登録日:2014/03/20 Thu 03:51:30
更新日:2025/03/03 Mon 08:44:52
所要時間:約 6 分で読めます
ラル・ザレックのひらめきは本物の雷光をほとばしらせる。
概要
「Duels of the Planeswalkers 2012」で初登場。その外見は、イゼット団らしき派手な青と赤で彩られた服を着て、電気を発する謎の装置を背負い
という凄まじさ、まさにイゼット。
当時の通称は「乳首」とか「乳首兄貴」だった。
現在もたまに使われることがあるが、「タルキール覇王譚」以降はWeb連載という形で正しいストーリーラインが公表されるようになり、ほぼ死語。
ただしラルの歴史を振り返るにあたって「乳首」の名前が出てきたら、その人は間違いなく当時の現役プレイヤー。つつきまわせば面白い話が聞けるはずだ。
その後、ラヴニカへの回帰ブロックの最終エキスパンション「ドラゴンの迷路」で見事カード化された。勿論カードイラストでも乳首に指をあて眼を光らせている。
ゲームでの性能
主に何かしらにダメージを与える能力と、インスタントとソーサリーに関連する能力を持つ。
生粋のイゼット団員という事情もあってか、プレインズウォーカーでありながらラヴニカでの姿しかカード化されたことがない。
「サンダー・ジャンクションの無法者」では珍しく他の次元に出向いている姿が確認されたが、ようやく別次元でのカード化となるのだろうか?
ラル・ザレック/Ral Zarek (2)(青)(赤)
プレインズウォーカー — ラル
[+1]:パーマネント1つを対象とし、他のパーマネント1つを対象とする。その前者をタップし、その後者をアンタップする。
[-2]:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ラル・ザレックはそれに3点のダメージを与える。
[-7]:コイン投げを5回する。表が出た回数1回につき、このターンの後に追加の1ターンを行う。
初期忠誠度:4
「ドラゴンの迷路」に収録された最初のラルで、レアリティは神話レア。
[+1]能力は、自分の土地を起こしたり生物を実質的に警戒持ちにしたりしつつ、相手の生物を寝かしたりできる能力。
だが、
タミヨウ等と違って相手のパーマネントをタップしてもアンタップされてしまう。そのため、盤面に適切な対象がいなければ自分の土地を起こして1マナ発生させるくらいしかできず、アドバンテージに結びつきにくい難しい能力。
金粉の睡蓮などの複数マナ発生するマナファクトやマナクリーチャーとの組み合わせなどに使うのが有力か。
[-2]はかの高名な
稲妻。厳密に言うとソーサリータイミングなので「火山の槌」。着地してからとりあえず2回打てる計算なので、相手に生物がいなければ4マナ6点火力として扱うこともできる。
奥義の[-7]は「時の縫い合わせ」5連打。PW自体が追加ターンと相性は良いので、忠誠度8にしてこの奥義を打てば自己完結した美しいコンボになるが、そこはイゼット。
「コイントス」である。何もしないこともしばしばある(1/32の確率)のだ。
残念ながら、スタンダードでは[+1]能力と相性の良いカードがなかったり、そもそも青赤を含むデッキがあまりなかったりでワンコインPWになってしまっている。
2chでは+能力が
停滞と非常に相性が良いことを指摘され
「乳首ステイシス」という非常にインパクトのある名前を持つデッキも考案されていたりする。
乳首を輝かせるのは君かもしれない……のだが、乳首ステイシス以降はまったく話に上らなくなってしまった。
何なんだよ乳首ステイシスって。
イゼット副長、ラル/Ral, Izzet Viceroy (3)(青)(赤)
伝説のプレインズウォーカー — ラル
[+1]:あなたのライブラリーの一番上からカードを2枚見る。そのうち1枚をあなたの手札に加え、もう1枚をあなたの墓地に置く。
