登録日:2014/07/21(月) 17:37:37
更新日:2024/09/28 Sat 16:15:49
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メインコンボは、非常にシンプル。
記憶の壺 / Memory Jar (5)
アーティファクト
(T):記憶の壺を生け贄に捧げる:各プレイヤーは、自分の手札のカードを裏向きのまま追放し、カードを7枚引く。次の終了ステップの開始時に、各プレイヤーは自分の手札のカードをすべて捨て、これにより自分が追放した各カードを自分の手札に戻す。
偏頭痛 /Megrim (2)(黒)
エンチャント
対戦相手がカードを1枚捨てるたび、偏頭痛はそのプレイヤーに2点のダメージを与える。
《記憶の壺/Memory Jar》を起動させたターンを、戦場に《偏頭痛/Megrim》をセットした状態で終了する。たったこれだけである。
それでどうなるか。
終了ステップの開始時に、対戦相手は記憶の壺で引かされた7枚のカードを墓地に捨てる。これで偏頭痛が発動し、14点のダメージが入る。
二回壺を回す、もしくは偏頭痛が2枚あれば28点ダメージ。当然、相手は死ぬ。
「5マナもかかる《記憶の壺/Memory Jar》を二回も回す必要があるんじゃ、たいして強くないんじゃね?」と思ってはいけない。
まず記憶の壺自体が、(簡単に言うなら)手札を全て追放する代わりに
7枚引ける、単純にぶっ壊れた
ドローカードだということ。
例えば《
暗黒の儀式/Dark Ritual》なんかのマナ加速で失ってしまった手札もすぐに補充できるし、コンボパーツを探すのにも使える。コンボパーツなのにドローソースも兼ねているという無駄の無さ。
そしてもう一つの強みが、コンボの成立条件の緩い事である。記憶の壺・偏頭痛のどちらが二枚でも、それら三枚をどの順番で出してもほぼ勝利条件に達する。
この手の大ダメージコンボには「先にAを出してからB」というパターンが多いのだが、この【メグリムジャー】はダメージ関連がターン終了ステップにまとめて処理されるため、コンボ回している間はどっちを先に出しても関係ないのだ。
それに加えて、こんなカードとか
修繕 / Tinker (2)(青)
ソーサリー
修繕を唱えるための追加コストとして、アーティファクトを1つ生け贄に捧げる。
あなたのライブラリーから、アーティファクト・カードを1枚探し、そのカードを戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。
魔力の櫃 / Mana Vault (1)
アーティファクト
魔力の櫃はあなたのアンタップ・ステップにアンタップしない。
あなたのアップキープの開始時に、あなたは(4)を支払ってもよい。そうした場合、魔力の櫃をアンタップする。
あなたのドロー・ステップの開始時に、魔力の櫃がタップ状態である場合、それはあなたに1点のダメージを与える。
(T):あなたのマナ・プールに(3)を加える。
答えは言わずもがな。平均して3ターン、速ければ1ターンでゲームが終わる。
ちなみにこのデッキ、当wikiにも項目のある
MoMaが成立したウルザズ・サーガの
次のエキスパンションであるウルザズ・レガシーの登場により成立した。「マジック最悪」と謳われるアレよりも、さらに酷いこのデッキの登場により、MtGは長い暗黒時代を迎える…
ことにはならなかった。
トーナメントで使用可能になってから僅か
二週間後、記憶の壺は
禁止カードに指定されることになる。それも、当時このカードを使用出来たほとんどの構築レギュレーションで。
唯一、Type1(現・ヴィンテージ)でのみ1枚
制限に留まったが、このレギュレーションは禁止カードが(ほぼ)存在せず、かの
パワー9でさえ1枚は使えると言う環境であるため、実質「可能な限り最大限の禁止・制限」がかけられたと言って良い。
ちなみに、当時はDCIによる
緊急声明まで発令されたらしい。
さらに余談ながら。上記の事柄は全てスタンダード、つまり使えるカードが2番目に少ないフォーマットである。さてこれが、黎明期のぶっ壊れカードまで使える環境だったら、どうなるか?
