パールハーバー(映画)

登録日:2014/10/07 (火) 00:56:42
更新日:2025/04/05 Sat 12:44:20
所要時間:約 5 分で読めます





『パールハーバー』とは、2001年に公開されたアメリカ合衆国戦争映画で、1970年に公開された日米合作のトラ・トラ・トラ!のリメイク作で、米単独制作。
なお、日本語だと「真珠湾」になるが、一般的にはパールハーバーとはこの映画のことを指す場合が多い。



製作国:アメリカ合衆国
製作:ジェリー・ブラッカイマー
監督:マイケル・ベイ
配給:ブエナビスタインターナショナル
公開:2001年6月25日(米)
   2001年7月14日(日)
上映時間:183分




【あらすじ】


時は第二次世界大戦真っ只中の1941年、太平洋戦争開戦目前の時期。

アメリカ陸軍航空隊の戦闘機パイロットのレイフとダニーは子供の頃から仲が良かった。
ある時、レイフは軍の病院に勤めている看護婦のイヴリンと出会い惹かれ合う。
しかし、レイフは直後にヨーロッパ戦線に転属が決まる。
やがて、ドイツ軍の侵攻により日に日に戦端は広がり、レイフは大多数の敵機に包囲され撃墜されてしまう。

レイフの戦死の知らせが届いた頃、ダニーとイヴリンはパールハーバー(真珠湾)に転属していた。
突然の訃報を受け、互いに深い悲しみを慰めあった二人は、次第に深い関係になってしまう。
しかし、レイフは実は死んでおらず本国へ無事にシャッカシャカと帰ってきた。
そこでレイフは死にそうな思いして帰ってきたのに、なんで二人してできてんだゴルァと二人につかみかかる。

その裏側で、

「ニイタカヤマノボレ一二○八」

と、大日本帝国海軍の誇る空母機動部隊は真珠湾に停泊するアメリカ太平洋艦隊を目掛けて、大嵐の中粛々と前進していた‥


【概要】


アメリカが真珠湾攻撃から60周年目という意気込みで制作した超大作である。
監督には『アルマゲドン』で実績を上げたマイケル・ベイが起用された。
配役に関してはオリジナル版からの続投は無し。
物語は、バトル・オブ・ブリテン、真珠湾攻撃、ドーリットル攻撃から構成されている。

この映画の特徴としてCGを多用していることが挙げられる。
オリジナル版は特撮により航空機から艦船まで表現していたが、本作では全てCGによって大迫力に描かれている。

しかし、本作の評価を下げる点として、
  • エンターテイメントに振り切った脚本や演出により、大戦期のプロパガンダ映画のようになったシナリオ

  • 時代考証や軍事考証、合成のミスなど映像面の瑕疵

などが挙げられている。特に映像面に関してはインパクトもあるので下記に記す


【映像面の瑕疵】


日本側の描写


  • 日本の高級将校等が外で御前会議を開いている。本来なら地下壕や皇居で開かれていたはずの会議が外で開かれている。しかも、周りには意味ありげに「軍機」と書かれた旗が屹立し、機密漏洩とは?と首を傾げる描写である。これは、恐らく黒澤明の戦国時代を描いた映画からだろう。
対して、アメリカ側の会議はちゃんとした密室で行われている。

日本の艦艇がおかしい
  • 日本海軍が当時建造した空母を引き上げることはさすがに無理なため、オリジナル版同様に退役した空母・レキシントンで撮影が行われた。しかし、よく見ると木甲板であるべきものがCG処理されておらず、冷戦期の甲板のままである。また、遠景や真上から見た描写では文字通りアメリカ海軍の現役の現代艦艇が映り込んでいる。

日本語がおかしい
  • 日本語は戦時中は右から左にかけて書かれていた。が、搭乗員が巻いた鉢巻は日本語が左から右にかけて書かれている。

謎の演出
  • 会議中に巨大なプールみたいな場所に模型を浮かべているが、これは戦時中に公開された「ハワイ・マレー沖海戦」の撮影風景をなにかの作戦会議の場面と勘違いしたと思われる。

蝋燭が照明
  • 帝国海軍の艦艇で異様な数の蝋燭が灯りとして使われている。無論、現実ではこのような可燃物ではなく、白熱電球などが用いられた。

山本五十六がおかしい
  • 劇中、空母の甲板で山本が眠れる巨人を起こしてしまったというトラ~の台詞を使う場面があるが、実際の山本五十六は本土の瀬戸内海に停泊していた長門にいたため、本当だとしたら山本は瞬間移動スタンド使いと言うことになる



真珠湾攻撃の描写


あまりにも多いので見出しのみ。

  • 零戦が意図的に市街地や病院を襲撃したり海に漂う負傷者を掃討する場面があるが、実際の奇襲では行われていない。それ以前に日本は市民を虐殺するためにハワイを奇襲したのではない←とは一概にいえないものの、民間施設には誤爆こそあったが積極的に狙うような作戦にはなっていない

  • 作戦に参加した零戦をよく見ると、緑色の52型であるが、実際に参加していたのは灰色の21型である。

  • 撃墜されたはずの艦爆が原形を保っているが、現実にはあそこまで原形を保つことはない。

  • 戦艦アリゾナに落下する爆弾が放物線を描いていない。

  • 主人公の駆るP-40に零戦が撃墜される場面があるが、真珠湾攻撃では明確にP-40によるスコアはない。
また、P-40でゼロ戦を狩った事例はゼロではないが、性能差からその数は多くない

  • 第二次世界大戦が始まったというが、既に39年の地点で始まっている。太平洋戦争(大東亜戦争)というのが正しい。

  • 日本の爆弾は落下すると、数十秒間だけ作動しない。実際の爆弾は直撃するとすぐに炸裂する。

  • 戦闘機の機銃掃射をオープンカーが受ける場面があるが、穴が開く程度じゃ済まないのに被弾後自走する。

  • 日本軍の爆撃機の機銃が、アメリカ製になっている。また、プロペラの枚数が微妙に違う

  • 湾内に明らかに現代型艦艇の建造風景が映り込んでいる。

ドーリットル空襲について
  • B-25が、実際に参加したB型ではなく後期生産仕様のJ型になっている。

  • 戦闘機のパイロットが操縦しているが、そんなことはまずない。訓練に時間がかかるはずである。

  • 日本の巡洋艦に発見される場面があるが、実際に発見したのは日本の武装トロール船である。

  • 日本の兵器工場が看板を掲げている。軍機上こんなことはしない

  • 映画では兵器工場を爆撃しているように見えるが、実際のアメリカは市街地も爆撃している。



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最終更新:2025年04月05日 12:44