タネヒネリじま(MOTHER3)

登録日:2015/01/21(水) 22:04:08
更新日:2024/02/24 Sat 09:51:52
所要時間:約 10 分で読めます





タネヒネリじま(島)とは、ゲーム『MOTHER3』に登場する地名・舞台の一つである。



◆がいよう

第7章「7つの針」において、主人公のリュカ達が針(ハリ。舞台のノーウェア島に眠る伝説のドラゴンを封じるための重要な道具)のうち1本を抜くために訪れる場所。
タツマイリ村からを隔てて離れた所に存在しており、普通は海底(かいていダンジョン)を泳いで(!)行かなければ辿り着けない。


島自体は(ハリの場所とその周辺を除けば)特に何てことはなく、普通のジャングルといったところ。
だが、サルセイウチなど普通の動物ではないキマイラが跋扈している辺り、針を狙うブタマスク軍団の手もここまで伸びていることが容易にうかがえる。
(現に一つ前のかいていダンジョンでも潜水服の「ブタマスクサブマリン」とエンカウントする)


実質出入口となる海岸近くだが、ここには不気味な紫色をしたイヤーなかんじのキノコが生えている。
で、隣の立て札には「おげんきになる キノコ!むやみに たべるな」…
まあ普通はこんな見るからに怪しそうなもん、絶対に食いたいとは思わないだろう。

ちなみにキノコから少し歩いた先には中ボス格の敵「ゾンビダケ」が道を塞いでいる。


で、肝心の針。


山の頂上に突き刺さっており、そこに至る洞窟にはマジプシー達(針を守るオカm…乙女達のこと)の一人「ミクソリディア」の許可が無いと立ち入ることができない。
丁度ジャングルを越えて崖を登ったすぐの所にマジプシー特有の巻貝ハウスを構えているため、会いに行くのは簡単。
ちなみに彼…じゃなくて彼女の付き人は何故かタコのハチという方。


ただ、許可を取れてもまだ問題がある。

何故なら針はミクソリディアの手で屈強な三位一体のボス「けっかいトリオ」に護られており、一筋縄ではいかないから。
(ちなみに個々の名前は「けっかいくん」「けっかいちゃん」「けっかいどん」)
戦闘では3人で1体のボスとして扱われる。
実際に戦うと、3人揃って奇妙なポーズを決める姿からネタ系のボスと侮りがちだが、実際はそのポーズでPSIを遮断する結界を張り、自身らも高位の攻撃系PSIを使いこなす強敵。
中でも切り札のPKスターストームは一発限りながら強烈の一言である。
結界に影響されない通常攻撃に対しても「ディフェアップΩ」で守りを固めるなど油断できない。
いかに怒涛のPSI攻撃を耐えしのげるかが勝機を分けるだろう。


ちなみに村への帰りはハチに送ってもらえるので安心。



追記・修正お願いします。
























   *   *
 *   + うそではないです
  n ∧_∧ n
+ (ヨ(*´∀`)E)
  Y   Y  *


ここからが本題。
一見際立った特徴の無さそうな(※けっかいトリオを除く)タネヒネリじまだが、その実態は本作屈指のトラウマスポットである。



◆ぜったいぜつめい

実はゲーム中において、リュカ達はタネヒネリじまに着いた時点でアイテムが全部海に消失、更にHP1・PP0という極限状態に立たされている。
何でこうなったのかと言うと、その直前のダンジョンボス「うずしおさま」の最期の一撃で渦潮に流されてしまった為。
この時点でも十分トラウマである。


当然、満身創痍の状態で来た道(というか海底)を戻るのは危険すぎるということで不可能。
いつ敵にエンカウントしてしまうか不安でならないが、一応この時点で敵との接触はなく、すぐ近くにはタイミングを読んだかの如くセーブしてくれるセーブカエルが居る。
ただしヘビの腹の中に。
ちゃんとセーブできるだけましと言うべきか、その前に現在のリュカ達が大変危険な状態にあることを警告してくれる。
あんたも絶体絶命なんだけどね!


途方に暮れながら少し歩みを進めると、リュカ達の前に件のおげんきになるキノコが。
状況からして食えよと言いたげな配置だが、名前といい、色といい、あからさまにフラグ全開すぎて逆にためらう。

しかし、「こんなの食えるか!!」と無視して進んでも前述のゾンビダケに行く手を塞がれる。
あろうことか初手で胞子をばら撒く全体攻撃最速で行うため、どう足掻いても必ず全滅させられてしまう
(よしんば回避できたとしても復活手段が無いのでどっちみち詰む)

