音楽配信サービス

登録日:2024/11/13 Wed 17:58:00
更新日:2025/06/24 Tue 18:35:11
所要時間:約 5 分で読めます




音楽配信サービスとは、インターネットを経由して音楽・ポッドキャストのダウンロード販売・ストリーミング再生を提供するサービスの名称。


歴史


インターネット技術の発展で従来のCD・MDと言った物理媒体ではなく、Webからのダウンロード販売が1990年代末期から開始。
2000年代前半になると、米Appleが開発したデジタルオーディオプレーヤー(DAP)の『iPod』と販売プラットフォームである『iTunes』の普及に成功し、音楽市場のデジタル化が加速していった。
日本ではこれに加えて携帯電話で楽しめる『着うた』が一世を風靡した。

2000年代後半以降はスマートフォンがDAPの機能を担えるようになりダウンロード販売はより広まっていったが、同時に海賊版問題が叫ばれるようになっていた。
そのため2008年に創業したSpotifyなどが先駆けとなり、定額制あるいは広告込みで聴き放題になるストリーミング再生方式が普及。ダウンロード販売に代わって音楽市場の主軸となった。
日本では邦楽の配信が本格化した2010年代中頃から急成長し、日本レコード協会の調査では2024年現在、日本の音楽市場の3割程度がストリーミング再生による物になっている。

発売されたばかりの新譜も一部のアーティストを除いて聴き放題の対象になる音楽サブスクが普及した結果、嗜好性の高さで差別化ができているアナログレコードを除き物理媒体の需要は大幅に激減。アーティストによってはいわゆるCDシングルの発売の機会が激減し、話題の楽曲でもアルバムが発売されるまでCD化されないケースも少なくない。
レンタルを含むCDショップも生き残りをかけて、レコード部門の強化や新事業を開始するなどの変化が発生している。


主な音楽配信サービス


Spotify

スウェーデン発で業界最大手。運営拠点はスウェーデンの首都ストックホルムに置く*1
無料版は広告付きのランダム再生となる。PlayStationだとゲームをしながらBGMとして再生できる機能が提供されている。

YouTube Music

元は『Google Play Music』として誕生したが、YouTubeの音楽配信事業と統合し現在の形に。
YouTubeの基盤を活用するため、履歴は共有される他、歌ってみた等のカバーにも対応しているため曲数は膨大。
無料でも提供されているが有料版はYouTube Premiumに入る必要がある。

iTunes

Apple Music

iTunesは先述の通りAppleの音楽ダウンロード販売サービス。パソコン向けの管理アプリの名称としても使われている。
アプリ版は当初、音楽再生とiPodへの転送が役割だったが、次第に動画再生やiPhone/iPadの管理機能が加わり、役割が肥大化していった。
そのため『Apple Music』が普及して以降は機能別に解体され、その役割を終えることになった。
そのApple MusicはiTunesに代わるAppleの音楽事業の柱となるべく登場。クラシック音楽に特化した『Apple Music Classical』も提供されている。
Appleのサービスでありながら、WindowsはおろかAndroidPlayStation5等でも使用できるのでApple製品を持っていない人でも安心。

Amazon Music

無料版の『Amazon Music Free』、Amazon Prime会員の特典である『Amazon Prime Music』、有料完全版の『Amazon Music Unlimited』の3つに分かれている。
Unlimitedを契約する場合、Prime会員の場合は割引される他、EchoかFire TV端末のどちらか1台分しか使えない代わりに安価になった「ワンデバイスプラン」も提供されている。
PC版だと排他再生機能が存在するのでオーディオマニア需要にも対応している。これらの他にアルバム単位や単曲単位でダウンロード販売もしている。

LINE MUSIC

日本発最大手。LINEヤフー、ソニー・ミュージックエンタテインメント(日本)、エイベックス、ユニバーサルとの合弁。
ここで提供されている曲をLINEのプロフィールBGM・着信音・呼出音にできる機能がある他、中高生でも学割が適用されるのが特徴。

着うた

TOWER RECORDS MUSIC

着うたは2001年にソニーミュージック、エイベックス、ビクターが共同で設立したレーベルモバイル(現在のレコチョク)から提供されていた携帯電話向けの音楽配信サービス。
当初は名前の通り着信音用途を目的としていたが、2004年から完全再生に対応した『着うたフル』が登場し、全盛期は日本の音楽配信市場をiTunesとほぼ二分していた。
しかしスマートフォンの普及で携帯電話でもiTunesや他のWebサービスが使えるようになり利用率が低下。最終的に2016年にサービスが終了した。
ダウンロード販売部門はレコチョク名義で引き継がれ、新たに聴き放題サービスとして『TOWER RECORDS MUSIC』をタワーレコードとレコチョク、NTT docomoとの共同で開始したが、2025年3月を以ってサービス終了。

ボカコレ

ニコニコ動画でおなじみのドワンゴが提供しているアプリ。
「ボカロ好きのための音楽アプリ」と銘打たれている通り多種多様なボカロ曲を聴くことができる音楽アプリである……というのは嘘ではないが全てではない。
実際のところは「ニコニコに投稿された動画を音声のみ再生できるアプリ」と言うのが正しい。
そのため別にボカロ曲に限らず、東方楽曲だろうが歌ってみただろうが音MADだろうがゆっくり解説だろうがどんな動画でも音声だけ再生することができる*2
じゃあなぜこんな名称なのかと言うと、元々は「NicoBox」という名称だったのが利用者層を広げる目的で名称変更されたから。名称変更直後には元々のユーザーを中心に反発も多かったのだが、実際名称変更によって利用者がかなり増加したようなので結果的には成功だったと言える。

機能も結構充実しており、特に無料でバックグラウンド再生ができるのは大きい。
また、ニコニコ動画と異なりプレイリストも無制限に作れたり事前に動画をダウンロードすることでオフラインでも再生できたりする。
その他にも、ボカロ曲のカバー動画を違和感がないように繋げ1曲のように再生してくれる「カバーMIX」などといった機能がある。あと広告も「ニコニ広告」という他の人のおすすめ動画の紹介が中心で外部広告が流れないのも地味に嬉しい。
ニコニコのプレミアム会員である場合はニコニコ動画と内容を共有できるマイリスト*3の作成上限が大幅に増えるほか、検索結果のサビのみ連続で再生できる「サビメドレー」が利用できる。


その他

  • Rakuten Music:楽天系
  • AWA:サイバーエージェントとエイベックスの合弁。
  • Nintendo Music:任天堂系。現在BGMが収録されているゲームはNintendo Switchの項目を参照。
  • KKBOX:台湾の音楽配信サービスで日本を含めた東アジア圏で事業展開している。KDDI傘下。
  • Deezer:フランスの音楽配信サービス。日本を含めた世界180か国以上の地域で展開。
  • Qobux:こちらもフランスの音楽配信サービス。高音質を謳うオーディオマニア向け。
  • QQ Music:中国最大級のIT企業であるテンセントとSpotifyの合弁。中国最大手。
  • Melon:韓国の大手通信会社SKテレコムによって設立。同国最大手。
  • mora:ソニー系のダウンロード販売サイト。ハイレゾ音源や一部メーカーのゲームサントラを販売しているのも特徴。



追記・修正は音楽を聴きながらお願いします。
この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年06月24日 18:35

*1 節税対策で登記上の本社はルクセンブルクに置いている。

*2 但し公式チャンネル投稿の動画には対応していないので、アニメを音声のみ再生するなどは不可能。

*3 無料でも無制限で作成できるのはボカコレのアプリ内でのみ利用できる「ローカルリスト」と呼ばれるもの。