MCV(遊戯王OCG)

登録日:2014/08/15(金) 23:11:03
更新日:2024/01/03 Wed 13:53:13
所要時間:約 5 分で読めます




MCVとは、遊戯王OCGにおけるコンボデッキのひとつ。
ヴィクトリー・ドラゴンを利用し、後攻1ターンKillどころか事実上の先攻1ターンKillさえも可能とする驚異のデッキであるが、
その実態は並みのソリティアデッキが裸足で逃げ出すほどの狂気のソリティアデッキである


デッキ名は中核となるモンスターの頭文字からとられている。
すなわち『メタモルポット/Morphing Jar』と『カオスポッド/Morphing Jar #2』、『サイバーポッド/Cyber Jar』、『ヴィクトリー・ドラゴン/Victory Dragon』である。



【ループ・コンボ】


さて、ここからはデッキの解説に移るが、まずは核となるループ・コンボから紹介しよう。

フィールドに《カオスポッド》・《闇の仮面》が裏守備表示で存在する。
その後、《砂漠の光》を発動させる(罠カードを即座に発動できる《王家の神殿》を張っておく必要がある)と、
《カオスポッド》の効果で両者はデッキに戻り、罠カードを回収できる《闇の仮面》の効果で《砂漠の光》を回収できる。

ここで、ループ発動時にデッキにモンスターカードが残っていなかった場合、
《カオスポッド》の効果でフィールドにまた同じモンスターが並び、最初に戻る。

《砂漠の光》は全ての裏守備表示を表側にできるので、
上記二枚に加えてもう一体リバースモンスターがいれば、そのリバース効果を無限に使い続けることができるのだ。

リバースモンスターは魔法カードをサルベージできる《聖なる魔術師》か上述の《闇の仮面》をもう1枚採用する。
魔法カードなら《鳳凰神の羽根》、罠カードなら《転生の予言》を使うことで、全てのカードを無限にデッキに回収し続けることができる。デッキに戻れば後は《成金ゴブリン》などで引き込めばOK。

後は、上記ループコンボで適当なバーンカードを使い回して相手のLPを必要なだけ削り、《サンダー・ブレイク》辺りで敵のフィールドをカラにし、気が向いたなら《マインドクラッシュ》で相手の手札もズタボロにして、
対戦相手に完全に身動きをとれなくする。
また《聖なる魔術師》で《ご隠居の猛毒薬》を使いまわして相手のライフを800まで削り、(複数枚の)《魔力の枷》を発動する手段もある。こうなると相手は手札から一切の行動を起こすことができなくなるため、先攻1ターン目にして事実上の1ターンキルとなる。それもただの1ターンキルでなくマッチキル、事実上の1ターンマッチキルである。
《聖なる魔術師》を不純物と断ずるのなら、《光の封殺剣》を連打して相手の手札をすべて除外してから《刻の封印》でターンを返した後の通常のドローを封印してしまっても良い。

あとは《血の代償》で通常召喚の権利を増やして、適当なモンスターで頭数を三体揃え、
《竜の血族》でドラゴン族に種族を変えてやり、《ヴィクトリー・ドラゴン》でダイレクトアタックしてやれば、

マッチ・キル 完☆成☆


……なに? 「まるで意味がわからんぞ!」だと!?
まあとりあえず、「《カオスポッド》+《闇の仮面》のループが回ればやりたい放題できるから、最後は《ヴィクトリー・ドラゴン》でマッチ勝利までしちゃえデッキ」と思ってもらえればよろしい。


【コンボ完成までの道のり】


上記の説明を読んで、こう思った読者も多いだろう--「回るの? こんなネタデッキ」
確かに、われわれ凡人は遊戯王アニメの主人公達のような運命力を持ち合わせてはいない。
しかし、意外や意外、このデッキは想像以上によく決まるのである。