[-3]:クリーチャー1体を対象とする。イゼット副長、ラルはそれに、追放領域かあなたの墓地にあり、あなたがオーナーであり、インスタントかソーサリーであるカードの枚数に等しい点数のダメージを与える。
[-8]:あなたは「あなたがインスタントかソーサリーである呪文を唱えるたび、クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。この紋章はそれに4点のダメージを与え、あなたはカードを2枚引く。」を持つ紋章を得る。
初期忠誠度:5
「ラヴニカのギルド」でギルドマスターを押しのけて神話レアで帰ってきた乳首。全体的に青赤らしい効果でありながら使いやすくなった。
プラス能力はしばし見られるライブラリートップを見て決められるドロー。とりあえず手札の質が上がるので弱いわけがない。
小マイナス能力は同セットで登場した標の稲妻と同じ能力。ある程度墓地に溜まっていなければならないが、法外なタフネスを持つ相手ではない限りだいたいのクリーチャーを除去できるだろう。
大マイナス能力はお馴染みの紋章付与。デッキにもよるがスペルを撃つたびに手札補充&ダメージを撒かれてはたまったものではない。ただしドローが強制のため、長期戦で起動すると自滅しかねない点に注意。
構築では青赤を含むデッキのサイドボード、あるいはメインから投入される事がある。
ただ、勝っている状況に蓋をするカードなのでややオーバーキルになりやすいか。
嵐の伝導者、ラル/Ral, Storm Conduit (2)(青)(赤)
伝説のプレインズウォーカー — ラル
あなたがインスタントやソーサリーである呪文を唱えるかコピーするたび、対戦相手1人かプレインズウォーカー1体を対象とする。嵐の伝導者、ラルはそれに1点のダメージを与える。
[+2]:占術1を行う。
[-2]:このターン、あなたが次にインスタントやソーサリーである呪文を唱えたとき、その呪文をコピーする。あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。
初期忠誠度:4
「灯争大戦」で登場した3枚目のラルで、レアリティはレア。同エキスパンションのレアPW共通の特徴として、常在型能力、プラス力、マイナス能力の3つを持つ。
常在型能力は《どぶ潜み/Guttersnipe》に近い能力だが呪文のコピーにも対応。自身のマイナス能力、および後記のカードとシナジーを形成するため重要な違いとなる。
プラス能力は占術1と地味だが忠誠度上昇が1回の使用でマイナス能力の消費を補える[+2]である点が強み。
マイナス能力はインスタントかソーサリーのコピー。単純に赤の火力呪文や青のドロー呪文をコピーするだけでも強力であり、自身の常在型能力ともシナジーを形成する。
そして…
発展/Expansion(青/赤)(青/赤)
インスタント
点数で見たマナ・コストが4以下であるインスタントかソーサリーである呪文1つを対象とし、それをコピーする。あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。
「ラヴニカのギルド」で登場した《発展+発破/Expansion+Explosion》の発展側2枚(と任意のインスタント、ソーサリー)によって発展を発展でコピーし続けることで無限ダメージを発生させることが可能。
要求条件はそこそこ重いが赤青のインスタント、ソーサリーメインのデッキに大きく形を崩さずに組み込める即死コンボというだけで十分だろう。やっぱりイゼットはイゼットだった。
ただ……この時期からMTGは環境が荒れ始めてしまい、その時期にぴったり合ってしまったせいで大した成果を残せずにスタン落ちしてしまった。
モンスーンの魔道士、ラル / Ral, Monsoon Mage (1)(赤)
伝説のクリーチャー — 人間・ウィザード
あなたがインスタントやソーサリーである呪文を唱えるためのコストは(1)少なくなる。