オフェンスを初めとしたステータスは大したこと無く、リュカ達が全快でさえいれば楽勝なだけになかなか悔しい。

ついでにチート等を使って無理矢理倒しても平然と残り続ける。
内部処理的に「キノコを食った」フラグが立たない限り消えないようにしてあるのだろう。

そんな訳で、幾らプレイヤーが嫌だと言っても絶対にこのおげんきになるキノコを食わなければ先に進めないのである。



さあ意を決して一かじり。
大丈夫、食えばおげんきになるらしいんだから問題ない。


その結果どうなったかって?ああ、




やっぱりダメだったよ




あかみどりきいろきいろ♪

案の定、このキノコにはヤバイ幻覚作用が含まれていたのである。


気絶したリュカ達が目を覚ますと最早そこは緑の生い茂るタネヒネリじまではなく、赤紫色のサイケデリックなジャングルの島。
BGMも一転して不安定な曲「あかみどりきいろきいろ♪」になり、トリップを想起させる狂気に満ちた曲調に。


幻覚のせいで本来のモノを正常に認識することができず、例えば赤い花は全てポストに見えてしまう。
敵シンボルに至っては何故かリュカ達の身内や知り合い(リュカの父親フリント、ダスターの育ての親ウエスなど)の人間に見えるというカオスっぷり。
レンコン?ああ、いたねそんなの。レンコーン!
喋る内容なんて何一つまともじゃない。しかも…(後述)
また、同じ人物でも違うことを喋る別個体まで居るなど無駄にバリエーション豊か。

ボニーだけは鼻が利くからか、話しかける(られた)時に警告の如くワンワン吠える。


一応HP・PPはお望み通り全回復している。だが幻覚を見ているので海に引き返せるわけがない。
不安は一杯、しかし今は前へ前へと進むしかないのだ。


幻覚状態で戦闘に突入すると、敵モンスターは全て「ぶきみなわらい」というモンスターに変化する。
このビジュアルが歯を出してニタニタ笑う不気味な単眼の顔、というこれまた狂気を感じる仕上がり。
攻撃内容は笑い声を上げるだの、巨大化するだのと何だか漠然としたものばかりである。
が、一定ダメージを与えると本来のモンスターの姿が判明し、攻撃内容もきちんとそのモンスターに沿って明確になる。

一つ注意したいのは、姿が判明しても名前は「ぶきみなわらい」のままであること。
つまり幻覚状態では「たたかいのきおく」(モンスター図鑑のようなもの)に記録されず、後で元の姿のモンスターを倒しておかないとだめ。
ただしゾンビダケは一度倒すと復活しないので、記録するならキノコを食う前にセーブしてから挑む(&全滅)必要がある。


体力管理の面を考慮すると、なるべく人型のシンボルは避けたいもの。
キノコさえ食べれば何度でも全快できるが
だが、今度は何を言い出すのか気になって仕方ないというあなたは間違っていない。


以下、おげんきなリュカ達に突きつけられる台詞一部抜粋

+ 人間編
  • フリント
(1人目)
◆おお リュカ。
◆こんなところで なにを やってるんだ?
◆みちに まよったのか?

→はい
◆まよっていれば いいじゃないか。

→いいえ
◆じゅうぶん まよっているじゃないか!


(2人目)
◆そろそろ ばんめしのじかんだな。
◆ヒナワも
 そろそろ かえってくるだろう。
◆なに?かえってこない?
 おまえが なにかしたのか?
◆え おれが したのか?
 ヒナワが かえってこない?
◆おまえは だれだ?
 おまえが したのか?
◆ばんめしの じかんだ。
 ばんめしの じかんだ。


(3人目)
◆なぐってやる。
 おまえを なぐってやる。
◆おとうさんが
 おまえを なぐってやる。


  • ウエス
◆ダスターよ…。
◆おまえの ひだりあしが ふじゆうになってしまったのは わしのせいじゃ。
◆わるかったのう…。
◆もう どこへもいくな。
◆わしと いっしょにかえろう。

→いいえ
◆おやふこうものが。だれもかれもが なくぞ。

→はい
◆そうか そうか…。
◆そうじゃ!
クマトラヒメも いっしょに つれていってやろうかのう。
◆とおくて くらいところへ!


  • ヨシコシ
◆ねむりなさい。
 まっくらな なかで。
 なーんにも しないで。
 だれとも あわずに。
 ただ ねむってなさい。
◆たーのしいわよー。
 ほほほほほ。


  • アレック
(2人目)
◆おまえさん だれじゃったかのう。
◆おまおまおまえさんさんだれだれだれだれ
 じゃっっっったかのう。
◆ひゃはははははははは!!


(3人目)
◆クマトラヒメは
 ヒメなんかじゃない。
 クマトラヒメは
 ヒメなんかじゃない。
◆だれにも あいされない
 ぼうっきれのような おんなのこ。

※ここでは1人目のアレックを省いたが、実は1人目はボニーとリュカだけのPTでしか遭遇できない。


  • サルサ
◆もちろん しゃべれますよ。
◆リュカのせいで ひどいめに あったってこと
 いくらでも しゃべれますよ。
 リュカが。
 リュカが。
 リュカが。
 リュカが。
 リュカが。


  • クラウス
(1人目)
◆ねえ リュカ。
 なにやってるの?
◆たのしそうだね!
 ぼくも まぜてよ!