理由の第一は、ループが回りだしたらデッキの全てを引ききれるため、
上記のコンボパーツは一枚差しで十分だということ。つまり、デッキに割かなければならないスロットが少ない。
そしてもう一つは、のちに禁止カードとなった《サイバーポッド》の存在である。

三原式にも採用された《浅すぎた墓穴》+《砂漠の光》のループで手札を五枚ずつ補充しつつ、
上記のリバースモンスターたちもフィールドに揃えてゆくことかできる。

そもそもこのデッキ、三原式の抱える「サイドデッキで対策されると脆い」という弱点を補うために、
《ヴィクトリー・ドラゴン》によるマッチキル要素を導入したのが始まりである。

それに加えて三原式は構造上先手1ターンキルが難しいという欠点もあった。

これによりコンボの安定性は多少落ちたが、マッチキルというリターンはそれを補って余りある。

理論上は後手1ターンキルさえ可能である(確率は知らん)が、必ずしもそれのみに固執する必要はない。
数ターンかけてマッチキルの下準備をゆっくり整えるのも有効。


【弱点】


派手なコンボデッキの宿命ゆえか、天敵は数多い。
エフェクト・ヴェーラー》・《D・D・クロウ》・《ネコマネキング》エトセトラ、エトセトラ。
当時の環境では《抹殺の使者》が天敵だった。
折しも世はリバースモンスター全盛期ということもありどのデッキにも当然のように積まれており、ついで感覚でキーパーツを消されることも多かった。


だが、《ヴィクトリー・ドラゴン》によるマッチキルがこのデッキの最大の持ち味なので、これらの対策カードをメインデッキから投入した上で、マッチ全試合で引けなければ即死する
上述のように《抹殺の使者》は多く見られたが、そもそもこのデッキが使えた頃にはまともな手札誘発など存在せず、せいぜいが上記の《ネコマネキング》か《クリボー》程度であった。

さらに《ヴィクトリー・ドラゴン》を巡る不可解な裁定にも頭を悩ませねばならない(《ヴィクトリー・ドラゴン(遊戯王OCG)》のページも参照してほしい)など、このデッキを使用する上でのハードルは数多い。

……だが、このデッキの最大の問題点は猛烈な時間泥棒だということである。
実際に回すとよく分かるのだが、ただでさえ時間の掛かる三原式のループに加え、
さらにループコンボが回りだしても同じ作業をひたすら繰り返す必要がある。

それも、何十回・何百回といった単位で。

紙のカードでやるとシャッフル回数が多すぎて手がくたびれるし、ゲームでやればボタンを押す回数が多すぎて指が痛くなる。

間違っても「対人戦で使おう」なんて考えてはいけない。「壁とやってろ」と叩かれるか、
友達なくすかのどちらかである。友達いる奴はこんなクソデッキ使わないだろうけど。

……《サイバーボッド》も《王家の神殿》も《ヴィクトリー・ドラゴン》も全部禁止カードなので、使えないんだけどね。まあ当然である。


また、上述の通りコンボそのものは想像以上に簡単に決まるのだが、コンボ始動パーツがピン刺しばかりなので事故率もそこそこ高め。時間泥棒な点も合わせて大会などに向いたデッキではなく、事実大会で《ヴィクトリー・ドラゴン》を見る場合は大半がコントロール型だったという。


ただし、遊☆戯☆王タッグフォースシリーズなどでCPU相手のソリティア系パズルゲームと考えたら中々に面白い。暇潰しにはもってこいである。
《ヴィクトリー・ドラゴン》で後手1Killまでできたなら、貴方はもうMCVマスター!!



追記・修正は《ヴィクトリー・ドラゴン》で後手1killできた人だけがお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 遊戯王
  • 遊戯王OCG
  • マッチキル
  • ヴィクトリー・ドラゴン
  • 1ターンキル
  • ソリティア
  • パズル
  • 禁止カード
  • 遊戯王OCGデッキ項目

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月03日 13:53