あなたがあなたのターンにインスタントやソーサリーである呪文1つを唱えるたび、コイン投げを行う。あなたがそのコイン投げに負けたなら、モンスーンの魔道士、ラルはあなたに1点のダメージを与える。あなたがそのコイン投げに勝ったなら、これを追放してもよい。そうしたなら、これをオーナーのコントロール下で変身させた状態で戦場に戻す。
1/3
力線の神童、ラル / Ral, Leyline Prodigy
〔青/赤〕 伝説のプレインズウォーカー — ラル
力線の神童、ラルは、このターンにあなたが唱えた、インスタントやソーサリーである呪文1つにつき1個の忠誠カウンターが置かれた状態で戦場に出る。
[+1]:次のあなたのターンまで、あなたがインスタントやソーサリーである呪文を唱えるためのコストは(1)少なくなる。
[-2]:1つか2つを対象とし、2点分を割り振る。これはそれらにその割り振った点数のダメージを与える。あなたがこれでない青のパーマネントをコントロールしているなら、カード1枚を引く。
[-8]:あなたのライブラリーの一番上にあるカード8枚を追放する。このターン、その中からインスタントやソーサリーである望む数の呪文を、そのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。
初期忠誠度:2
「モダンホライゾン3」で登場したラル。「マジック・オリジン」の両面PWサイクルを踏襲しており、第1面は過去を描いたクリーチャー、第2面は覚醒後の姿を描いたPWとなっている。
第1面はインスタントとソーサリーのコストを軽減する能力を持つ。能力自体は珍しくないが、赤単色かつ2マナでこの能力を持つカードは初。この手の能力は赤の一時的なマナ加速の効率を強化できるが、古いカードは加えるマナ全てが赤であることが多い。そのため青マナ要員を足さずに使える点は無視できない違い。
そしてPWに変身する条件はインスタントかソーサリーを唱えた時に誘発するコイン投げに勝つというもの。負けた場合は自分にダメージが入るため、フェッチやショックランドでダメージのかさむ多色デッキではよりリスクが上がる。
また、第2面の能力との兼ね合いもあり、時には勝ったとしても変身しない見極めも必要となる。
第2面になると青が加わりPWとなる。
初期忠誠度が2と非常に低いが、それを補うのが変身したターンに唱えたインスタントやソーサリーの数だけ忠誠カウンターを追加する常在型能力。そのため最速でも忠誠度は3になり、6回唱えた後に変身すれば即座に奥義の[-8]も使用可能になる。
[+1]は第1面と同じコスト軽減。ただし常在型能力ではないため、自分のアップキープからメインでこの能力を解決するまでは軽減が切れる点に注意。
[-2]は割り振り火力で、他の青のパーマネントがあると《電解》相当になる。ドローが付随する分火力としては控えめ。
そして奥義の[-8]は踏み倒しが可能な衝動的ドロー。変身直後に奥義を狙う場合相応にリソースを消費している場合が多いため、それを補いつつさらに唱えることができる。
モダホラ3では赤の呪文のコストを軽減する《ルビーの大メダル》も収録されており、8枚体制でコストを軽減してストームを稼ぐ【赤単ストーム】を成立させた。
轟く機知、ラル/Ral, Crackling Wit (2)(青)(赤)
伝説のプレインズウォーカー — ラル
あなたがクリーチャーでない呪文1つを唱えるたび、轟く機知、ラルの上に忠誠カウンター1個を置く。
[+1]:果敢を持つ青赤の1/1のカワウソ・クリーチャー・トークン1体を生成する。
[-3]:カード3枚を引く。その後、カード2枚を捨てる。
[-10]:カード3枚を引く。「インスタントやソーサリーでありあなたが唱えるすべての呪文はストームを持つ。」の紋章を得る。(あなたがインスタントやソーサリーである呪文1つを唱えるたび、それを、このターンにそれより前に唱えられた呪文1つにつき1回コピーする。)
初期忠誠度:4
