阿号(牙狼-GARO-)

登録日: 2015/07/28 (火) 12:22:00
更新日:2018/04/24 Tue 14:47:34
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注意!


ザルバ「おい、お前達!この項目には映画のネタバレが含まれているぞ。まだ映画を見てないヤツは、今すぐブラウザバックしな!」
















『ホラーのいない世界』……その夢、私も貰ってよろしいでしょうか?


阿号(あごう)とは、雨宮慶太原作・監督の映画牙狼-GARO- -GOLDSTORM- 翔の登場人物。
演じるは井坂俊哉氏。特撮ファン的には『幻星神ジャスティライザー』のシンさまことライザーガント/平賀真也役で知られる。


【概要】

古の魔戒法師双竜(そうたつ)の手で造られた人型の魔導具であり、彼からあたかも我が子のように労わられていた。
ホラーとの戦場では常に彼の傍らに立ち彼自身の夢たる「『ホラーのいない世界』の実現」に共鳴し行動を共にする。
最強ホラー・デゴルとの戦いで双竜を失い、自身も傷つきながらもデゴルを倒して後、永きに渡りラインシティに通じる森の中で眠りについていた。
だが、突如起こった落雷を受けて再起動し、亡き双竜の夢を実現するため行動を開始する。

『生きた魔導具』という設定に、『魔戒ノ花』のマ号ユリ型=マユリを思わせるが、
ホラーに憑依された魔戒法師の母から生み落とされホラーを封じる力を得て、雷牙と出会うまで人間ではなく『生きた魔導具』として扱われた彼女とは異なり、
阿号はヒトである見た目に反し、動く度に鳴り響く金属音とあらゆる攻撃を跳ね除ける鋼の肉体など、人造人間としての側面が強い。


俺はホラーを狩るために造られた。お前には夢があるか?

【戦闘力】

『生きた魔導具』だけあってか、陰我ホラーなら変身せずとも倒せる力を見せつける。
拳一つでホラーを弾き飛ばし、両腕部に仕込まれた長剣で斬り裂き、手首からは手裏剣を飛ばし、全身から茨状の触手にも似たアンカーを放ち敵を貫く。アンカーは自らの意志で無数に生やし、蜘蛛の巣のように張り巡らせてその反動でドロップキックを放ったり、切り離して相手の動きを封じるなど、使用は多岐に渡る。
また、魔戒騎士の十八番・ソウルメタル製の魔戒剣や魔戒法師の術を弾き返し、莉杏の愛用する魔戒銃や烈火炎装にも似た赤札による炎の体術を素手で止め、
そして映画の舞台たるラインシティを統括・守護する魔戒法師リュメの体術や頭の巻物を利用した固有結界と法術をも跳ね除ける頑強さも持っており、
『ホラーを狩り、人を守りし者』という盾と矛の役割を持っている。

基本的には頑強な肉体を持つ彼だが、簡易的な自己修復機能も持っており、ダメージを修復する際は安全な所で身体から小さい触手を生成、損傷部を修理する。


お前は考えたことがあるのか?ホラーの根絶を…
俺は考えた。長い時間をかけて…人々の声を聞き、笑顔に触れ、嘆きを感じながら…
誰もが『ホラーのいない世界』を望んでいる。
俺はそれを形にする方法を見つけた…

【性格】

基本的には主の双竜の命令で動き、『守りし者』たる魔戒騎士と魔戒法師と同じく『ホラーを討滅する』ことを目的としている。
しかし、再起動時には「『ホラーのいない世界』の実現」のためにはホラーではなく陰我を生み出す人間を殲滅するという結論に至ってしまい、
そのためにラインシティでリュメの法力により邪気から護られているデゴルの右腕を求めんと行動を開始。

本来ならホラー以外の殺生を好まないはずだが、目的の障害になる存在と判断すると交戦が免れず、
デゴルの右腕を守護する魔戒法師と黒服のガードマンを殺めてしまうほどに暴走してしまっている。
これは邪気によるものではなく、あくまでも双竜法師の願いを実現するための行動のため、リュメの法力は功をなさなかった。