その当時はマナ加速とかサーチカードとかへの規制が今と比べてぜんぜん緩かった事もあり、前述したType1で組まれた完全版のメグリムジャーの1ターンキル率は、実に
90%まで達したと言われている。ここまでくると、もう本当に先攻後攻決めのジャンケンとかコインフリップで勝者が決まる。
マジックの歴史にはこれ以降も色々おかしいデッキは現れたが(例・
ロング・デック)いくらなんでもこの水準には達していない。
史上最凶というのは冗談でもなんでもないのだ。
当然こんなデッキが許されるはずもなく、また他にもいろいろな事情もあって、その後の制限改定では新たに
18枚のカードが制限カードに書き加えられることになった。
これぞまさしく、最短最多最速。
ちなみに、本家(?)のMtG Wikiには、当時のスタンダードのメグリムジャーのデッキリストが掲載されている(まともな大会で活躍する暇も無かったため、あくまで暫定だが)。
そのデッキに採用されたカードのうち、いずれかのフォーマットで禁止されたことのないカードは、土地を除く10種39枚中僅か二種、7枚のみである。何か間違っていませんかね?
MoMaとかと比べての数少ない美点(?)は、実質3枚コンボで決まるため相手の
ソリティアに付き合う時間が短くてすむことだが(漫画も用意しなくてもいい)…って、
そんなの何の慰めにもなるものか!!まあ記憶の壺でドローとかしなきゃいけないのは変わらないんだけど回数がずっと少ない。
また、このデッキには決定的な弱点カードというものが存在する。自分も使ってる偏頭痛/Megrimである。
対戦相手に先に偏頭痛を出されると、手札を捨てる処理の都度敵方の偏頭痛が先に処理されるため、メグリムジャー側が死んでしまう可能性が高いのだ。
偏頭痛はMoMaのキーカードである精神力/Mind Over Matterにも有効なメタカードだったため当時の黒単などがよく積んでおり、先に出されると悶絶ものだった。
デッキの性質上、MoMaと違って転覆/Capsizeなどを搭載しづらいのもキツイ。
追記・修正は偏頭痛で28点ダメージを与えた・与えられた人だけがお願いします。
- 記憶の壺が単純に壊れな気も -- 名無しさん (2014-07-21 19:12:59)
- 記憶の壷と時のらせんが同じブロックに居るってのも頭おかしいと思う -- 名無しさん (2014-07-21 22:41:22)
- MoMaもそうだけど当時の環境のカード(6th+ラース+ウルザ)で禁止関係なしで調整したデッキ使ってみたいな -- 名無しさん (2014-09-26 15:22:56)
- ↑メグリムジャーは5thの頃だけどね(マナ加速に魔力の櫃が必要だから)。後にも先にも、この時期ほどスタンダードのカードパワーが高かった時期は無いだろうな… -- 名無しさん (2014-12-15 01:32:21)
- どこでも禁止制限されたことのないカード、直観と偏頭痛の2種8枚じゃね? -- 名無しさん (2016-06-16 10:02:13)
- 追記修正しました。 -- 名無しさん (2017-05-10 16:23:38)
- ↑2 偏頭痛は3枚 -- 名無しさん (2018-06-25 14:48:44)
- 19年にはこれに迫る”王冠泥棒オーコ””夏の帷””むかしむかし”が出てしまった・・・ -- 名無しさん (2019-12-14 07:32:06)
- 夏の帳もむかしむかしも単品なら強カード止まりよ。緑クソ強環境に加えてオーコまでいたもんだからだろう。 -- 名無しさん (2020-01-23 21:39:53)
- 帳はレガシーでも蛇蝎の如く嫌われてるが、ヒムだので2枚ハンデスかましてくる黒も大概酷い -- 名無しさん (2020-03-31 15:08:18)
- 記憶の壺の禁止速度が越えられることなんてないだろうと当時思われていただろうことがよくわかる -- 名無しさん (2020-10-21 19:11:47)
- 某MTG漫画でも記憶の壺が出て来てあっ…ってなったわ -- 名無しさん (2021-10-27 13:58:43)
最終更新:2024年09月28日 16:15