ジェイスの行方を追って「ブルームバロウ」に訪れたが、次元の魔力によってカワウソになってしまったラル。
常在型能力は果敢と同条件で忠誠度を増加させる効果で、[+1]能力と方向性は噛み合う。ただし忠誠度消費がこれ前提でかなり重く、[+1]以外を活かすにはデッキをしっかり寄せる必要がある。
[+1]能力は果敢を持つトークンの生成。《焦熱の交渉人、ヤヤ》の[+1]のクリーチャー・タイプ違いであり、ブロッカーとしてもサイズが上がるため使いやすい。
[-3]能力は手札交換で、引くカードが多い分必要なカードを引き込みやすい。ただし忠誠度消費がかなり大きく、連打するのは難しい。
奥義の[-10]ではカードを3枚引き、インスタントとソーサリーにストームを付与する紋章を得る。
ストームによる呪文コピー自体は強力だが、下環境でないと唱えつつマナ加速できるカードは少ない。スタンダードでは忠誠度上昇のための軽い呪文で細かくアドバンテージを稼ぐコントロール的な運用になるだろう。
なおカワウソになったとはいえ、カードタイプ的には何の影響もない。ゲーム的には「イラストがちょっといつもと違う」程度。
関連カード
Blast of Genius / 天才の煽り (4)(青)(赤)
ソーサリー
クリーチャー1体かプレイヤー1人かプレインズウォーカー1体を対象とする。カード3枚を引き、その後カード1枚を捨てる。天才の煽りはそのパーマネントかプレイヤーに、捨てたカードのマナ総量に等しい点数のダメージを与える。
最近「有用というジョークに騙された転売ヤーが買ってしまった。ざまあ!」というネタで盛り上がった、回帰ブロック最後のエキスパンション「ドラゴンの迷路」。
アニヲタwiki的には、デュエマの射場本正巳氏が開発に関わっているというおいしいネタがあるのだが、それはさておきラルが本格的にカードに登場したのがこのドラゴンの迷路で、
その中で比較的有用なカードだったことで注目を集めたのがこのカードで、イラストには決めポーズをとるラルが描かれている。名前も面白く、何に使えばいいか分からないレベルのカードが多い迷路の中ではデッキが比較的組みやすい。
そのため《うつろう爆発》的なデッキを作ろうとするプレイヤーも多くみられた。当時はショックランドの再録などによってカジュアルMTGが流行を見せ始めた時期であり、さらに日本主体のプロチームの形成の動きが芽生え始めていたのもこの頃である。
その一環としてプロプレイヤーに煽りデッキを握らせるというパフォーマンスも見られたという、当時のMTGの思い出話が尽きないカード。
だがスタン民の中にはその《予言の稲妻》を再録してほしかったという声も多く聞かれた。6マナのソーサリーでデッキ構築を著しく縛るため、かなり使いづらいのである。
Precision Bolt / 正確な稲妻 (2)(赤)
ソーサリー
クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。正確な稲妻はそれに3点のダメージを与える。
ラルのプレインズウォーカーデッキに収録されているカードであり、MTG屈指のネタカード。というのもこのカード、
《稲妻》 (1マナ3点 インスタント) の、
その完全下位互換である《稲妻の一撃》(2マナ3点、インスタント)の、
さらにその完全下位互換である《発射》(3マナ3点、インスタント)の、
そのまたさらに完全下位互換(3マナ3点、使えるタイミングが限られている)なのである。
つまり三段階完全下位互換。いくらなんでも弱すぎるということでネタになった。
実はこれはちょっと複雑な事情が関係している。
元々プレインズウォーカーデッキは、有用なカードが入っていた場合にそれらの確保・転売目的で買い占められることを防ぐため、限定カードをかなり弱く設計しなければならなかった。
しかし《紅蓮の俊英、チャンドラ》のプレインズウォーカーデッキに含まれていた限定カード《炎の鞭打ち》(4マナ4点インスタント)というカードが、当時のメタに合致していた関係で需要が出てきてしまったのである。