→いいえ
◆まぜてくれないの?
 どうして? どうして?
◆どうして まぜてくれないの?

→はい
◆やった!
◆じゃ ぼくは いちばんうしろ!
◆よろしくね!

◆リュカ。
 リュカ。
◆ぼくは
 クラウス。
 クラウス。
◆リュカの めには みえない
 クラウス。


(2人目)
◆みんなが おまえを まっているんだ。
◆おまえに いしを ぶつけて つばを かけて
 ひどいめに あわせてやろうと まっているんだよ。
◆みんなって…?
 おまえの すきなひと ばかりだよ。


(3人目)
◆ぼくと とりかえっこ しようよ。
◆ぼくと とりかえっこ しようよ。
◆リュカ リュカ
 ぼくと とりかえっこ しようよ。
◆きみのほうが…
 きみのほうが…。



+ ポスト編
◇なかには はがきが たくさんはいっている。
◇よんでみますか?
→はい
◆リュカという しょうねんが おはかで ないています。

◆リュカという しょうねんが イヌと もりを うろついています。

◆リュカという しょうねんが やまおくで わるさを しています。

◆リュカという しょうねんが うちのにわの ナッツを ぬすんでいました。

◆リュカという しょうねんが いきものを いじめていました。

◆リュカという しょうねんが わるい まほうを おぼえていました。

◆リュカという しょうねんが ……

◆リュカという しょうねんが ……

◆リュカという しょうねんが ……

◆リュカという しょうねんが ……

◇ポストは ものすごい ひめいを あげた。


◇ポストには むすうの
 さけびごえが はいっていた。


◇ポストには じぶんの
 なきごえが はいっていた。


◇ポストのなかは まったくの からっぽ だった。
◇いくつも いくつもの からっぽが わきあがっていた。


◇ポストには どこまでも つづく
 くらやみが つまっていた。


◇ポストのなかには
 きれいな ちょうちょが
 たくさん はいっていた。


◇ポストのなかから
 だれかが のぞいていた!

 ……ように みえたが
 むこうからも のぞいていた。


◇ポストには なにもはいっていない。
◇1000びきの
 ネズミのしたい いがいは。



以上の狂気を孕んだテキストが道中にこれでもかと散りばめられているので、プレイ中は

一刻も早くこの状態から抜け出したい

という気持ちに駆られること間違いなしである。

人によっては、一度クリアしてもタネヒネリじまのせいで2周目をためらう事もあるんだとか…


無事ミクソリディアの家に着けば彼女の力で幻覚が解かれる。
海に流されていたアイテムも、拾ってきたハチが返してくれる。
そこまでは色々湧き上がる気持ちを抑えて頑張ろう。


ちなみに、道中では超ゴージャスな温泉で体力を回復することができる。
が、何故かボニーだけは入ろうとしない。
それもそのはず、この温泉の正体は


ガラクタが投棄されたゴミ池。


早い話がブラシーボ効果で回復していたわけである。
ミクソリディアと会う前にこのニセ温泉を利用してしまうと、彼女との初対面時に内心臭がられることになる。
本物の温泉は幻覚が消えた後にゴミ池を訪れると、奥に入口がある。


◆よだん

タネヒネリじまの幻覚イベントは製品版の時点でもかなりアレな内容だが、開発当時のテキストはCEROに配慮しなかった事でもっと凄まじい出来映えだったらしい。
CEROの枷が無かったら一体どうなってしまっていたのだろうか…?



ミクソリディアとの話で判明する事だが、キノコが見せる幻覚はただの狂った幻覚ではない。
人の心の弱さや傷を容赦ないぐらいに抉りまくるという、非常にタチの悪い幻覚なのである。
つまり、前述の顔見知りの人物(幻覚)や郵便ポスト(幻覚)を介して発せられる言葉や物は、その殆どがリュカ達の心の暗い影を反映したもの。
身に覚えの全くないことは出てこないということは、おそらく父親に殴られもしたし沢山泣きもしたということになる。
ストーリーを理解していると大体の幻覚が言わんとしている内容、キャラクター達の悩みや想いなども理解することができてしまう。
感情移入の度合いが強い人ほど辛く感じるイベントであろう。

ところで、名前にあるタとヒはに含まれているが、偶然だろうか。



ファンの間では頻繁にMOTHER2ムーンサイドと比較・議論されることで有名なスポットでもある。
だが、内包するベクトルは似ているようでかなり異なる。
ムーンサイドが理解不能&意味不明の狂気なら、タネヒネリは人間の精神的な弱さを掻き毟る狂気(または悪意)、といったところだろうか。



◆ゴングは なった!
◆ついき しゅうせい!
 ついき しゅうせい!
◆レンコーン!

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最終更新:2024年02月24日 09:51