登録日:2016/07/26 Tue 00:04:49
更新日:2024/12/29 Sun 09:03:55
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ウルトラ5兄弟ものがたりとは、『小学二年生』1972年10月号に掲載されたウルトラシリーズ題材の絵物語である。
挿絵は故・内山まもるが手掛けているが、文章の担当はノンクレジットのため不明。
◇概要
掲載時期は『ウルトラマンA』放送中盤頃で、つまるところ後年の『
タロウ』『
レオ』などが影も形も無かった
いわば「
ウルトラ5兄弟」全盛期の時代に執筆された作品である。
作品自体は誌面でおよそ8ページほどの短い短編であり、内容を簡潔に説明すると、
「
今は昔、戦いが絶えなかった頃のM78星雲・光の国、荒れる一方の宇宙の平和を守るために
ゾフィーが4人のウルトラ戦士を集め、『ウルトラ5兄弟』として宇宙警備隊を創設する」
……というもの。
「宇宙警備隊設立秘話」的なポジションの創作としては、『ウルトラ兄弟物語』の「
決闘ウルトラ兄弟」などと同類だが、
本作は掲載誌の発売&製作時期もあってか、
ウルトラの父が影も形もなく、ゾフィーが宇宙警備隊の創設者みたいな書かれ方、
話の文面上からして
初代ウルトラマンが地球で活躍した直後に、宇宙警備隊が設立されたような印象が強く、
また、ウルトラ兄弟の家族構成など、後々児童誌の共通認識などで固まっていった現行設定などについても
そういう認識自体がまだ薄かったのか全く踏襲されて無かったりと、児童誌掲載の絵物語という点を踏まえた上でも今見ると独特の雰囲気を醸し出している内容である。
2003年刊行のムック『ウルトラ博物館』、並びに2022年刊行の単行本『ザ・ウルトラマン 単行本初収録&傑作選』下巻(いずれも小学館)に当時の誌面が収録されている。
いずれの書籍にも全編カラーで収録されており、内山氏の彩色絵が拝めるという点では地味に貴重。
◆『ウルトラ5兄弟ものがたり』あらすじ
「
光の国」――――それは、M78星雲に存在する、ウルトラ兄弟たちの故郷にして、
全宇宙の平和を守っている一大組織「宇宙警備隊」の本拠地が存在する、宇宙で一番平和な星として有名だ。
しかし、そんな光の国も、最初からそのような平和を保っていた訳では決してない。
かつては、外宇宙から襲い来る怪獣や星人の脅威に脅かされ、争いの絶えない時代が長く続いていたのだ。
これは、光の国の平和を守るために「宇宙警備隊」を創設した、ウルトラ5兄弟の物語である。
今日もまた、光の国に凶暴な怪獣が攻め込んできた。
建物を踏み荒らし、逃げ惑う民衆を蹴散らし、光の国を征服しようと目論んだ侵略者だったが、
それに立ち向かう一人の勇者の姿があった。その名は
ゾフィー。
後に、ウルトラ兄弟の長男にして、宇宙警備隊隊長としてその名を宇宙に馳せることとなった男である。
ゾフィーは暴れまわる怪獣を辛くも追い返すが、今後も自分一人だけで光の国を守る切れるとは到底思えず、
何としてでも平和を取り戻すため、光の国を守るための協力者を募り、一大組織を築こうと決心。
ある時ゾフィーは、弱い者虐めを懲らしめている一人の男と出会う。
ゾフィーは正義感溢れるこの男を一目で気に入ると、早速第一の仲間として彼を勧誘する。
彼こそ、後に地球で活躍する事となる
新ウルトラマンだったのだ。
※ちなみに挿絵では、新マンに庇われてる者と、悪者のウルトラ族は、共に青いウルトラマンとして描かれている。
当時の児童誌設定では、ウルトラ族の体色は本来は青色で、宇宙警備隊入隊に際して赤色の制服を纏う、というものがあり
後のブルー族設定の原型と思われる……が、イラストでは新マンは普通に赤色なので微妙なところ。