このカード自体は「1デッキに4枚含まれていた上に4枚必須のカードではなかったし、プレイヤーの好みによるところが大きかった」というところから大した値段にはならなかったのだが、こういったことを完全に防ぐべく「絶対に弱いカード」を作らなければならなくなったのである。火力のバランスとは本当に難しいのだ。
ちなみに「破滅の刻」で《発射》が収録されたとき、プレイヤーはそのあまりの弱さに慟哭し、「《稲妻の一撃》すら許してもらえないのか」と悲嘆に暮れた。
その騒動が記憶に新しい頃に登場したこのカードは、あまりの弱さにむしろ愛されるようになっていったのである。
Savor the Moment / 瞬間の味わい (1)(青)(青)
ソーサリー
このターンに続いて追加の1ターンを行う。そのターンのアンタップ・ステップを飛ばす。
シャドウムーアで登場した追加ターンを得る呪文。アンタップ・ステップを飛ばす、つまり追加ターンを得てもできることが少なくなってしまうため、通常のデッキではほとんど入らない。
モダンでは一時期警戒持ちのアタッカーと組み合わせたデッキが研究されたが結局大成することなく、このカードは典型的な「面白系の
カスレア」として扱われていた。
しかしこのカードと相性抜群の《創案の火》が登場してから一気に評価が爆上がり。これまで300円程度で売られていたレアが一気に高額化し、モダンにおける《創案の火》や《ヴェロマカス・ロアホールド》デッキの基本パーツに収まっている。
……さて、実はこのカード、Secret Lair Dropの「Pride Across the Multiverse」という版に新規イラストで再録されている。ラルが後述する恋人トミクとの濃厚なキスを交わしているシーン、そしてフレーバー・テキストの「I do.」。ああ、瞬間の"
味わい"ってそういう……。
この「Pride Across the Multiverse」というセットは最近話題になっているLGBTQ絡みのコミュニティの発展を祝って作られたというセットであり、他にもサヒーリとファートリが抱き合う《春の鼓動》(意味深)、田亀源五郎先生の漫画に出てきそうな男たちが温泉に入っている《熊の谷》(ド直球)のような様々なカードが話題を呼んだ。
ニッサの胸は性的だからってえぐったのにね。
ストーリー
性格面では自尊心と自己顕示欲が強い人。…なんか似たようなドラゴンがいたような。
生まれが貧乏だった彼は、母は11歳の時に工場の事故で死亡、父は酒浸りになり13歳の時にそんな父を見限って家を出るという波乱の人生を送っていた。
元々「雨を降らせる」というニッチな魔法の才能があった彼は、その出自もあって非常に見下されていた。雨を降らせたところで何ができるわけでもないからだ。
その後この才能をコントロールできるようになったことで「庭園の水やり」というなんとも言えない天職を得るが、それが優遇されていたわけではなかった。
そしてエリアスという恋人(男性)にもめぐまれて苦しいなりにも幸せな生活を送っていたが、ある時依頼人の息子に「帽子が濡れたので弁償しろ」といちゃもんをつけられて暴行されるという憂き目にあう。
ぼろぼろになった彼に手を差し伸べて「仕事をしたい」と依頼した初老の男性はニコル・ボーラスと名乗り、ラルを重用して様々な仕事を与えてくれた。その中で彼は「稲妻を武器にする」という彼ならではの技術を身に着け、魔道士として立派に成長していくようになる。
そしてその頃にもなるとラルは恋人エリアスとの家庭を守るために、ボーラスに与えられた汚い仕事(貧しい家庭からの借金の取り立てなど)にも手を出すようになる。こう見えて結構情に厚い男なのである。
その後、貧しい家庭からの借金の取り立ての際に「母を守ろうとする子供に傷を負わされる」「これまで殺人をしたことがなかったが、この時子供をうっかり殺しかけてしまう」と精神的にすさまじいショックを受ける。傷を負った状態で家に帰ると、そこは恋人エリアスが別の男と浮気している真っ最中。すさまじいショックにより彼はプレインズウォークを果たしてしまうのだった。