【阿号・戦闘形態】

阿号は、自らの意志で戦闘形態に変身できる。
意識を集中させると胸部中央に赤い閃光が放たれ、突起が全身を包み込んで暗灰色の鎧甲冑を身に纏った武者にも似た姿となる。

両腕部の長剣、茨状のアンカーと装備は変身前と変わりはないが、この形態で繰り出す最大の武器として右腕のアンカーを無数に束ねて再構成することで完成する大剣『号殺剣』がある。
かつての黄金騎士の一族愛馬と共に振るった大剣とほぼ同じ丈をした巨大な刀身から繰り出す一撃は強力で、ホラーはおろか、並大抵の人間ならその刃に触れただけで命を落とすほど。
あまりにも重すぎる質量のため、横に薙ぎ払う際は左足裏部から姿勢を固定するための軸が地面に打ち付けられる。

左右の腰部に伸びた日本刀の突起に触れると背中から茨状の突起が伸び、蓮華の花にも似たブースターが展開され飛行が可能、
腰の突起は方向転換や姿勢制御のための操縦桿として扱われる。


【顛末…】

ラインシティの郊外にある祠で厳重に保管されているデゴルの右腕を強奪した阿号。
旅の中で彼と遭遇・交戦した流牙と莉杏はそれぞれ阿号の捜索に向かう。
流牙は移動ケバブ屋『D☆ringo's doner kebab』を営むD・リンゴのケータリングカーから阿号の腕に施された車輪に似たマークを発見。
彼の家に案内され、賭博狂いの魔戒法師から借金代わりに差し押さえたという魔導書から双竜と阿号の情報を目にする。
ケータリングカーに施されたあのマークも、その書物に書き記された紋章に見惚れて真似したという。
一方、莉杏は流牙と共に通ったあの森で阿号と遭遇。デゴルの腕を奪還せんと戦いを挑むが、阿号の真意と『守りし者』の務めを果たせと告げられ、人は守るに値する存在か否かと苦悩する。
ラインシティに戻った彼女は、映画冒頭で陰我ホラー・ムラドの使い走りをしていた2400のツネチンピラの片割れ・フカヤが女性のバッグをひったくるのを目の当たりにする。
フカヤを見つけ、激情に任せマウントポジションで幾度となく顔面を殴りつける莉杏を窘める流牙は、共に『ホラーのいない世界』の実現と『守りし者』としての使命に苦悩するが、阿号の暴走は両者の葛藤を許さなかった。

『リュメの間』に辿り着いた阿号はリュメを捕らえ、『浄脈の日』を利用し彼女の法力とデゴルの右腕に秘められた邪気をシティの地脈に伝わせることで人間を全て滅ぼそうとする。
D・リンゴから手渡された横流し品魔導具を身に纏い、阿号を止めんとする二人。
なぜ人を守りし者として生み出された者がホラーの腕を奪い、リュメを捕らえ、人を滅ぼそうとするのか…その問いに人を模した魔導具は非情の武者となりて答える。

俺はホラーを狩り続けた。だがそれだけでは駄目だと気付いたのだ!
俺が夢を実現して、真の『守りし者』にならねばと!!

ふ・ざ・け・る・なァァァァァッ!!

リュメの救助を莉杏に任せ、流牙は怒りの魔戒剣を阿号に叩き付ける。
なぜ『守りし者』が魔戒法師を殺め、守るべき街の人の命を奪わねばならないのか。
守った人はやがて老いて病で死ぬか、不幸な死に合う…不幸な死を引き起こすのは人によるものだ……
阿号が冷徹に言い放つとそれでも幸せな人生を送る人たちもいる、と流牙が反論する。

その幸せな人生を、脅かすものは何だ?ホラーか?それもあるだろう。
しかし違う。大半は人間の邪心だ。人を苦しめているものは、己の邪心なのだ。
人間の心が生み出す邪心……陰我は消え去りはしない!

人が存在し続ける限り陰我は生まれ、ホラーは無尽蔵に現れる。不毛な悲しみが繰り返される。
この連鎖を断ち切るには、人間を滅ぼすしかない…それが阿号自身が導き出した結論だった。

そんな人間の心にも……守るに値する光はある!!

冷徹な阿号の攻撃にひるまず、流牙はリュメの救助を莉杏に任せ決死の闘いを続けていく。

そう、光だ。
光があるから闇があるのだ。
断ち切るべきは陰我ではない……人間の心だ!
だから、すべての人間を……殲滅するのだ!!