次に、ゾフィーは
ウルトラマンエースという名の乱暴者の存在を知る。
あまりにも歌舞伎者同然なエースの振る舞いに、彼の両親もほとほと手を焼いていたほどであり、
ゾフィーは多少首を傾げるも、彼なら若く優れた隊員になってくれるだろうと判断、仲間に勧誘した。
※後の児童誌設定では、エースは孤児でウルトラの父に育てられたという設定になっているが、
掲載当時はまだそこら辺が固まっていなかったのか、普通に両親がいる描写になっている。
地味にエースが
ボディビルの
アブドミナル&サイ染みたポーズを取っているのが印象的。
またこの頃、光の国では
ウルトラセブンという名の男が、特技の武芸によって評判になっていた。
それこそ、頭部に備えた刃を飛ばして敵を切り裂く、後のセブンの代名詞「
アイスラッガー」である。
彼の名を知ったゾフィーは、すぐさまセブンに合いに行き、彼を「宇宙警備隊」に勧誘。
既にゾフィーはこの時、光の国のみならず、宇宙全体の治安を守るための組織を作るビジョンを明確に構築していたのだ。
ゾフィーの申し出に、セブンは快諾。力強い言葉で、共に戦うことを約束する。
そして同じころ、地球で大活躍した
ウルトラマンも、
ゼットンに敗れた事で光の国に帰還するのだった。
※これらの勧誘シーン、新マン・エース・セブンはそれぞれ大きな一枚絵イラストが用意されているのに対し、
ウルトラマンは隅っこに小さな絵が添え物のように書かれているだけで、扱いに対して明確な差を感じてしまう。
なにせ、雑誌記事で当たり前のように前のウルトラマン・古いウルトラマンとか書かれてた時代だった訳で……
かくして、ゾフィーによってスカウトされた、正義感が強くとも何処かクセのある若者たちを中心に、
その他大勢のウルトラ族が集まり、遂に「宇宙警備隊」が誕生した。
訓練は厳しいものではあったが、それを最後まで乗り越えることで、
隊員たちはまるで本当の兄弟のようにお互いの気持ちを分かりあえる、強い信頼関係を築くことができたのである。
ウルトラマン、ウルトラセブン、新ウルトラマン、ウルトラマンエースに、宇宙警備隊隊長・ゾフィーは力強く宣言する。
「聞いてくれ。これから、わたしたちは兄弟だ。わたしたちの手で、うちゅうのへいわをまもるのだ」
こうして、全宇宙の平和を守る宇宙警備隊の中核メンバーである5人の勇者、「
ウルトラ5兄弟」がここに誕生したのであった。
それはまるで、梁山泊の英雄、桃園の誓い、
新選組などを彷彿とさせる、未来への希望を繋いだ勇者たちの誓いだったに違いない……
追記・修正は、宇宙警備隊創設者・ゾフィー隊長に本作の感想文を送ってからお願いします。
- それにしてもこの記事を書いてる人って何歳だ?当時の雑誌のことを知ってるとか、相当な御歳に思えるが -- 名無しさん (2016-07-26 10:24:31)
- 「前のウルトラマン」はともかく、「古いウルトラマン」は酷すぎだろww -- 名無しさん (2016-07-26 13:41:07)
- ↑×2 済みません、まだ20代の若輩です……基本、当時の誌面などといった情報は、そういったデータを特集したムック等をソースに記事製作させてもらってます -- 立項者 (2016-07-26 17:27:51)
- ↑2 前にどっかの本で見た「弱いウルトラマン」よりはマシだと思うw -- 名無しさん (2016-07-26 20:21:37)
- 例によってこれも「そういうマルチバースもあった」くらいの認識でいいんかな? -- 名無しさん (2016-07-27 13:49:18)
- ベリアル以外犯罪者が出てない光の国にも、弱い者いじめっているもんなんだな -- 名無しさん (2016-07-27 17:22:48)
最終更新:2024年12月29日 09:03