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つまりホモNTRで脳が破壊されてプレインズウォーカーの灯がついたってことだよね? |
これは「その方が面白いから」という理由で広まっているだけの説で、割と誤解されがちな点。ジョー・カディーンの「スケベおじさん」と似たようなネタである。
浮気の一件はあくまでも「トドメの一押し」である。「貧しく厳しい生活における心のよりどころ、かつ正当化する唯一の理由が恋人だった」という点を念頭に置いて以下のことを読んでほしい。
- ただでさえ極めてストレスフルな毎日の仕事の中でフラストレーションがたまっており、
- ある日自分の生い立ち似たような境遇の家族を見て、そんな連中からも無慈悲に取り立てる自分へのやるせなさを感じており、
- 明らかに母親を守ろうとする子供の方に正義や道理があり、
- そんな相手に本気で憎まれて傷を負わされたことで物理的な傷とすさまじいショックを受け、
- その反撃で子供を初めて殺してしまった(実際は未遂)という精神的なショックを受け、
- 文字通り身も心もボロボロになって恋人に慰めてもらおうと思ってやっとの思いで家に帰ったら、
- 恋人が知らん男と浮気の真っ最中で、この時怒りや悲しみや嘆きや憎悪など様々な感情が爆ぜた
つまり単に浮気はトドメの一押しだっただけで、実際にはテフェリーみたく「凄まじいストレスの連鎖によって図らずも覚醒してしまった」のである。
しかしこの説明、ぶっちゃけ長い上に分かりにくい。一方「ホモNTR」と書いておけば5文字で終わる上に面白いため、この言説が広まってしまっている。
さらに《モンスーンの魔道士、ラル》の挙動とこのエピソードを合わせると、まるでNTR性癖に目覚めてPW化するように見えるため、ますますネタが補強されてしまう始末。
ネタが豊富すぎるので盛り上がるのはまったく仕方のないことなのだが、実際には上述の通り結構つらい生い立ちで、人生最大の不幸の日にどん底に落とされて覚醒している結構かわいそうな男なのである。
ただプレインズウォーカーに覚醒したことで、新しい知見と哲学を得てギルドマスターにまで登り詰め、挙句身分不相応な恋人までゲットした。
なおラル自身は割と恋人に甘えたい性格のようで、「機械兵団の進軍」の背景ストーリーでもラヴニカに侵攻してきたファイレクシアの案件を片付けた際にこんな精神状態になっている。
現恋人のトミクとは現状たいへん良好な仲なので、もう浮気されることもないだろう。
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ラルのプレインズウォーク先は電気を動力源にした次元(名称不詳)で、ショック続きの彼はその電気の世界に魅入られて技師に弟子入りしてその世界の技術を学ぶ。
そして電気増幅器を自力で作り上げ、以来自分の稲妻の力を強める装備として使うことになる。
そんな彼の前にまたも老紳士ボーラスが姿を現す。無一文でここまでなりあがってずいぶん強くなったということを褒め、プレインズウォーカーとしての才能を見抜いて覚醒まで導いたことを明かした彼は、自分の仲間になれと誘いをかけた。
しかし覚醒まで導いたということは、汚い仕事を散々やらせてエリアスとの痴情のもつれへ導いたのは彼だということになる。
何よりラヴニカでの様々な失敗経験とこの次元で自分の実力で成り上がったという成功経験を持つ彼は「信頼できるのは自分の力だけだ」という哲学を持つに至り、ボーラスの誘いを断る。
そして逆らうとひどい目に遭うぞと恐喝の手段に出たボーラスに対し「逃げなんてしない、ただ一歩先へ向かうだけだ」と言ってプレインズウォークしたのだった。