相容れぬ二人の守りし者の信念。
戦闘形態に変化する阿号に対し、鎧のない流牙は左腕の手甲で防ぐのがやっとだ。
必殺の号殺剣が繰り出される隙をつき、左足から生じた軸を打ち壊し横倒しにしてそのまま駆け上がり食い止める。
リュメを救出し安全な場所へ離脱しようとする莉杏。阿号は背中からブースターを展開し二人を追跡。
流牙も腰に携えた短い魔導筆の力で跳躍、ラインシティから高速道路へ、必殺の鎧がない状況でも決して諦めず、阿号を止めんと剣を振るう。
ブースターを壊し落下する二人は松村邦弘が運転するトラックのコンテナ狭しと格闘戦を繰り広げる。
窮地に陥った流牙を救わんと援護する莉杏だがやはり阿号には通用せず、逆に運転手のないトラックに突起が襲い掛かり……彼女へと投げつけられた。
車を捨て逃げ惑う人ごみをかき分け、流牙は腰の魔導筆をコンテナに投擲。その慣性で暗灰色の武者に叩き付けられる。
巻き起こる炎……しかし、その中から無傷のままの阿号が現れ、流牙に襲い掛かる。
幾度となく打ちのめされても立ち上がる流牙を見て、阿号は戦闘形態を解除。これ以上の戦いは無意味だと判断する。

お前には俺は倒せない。人の死が夢を実現するのだ…『ホラーのいない世界』をな!

それが長い間考えた答えか!?

……そうだ。すべては法師の夢……そして俺は約束した、必ず実現するとな!

俺も……お前と同じ約束をしたぞ!あの子とな……『ホラーのいない世界を実現してみせる』と!

素顔のまま、歴戦の戦士は若き騎士を見据え、お前の出した答えは何だと問う。

……答えなどない。ただこれだけは言える……
お前の出した答えは……間違っている!
この子を見ろ!!この子の願いも……お前に願いを託した法師と同じだ!!
法師はどんな顔でお前に夢を語ったんだ!?

お前の出した答えは、本当にお前を創り出した法師が望んでいたことなのか?
すべての人を消すということは、物言わぬ人形として森の中で眠っていたお前に花を添え続けていたあの老婆をも消すことではないのか?

莉杏との会話を思い出し、痛切な想いで流牙は阿号に問いかける。

法師……

流牙の言葉を受け、頑なだった阿号の心に変化が起こる。
生前、ホラーが来ない世界を夢見ていた法師が自身に見せたあの優しい笑顔……
その表情と想いを思い出しかけた魔導具の体に異変が起きる。
デゴルの右腕が阿号に反応するかのように、禍々しい輝きを放ったのだ。

人間の殲滅……それは、我の願いと同じ。
ヒトに作られしモノよ……我とひとつになって、その願いを果たそう……

やがて響くおぞましい声…デゴルは倒される直前、自身の一部をあらかじめ阿号の体内に植え込んでいたというのだ。
絶叫と共に阿号の肉体は肉の繭となり、そこから阿号のアンカーが流牙に襲い掛かる。

魔戒剣で押し留めるのと共に、リュメの掌から光の球が放たれる。牙狼の鎧に溜まりこんだ邪気がすべて浄化された証だ。
数百年も生きる魔戒法師の手から放たれた球体は鎧となり、黄金騎士の称号を継ぐ若き騎士の身を包み込む。
炎のように猛々しく、嵐のように荒々しく、以前よりも雄々しい姿となった牙狼となった流牙は肉の繭を斬り裂くが、竜と人馬が融合したような似た姿となりデゴルは完全復活。その猛威を振るう。

炎の海に呑まれ、雷と黒き波動に圧倒され、幾度も必殺の牙狼剣を弾かれるが流牙は決して諦めない。追い詰められながらも、彼はデゴルに取り込まれた魔導具の名を呼んだ。

聞こえるか阿号!?
お前が法師から受け継いだ夢……俺が必ず果たす!!

