、ダメージフィードバックが見られない点など、遠隔自動操縦型のような特徴が見られる。(詳細は個別記事参照)
一方で、パラメータとしての射程距離は「C」であり、本体も逃げ場のない地面の中に隠れるという、遠隔自動操縦型の利点を投げ捨てるかのような戦術を取っている。
実際のところ前述の特徴も、近距離型が持っててもおかしくないものであるため、近距離型と考えられる。

普段は本体であるフーゴが意識的に操縦しているが、スタンド固有の自我を持っており、彼の意志とは無関係に動き出すことがある。
外伝小説『恥知らずのパープルヘイズ』でのジョルノは、本体死亡後に『ノトーリアス・B・I・G』と同様に自動操縦化し暴走する危険性を危惧していた。
こちらも作中では一貫して近距離パワー型である。

世界中の絵画や物語のキャラクターを実体化させて攻撃させるスタンド。
本体以外の全ての人間を物語の世界へ引きずり込み、その物語の結末に沿って殺害するチート中のチートといえる能力。
本体であるDIOの息子・ウンガロは、冗談抜きでこの能力で世界を破滅させようとした。これを可能にしかねない大規模な影響力を持つのは、もともとの芸術や物語に込められたエネルギーを利用しているからである。
実体化したキャラクターはスタンドではないため、スタンド能力はキャラクターを実体化させることだけ。射程距離の長さから遠隔操作型といえる。

大統領の親衛隊、マイク・Oが持つ金属を風船状にして操れるスタンド。
バルーンアートで作り出したバブル犬に標的の匂いを覚えさせ、追跡を命じていた。さらに大統領の護衛も兼任させていたので、バブル犬には訓練された警察犬のように高度な判断能力が備わっていたようである。



■関連


「噂には聞いていた自動追跡型スタンドか…」

「なるほど、こいつは油断したらあっという間に《追記・修正》されてしまうな」

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最終更新:2025年05月03日 22:42

*1 キスの形のあたりで親となった女性が拒否を始めたので子作りを強制。全部の情報を打ち込む必要がないようで、最低限血液型と健康状態さえ入っていれば問題ないようだ