伏線の「過去に借りがある」というのはプレインズウォーカーの才能を見抜いて取り立てて、覚醒まで導いて、さらに渡った先で自分の才能を磨くことができたことはすべてボーラスなしではできなかったことを意味していたのである。
どうやらイゼット団に入ったのはこの後のことのようである。
ギルドマスターにも自分がプレインズウォーカーであることは隠している。
ミゼット様のことを「プレインズウォークも出来ないくせに…」と内心見下しつつ、自分を認めてもらいたいとも思っており、バレたらミゼットの性格的に食われてもおかしくないとも考えている。なので、ミゼット様が注目してる
ジェイスに嫉妬したりもする。
迷路の調査を受け持っていたのだが、いざ迷路走者を選ぶ段になると任命されたのは奇魔のメーレク。
これに憤慨し、当日にメーレクを殺害、自分が迷路走者として飛び入り参加することになる。つまりあの迷路奏者サイクルのメーレクは超出オチだったので当時話題になった。
ジェイスがギルドパクトになってからは同じPW同士ということで交流も生まれたが、アモンケットでは
ボーラスの手下であることが判明。
実際に『ラヴニカのギルド』では
ヴラスカと共にボーラス側のPWとして登場しており、失踪したニヴ様に変わってギルドマスターを務めている。
ただ、ラル自身はラヴニカを愛しているようで、ラルとボーラスの直接的なやり取りがまだ描写されていないこともあって、実はボーラスに騙されているのでは?とも言われている。
《イゼット副長、ラル》のイラストには白い布が握られていたのだが、これは恋人トミク(男性)との愛の証。なんだかんだで感情の赤のカラーパイを持つ情に厚い男である。
そのトミクとの仲は相思相愛かつ良好なのだが、イゼットの貧乏魔道士にすぎない自分と、貴族主義のオルゾフの新進気鋭の弁護士という身分の差から身を引くべきだとも思っていた。
しかしそのトミクの方から叱られて考えを改めるようになる。
その恋人トミクの属するラヴニカの新ギルドマスター、ケイヤとは仲が良好。ヴラスカやジェイスに関しては「改心した」「真に価値ある人間になった」と考えを改めるに至る。
そのジェイスを認めたくなかった者同士として、ラヴィニアとも仲が良いらしい。
さて、ここまで恋人(男性)というところを強調したように、彼はゲイである。MTG Salvationでは「Ral is gay.」という非常に端的な文章で説明され、一時期
ミーム化したらしい。
しかし日本ではこの情報は割とすんなり受け入れられた。というのもラルが初出の時に、すでに「
なんかホモっぽい」という意見が結構あったのである。これはイラストの乳首いじりネタが妙に人気だったことにも関係している。
アメリカも現在は突然同性愛に目覚めるキャラのキスシーンなんかが政治的な事情で必須になってきているらしく、これは時折問題視されているのだが、MTGにおいてはかなり平穏に受け入れられている。
その後「ノンバイナリーのプレインズウォーカー」というかなり冒険したデザインのキャラ《ニコ・アリス》が登場するなど、アメリカの
ゲームらしい挑戦的なキャラが次第に増えてきている。
あとラヴニカの小説版は他にもゴルゴンとヒョロガリの恋愛シーンなど様々な意味で見どころが満載であり、灯争大戦のレビュー後もネタを提供し続けている。
総じて
トリックスターというにはちょっと出番や押しの足りない男といった感じで、カードの方の性能も「強いといえば強いが神ジェイスとか同盟者ギデほどの派手さはない」といったところに落ち着いた微妙な存在。
しかしヴラスカとともに、ラヴニカという複雑な設定を抱えた世界を分かりやすくしてくれるとっかかりとも言える男であり、カラデシュの顔役がサヒーリならラルはラヴニカの顔役の一人ともいえる地位を築いている。
そして複雑な感情を胸中に秘めながらも根はしっかり「イイ奴」という、好かれるポイントはちゃんと押さえている男である。
俺には無数の項目が見えている。あいつらひとつの追記・修正に留まってるくせに、見つからないとでも思ってるのかね?