デゴルの体内で流牙の声を聞き、阿号の意識は双眸を見開く。その傍らには、今は亡き双竜の姿。

阿号。魔戒騎士…彼に託そう。
俺とお前が果たせなかった夢を……いつかきっと、その時が来る……

かつて森で眠りに就く前、法師と共に見た金色の魔戒騎士の輝き。
牙狼の鎧から放つ闇を照らす希望の光は、かつて見た騎士と同じものを放っていた。
そして双竜は阿号に微笑む。生前と変わらぬ、純粋に『ホラーのいない世界』を求め、人が幸せに暮らせる世界を望んだ者の笑顔だ。

阿号…お前は、十分戦った。もう…休むんだ…

そして我が子を労わるかのようにこの言葉をかけ、双竜の姿が消える。
優しい声を聞き、阿号は再び座り込んで……その意識を手放した。

ほどなくして……牙狼の鎧に牙を剥くデゴルのの全身から鋭き鎖が四方八方から突き出てきた。
やがて、デゴルの腹部から巨大な剣が牙狼目掛け飛び出てくる。
阿号の愛用する武器・号殺剣だ。

魔導具から託された武具は牙狼剣よりも巨大だったが、デゴルを討滅するにはこれしかない。
阿号と双竜、そして流牙の想いは巨大なる剣を炎に包み上げ、牙狼の鎧と同じ金色に染め、デゴルの身体を横一文字に斬り裂き、討滅したのだった。


【余談】

  • 映画冒頭部で瀕死の重傷を負った阿号と双竜の前に現れ素体ホラーを両刃の剣で切り捨てた金色の魔戒騎士は、牙狼ではなく絶狼に似た鎧を纏っている。
    この騎士はTV第二シリーズ『MAKAISENKI』第8話『妖刀』にも登場、その強さは幼き日の猪狩重蔵もその騎士に憧れ、彼を超える強き男にならんと決心させるほど。

  • 『GS翔』TVシリーズにも登場するD・リンゴとユキヒメだが、
    劇場版で彼らがケバブ売りとして使用していたケータリングカー内に森の中で古の魔獣から人々を守った伝説の戦士の石像(機能停止した阿号)の前に光が零れ落ちる絵がかけられている。
    あの森で阿号のいた木に、小さい頃から花を添える老婆のシーンと重ね合わせる人も少なくない。

  • 阿号の車輪に似た紋章は映画では最後まで流牙が所持していることになっており、
    テレビシリーズ第2話『炎』でケバブ屋を辞めて雑貨屋『Tienda de bolsa de D☆ringo』(スペイン語でD・リンゴの鞄店)を営むD・リンゴの元に返却された。
    それは後に第22話『城』にてユキヒメがおっぱいを揺らしながら組み立てたギター型の魔導具のパーツとして使用。
    D・リンゴとユキヒメ、そしてガルドの妹ハルナだけでなく、街に住む人々の想いが阿号の形を作り上げ伝説の魔城・ラダンが放った槍を打ち砕く場面は映画を見た者なら胸を熱くさせることだろう。

  • 劇場で販売された映画パンフレット14~15pにある雨宮監督のインタビューによると、当初は戦車のような形態で、自我を持っている設定だったが、それではいけないと思い
    『流牙と対峙したときのバランスとか、そういった面も踏まえて、人型で、別に戦闘形態を持つということにしました。人型にすることによって、阿号を作った魔戒法師の思いなども浮き彫りになる。阿号の主張していることも、流牙や莉杏により深く突き刺さると考えたんです。』
    …と、何稿もシナリオを描き重ねて阿号の扱い方に時間を費やしたとのこと。

  • 『双竜が若くして死んだ実子の肉体を利用して創り出した存在』など、阿号には設定をかなり練りこんだらしいが流牙と莉杏の物語が薄くなるのか、ある時点で切り捨てて、最低限で必要な部分を残している。

  • 牙狼・翔とデゴルの決戦BGMは質の高い曲だったが、当初はそれを流す予定だったが、
    「何かクセというか、引っ掛かかりを残したくなった。ちょっと、おどろおどろしい感じを強調するような……
    と変更、戦闘が激しくなればなるほどお経が鳴り響いていく、雨宮テイスト全開な演出となっている。
    この演出は雨宮監督の過去作品『ゼイラム』でも使われており、比較するのもまた一興であろう。

  • 『永き眠りから覚醒した最強の人造人間』『己の信念を貫くためにいかなる障害も排除する生き方』『異物が全身を包み込むようにして戦闘形態へ変身する』『とにかく硬くて強い』
    …等、阿号には雨宮監督の代表作『人造人間ハカイダー』の主人公・リョウ/ハカイダーに似通った要素が見受けられる。



お花、好き?



追記・修正はラインシティに通じる森で白い花を添えながらお願いします。









誰もが忘れ去った恐怖。
誰もが知らない絶望。
想像を超える闇が、解き放たれる。

次回、『剣』

運命の剣は引き抜かれた。


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