- イゼット団が好きすぎる人 -- 名無しさん (2014-03-23 10:41:22)
- 杏が乳首ステイシス使ってる動画があったな -- 名無しさん (2014-04-14 04:48:01)
- なんか、なんだかんだで一番人間らしいプレインズウォーカーだよなぁ。プレインズウォークできることで調子こいてたり、それなのに自分の生まれた次元の1組織に固執してたり。でもニヴ様は全部お見通しなんだろうなー -- 名無しさん (2014-05-10 00:14:03)
- 稲妻能力にはチクビームとかいうあだ名がついたとさ -- 名無しさん (2014-05-25 13:31:29)
- 青赤の神様であるケラノス様と短いスタン共演期間ながら頑張ってほしい。プラス能力が神啓と相性いいし、殴った凍結燃焼さんを起こしてブロッカーにできたりできるし -- 名無しさん (2014-06-02 12:08:06)
- 結局ジェイスの引立て役でしかなかったな -- 名無しさん (2014-06-05 19:52:44)
- やっぱりこいつイゼット団とミゼット様が好きなんですねえ -- 名無しさん (2014-06-28 11:23:06)
- パックのパッケージは結構かっこいいイラストだったのに、なぜこのイラストにしたし -- 名無しさん (2014-08-01 20:33:06)
- ツンデレおじさん -- 名無しさん (2014-10-16 12:17:08)
- そのツンデレ誰が得するんですかね… -- 名無しさん (2014-10-18 23:22:14)
- ジェイスと一緒に再登場したらホモホモしいだの肩書きなしになるだの -- 名無しさん (2015-05-28 14:07:06)
- ↑9 ミゼット様は普通の天才の100倍天才な自分の知能が有るし、寿命は一万五千年も生きてるし、そもそもネフィリム二体を瞬殺出来るくらい強いから、次元渡る程度なら「へ〜別の世界が有るんだ。じゃあ次元渡れる機械でも作るか」って言って作れたりしそうだしな……寧ろ並のプレインズウォーカーの方が嫉妬する -- 名無しさん (2015-08-12 22:06:53)
- 別に乳首擦ってねえじゃんと思ったら、親指で擦ってるんじゃなくてそれ以外の指で擦ってるんですね・・・ -- 名無しさん (2015-08-24 00:26:39)
- 他のプレインズウォーカーと違って我を通しきれない感じが嫌いじゃない。ある意味一番プレインズウォーカーらしくないプレインズウォーカーだと思う。 -- 名無しさん (2015-10-25 16:03:37)
- いつの間にかジェイスの親友ポジションに。ある意味、ゲートウォッチのメンバーよりもこの人の方がジェイスの心に近い位置にいると思う -- 名無しさん (2017-05-02 23:45:15)
- おいおい大変な事になっちまったぜ・・・。 -- 名無しさん (2017-07-28 01:19:29)
- ニコル・ボーラスに目を掛けられていた模様 -- 名無しさん (2017-07-30 20:17:38)
- MtG離れてる間に俺の乳首が大変なことになってた…ニヴ様じゃなくてニコルのほうに… -- 名無しさん (2017-09-01 15:40:34)
- 嵐の伝導者、ラルがヤバすぎる。スタンで5ターン目に即死コンボが撃てるし、そうでなくとも普通に呪文をコピーしても大暴れするし、サヒーリもいると止められなくなる。忠誠度も実質6スタートだから頑丈だし、本当に使い勝手がいいわ。 -- 名無しさん (2019-04-27 21:12:37)
- そして味方に戻って戦うのだが、乳首ホモへと進化してしまった -- 名無しさん (2019-05-12 08:11:36)
- トミクが現在の彼氏ってだけで女性への感情描写も有るからホモじゃなくてバイだぞ -- 名無しさん (2020-12-21 10:04:12)
- なんかファイレクシア侵攻で奇魔が完成してしまう騒動も起こってたみたいだけど何やってたんだろうか -- 名無しさん (2023-04-10 10:42:24)
- 紆余曲折あったけどセクシャリティも含めて本当に赤青って言う色の良い所を煮詰めたキャラに育ったよな。地元愛の強い天候インフラ担当のエンジニア魔道士の新婚さんって言う。 -- 名無しさん (2023-05-03 17:40:27)
- mh3のコメントにNTR目撃で点火するって…嘘だろ…っえマジなんかよ。 -- 名無しさん (2024-05-23 11:29:56)
- なんかファイレクシア化でやらかして以降動向が怪しいジェイスを追っかけまわす”銭形のとっつぁんポジ”になりつつある気がする。 -- 名無しさん (2024-07-05 08:21:13)
- 最新セットブルームバロウにて色々あってカワウソになった。殺してやるぞベレレン!! -- 名無しさん (2024-08-11 19:58:24)
- トミクとジェイス絡みでイライラしてたせいでブルームバロウのストーリーで登場時は態度が最悪だったけどヘルガを励ましたり母親としても女性としても強者なメイブルに敬意を持ってたりで最終的に大分評価が上がったよね。 -- 名無しさん (2024-10-21 15:20:20)
最終更新:2025年03月03日 08:44